開発インタビュー



Alex Pantelias(プロデューサー/Griptonite Games)

Shinobi 3DS: Griptonite Games Interview(NowGamer)

――『忍』シリーズは多くのゲーマーにとって心のゲームです。今回の『Shinobi 3D』の開発に当たり、過去の作品からどのような要素を受け継ぐ必要があると考えましたか?

Alex Pantelias 最初から私たちは、一から新しいゲームを作るつもりも、シリーズの伝統を壊すつもりもありませんでした。シリーズのルーツに忠実な『忍』を作りたかったんです。私たち自身、初期の『忍』シリーズのファンであり、それらはパターン型アクションゲームの最高峰だと考えていました。そのスタイルを厳守することが最優先事項だと。そのゲーム性を受け継ぐことが、長年の『忍』シリーズファンにとって最もしっくりくると確信していました。ジロー・ムサシのアクションは防御を除いて、初期の『忍』シリーズに登場したアクションから構成されています。私たちのモットーは、旧作のキャラクターやゲーム展開をリスペクトすることでした。『忍』シリーズは奇想天外な世界観で有名ですが、それを茶化したバカゲーやネタゲーにせず、大真面目に作りたかったんです。

――ハードがニンテンドー3DSになったことで、そうした魅力はより強化されましたか?

Alex Pantelias それはもうゲームをやってもらえれば一目瞭然ですが、『Shinobi 3D』のジローは、サムライから巨大サメ型メカまであらゆる敵と戦いますし、さらに戦闘機の上に乗ったり、木切れで地下水路をサーフィンしたりと、とんでもない状況に平然と立ち向かっていきます。それともうひとつ、古きよきやり込み要素として、シビアなスコアシステムを取り入れました。ただステージをクリアするだけでなく、ランクSを出すには相当なスキルが要求されますよ。敵を倒すごとにスコア倍率が上がっていくのですが、一度でも攻撃を受けるとリセットされてしまうので、非常にやりがいがあると思います。

――『忍』シリーズは過去にPS2版で3D化が試みられました。なぜ今回、再び2Dのゲーム性に戻すことにしたのですか?

Alex Pantelias 『忍』シリーズを新生させるため、原点である2Dに戻そうと思ったんです。本作のゲームデザインは、初期シリーズの攻撃やジャンプなどの感覚から、大きな影響を受けています。また、Griptoniteは過去に2Dアクションゲームを何本も作っていましたから、それらの開発から学んだ多くの経験を『Shinobi 3D』のレベルデザインに生かすことができました。

――本作は『忍』シリーズ全体のストーリーにおいて、どのような位置づけですか? また、ゲーム的には過去のどの作品に近いですか?

Alex Pantelias ゲームプレイの面で最も影響を受けているのは、メガドライブの『ザ・スーパー忍II』です。ストーリーに関していうと、『Shinobi 3D』はまさにシリーズ全体のプリクエル(前日譚)に当たります。私たちはジョー・ムサシの血筋と、朧一族の起源を掘り下げたいと思ったんです。ただしシリーズの伝統に沿って、本作もあくまでアクションゲームの部分に重点を置き、ストーリーについては多くを語っていません。長々と説明するよりも、暗示的で、ほのめかすような演出手法を取っています。ですが注意深く見れば、興味深い真実も隠されていますよ。

――今日の市場では、2Dアクションというジャンルは、何かよほど特別な売りがなければ埋もれてしまうのではないでしょうか。そうした市場で勝負するために、本作ではどのようなチャレンジをしましたか?

Alex Pantelias いい質問ですね……それはまさにプロジェクトの間中、スタッフみんなが考えていた問題でしたから。そもそも、どういう作り方をすれば20年以上も前のゲームを、今日のプレイヤーにも新鮮に楽しんでもらえるか? 私たちの答えは極めてシンプルで、「可能な限り最高のパターン型横スクロールアクションを作る!」ということでした。私たちは『Shinobi 3D』を、『忍』シリーズのファンだけでなく、アクションゲームを愛するすべての人々に向けて作ろうという、強い思いを持って取り組みました。「万人に受けるゲームを作ろう」などと考えると、得てして失敗しがちです。私たちは常に、素晴らしいゲームプレイは時代を超える、不変的なものだと信じていました。ですからこのゲームを作る上で、何か特別なことをしたとは思っていません。ただ最高の『忍』を作り上げることだけに集中していれば、自ずと結果は出る、そう考えていたんです。

――ジロー・ムサシの新しいアクションや、忍術について教えてください。

Alex Pantelias 主人公のジローはジョー・ムサシの祖先で、最初からスピーディーで多彩なアクションを身に付けています。初期の『忍』との最大の違いは、防御のシステムですね。防御はいつでも発動でき、空中でも、さらにどの方向からの攻撃でも防ぐことができます。ただし過去のシリーズと違って、防御ボタンは攻撃が当たる瞬間に押さないといけません。正確なタイミングが要求されるので、敵の攻撃パターンを覚えることが必須となりますね。防御をマスターできれば、有利に戦えるでしょう。また、ジローは火、水、雷、地の、4つの忍術も使うことができます。火の術は画面上の敵を一掃し、さらに手裏剣が敵を貫通するようになります。水の術はジャンプ力をアップさせ、手裏剣の回復速度も速めます。雷の術はダメージを3回まで無効化します。地の術は移動スピードがアップし、自動的に防御する力を与えます。ただし地の術が終わると、体力が残り1ゲージになり、さらに手裏剣が使用できなくなってしまいます。忍術は非常に強力ですが、使用するとスコアが減点されます。

――なぜハイエンドの据え置き機ではなく、ニンテンドー3DSをプラットフォームに選んだのですか? ニンテンドー3DSの方が、開発の自由度や予算の面で有利だからでしょうか。

Alex Pantelias セガの立場からすると、据え置き機ではなく携帯用ゲーム機を選んだのには、さまざまな理由があると思います。ですが主な理由としては、今回私たちが目指したゲームを作るにはニンテンドー3DSが最も適していた、ということです。過去の『忍』シリーズで素晴らしかった要素を、ニンテンドー3DSの新しい機能を使って現代化することで、古典と新作の橋渡しをすることができました。古きよきゲーム性を再現しつつも、新たにジャイロセンサーやタッチスクリーンに対応し、3D映像によって独特のアートスタイルも強化されています。また、すれちがい通信にも対応しており、ニンテンドー3DSを持ち歩いて、熱心な『忍』ファン同士交流を深めることもできます。これは今までのゲームでは考えられなかったことです。それとあとは、最後に携帯ゲーム機用の『忍』がリリースされてから何年もたっていましたので、今がいいタイミングだと感じたんです。

――ニンテンドー3DSを選んだことには、リスクヘッジの意味合いもありますか?

Alex Pantelias 確かにニンテンドー3DSで開発する方が、据え置き機に比べると予算面でのリスクは小さいですが、一方でスペックの面では制約が大きいですから、一概にどちらがよいとは言えないと思います。ただ携帯用ゲーム機での開発は、思い切って新しいことにトライしたり、逆にうまくいかなかったらバッサリ切り捨てたり、といった融通が利きやすいので、その点は素晴らしいですね。実際、本作はほぼすべての部分で、数え切れないほどの修正を繰り返しています。単純に面白くないと感じたら、ステージさえも丸ごと一から作り直しましたからね。据え置き機のゲーム開発ではなかなかできないことですが、『Shinobi 3D』では、そこまで作り込むことができました。ですから結果的に、携帯用ゲーム機だったおかげで、ゲームの完成度が上がったことは間違いないと思います。

――ニンテンドー3DSでの開発を行ってみて、どのような感想をお持ちですか? まだまだハード性能を引き出せると思いますか?

Alex Pantelias ニンテンドー3DSは素晴らしいハードだと思います。E3の展示を見ると、すでにハード性能の限界ギリギリまで使い切っているようなゲームもありますね。『Shinobi 3D』は、あくまで画面の見やすさと、スムーズな動作に重点を置きましたので、ニンテンドー3DSの性能を限界まで引き出したと言うつもりはありませんが、画面上にたくさんの敵キャラクターが出現してもフレームレートが落ちない点には非常に満足していますし、3D映像による没入感の高さも、ほかの横スクロールアクションにはない魅力だと思っています。

――ちなみに先日、任天堂からWii Uが発表されましたが、Wii U用のゲーム開発にも魅力を感じますか?

Alex Pantelias Wii Uは、あれこれアイデアを考えているだけでもワクワクしますね。あのスクリーン付きのコントローラを使えば、まったく新しい遊びができると思います。任天堂は常に革新的なものを生み出しますが、Wii Uも例外ではないですね。魅力を感じるどころか、今すぐにでも開発したくてウズウズしていますよ!

――PS2版にガッカリして、シリーズから離れてしまった昔ながらの『忍』ファンもいると思うのですが、そうした人たちに向けて、『Shinobi 3D』をどのようにアピールしたいですか?

Alex Pantelias 難しい質問ですね……PS2版が大好きなユーザーもたくさんいますから。ですので、あくまで個人的な考えでお答えしますと、まず『Shinobi 3D』は『ザ・スーパー忍II』の精神的な後継作である、ということですね。ですから、『ザ・スーパー忍II』が好きだった人なら、本作もきっと気に入っていただけると思います。それともうひとつは、開発チームも『忍』シリーズの大ファンだということです。どんなに細かいことでも徹底的に検討して、熱い議論を戦わせましたし、『ザ・スーパー忍II』を実際に何度もプレイして、タイミング、ステージの構造、敵キャラクターの見せ方、隠しエリアなど、あらゆる要素を分析しました。そうしてスタッフが注いだ情熱が、完成版のゲームからほとばしっていますので、真の『忍』ファンには、必ずそれが伝わると信じています。

――今日のゲーム業界が直面している最大の試練は何だと思いますか?

Alex Pantelias 私たち開発者は、自分が初めてゲームを遊んだころの気持ちを、決して忘れてはいけないと思います。ゲーム開発は、アイデアと機材さえあれば一人でも作れる、というものではありません。大抵の場合、考え方も価値観もまったく異なる何百人もの人々が集まって作るものです。そういう意味では、非常に難しいビジネスだと思います。そんな中で、突然まったくの新規IPが登場して成功を収めたりすると、勇気づけられますね。映画と似たようなもので、巨額の予算を投入した大作映画は確かにすごいですが、その一方で野心的なインディー映画も必要だと思うんです。『Shinobi 3D』の開発に当たっては、セガにとても感謝しています。もちろん伝統ある『忍』シリーズだけあって、開発中のチェックは厳しかったですが、私たちがいいものを作ろうとしていることを理解してくれて、じっくり練り込む時間を与えてくれました。おかげで、私たちは自分たちのビジョンを貫き、最高に手ごわく、楽しく、そしてやりがいのあるゲームを作り上げることができました。『Shinobi 3D』は、まさに『忍』ファンのために作られたゲームです。ぜひ楽しんでください!

Stephen Frost(プロデューサー/セガ)

Getting Under The Scarf Of Shinobi 3DS: Interview With The Producer(Siliconera)

――どのような経緯で、Griptoniteが開発を担当することになったのでしょうか?

Stephen Frost まさに幸運な巡り合わせですね。Griptoniteとは過去に何度も仕事をしていますが、彼らが『忍』シリーズの大ファンだったんです。また、セガ往年の名作を復活させようという流れはいろいろあったのですが、『忍』の新作はなかなか実現せず、シリーズは長い間休眠状態でした。今回は満を持してのシリーズ復活ということで、Griptoniteも非常に燃えていましたよ。Griptoniteが手がけたPSP版『アサシン クリード ブラッドライン』や『Spider-Man Web of Shadows』は、素晴らしい戦闘システムを取り入れていました。今回、私たちは初期のクラシックな『忍』の精神を受け継いだ新作を目指していましたが、そこで彼らが『アサシン クリード』のキャラクターを忍者に置き換えたテスト映像を作ってくれたんです。その映像を見たとき、現代的なゲームプレイを取り入れつつ、往年の『忍』シリーズが持っていた独特の魅力も受け継いでいて、これは行ける! と感じました。
(編注:これはあくまでテスト用の映像であり、製品版の『Shinobi 3D』は『アサシン クリード』とはまったく異なるエンジンで動作している)

――本作は過去のメガドライブ版や、PS2版の『Shinobi』、『Kunoichi』から、どのような要素を受け継いでいますが?

Stephen Frost 今回は、主にロムカセット版にフォーカスしています。もちろん、PS2版も検討しましたが、今回目指した初期シリーズのゲーム性とはかなり異なっていましたから。ただ、PS2版に登場した秀真の赤いマフラーはとても印象的だったので、本作にも取り入れました。ですが基本的に、アクション、敵キャラクター、ボス、ステージなどの多くは、『忍』、『ザ・スーパー忍』、『ザ・スーパー忍II』から着想を得ています。戦闘のシステムも同様ですが、過去の『忍』シリーズは大部分の敵を一撃で倒せたので、最近のゲームのような連続攻撃なども取り入れて、より奥深くなるようにしています。また、防御専用のボタンも新たに加えました。防御自体は過去の『忍』にもありましたが、防御専用のボタンはなかったですからね。

――確かに本作の防御システムは、過去のシリーズとは大きく違っていますね。

Stephen Frost このゲームの面白さの肝は何といっても、敵から敵へと飛び移りながら、リズミカルに進んでいく爽快感です。ゲームの後半になると、ジャンプした途端、前から敵が飛び道具を投げてくる、なんてことがよくあります。普通ならなすすべもなく撃ち落とされてしまいますが、本作の防御はいつでも、どこでも発動可能なので、空中でも防御ができるんです。また空中で防御すると、そこからさらにジャンプでき、より高く飛ぶこともできます。本作は昔ながらのパターンゲームなので、防御を使わなくても、普通にジャンプやしゃがみで敵の攻撃をかわしていくこともできます。ですが防御を使いこなせば、より美しいプレイができ、さらに高得点も得られるようなシステムになっています。攻撃や防御を成功させるとスコア倍率が上がっていき、しかも移動スピードやジャンプ力もアップするんです。ただし、一度でも敵の攻撃を受けると、スコア倍率はリセットされてしまいます。テストプレイヤーのスーパープレイを見ると、本当に芸術的ですよ! まさにステージを風のように駆け抜けていくんです。リプレイはSDカードに保存できますので、会心のプレイをじっくり鑑賞することもできますよ。

――本作の開発には、日本のセガも協力しているのでしょうか?

Stephen Frost 今回の開発はこちら(海外セガ)主導で進みましたが、日本のセガとは密に連絡を取っていましたよ。いろいろな部分でフィードバックやコメントをもらいましたし、企画の最初の段階からとても熱心に協力してくれました。もともと『忍』は日本発のシリーズですが、海外スタッフによる新作がどのような出来になるのか、それが日本のファンにどう受け入れられるか、非常に注目していましたね。日本的なデザインやカルチャーについても、たくさんのアドバイスをもらいましたよ。それこそ、ジロー・ムサシの正座の姿勢までね(笑)。そうした指摘を随時反映して、日本のファンにも違和感がないものを目指しました。

――ゲームプレイの部分にも、日本のセガは関わっているのでしょうか?

Stephen Frost キャラクターの動きやデザインに関していくつか指示があったくらいで、基本的には自由に作らせてもらえました。開発初期の時点でかなり完成度の高い試作品が見せられたことと、あとはやはり開発チームの情熱が伝わって、「これなら、あまり注文を出さなくても大丈夫だろう」と思ってもらえたんじゃないかと考えています。やはり、日本のセガが特に気にしていたのは、キャラクターとストーリーの描かれ方ですね。今回、私たちは新たにジョー・ムサシの祖先を登場させ、今までの『忍』シリーズより過去のストーリーを描きました。ですから、そこはシリーズの伝統を壊さないような出来にしましょう、と。

――忍刀、手裏剣、鎖鎌のほかに、ゲームが進むと手に入る新たな武器はありますか?

Stephen Frost これは本作を作る上での大前提でもあったのですが、ゲームスタートの時点から、プレイヤーはすべてのアクションを使うことができます。もちろんアイテムや忍術によるパワーアップはありますが、ジローの基本性能は変わらないので、先へ進むためには純粋に腕前を磨く必要があります。アイテムやレベルアップなどで強くなっていくよりも、プレイヤー自身の成長が要求されるようなゲームを目指したんです。そのため、アクションは非常に多彩で、やり込めばやり込むほど、新しい活用方法や連続技が発見できるようになっています。天井やロープにぶら下がるための鎖鎌を敵に当てると、つかんで上に乗ることができる! なんていうのも、そのひとつですね。

――『シャドー・ダンサー』の「忍犬」や、『ザ・スーパー忍II』の「ダッシュ」など、過去の『忍』シリーズには作品ごとに特色がありました。『Shinobi 3D』ならではの売りは何ですか?

Stephen Frost 今回の『Shinobi 3D』は、いわば『忍』シリーズの「いいとこ取り」です。メガドライブ版のアクションや、PS2版のマフラーなど、過去のシリーズそれぞれのいいところを集めて、理想の『忍』を作り上げることを目指しました。ですから、「今までの『忍』シリーズの面白さが、これひとつにすべて詰まっている!」という点こそ、本作の売りだと思います。

Griptonite Games

Shinobi 3DS - Griptonite Q&A with Concept Art!(SEGA Blog)

 Griptonite Gamesは、ワシントン州カークランドにオフィスを構え、150人以上のスタッフが日夜ゲーム開発に取り組んでいる。Griptoniteは、『ハリー・ポッター』、『スパイダーマン』、『ロード・オブ・ザ・リング』といった映画のゲーム化や、『ザ・シムズ』、『アサシン クリード』、『エイジ オブ エンパイア』などの人気シリーズをはじめ、これまでに70以上のタイトルを送り出している。
 Griptoniteはさまざまなジャンルのゲームを手がけているが、特に有名なのは『Spider-Man Web of Shadows』、『Assasin's Creed II: Discovery』、『Spyro: The Eternal Night』などの横スクロールアクションだろう。これらのゲームに共通するのは、スムーズな操作性と、タイミング重視の2Dアクション。理想とするのは、ガチャガチャ動かしているだけで楽しく、かつ、やり込めばやり込むほど、奥深さや見返りが得られるようなゲームだ。

Kris Durrschmidt(リード・デザイナー)
 僕の家は貧乏な軍人の家庭で、4人の弟と一緒に育った。だから僕が欲しいゲームを買ってもらえることなんて、クリスマスか自分の誕生日くらいだったんだよね。ちなみにうちの家族はセガ派でね、我が家のマスターシステムは近所のみんなからも羨望の的だったよ! うちのリビングルームはいつも、『忍』、『アフターバーナー』、『ハングオン』、『アウトラン』といった、セガゲームの順番待ちをしてる友達でいっぱいだった。
 で、1989年に、我が家にメガドライブがやってきた。初めて『獣王記』を起動したときは頭がブッ飛んだよ! いやマジで! キャラクターがメチャクチャ大きくて、しかも超リアルだったからね。そして高校1年の誕生日に、メガドライブの『ザ・スーパー忍』を買ってもらった。そのゲームこそ、僕の人生のターニング・ポイントになったんだ。何たって、『ザ・スーパー忍』に出会ったことで、「俺は大きくなったらゲームクリエイターになるぞ!」と決意したんだからね。その夏の間中、僕は『忍』の絵を描いたり、シナリオを考えたり、ショー・コスギのニンジャ映画を観まくったりしながら過ごしたよ!
 そんなわけで、『ザ・スーパー忍II』が発売されると知ったときは猛烈に興奮したね。発売日に確実にゲットするためには、マクドナルドでアルバイトせざるを得ないと決意したくらいさ。『ザ・スーパー忍II』は今でも、歴代マイベスト10に入るゲームだね。僕が思うに、『ザ・スーパー忍II』はゲームバランスもデザインも、ほぼ完璧に近い。今でもしょっちゅうプレイするよ。というか、僕の机の横にあるメガドライブに挿さってるからね!
 それから何年も過ぎ、兵役を務めて、Griptonite Gamesで10年働いた後、ついに一世一代のチャンスを得た。僕の人生を決定づけたゲームの新作を手がけることになったというわけさ。
 『Shinobi 3D』の開発が始まってすぐ、この仕事がどれほど大いなる責任を伴うか実感した。世の中には僕と同じように、『忍』を死ぬほど愛している人たちが何百万人といて、もし栄光のシリーズに傷を付けようものなら、きっと烈火のごとく怒り狂うだろうからね。だから、仕様ひとつ決めるときもこの認識は忘れないようにしたし(時にはチーム内で大激論に発展することもあったけど)、徹夜で作業したことも何度もあった。
 『忍』やお気に入りのセガゲームについてならいくらでも語れるけど、とにかく言いたいことは、『Shinobi 3D』の開発スタッフはみんな、セガと『忍』シリーズの大ファンだってこと。僕ら自身がプレイしたいと思う『忍』を目指して、面白い要素を目いっぱい詰め込んだから、ファンのみんなにもそれが伝わればうれしいし、楽しんでもらえることを願っているよ。

Brandon Gillam(リード・アーティスト)
 『Shinobi 3D』のリード・アーティストを担当すると知ったときは、頭が真っ白になったよ! 1作目からずっと、『忍』シリーズのファンだったからね。当時はTシャツにプラスチック製のカタナを下げて、アーケード版『忍』をプレイしていたものさ。今回、グラフィックはなるべく見やすく、シンプルにして、あくまでゲームプレイや難易度面を第一に考えた。前田(真宏)さんが描いたコンセプトアートのように、ハードエッジなデザインを心がけたよ。『Shinobi 3D』は、まさに『忍』シリーズの真髄を受け継いだ、古きよき「死に覚えゲー」になっているけど、今風の要素や新しいアクションもたくさん盛り込んでいる。『忍』のような伝説的シリーズを手がけるのはとても緊張するけど、本作はうまくやり遂げられたと思っているよ。

Taron Millet(ゲームプレイ・プログラマー)
 開発チームはみんな、クラシックな『忍』シリーズ、特にメガドライブの『ザ・スーパー忍II』の大ファンなんだ。個人的には、PS2版の『Shinobi』も大好きだけどね。最近のゲームは、かつての『忍』シリーズが持っていたような独特の色気や、プレイヤーに対するチャレンジが足りないんじゃないかと感じる。だから今回はニンテンドー3DSという新しいハードで、クラシックなゲームデザインは今でも通用することを示す、絶好の機会だと思ったんだ。僕らは『ザ・スーパー忍II』のような傑作がどういう要素で成り立っているかを丹念に研究して、可能な限り本作にも取り入れた。ただ同時に、悪いと感じた点は改善したし、実績やアンロック要素といった、最新の素晴らしいフィーチャーも追加した。クラシックな横スクロールの『忍』が好きだった人ならきっと、今回の『Shinobi 3D』も気に入ってもらえると思うよ!

国内インタビュー

セガ、3DS「Shinobi 3D」 開発者インタビュー(GAME Watch)

「Shinobi 3D」は「忍 -SHINOBI-」や「ザ・スーパー忍」の直系タイトル。音楽を担当した日比野則彦氏とプロデューサーの長谷川亮一氏にインタビュー(4Gamer.net)



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