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超人狼戦記WARWOLF(ウォーウルフ)
機種 ファミリーコンピュータ
発売元 タカラ
開発元 データイースト
発売日 1991年6月28日
定価 6,500円(別)
プレイ人数 2人交代プレイ可能
ステージ数 5面
ライフ制 あり
残機制 なし
コンティニュー 5回
パスワード なし
難易度選択 なし
コンテンツ 海外版『Werewolf: The Last Warrior』




ストーリー

 “超人狼・WARWOLF”登場!!

 ここは地球の第2の植民地である惑星・RED EARTH。
 冒険家であり化学者でもあるDr.GORDONは、ある夜ダバール山山岳中に、妖しい光をたたえる不思議な洞窟を発見した。
 その光に吸いよせられるかのように洞窟の中へ、中へと入っていったDr.GORDON、しかし、彼は再びその洞窟から帰ってくることはなかった。

 そして、4年の月日が流れた…。

 暗黒より目覚めた邪悪な力が、RED EARTHを捕えようとしていた。
 4年前、洞窟内で、闇の封印を解き、自ら闇の指導者となったDr.GORDONは、彼の手によって作り出されたバイオモンスター軍団を率いて、悪の軍団“NEO”を名乗り、RED EARTHの支配を開始した!バイオモンスターの力は強大であり、人類の持つ、あらゆる科学兵器も歯が立たないのであった!?
 追いつめられた人類にとって唯一の希望は、伝説の超人狼一族の生き残り、少年KENであった。人間から超人狼・WARWOLFに変身する能力を持つKENは、バイオモンスターに立ち向かえる唯一の人間なのだ!
 人類の救いを求める声に、少年KENの心が動いた!!
 今、最強のヒーロー、“超人狼・WARWOLF”とバイオモンスター軍団“NEO”との激しい戦いが始まった!!

アメコミ風デコゲー

 『超人狼戦記WARWOLF』は、少年KENがアイテムを取ることで超人狼・WARWOLFに変身、パワーアップするのが特徴の横スクロールアクションだ。発売は玩具メーカーのタカラだが、開発は「デコ」ことデータイースト。
 海洋堂の杉田晋氏による、超リアルなWARWOLFのモデルが飾るパッケージが印象的な本作だが、基本的なイメージコンセプトは『スパイダーマン』や『超人ハルク』のようなアメコミ・ヒーローのノリ(実際に海外版では、舞台設定もアメリカになっている)。敵もドロドロのスライム人間などそれっぽいものが登場し、ちょっとアクの強い雰囲気が魅力的だ。

とにかくどこでも、パンチじゃ! いいものが…

 スタート時、生身の人間である少年KENは、パンチ、ジャンプ、必殺技(溜め撃ち)といった基本アクションしか使えず、パンチ力・ジャンプ力も低く、とにかく弱い。だが、アイテムを取ってWARWOLFに変身することで、今までにできなかった様々なアクションが可能になる。
 鋭利な爪と化した両腕を活かした「天井移動」「壁登り」。驚異的な「パンチ力」と「ジャンプ力」。そして「ほふく前進」「大回転ジャンプ」「バック転」「ガンSHOT」等々、アクションはとにかく豊富。特にA・B同時押しで繰り出すバック転は、発動した瞬間から無敵になる高性能な回避アクションで、見た目も非常に格好良い。
 また、特定の地形をパンチすると隠しアイテムが出現するのだが、ネオボールというアイテムを5個集めると、WARWOLFは“NEOWOLF(ネオウルフ)”に2段変身。一定時間、パンチ力・ジャンプ力がさらに倍になる。アイテムを探して場所を覚え、ボス戦の直前でNEOWOLFに変身できるようにすれば、戦いを有利に進めることができる。
 ただし逆に、WARWOLFに変身中、ある程度ダメージを受けたり、パワーダウンアイテムを取ると、KENの状態に戻ってしまう。こうなると難度は一気に跳ね上がる。ボス戦で苦戦するのはもちろん、ステージ中には壁や天井を移動したり、バック転でバリアをすり抜けたりと、WARWOLFの特殊アクションを駆使しなければ行けない場所も多く、そこでは敵との戦闘を避けて楽に進めたり、貴重なアイテムを入手できたりするのだ。無駄なダメージを受けないようにし、WARWOLFの状態を維持することが重要となる。
 ステージは5つで、あまり長いゲームではない。だが、各面のマップデザインはなかなか秀逸だ。上下にもスクロールする立体的なマップで、ルートにより攻略も全く違ってくる。
 例えばステージ2は、マップの上が市街地、下が下水道、という構成。上は敵が大量に出現し、ダメージを受けやすい。一方、下は敵は少ないが穴が多く、足を踏み外して即死の危険性もある、といった具合だ。
 上か下、どちらか一方だけを進んでもいいし、上下をハシゴやジャンプで行き来しながら進んでもいい。ひとつのステージでも何通りかのルート・攻略が存在し、プレイヤーの好みで選択できる楽しみがある。

MADNESS BASS

 演出面のレベルは高い。各所で挿入されるビジュアルシーンは非常に美しく、迫力がある。最も印象的なのは、やはりKENがWARWOLFに変身するシーンだろう。
 雷鳴と共に、少年KENの顔が徐々に狼のそれへと変わっていく。そして両の爪を突き上げ、天に向かって雄叫びを上げる超人狼・WARWOLF……。
 ボスにとどめを刺した瞬間、ズビズバーとカットインされる決めポーズも熱くて死ぬぜ。
 また、ステージの合間にナレーションや、ボスの挑発文句が表示されるのも良い感じなのだが、これがなぜだか知らんが英文を中学生が直訳したような日本語で、しかも読点やカギカッコが不必要に多くて、スペルミスもあって、おかしいですよ。

 おれは、なんどでも、いきかえる。
 そんなおれに、かてる「チャンス」もないのに、そこにいる
 おまえは、おろかものだ。


 その他にも、敵兵がこちらに気づくと「OH!」と言ったり、なぜか群衆が「FIGHT!」とけしかけてきたり、KENが気合を放つと「NOO!」というシャウトが弾になって飛んでいったりと、随所にヘンテコなアメリカン演出が見られ面白い。
 サウンドもゲームを盛り上げる。BGMの数自体は少なく、基本的にどのステージでも、KENかWARWOLFかで決まった曲しか流れない。だが、これは当時のデコゲーの多くに共通する特徴で、それだけに何度も流れるメインBGMが洗脳的なのだ。
 本作のメインBGMは、間違いなくWARWOLF状態のBGMだろう。まさに「WARWOLFのテーマ」とも言うべきヒロイックな名曲で、一度聴いたら忘れられないノリの良さがある。この曲に乗っての初変身シーン、そしてスパイダーマンさながらに高層ビルをスルスルとよじ登っていくシーンは、しびれるような名場面だ。

せいふく、されざるもの。

 ゲーム的にはパターンゲームである。いきなり雷が落ちてきて即死したり、ジャンプした途端、突然現れたザコに弾かれて転落死したりと、不意打ち的な攻撃が多く、覚えゲームの要素が強い。
 最初はイライラするかもしれないが、各種アクションの使いどころを考え、安全なルートや隠しアイテムを見つけていけば、道は開ける。ボスも全てパターンにはまるように作られている。場面ごとの攻略法を探すのが楽しいゲームだ。
 全体にやや地味で、荒削りな印象もある。だが、1991年とファミコン後期の作品だけあってグラフィック・サウンドの質は水準以上。独特の濃い演出と硬派な世界観が味わい深い、意欲的な作品と言えよう。

 「WARWOLF」   それがおまえの、あたらしい名だ!
 さいごのヒーロー・「WARWOLF」、やみをきりさき、
 みちなる力の、りょううでを、もつおとこ!




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