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剣の達人・ソードマスター
機種 ファミリーコンピュータ
発売元 アテナ
開発元 アテナ
発売日 1990年12月21日
定価 5,900円(別)
プレイ人数 1人プレイのみ
ステージ数 7面
ライフ制 あり
残機制 なし
コンティニュー 5回
パスワード なし
難易度選択 なし




ストーリー

平和で緑豊かな国“オルドリアン”
この平穏な日々が永遠に続くものと誰もが信じていた。
しかし魔の元凶、神官“ワイズマン”は太古の邪法を用い暗黒の鏡から魔物を召喚し、国王と姫を捕え、平和な王国も破壊と虐殺の国に姿を変えていった。
ワイズマンは、自ら魔王と名乗り国中に忠誠を誓うよう命じ、刃向かう者は全て、魔物達の手によって命を落とした。
……そして、逆らう者は誰もいなくなった。
旅先で神官の反乱を知らされた、騎士“ランスロット”は、平和な国を取り戻すべく立上がった。
ここに、新たな伝説が生れようとしていた。

ファンタジーアクションの秀作

 魔物を操る邪悪な魔法使い、さらわれた美しい姫、そして立ち上がる勇敢な騎士……。アテナの『剣の達人・ソードマスター』(開発中のタイトルは『ダークサイダー』)は、まさにそんな「剣と魔法のファンタジー」の王道を行くアクションゲームだ。同社『ドラゴンユニット』の流れを汲む本作は、派手さや目新しさはないものの、優れたゲームバランスと、高度な技術力が光る秀作である。
 ゲームを始めるとまず、グラフィックとサウンドの質の高さに驚かされる。3重スクロールする美しい背景、大きめのサイズで滑らかに動くキャラ、そして重厚なサウンドとリアルな音声合成(「トリャ!」「うぁ!」)。はっきり言って、技術的にはほとんどスキが見当たらない。こうした基本的な技術面のレベルの高さが、一歩間違うと陳腐になりがちなファンタジー世界を、臨場感あふれるものにしている。
 そして本作の雰囲気は、一貫して「渋く」、「暗く」、「重い」。ゲーム中は演出も何もない、説明メッセージすら一切表示されないというストイックさである。唯一そんな雰囲気に相反する、しかしながら逆にマッチしているのが、BGMのノリの良さだ。この方法論は、コナミの『ドラキュラ』シリーズを連想させる。とにかく、様々な要素が非常にハイレベルにまとまっており、「居心地の良いゲーム世界」が見事に形成されているのだ。
 さてゲーム内容だが、こちらもなかなかストイックな、一風変わった横スクロールアクションである。プレイヤーの向きは基本的に右側固定で、ボス敵との1対1の対決が主体になっている。ボスはスケルトン、トロル、騎士、魔法使い、ドラゴンなどなど、どれもファンタジーではおなじみのキャラ。これらの敵を攻略するたびに経験値が入り、プレイヤーが成長していくという、ちょっとしたRPG要素もある。
 プレイヤーである騎士「ランスロット」は、剣による上・中・下段斬りと、盾による上・下段防御を使いこなして戦っていく。ファミコンのゲームで、こうした上・中・下段の概念や、防御のシステムをしっかり採り入れているのは珍しい。また途中のステージから、セレクトボタンで魔法使いに変身することも可能になり、経験値を消費して様々な魔法を使用できる。
 対する敵も、剣、魔法、ブレスなど、それぞれ多彩な攻撃パターンを持ち、こちらの攻撃を防御したり、かわしたりもする。「すべての敵にAI(人口知能)搭載」が売り文句だけに、なかなか単純な戦法では倒せない相手ばかりだ。ちょっとした対戦格闘ゲーム感覚が味わえる。
 全体の流れとしては、こうしたボスラッシュ面と、短い普通のアクション面が交互に来る構成になっている。アクション面ではザコやトラップをかわしながら進むのだが、ここでの最強の敵は何と言っても、マップ上の「穴」だ。穴に落ちてしまうと、体力がいくらあっても即ゲームオーバー。ザコにちょっと触れただけでも、弾かれて落ちてしまうのが憎たらしいが、二段ジャンプ(Aボタンを素早く2回押す)などのアクションを使いこなせば、ちゃんと道は開ける。この、場面は少ないながら異常に緊張させるジャンプアクションが、ライフ制のボス戦だけではダレてしまうところに上手くメリハリをつけている。
 ゲームとしてはシンプルで、長さも短めだが、とにかくスキのない秀作である。ファミコンのアクションゲームで「剣と魔法のファンタジー」を満喫したいなら、本作は圧倒的にオススメだ。ファミコンとは思えない重厚な雰囲気、そしてアテナの意外な技術力に驚いて欲しい。



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