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ドラゴンファイター
機種 ファミリーコンピュータ
発売元 トーワチキ
開発元 ナツメ
発売日 1990年8月10日
定価 5,700円(別)
プレイ人数 1人プレイのみ
ステージ数 6面
ライフ制 あり
残機制 なし
コンティニュー 3回
パスワード なし
難易度選択 あり




ストーリー

 神に祝福された美しい国・バルジンを、ある日突然襲った災厄。混沌の軍団をひきつれて、北方からやってきた魔道士ザバオンによって、一瞬のうちに国中が廃墟と化したのだ。この危機を救うため、神がつかわした使者、それがドラゴンファイターだ。ドラゴンファイターは今、ザバオンを倒すため、北方のギア山にむけて旅立った。行く手にはザバオンの手下の怪物どもが待ちかまえている。しかし、バルジンを救えるのは彼しかいない。ゆけ、ドラゴンファイター!バルジンに平和を取り戻すのだ。

ありがトーワチキ

 『ドラゴンファイター』は1990年にトーワチキから発売された、シューティング要素もある横スクロールアクションだ。トーワチキと言えば、「ベーカー街のキックマスター」こと『シャーロック・ホームズ 伯爵令嬢誘拐事件』で悪名高いメーカーだが、実際に『ドラゴンファイター』を開発したのは我らがナツメである。ちなみに同じトーワチキの名作『アイドル八犬伝』も、開発はナツメだ。『アイドル八犬伝』は名曲「きみはホエホエむすめ」などで今もカリスマ的な人気がある。
 面白いことに『ドラゴンファイター』は、同じくナツメ開発の秀作アクション『KAGE』(こちらは発売元もナツメ)と同じ日に発売されており、『KAGE』は石原氏、『ドラゴンファイター』は宮部氏がプログラムを担当している。両氏はこの後、石原氏は『特救指令ソルブレイン(海外名『シャッターハンド』)』『奇々怪界―謎の黒マント―』、宮部氏は『ザ・ニンジャウォーリアーズアゲイン』『ワイルドガンズ』『新機動戦記ガンダムW』など、共にナツメを代表する傑作を生み出していく。

『ドラゴン……』

 ドラゴンファイターの操作は、Aでジャンプ、Bで剣を振る。Bを押し続けて離すと「気合い弾」を撃つ。ファイターの時、剣で敵を倒すと変身用メーターが増え、メーターが半分以上たまった状態で上+Aを押すと、ファイターからドラゴンに変身できる。ドラゴンに変身すると強制スクロールに切り替わり、まさにシューティングのように自由に空を飛び回り、ショットを撃ちまくることができる(ただし後ろを向くことはできない)! メーターがなくなるか、下+Aを押すと、ドラゴンからファイターに戻る。
 またゲーム中、「G」、「R」、「B」のアイテムを取ることで、それぞれグリーンファイター(初期状態の3WAY)、レッドファイター(ナパーム)、ブルーファイター(誘導弾)に変身することができ、気合い弾やドラゴン時のショットが変化する。
 本作の「人間がドラゴンに変身する!」というコンセプトは、ナムコの名作『ドラゴンスピリット』を彷彿とさせる。また、ファイターの時は任意スクロールのアクションだが、ドラゴンに変身すると強制スクロールのシューティングに切り替わる、というシステムは、アイレムの『ドラゴンブリード』を逆転させたようで面白い。『ドラゴンブリード』は1989年にリリースされたアーケードゲームで、こちらは基本的にはドラゴンに乗って戦うシューティングだが、下に足場がある場所ではドラゴンから降りて歩き回ることもできる、というアイデアが秀逸だった。

変身!変身!無敵のパワーだ変身!

 正直に言って、『ドラゴンファイター』はあまり奥の深いゲームとは言いがたい。ステージの地形は変化に乏しく、目新しい仕掛けもない。場面ごとの攻略もほとんど必要なく、難所はドラゴンで突破すればOK。ボスも全て、ドラゴンで接近して撃ちこめば、あっという間に倒せる。3色のアイテムにしても、結局初期状態のグリーンファイターが一番強いので、使い分けをしなくても簡単に最後まで行けてしまう。
 グラフィックも悪くはないのだが、あまり細かく描き込まれていないので、見た目的にやや寂しい印象を受ける。ボスもステージ2の多関節ボス「リウレワーム」と、巨大なラスボス「ザバオン」以外、今ひとつインパクトがない。
 と、色々悪い点ばかり挙げたが、決して本作がつまらないというわけではない。いかにもナツメらしい、良い点もたくさんある。まず何と言っても絶賛すべきなのが、最高の操作性だ。剣は抜群のレスポンスで瞬時に繰り出され、さらに当たり判定も広めなので、頭上の敵もビシバシ斬れる!
 そしてこのゲームならではの良さが、ドラゴンへの変身・解除が非常にスムーズな点だ。ドラゴンに変身して敵や穴の上を越え、すぐまたファイターに戻る、といった、まるで2段ジャンプのような、クイックな使い方もできる。また、ファイター(任意スクロール)は常に画面の中央だが、ドラゴン(強制スクロール)は画面の一番前まで行けるので、これを利用して「ドラゴンで一番前まで行く→ファイターに戻る」を繰り返すと、画面をどんどんスクロールさせることができ、とてもテンポ良く、スピーディーに進んでいける。
 ステージ自体の仕掛けは乏しいが、そのかわり敵のアルゴリズムはどれも一癖あり、またステージごとに全て違う敵が用意されている。難度は低めだが、隠しでハードモードがあり、ドラゴンで敵を倒すと撃ち返し弾を出すようになるほか、回復アイテムも一切出なくなるので、なかなかやりごたえがあるだろう。

ナツメ的佳作

 それから絶対に書き落とせないのが、山西氏作曲による素晴らしいサウンドだ。どれもナツメらしい名曲ばかりだが、特にステージ4のBGM「Can you Chain Up」(全ての曲にカッコイイ英語タイトルがついているところにもこだわりを感じる)は、ナツメFCサウンドの中でも1、2を争う名曲と言えよう。
 このステージ4は他のステージとやや雰囲気が違い、敵の数が少なく(そのかわり耐久力が高い)、変身用メーターがたまりにくいため、ほとんどファイターの状態で進むことになる。本作の中では比較的地形トラップも多い。そういった意味でも印象に残る。
 それともうひとつ、この作品を忘れられないものにしているのが、最終面の熱い展開だ。ついに5本の杖を集めたファイターは、白銀のドラゴンに最後の変身を遂げ、大空へと舞い上がる。高速スクロールの完全なシューティングステージで、ザバオンとの最終決戦に臨むのだ。駆け抜けるような空中戦BGM「The Dragon Fighter」から、燃え上がるようなラスボスBGM「BOSS 2」という流れも完璧だ。
 『ドラゴンファイター』は他のナツメの傑作に比べると、かなり小粒なのは否めない。だが基本的な作りはしっかりしており、意欲的なアイデアも盛り込まれている。サウンドも最高だ。ナツメファン、アクションゲームファンなら、押さえておいて損はない佳作と言えるだろう。



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