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クロスファイヤー
機種 ファミリーコンピュータ
発売元 九娯貿易
開発元 九娯貿易
発売日 1990年11月2日
定価 6,200円(別)
プレイ人数 1人プレイのみ
ステージ数 6面
ライフ制 あり
残機制 あり
コンティニュー 3回
パスワード なし
難易度選択 なし
リンク ステージ紹介




ストーリー

 199X年、某国の巨大秘密組織がアジアを中心に6ヶ所の秘密基地を構えた。
 組織は、その6ヶ所の基地を本拠に世界征服を企んでいた。その情報をキャッチしたCIAは、秘密組織を壊滅するための作戦を実行した。
 しかし、CIAの通常兵器での敵基地侵攻は、幾度となく失敗に終わった。
 CIAは最後の手段として、特殊工作員の「エリック」を基地壊滅の任務に就かせた。「エリック」はCIAの特殊工作部隊の中でもっとも優秀な人物とされている。
 今、「エリック」と秘密組織との壮絶な戦いが始まる。

九娯FC第3騨

 九娯貿易である。奇跡の迷作『忍者COPサイゾウ』を生み出した九娯貿易のゲームである。1990年に発売された本作『クロスファイヤー』は、『エアーウルフ』(1988年)、『忍者COPサイゾウ』(1989年)に続く、有限会社九娯貿易のファミコンソフト第3弾であり、最終作である。
 1987年にアーケード版『エアーウルフ』を発売した九娯貿易は、本作を含むファミコンソフト3本の後、1991年のメガドライブ版『スーパーエアーウルフ』を最後にゲーム事業から撤退した。こうして見ると、ひたすらエアーウルフのゲームばかり出していた会社、という印象があるが、実は『クロスファイヤー』も、当初は『エアーウルフ2』というタイトルで発表されていた(と言っても、ヘリはステージの最初と最後にしか登場しないのだが……)。だが何らかの事情により、ゲーム内容はそのまま、オリジナルのタイトルとして発売されることになったのである。
 そんな経緯があったためかどうかはわからないが、残念ながら本作には『サイゾウ』ほどのカリスマパワーはない。あの常軌を逸したセリフ回しやグラフィックはもはや確信犯的だったが、本作は基本的に真面目に作ってある。ゲーム中はセリフやメッセージの類も一切なく、純粋なアクションと言えるだろう。「ウーン!!ザンネンダ!!」
 とは言え、やはり普通のゲームに比べると、色々と妙な所はある。とりあえず、パッケージ裏に製品の説明そっちのけでデカデカと書かれた「メッタ打ちに、するか、されるか。」というキャッチコピーはなかなかイカしている。

なんちゃって魂斗羅

 ゲームは、横スクロールの戦争アクション。十字キーで四方八方に撃ちまくり、アイテムを取ってマシンガンやロケット弾にパワーアップ、ヘリや戦車といったボス兵器を倒せばクリア。『サイゾウ』はセガの『忍』っぽかったが、『クロスファイヤー』はさしづめ、コナミの『魂斗羅』である。
 ただ『魂斗羅』のような一流作品に比べると、撃ちまくり・破壊しまくりの爽快感や、操作する気持ち良さなど、感覚的な部分が今一歩である。このあたりに九娯の限界を感じる。とは言え、システム的には特に大きな破綻もなく、ゲームとしてちゃんと遊べるレベルには仕上がっている。
 パターンはほとんど必要なく、深く考えずにバリバリ撃ちまくって楽しめるものの、面クリア時にライフが一切回復しなかったり、コンティニューが3回までだったり、あまり適当にやっていると死ねるようになっている。と言うわけで、この手のゲームとしてはバランスも決して悪くないと言えるだろう。
 各面はベトナム、プラハ、ウラジオ、コロンビア、アフガン等、実在の戦場を舞台にしている。独特のグラフィックはやたら原色バリバリで、美麗なグラフィック、とはとても言えないのだが、逆にその「ドギツさ」が、ベトナムの熱帯ジャングル、ブリザード吹き荒れる極寒のウラジオ、といった「過酷な戦場」の雰囲気をうまく出している……ような気もする。また、プレイヤーの銃の構え方や、動きもやけに「それっぽく」描かれている。ファミコンゲームには非現実的な世界観のものが多いが、その点本作は妙なリアル感があると言えるだろう。
 展開も基本的にそうしたリアル路線なので、あっと驚く仕掛けはないが、なかなかバラエティに富んでいて楽しませてくれる。例えば、ボスが面の最後ではなく面の途中に出現したり、走る列車の上での戦闘があったり、いきなり何の脈絡もなく、仏像が空飛んで攻撃してきたり……って、リアル路線じゃなかったのか? ここだけ急に『サイゾウ』の幻影がちらつく。
 九娯ならでは(?)の見所としては、タイトル画面を始め、各面の開始時やゲームオーバー、エンディング等にアイキャッチのような感じでスッと一枚絵が出るのだが、この絵柄が何と言うか日本人らしからぬタッチで、総じて怪しい。いやカッコイイんだよ! 『サイゾウ』のおざなりな絵なんかと違って、ちゃんと描き込まれてるし。でもなんか、笑っちゃうんだなあ。
 その他特筆すべき点として、寒いウラジオでは防寒具、暑いコロンビアでは半袖短パン、といった具合に、面によってプレイヤーの服装が変わる。何と言う芸の細さ! と言うか、こんなところに気合を入れるゲームもあまりないだろう。その一方で、さりげなく高速2重スクロールを使っていたり、技術力もなかなかであるところを見せつけてくれる。
 と言うわけで、決して優秀な作品とは言えないのだが、微妙に細かいこだわりがあり、何となく憎めないゲームになっている。強烈なバカゲー要素はないものの、この手の男臭い戦争アクションが好きな人なら、楽しめるのではないだろうか。



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