双截龍(ダブルドラゴン)
機種 アーケード
発売元 テクノスジャパン
開発元 テクノスジャパン
発売年 1987年6月

ストーリー

 199X年、ニューヨークの街は暴力に支配されていた。政治も法律も一切関係なく、ただ強いものだけが生き伸びることのできる世界。力と組織、そして暴力が支配する街。
 人々は自分が生き伸びるために徒党を組むようになり、そしてそれは組織に換った。やがて組織は巨大化し、遂に暗黒の世界ができ上った。
 町の外れで2人の男が侘びしい暮しをしていた。2人は双子で、兄の名はジミー・リー、弟の名はビリー・リー。以前、2人はニューヨークの中心地にクン・フー道場を経営していたことがある。道場には2,000人以上の門下生が通い、30以上の支部をも抱えるという名門道場であった。
 ところが5年前、全世界を巻き込んだ核戦争で道場は焼失し、門下生の大半は死んでしまった。どうにか生き残った2人は、やむなく道場を解散させはしたが、武道を忘れることはできなかった。2人は日夜、双截拳の鍛錬に励むのだった。
 弟のビリーは、女子部の師範代を勤めていたマリアンと恋人どうしだ。そしてまた兄のジミーも、密かにマリアンに思いをよせていたのだ。「いつかチャンスがあったら、マリアンを俺のモノに…」と。
 ある日の事。スラム街の路上で、マリアンは何者かに誘拐された。そして、双子のもとに一通の手紙が届く。
 「マリアンはアズカッタ。タスケタケレバ、アスノゴゴ10ジマデニ“ダブルドラゴン”ノ ヒデンショヲモッテコイ。 ブラック・ウォリアーズ」
 〈ブラック・ウォリアーズ〉、それは大ボス、ウィリーがひきいるニューヨーク最大の暴力組織だ。
 ビリーとジミー、2人のドラゴンはマリアンを助け出すため、敢然とニューヨークの街にとび出した!

『ダブルドラゴン』とは

 『ダブルドラゴン』は、テクノスジャパンから1987年に発売された、2人同時プレイ可能、奥行きのある横スクロールアクションゲームだ。レバーとボタンの組み合わせで、パンチ、キック、ジャンプといった基本的な技から、アッパーカット、回し蹴り、つかみからの投げ、旋風脚といった10種類以上の技が使える。さらに敵が落とした武器を奪って攻撃することもでき、攻撃方法は非常に多彩。これらを駆使して次々現れるザコ敵、ボス敵を倒し、スラム街、工場地帯、森林、大要塞の全4ステージを進んでいく。
 『ダブルドラゴン』の企画は、前年に同社から発売された『熱血硬派くにおくん』がきっかけになっている。『くにおくん』の最終デバッグ中、ディレクターの岸本良久が「落ちている武器を奪う」という要素を思いつき、企画がスタート。当初は「『くにおくん』の2人協力プレイバージョン」だったが、世界中で売れるゲームを目指して、『ダブルドラゴン』となったのだ。
 とにかく「殴る! 蹴る!」というバイオレンス・アクションの爽快感、そして2人で長時間遊べるゲーム性などから、当時の中学生・高校生を中心に爆発的な人気を博し、ロングランヒット。後にシリーズ化、家庭用ゲーム機にも移植され、『くにおくん』と並びテクノスジャパンを代表する看板タイトルとなった。海外での人気も非常に高く、1作目のアーケード版は米国では20万台以上が出荷され、2年連続でインカムNo.1を記録した。
 またこの作品は、『くにおくん』とともに、後の『ファイナルファイト』のようないわゆる「ベルトスクロールアクション」と呼ばれるジャンルを確立したという点でも、非常に意義深い作品である。実際、『ファイナルファイト』が開発された背景には、『ストリートファイター』(1作目)の米国でのヒットを受けて、同じく米国でヒットしていた『ダブルドラゴン』の流れをくむ『ストリートファイター』の新作を、という意図があった。

1面、スタート直後。アボボとジェフの手配書が見える。この面のBGMも、シリーズを代表する名曲だ。 壁を破ってアボボ登場。問題の肘打ちを放っているところ。ハシゴを上ると『くにおくん』の看板が。

操作方法

 8方向レバー3ボタン(キック、ジャンプ、パンチ)。画面には奥行きがあり、レバーで前後左右8方向に移動する。ジャンプ中に攻撃ボタンを押すとジャンプキックになる。
 パンチは2発、キックは1発当てると相手がかがむ。パンチは必ず当たるが、キックはしゃがんでよけられることがある。パンチをヒット&アウェイで1発ずつ当てるのが有効。
 相手がかがんでいるときにキックボタンで「回し蹴り」、パンチボタンで「アッパーカット」といった強力な技が出せる。また、かがんでいる相手に接触することで相手の髪をつかむことができ、キックボタンで「髪つかみキック」、パンチボタンで「背負い投げ」が出せる。
 その他、ジャンプ+パンチ同時押しで「肘打ち」、ジャンプ+キック同時押しで「旋風脚」、レバーを進行方向に素早く2回入れることで「ヘッドバット」といった必殺技が使用できる。
 地面に落ちている武器はパンチボタンで拾って使用したり、キックボタンで蹴飛ばすことができる。武器は穴に落としたりスクロールアウトさせない限り消えることはない。また、ステージクリアすると自動的に武器を捨ててしまうが、このとき画面端にいると、次のステージまで持ち越せる場所もある。

1面ボスの黒アボボ。武器がたくさんある。ドラム缶は拾って投げたり、蹴飛ばすこともできる。ゴミ箱の上にネコ。 2面。この面から、落ちると即死の穴も登場。段差を利用すると、一方的に攻撃できる。

ゲーム内容

 さてこのゲーム、普通にプレイすると、とにかく敵が強い。こちらが攻撃を出すと絶妙に間合いを取って外したり、1発当ててもすぐに割り込んで反撃したりしてくる。ファミコンなどの移植版に比べ、圧倒的に強いのだ。
 しかし、ある技を使うことにより、このゲームは一気に簡単なゲームに早変わりする。それは「肘打ち」である。実は、地味な技である「肘打ち」がものすごく強いのだ。「相手がまるでよけない」、「当たり判定の出ている時間がやたら長い」など、まさに完全無欠の最強技で、この技を連発しているだけで簡単に全ステージクリアできてしまうのであった。
 だがいくら何でもそれでは単調で面白くない。各種必殺技、武器、穴に落とすなど、いろいろな方法で敵を倒せるようになると、楽しくなってくる。というか、肘打ちの破壊的な強さはハッキリ言って開発側の調整ミスだと思われるので、こちらが意図されている本来の遊び方といっていいだろう。
 最終的には、肘打ちを完全封印しての1コインクリアも可能である。ここまでくると、各シーンごとにかなり緻密な攻略も必要になってくる。奥の深いゲームなのである。ただし、得点稼ぎについては永久パターンが存在する。
 あと、画面上にキャラが3、4人出てくるとすぐにスロー(処理落ち)がかかるのもアーケード版の特徴。まぁこれは『グラディウス』シリーズ等と一緒で、気になる人は気になるかもしれない。好みの問題だろうか。

2面ボスのジェフ。画面下のリフトに乗って現れる。髪つかみを外してくるので、武器攻撃が有効だ。ベルトコンベアーの先は死。 3面。途中の切れた橋は、落ちると即死なのでかなり緊張する。

『ダブルドラゴン』の世界

 『ダブルドラゴン』といえば、ブルース・リーと『北斗の拳』を意識した、独特の退廃的な世界観も大きな魅力だ。2人同時プレイでラスボスを倒すと、プレイヤー同士が対戦(兄弟げんか)し、勝った方がヒロインをゲットできるという前代未聞のラストもすさまじい。ちなみにこの展開はセガの『ダイナマイト刑事』(1996年)にも使われている。
 ゲームを盛り上げる、グラフィックやサウンドも印象的であった。特にノリノリのタイトルBGMは、まさに「ダブルドラゴンのテーマ」ともいうべき曲で、以降のシリーズでも必ずといっていいほど使用されている名曲である。このテーマが高らかに鳴り響く中での最終決戦は、最高のテンション。一度聴いたら忘れられないカッコよさだ。作曲の山根一央は、アーケード&ファミコン版『ダブルドラゴンII』、スーパーファミコン版『リターン・オブ・双截龍』も手がけており、これらも熱い名曲ぞろいとなっている。

SIDE-A
1.オープニング(双截龍)
2.スラム街(ブラックウォリアーズ出現)
3.工場地帯(大乱闘)
4.闘いのあとで

SIDE-B
1.旅立ち(新たなる闘い)
2.森林編
3.大男アボボ登場
4.大要塞(宿敵ウィリー)
5.エンディング(マリアンとの再会)
(『オリジナル・サウンド・オブ・ダブルドラゴン』より)

3面前半のボス、ダブルアボボ。大きな岩を投げつけてくる。 3面後半に入るところ。面クリア扱いで仕切り直しになるのだが、こうやると武器を持ち越せる。これでジェフ軍団も楽勝。

キャラクター紹介

ビリー・リー<Billy Lee> 身長:175cm/体重:65kg
中国拳法・双截拳の伝承者。12才のころ、父から中国拳法を学び、8年間でありとあらゆる武術をマスターし、20才にして双截拳の伝承者となる。

ジミー・リー<Jimmy Lee>
双子の兄弟の兄。弟ビリーとともに、ブラック・ウォリア―ズ撃破にでかけるが…。

ウィリアムス<Williams> 身長:185cm/体重:77kg
得意技/ジャンプキック、バットふり、ナイフ投げ

ローパー<Rowper> 身長:181cm/体重:80kg
得意技/左右パンチ、ドラム缶投げ

リンダ<Rinda> 身長:167cm/バスト:92cm
得意技/左右パンチ、ムチ

アボボ<Abobo> 身長:198cm/体重:123Kg
ブラック・ウォリア―ズの中格的なボス。 得意技/原爆投げ、ハリ手

大ボスウィリー<Willy> 身長:175cm/体重:76kg
得意技/機関銃

 ちなみに、主人公のリーをはじめ、ウィリアムスやローパーといったキャラクターの名前は、ブルース・リーの『燃えよドラゴン』が元ネタである。リンダはもちろん、ブルース・リーの妻リンダ・リーからだ。

3面ラストの緑アボボ。恐い。が、特別に強いというわけではない。後ろの門がアジトの入り口。 いよいよ最終4面。極悪なトラップの連続。ミノタウルスの槍は食らうと大ダメージ。

ステージ構成

MISSION 1「スラム街」……ガレージから出撃。シャッターの中にある車は、ディレクターの岸本良久がデータイースト時代に制作した『ロードブラスター』のインターセプターだ。スラムの街並みには、中ボスの手配書や『くにおくん』の看板があったりする。中ボスの「アボボ」は、壁を破って登場してくる。ステージボスは肌が黒く、モヒカン頭の「アボボ」。

MISSION 2「工場地帯」……廃墟となった工場が舞台。段差や穴、ベルトコンベアーといった特殊な地形をどう利用するかがポイントだ。敵を段差にハメて一方的に攻撃したりもできる。ボスはプレイヤーの色違いで、技も同じものを使う「ジェフ」。

MISSION 3「森林」……他の面に比べ、とても長い。前半の森林地帯では、木の上にも敵が潜んでいる。地面に掘られた落とし穴や、橋の切れ目は転落すると即死なので緊張する。森を抜けると、「アボボ」が2人同時に襲ってくる。こいつらを倒すと体力が回復し、後半戦に突入。切り立った崖を登り、敵アジトに侵入する。入り口の門を守るボスは、肌が緑色(!)の「アボボ」。

MISSION 4「大要塞」……ブラック・ウォリア―ズのアジトで最終決戦。せり出す壁はランダムな上にダメージが大きく、運が悪いと残機をまとめて持っていかれることも。さらに、食らうとほぼ即死のミノタウルス像の槍、足場の狭い中での双子「アボボ」など、難所の連続になっている。ラストの大広間では、敵の総戦力が登場。最後に待ち受ける大ボス「ウィリー」を倒せばエンディングだ。

最後の関門、ダブル黒アボボ。足場がものすごく狭い。手前に行き過ぎると針山にグサリ。 大広間で最終決戦。愛するマリアンを救い出せ!! 鳴り響くメインテーマ。そしてさりげなく「斉藤」(開発者)の文字が。

開発者が伝えたかったもの

 当時の大ヒット作となった『ダブルドラゴン』だが、開発元のテクノスジャパンは、90年代に入ってからの節操のない『くにお』シリーズの連発とその不振から徐々に勢いを失い、1995年についに倒産してしまっている。何とも寂しい限りである。
 というわけで最後に、1987年当時発売された、アーケード版サウンドトラック&攻略ビデオの解説書に掲載されているディレクター・岸本良久のコメントを紹介しよう。

ダブル ドラゴン製作ストーリー

○双截龍(ダブル ドラゴン)は、二人の龍(プレイヤー)が闘うバイオレンス・アクションである。

双=双子の双であり、二人の意味がふくまれる。
截=中国の意味で(打つ・蹴る)。
龍=いわゆる龍(たつ)ドラゴンである。

○双截龍、私がこの作品の企画を始めたのは昨年の7月。たしか20日だったと思います。
7月20日、それは私が尊敬する人、ブルース・リーの命日。
彼がこの世を去って、もう10年以上になります。若かった日の自分は、いつかはブルース・リーのように強くなりたい……そう思い生きてきた。
時がたつにつれ、彼が生きていたらどんな作品を作っただろう? どんなアクションを考えただろう? と思うようになりました。
今、自分の仕事〔ゲーム企画・ディレクター〕をしています。
映画の製作と似ていますが、作品の考え方がちがいます。
映画は客観描写であり、人に見せて感動させるもの。それを見た者は、主人公(ヒーロー&ヒロイン)になりきって空想していきます。
それに対してゲームの世界は主観描写なのです。あらかじめ設定された世界のなかで、自分(主人公)を操るのです。
その世界の中で演出するのは自分(主人公)であって、ストーリーを組み立てるのは、ゲームプレイしている本人だけです。ハッピーエンドでおわるか? 途中で死ぬかは本人しだい……。
このゲーム〔双截龍〕は、格闘ゲームの頂点にたった作品であり、ブルース・リーの意思を受け継いで完成された映画、そしてゲームなのです。
この作品の制作日数は、約10か月。そのほとんどの日々が徹夜でした。
スタッフは、死にものぐるいになってこの作品に賭けてくれました。
私は、いっしょに仕事をしてもらったスタッフに大変感謝しております。

キャラクターデザイン ―― 緒方孝治
バックデザイン ―― 斎藤伸一
甲斐浩二
サブデザイナー ―― 向井久美子
矢崎美佐
中谷みさえ
田崎明美
音楽 ―― 山根一央
効果音 ―― 森 賢一
プログラマー ―― 佐藤 博
古賀智康
西村成孝
エンジニア ―― 西川健次
パッケージ イラスト ―― 白戸政男

以上がダブル ドラゴンのメインスタッフです。このスタッフがいたからこそ、完成したと思います。これからも、No.1ヒットになるように、全員協力・全力投球でゲーム製作していきます。
                       ディレクター 岸本良久


 ダブルドラゴンよ、永遠なれ!



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