レビュー



 2D魂斗羅のアイデア(シチュエーション)は、『魂斗羅 ザ・ハードコア』で出尽くしたと思われた。ポリゴンで打開した『真魂斗羅』、3Dで打開した『ネオコントラ』、2画面で打開した『魂斗羅 Dual Spirits』は、その考えをいっそう強固にした。
 しかし驚くべきことに『魂斗羅 ReBirth』は、2D、1画面、ドット絵という完全なクラシックでありながら、魂斗羅シリーズに新たな「名シーン」をいくつも加えてみせた。


 「魂斗羅シリーズ最高傑作」を1つだけ選ぶのは難しい。魂斗羅シリーズほど、それぞれの作品ごとに個性が異なり、かつ、失敗作が少ないシリーズはないからだ。「ファミコン版がベスト」という人もいれば、「スピリッツがベスト」という人もいるだろう。手軽に遊べるゲームボーイ版が好きな人もいるかもしれない。その中で『魂斗羅 ReBirth』は、「一番のお気に入り」に選ばれるだけの可能性を持つ見事な一本であり、シリーズの栄えある一員としてその名を加えたと言えるだろう。

 今日の商業ゲームは常にある程度のボリュームを要求され、前年の『魂斗羅 Dual Spirits』にしても、やはりこの制約にとらわれていた。しかし『魂斗羅 ReBirth』は、Wiiウェアという小規模ゲームの特性を生かし、90年代以来失われていた「テンポのよさ」を取り戻した。確かに全体的なボリュームやグラフィックの描き込みなどは、今日のパッケージソフトに比べれば控えめだ。だがその分、無駄なシーンは極力省かれ、短い時間で気軽に何度も楽しむことができる。
 その上で『魂斗羅 ReBirth』は、最新ハードウェアによる恩恵もしっかりと生かしている。それは「物量」だ。ステージ3のアルパカやステージ5のキムコウ、そしてザコ1体1体のド派手な爆発パターンを見てほしい。これだけのスプライトが乱舞しながらも、処理落ちが一切発生せず、爽快なゲームプレイを保っている。これはスーパーファミコンやメガドライブ、そしてニンテンドーDSでも不可能だったことだ。その結果、今までにない新たな「名シーン」がいくつも生まれたのだ。

 思い出してほしい。90年代までは、「どれだけ多くのスプライトを1画面に表示できるか」が、ハードやゲームのスゴさを語る指標だった。M2は「IF」を実現する天才だ。もし、「90年代の魂斗羅」が、21世紀に再び誕生(ReBirth)したとしたら――『魂斗羅 ReBirth』で、彼らはそれを実現させたのである。

●開発は『グラディウス リバース』と同じく、クラシックゲームの移植・リメイクに定評のあるM2(エムツー)。
●サウンドは同じく並木学(さんたるる)氏。『グラディウス リバース』同様、過去のシリーズ作品からアレンジ。
●ストーリーはパラレルワールドというか外伝というか、何でもアリな感じ。
●ゲームシステムは基本的に『魂斗羅スピリッツ』準拠で、新しい点は特になし。
●『魂斗羅 Dual Spirits』同様、「ラン・アンド・ガン」を重視。『魂斗羅スピリッツ』以降の作品で顕著だったボスラッシュ主体から、大量のザコをなぎ倒していく展開に回帰している。
●無限コンティニューなので、がんばればクリアできるはず。だがエクステンドがない(!)ため、ノーコンティニュークリアは難しい。
●無限ザコは0点(永久パターン不可)。そしてステージクリア時にタイムボーナスが入るので、スコアアタック(タイムアタック)が熱い。



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