ショットパワーレベルでガラリと変わる展開

 『2010』を難しくしている大きな要因のひとつに、初期状態のショットの異様な弱さがある。射程距離が極めて短く、ほとんど自分の目の前にしか撃てない。加えて弾道も独特なため、慣れないと思ったところに撃つのも難しい。最初のうちは、アイテムを集めてショットパワーレベルを上げる間もなくやられてしまうだろう。

 さらに厳しいことに、頑張ってレベル3まで上げると、今度は1回ダメージを受けるごとに1レベル下がってしまうようになる。レベルが下がればまた射程は短くなるので、接近戦を余儀なくされる。接近戦になれば当然ダメージを受けやすくなるわけで、そこでダメージを受ければさらにレベルは下がり、死亡すればレベルは再びゼロ。敵の猛攻の中に丸裸で放り出され、なすすべもなく連続死……と泥沼状態に陥っていく。「戻り復活」、そしてコンティニューしてもレベルはゼロのままだから、いくらコンティニューを繰り返しても、なかなか先に進めない。
 もちろん、どんなに難しいハマリ場所であっても、どんなにショットパワーレベルが低くても、必ず「復活」できる方法はちゃんと用意されている(『グラディウス』などと同じだ)。と言っても初心者の多くは、たまらずここで投げ出してしまうだろう。

 だが、練習を重ねて無駄なダメージを減らし、ショットが画面端まで届くレベル4や5を維持できるようになれば、『2010』は一気に簡単なゲームになる。本作には、「低レベルだと物凄く難しいが、高レベルなら遠距離から一歩も動かずに瞬殺できてしまう」といった、レベルによって難易度がガラリと変わる場面がかなり多いのだ。最初の頃イヤというほど苦しめられたボスが、ものの数秒で瞬殺できてしまったりするのは、言いようもない快感である。

 フル装備ならバリバリだが、死ぬと素寒貧になってボロボロ。このように『2010』は、腕が未熟であればあるほど加速度的に苦労させられるが、同時に上達すればするほど加速度的に楽になっていく。
 ただし楽とは言っても、気を抜いて1、2発も無駄なダメージを受ければレベルはどんどん下がるわけで、やはり難所であっさりハマってしまう。いくら上手くなっても油断は禁物な、緊張感のあるプレイが楽しめるのである。

 もし初めのうち、難所で死んでハマってしまったら、ムキになってコンティニューを繰り返すのではなく、思い切って一度タイトル画面に戻り、最初からやり直してみよう。すると前回の経験があるから、高いショットパワーレベルを維持しつつ、サクサクと進めるようになっているはずだ。自分の上達が実感でき、どんどん面白くなってくるのである。
 最初は単なるイジワルにしか思えないような要素も、全て意図的に、周到な計算の上にデザインされたものだ。やり込めばそれらひとつひとつの要素が『2010』の魅力であり、奥深さであることがわかってくる。



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