『2010』は『ストII』の大ブームに便乗した、安易な企画ではない!

 現在『2010』について良く言われるのが、「『2010』は『ストII』の大ブームに便乗した、安易な企画である」という批判だ。果たしてそうなのだろうか?結論から言えば、答えは「ノー」。この批判は、全くの誤解である。

 理由は単純明快だ。『ストリートファイターII』が初めてアーケードで発売されたのが1991年3月。そして『2010』が発売されたのが1990年8月8日。便乗するも何も、『2010』の発売当時、『ストII』は大ブームどころか、まだ発売すらされていなかったのである。

 その頃『ストリートファイター』と言えば、1987年8月にアーケードで発売された初代『ストリートファイター』しかなかった。事実、当時の雑誌記事でも『2010』は、「カプコンの名作『ストリートファイター』が、パワーアップして、ファミコン版で帰ってきたぞ」といった具合に紹介されている。つまり、『ストリートファイター』シリーズの正確な意味での「2作目」は、この『2010』なのだ。

 確かに『2010』は、『ストI』とも全くタイプの異なるゲームであり、その点では「看板に偽りあり」なのかもしれない。だが当時の『ストI』の人気は、後の『ストII』の空前の大ヒットには遠く及ばないものだった。「『ストリートファイター』と言えば1対1の対戦格闘ゲーム」というイメージが定着したのは、あくまで『ストII』以後の話である。実際、大ヒットしたあの『ファイナルファイト』にしても、開発当初は『ストリートファイター'89』というタイトルで発表されていたのだ。

 『ストII』が対戦格闘という新しいジャンルを確立した現在になってから『2010』を知った人は皆、当然『2010ストリートファイター』に「『ストリートファイターII』のようなゲーム」を期待する。だから実際にプレイすると、「どこが『ストリートファイター』やねん」と厳しく突っ込みを入れる。だが『ストリートファイター』というタイトルが現在ほど絶大な意味を持たなかった当時は、そんな突っ込みを入れる人は別にいなかったのである。

 ……とは言え、海外版『2010』のタイトル『Street Fighter 2010 The Final Fight』は、確かにちょっとやりすぎかもわからんね。



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