ランダム性の強さから来る、アドリブの快感

 『2010』は、ほとんどの敵の動きがランダムで、プレイするたびに変化する。そのため多くのアクションゲームのように、ひとつの決まったパターンを見つければ楽勝、というわけにはいかない。
 敵はあらゆる方向から出現し、また倒しても間髪入れず次が出現する。加えて強制スクロールや時間制限も追い討ちをかけるので、ひたすら慎重で消極的なプレイも通用しない。

 毎回同じパターンにはまらないので、一度死んで覚えれば次は確実に抜けられる、とはいかない。そして一度突破できたシーンでも、次回のプレイで確実に抜けられるかと言うと、その保証もない。そのため、初めのうちは何回やってもなかなか先に進めず、そこから来るストレスが、「『2010』は難しすぎる!」などと言われる、ひとつの大きな要因だろう。

 だからと言って『2010』は、バランスの破綻した、「運任せのゲーム」などでは断じてない。それどころか、極めて高度な次元で絶妙な難易度調整がなされており、やり込めばちゃんとノーミスクリアも“安定して”できる。信じられない人もいるかもしれないが、慣れたプレイヤーなら、10回やって10回ともクリアできるはずだ。

 とにかく『2010』の攻略には、ただプレイヤー自身の本質的なスキルアップが要求される。「この場所はこうする」という“パターン”の丸暗記ではなく、「こういう状況ならこうする」という“セオリー”を、体で覚えていかなければならない。そのため、どうしてもある程度の時間がかかるのである。
 中でも絶対に必要不可欠なのが、フリップジャンプの使いこなし。ランダムで予測不可能な敵の攻撃も、発動中完全無敵のフリップジャンプを使えば回避できる。だから理不尽にやられることはないのだ。

 そして慣れてくると、このランダム性が逆に快感になってくる。ランダム性から来るアドリブ性が強いということは、プレイ回数を重ねても単調なパターンを繰り返す「作業」にならず、毎回新鮮な面白さが楽しめるということなのだから。この何度クリアしても飽きないリプレイ・ヴァリューの高さこそが、『2010』の大きな魅力のひとつと言えるだろう。

 『2010』は、一般的なステージクリア型アクションの形態をとりつつも、確かに対戦格闘ゲームのような、敵との熱い「駆け引き」がある。それは本作――『2010ストリートファイター』が、「狭い何画面かのフィールドを自由に動き回る」、そして「マップデザインではなく、敵のアルゴリズムによって難度が設定される」という『ストリートファイター』の基本システムを、本質的に踏襲しているからに他ならない。



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