フリップジャンプを始めとする、テクニカルで多彩なアクション

 『2010』の大きな魅力のひとつが、ファミコンのゲームとは思えないほど多彩で、カッコ良いアクションの数々だ。10種類以上のショット、フリップジャンプ(バク宙)、ぶら下がり、はりつき……。ただしこれらを自由自在に使いこなすには、それなりの練習が必要である。

 『2010』の操作系は非常に独特だ。操作性(レスポンス)自体は非常に良いのだが、他のゲームに比べアクションが複雑かつ特殊なので、慣れるまでは思うように操作できず、ストレスを感じてしまうかもしれない。
 初期状態のショットは射程距離が短く、かなり接近しなければ当たらない。パンチやキックはまっすぐ飛ばずに曲がったり、ボタンを押すたびに違う方向に出たりする。しゃがめないことや、ジャンプの高さを調節できないことにも不自由さを感じるだろう。確かにこれだけでは、全方位から襲ってくる敵の攻撃を回避し、撃破することはとても難しい。

 だが『2010』には最強の緊急回避技、フリップジャンプがある。このフリップジャンプこそ本作の肝となる、最も重要なアクションだ。フリップジャンプ中は敵に当たっても、一切ダメージを受けない。完全無敵なのである。
 さらにフリップジャンプ中にBボタンを押すと、真下方向に強力なショットを撃つこともできる。これでしゃがみ撃ちができなくても、低めに飛んでくる敵を撃破可能なわけだ。

 当然ゲームのバランスも、このフリップジャンプの使用を前提としたものとなっており、フリップジャンプ中の無敵時間を利用しなければ、まともに敵の攻撃を回避することはできない。つまりフリップジャンプなしでは、ゲーム自体が成立しない。
 なので、中古で購入して説明書がなかったりすると最悪だ。フリップジャンプの出し方や、その無敵効果がわからないために、「敵が回避不能な攻撃ばかりしてくる理不尽なゲーム!」という誤った評価を下してしまうのである。

 地面を、壁を、所狭しと駆け巡りつつ、フリップジャンプで敵の攻撃をヒラリとかわし、そのまま空中で反撃に転じる――こんなスピーディーで華麗なアクションをものにできれば、『2010』は動かしているだけで最高に楽しいゲームになる。



Back

Main