「ヤマ場の連続」の革新性

 『2010』発売当時、すなわちファミコン全盛だった1980年代の横スクロールアクションと言えば、「ザコを倒しながらスクロールしていき、最後にスクロールが止まってボス戦」で1ステージ。これを大体6〜8ステージくらいまで繰り返すとクリア、というパターンが一般的であった。だが『2010』は、このような基本フォーマットに全くあてはまらない、斬新なアクションゲームだ。

 『2010』は1つのステージが極端に短く、その代わり全部で20以上ものステージが存在する。そして各面ごとに、全く違うアイデアが詰め込まれている。「固定画面でボスとの一騎打ち」、「強制横スクロール」、「強制縦スクロール」、そして「ボスラッシュ」などなど、実に多種多様。そしてそのそれぞれに、多彩なボス(ターゲット)が存在する。

 つまり、一般的なアクションゲームにおける「道中」をコンパクトに圧縮し、ボス戦などの「ハイライトシーン」、「クライマックス」を増やしたような作りになっているわけである。一般的な面構成パターンに沿っておらず、とにかく次から次へと場面が切り替わるため、最初のうちは先の展開が読めずワクワクさせてくれるし、また慣れてきても、プレイヤーはダレることなく、テンポ良く遊ぶことができる。

 相手の猛攻をかいくぐり、パターンを読み、ひたすら攻撃を叩き込んでいく、というボスとのバトルは、言うまでもなくアクションゲームの大きな魅力のひとつだが、普通のゲームでは各ステージ最後の「見せ場」となるこのシーンを、『2010』はお腹一杯に楽しませてくれる。言うなれば「ヤマ場の連続」、「ジェットコースタームービー的」と言ったところだろうか。

 ちょうど『2010』が発売された1990年頃を境に、「道中→ボス」というパターンはマンネリ化し、スクロールやシチュエーションがどんどん切り替わる中、ボスキャラクラスの敵がどんどん登場するという、より派手でハイテンポなアクションゲームが台頭してきた。もちろんその背景には、デカキャラを軽々と動かせるスペックや、様々なギミックを盛り込める大容量を持った、スーパーファミコンやメガドライブといった高性能16ビットマシンの登場が大きかっただろう。だからこそ『2010』がファミコンの時点でそれに挑戦し、そして現在の目で見ても全く遜色ない、見事な完成度に仕上がっていることは驚嘆に値する。



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