４ レストラン・中（夜）
その中の１テーブルに太一と美幸がいる

太一「･･････だいたい、おかしいで･･････」
美幸「なにが？」
太一「んっ、いや女の誕生日や言うて、派手なプレゼントとか買うてな、物やないで、気持ちやで」
美幸「ふーん、それで」
太一「･･････例えばやな、今日、仮にお前の誕生日でも」
美幸「仮やないよ、６月８日は私の誕生日」
太一「あっ、そやったけ？」
美幸「なによ、白々しい･･････もしかして、プレゼント無いわけ？」
太一「いや、あることはあんねんけどな･･････」
太一、ポケットから日本ダービーのナリタトップロードの単勝馬券を出しテーブルに置く
美幸「なによこれ？」
太一「ほんま惜しかってん、武のヤツが･･････去年ダービー勝ったんやから、今年は勘弁したれ言うねん」
美幸「アホ！･･････ねぇ太一、年に一回の誕生日だから、心に残るプレゼントが欲しいの、わかるやん、それがこれ？」
美幸、馬券を手に取り破いてしまう
太一「あっー、おい何すんねん」
美幸「どうせ、外れてんだから、どうしようと勝手やろ」
太一「そらまぁ、そやけど」
美幸「もう、今までで一番最悪な誕生日や！」
美幸、席を立ち、出ていってしまう

５ 社員食堂・中
大勢の社員の中で太一と康彦が昼食を食べている

康彦「そら、怒るやろ彼女」
太一「そやけど、昨日今日付き合い出したわけちゃうで、それを人がいっぱいおる前で、めちゃめちゃ恥かしでほんま」
康彦「どっちにしろ中野が悪いんやから、謝っとかな」
太一「気ィ重いわぁ･･････」
剛史、太一と康彦を見つけ近づく
康彦「あっ裏切りモンが来た」
剛史「なんや、いきなり」
康彦「お前、ダービーで儲けたらしやんけ、トップロードの単勝買わんと」
剛史「（自慢げに）そうやで、ナリタとベガの馬連１万円１点、すごいやろ」
太一「あのオバァの言うとうり買ってないんか？」
剛史「当たり前や、あんなええ加減なオバァの言うとうり買えるかい、あのオバァのせいで終電乗り遅れたんやぞ」
太一「ほな、今日は大西先生の奢りやな、飲みにいこか」
剛史「アホ、昨日もおとついも、そんなんいわれて奢らされてんねんぞ」
康彦「そらそやで、あんなあっちこっちで自慢しまくったら･･････（剛史に）先生！ゴチになります！」
太一「ゴチになります！」
剛史「アホ、今日はまっすぐ家に帰る」

６ 道（夜）
康彦が剛史を背負って歩いている、その横に太一

康彦「大西、頼むからこの状態で吐くのはやめてくれよ」
剛史「わかってる、わかってる、金はまだあるから･･････」
太一「（剛史をみて）こいつの部署も大変らしいな」
康彦「あぁ、また一人辞めさせらられたらしいな」
剛史「別にオレはいつクビになるんかビクビクして仕事してるわけやないんや、なぁ中野そやろ」
太一「わかってる･････大西まぁ明日からまっすぐ帰れや」
剛史「アホ、お前ら連れ出すから、明日もあさっても飲みにいく」
康彦「飲みに行くんやったら土曜日にせぇへんか、あのオバァにまた会いにいこう」
剛史「いやじゃ、あんなババァなんか２度と会いたない」

７ 商店街・前（夜）
アーケードの先頭にあじさい通りとある

８ 同（夜）
太一、剛史、康彦が歩いている

太一「今日は先にオバァに会ってから飲みに行こう、そうしたら大西も終電に乗り遅れることもないし」
剛史「そういう問題ちゃうやろ」
康彦「あっ、おったおった、なんか読んでるみたいやな」
太一らの前方にはるが占いの屋台を出して座っている、読んでいるのは競馬新聞だ
太一「オバァ元気か？ダービー惜しかったな」
はる「（太一らを見て）あぁあんたらか、ほんまや、テレビの前であんな大声だしたん久し振りやったで、おかげ血圧上がってもうて、２日ほど寝てたわ」
康彦「大丈夫かいな？オバァちゃん、今週もな、安田記念占ってーな」
はる「そーか、ちょっとまってや」
はる、再び競馬新聞を読む
剛史「それは占いやなくて、どうみても予想やろ」
はる、剛史を睨み、競馬新聞を置く
はる「（剛史に）手相みせてみ」
剛史「なんでオレの手相が関係あんねん」
はる「あんたがこの中で金運が強そうや、さっ」
太一「オバァするどい、コイツ、みんな裏切って自分だけダービー当ててんねん」
剛史「人聞きの悪いこと言うなよ、おい、オバァ、無理やり引っぱんなって」
はる、しばらく剛史の手相をみている
はる「どうやら、この兄ちゃんの今週の金運は最悪のようや･･･････安田記念、何買うつもりや？」
剛史「何って、グラスワンダーからに決まってるやん、相手は牝馬のシーキングザパールとかキュエイマーチとかやな」
はる「なんで、キングヘイローは買わん？」
剛史「なんでって、去年のダービーでこいつから買って、えらい目に合ったからな、それから絶対買わへんことにしたんや」
はる「なるほど、そしたら、この兄ちゃんが絶対買わんキングヘイローや」
康彦「そやなキングヘイローぐらいやろ、グラスワンダーに勝てそうなんゆうたら」
太一「よっしゃ、それが決まったら飲みにいこか、大西払っといてくれ」
太一と康彦、歩きだす
剛史「おい、なんでオレが払わなあかんねん」
はる「兄ちゃんダービーで儲けたんやろ、ついでや仕事運、愛情運も占ったる」