2000・12・3
○走ってる車
山崎助産院とペイントされた車。
運転してる山崎悦子(52)と助手席の甘木
甘木「自宅出産って、なんか戦前みたいですね」
悦子「アホ!最近は増えてるんやで。お産は病気やないんやから病院行く必要はないやろ」
甘木「はぁ、そりゃそうですけど・・・けど、僕ついていってもえぇんですか?」
悦子「あんたが取材に来たんも、なんかの縁や・・・競馬好きの助産婦の予想か(笑う)・・・」
甘木「あの、阪神3歳牝馬Sの予想どうします?」
悦子「紅白や」
甘木「はぁ・・・?」
悦子「女の子やったら赤の3枠、男やったら白の1枠・・・どっちでもえぇけどね、無事生れてくれたら」
スピードをあげる車。
○寿ハイツ・芙由子の部屋
悦子と甘木が入っていく
部屋には洗面器やタオル、ベビー服などある。
布団の上で横になっている金髪の少女、長瀬芙由子(19)
芙由子「(苦しげに)先生・・・」
悦子「よう頑張った、あとは産むだけや、(甘木を指し)この人のことはあまり気にせんと・・・でっ旦那は?」
芙由子「すいません・・・連絡したんやけど、仕事で」
悦子「まだ、この後になって逃げまわってるんか!?」
甘木「?」
悦子、携帯電話を甘木に渡し、
悦子「私のメモした番号につながるまでかけ続けてや」
甘木「はっ・・・はぁ」
× × ×
陣痛の苦しさに耐える芙由子、悦子、てきぱきと準備しつつ芙由子を励ましている。
電話してる甘木。
甘木「・・・いや、だからですね・・・あなたの赤ちゃんが生れるんです、わかりますよね」
悦子「情けない父親やで、ほんまに」
芙由子「あの人、ずっと反対してたし、今の自分には自信ないて、いつも・・・」
悦子「芙由ちゃん、今、そんなこと考えたらあかん」
芙由子「・・・」
甘木、どうも埒があかない様子。
甘木「だから僕は、先生の取材でたまたま・・・」
悦子、甘木から電話を奪い、
悦子「山崎のおばちゃんや! この男は、赤ちゃんのほんまの父親や!」
甘木「えっ!?」
悦子、甘木に電話を返し
悦子「これで、帰ってこんかったら・・・ほんまにあんたになってもらうわ」
甘木「(唖然と)・・・」
× × ×
ドアで仕切られた部屋で祈るような姿で甘木が座っている。
ドアごしに聞こえる、芙由子の苦しがる声と悦子の励ます声。
甘木「・・・!?」
玄関ドアが勢いよく開き、かなづちを手にした長瀬亜紀夫(20)が飛び込んでくる。
目が合う、長瀬と甘木。
甘木の祈っている姿を見て、長瀬の表情が変わる。
長瀬「お前、殺したる!!」
甘木「ちゃうて誤解や!!」
殴り掛かろうとする長瀬、甘木、必死の抵抗で、もみ合っている。
甘木「勘弁してくれ!!」
長瀬「どう、勘弁するんじゃ!・・・!?」
ドアが開き、長瀬と甘木、見る。
悦子が赤ちゃんを抱いている。
悦子「・・・もっとはよ、帰ってこんかい、このアホが」
長瀬「・・・先生、ほんまに俺の」
悦子「可哀相に目元、口元あんたにそっくりや」
長瀬「・・・」
甘木「先生、全然泣いてないけど、大丈夫なんですか?」
悦子「(頷いて)無駄泣きせぇへん賢い子や」
長瀬、横になっている芙由子の姿を見る。
やさしい笑みで、長瀬を見る芙由子。
長瀬「けど、俺まだまだ見習いで一人前やないし・・・」
悦子「ドアホ!!・・・(諭して)あのな、どんなアホ男でも、父親になったら一人前や、わからんか」
長瀬「・・・」
赤ちゃんが驚いて泣き出す。
長瀬、慌てて赤ちゃんをあやそうとしてる。
悦子「ちょっと体をきれいにしてき・・・そしたら抱かしてあげるから」
長瀬、洗面所に駆けていく。
悦子と甘木、芙由子のほうへいき座る。
芙由子、愛しそうに赤ちゃんを撫でてやる。
甘木「先生・・・」
悦子「白枠や・・・たしかウイニングチケットの子供がおったな」
甘木「えっ?・・・はぁ、オイスターチケットですけど」
長瀬、戻ってくる。
悦子「大事に抱いてあげるんやで」
長瀬、頷いて、悦子から赤ちゃんを渡される。
長瀬をじっと見つめる赤ちゃん。
長瀬「・・・(こみあげてきて)」
不意に甘木が泣き出す。
驚く一同。
悦子「あんた、どないしたん?」
甘木「僕、こんなシーン初めてやから・・・よかったですね、ほんまに・・・(声にならない)」
悦子「(あきれて)・・・!?」
今度は長瀬も泣き出す。
芙由子「・・・どうしたん?」
長瀬、赤ちゃんを悦子に渡し、さらに号泣。
悦子「(芙由子に)これやから、女はしっかりせなあかんねや、なぁ」
芙由子、笑いだす。
悦子も声をたてて笑う。
泣いている男ふたり。
笑っている女ふたり。
とゆうわけで オイスターチケットから馬連300円の総流し!!