治らない治療院?|げんきDASで治そう!003

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治らない治療院? げんきDAS

肩こりの古里さんは、そこだけ先生のご近所さん。
もちろん、遠慮なんかありません。むしろ親心と思って、ずけずけと文句を言います。
急性痛を治すのが得意なそこだけ先生、大ピンチ!


患者さんにも、柔道整復師、鍼灸師の先生方にも楽しんで読んでいただけるように、「そこだけ先生とえだね先生」の話として、なるべくわかりやすく工夫しています。

各ページは、4~5分で読める文章量でまとめています(文庫本2ページ分くらいの文量です)。
それぞれの章は読み切りになっていますが、順番に読んでいただくとさらにわかりやすくなると思います。


急性痛は、重症でなければ快方へ向かうでしょう。
問題は慢性痛の治療です。
ちっとも効かないじゃないか!と患者さんが怒ったら…?

接骨院の治療

接骨院は本来、ケガの応急処置をするところです。

ケガした部分を動かないように固定して、腫れがひくように冷やし、悪化を防ぎます。
(整形外科が少なかった時代にできた資格です。医者に行くまでの応急処置をしました。)

接骨院は固定と冷却、電気 げんきDAS

また、回復をうながすために、電気治療(低周波治療器など)や温熱治療(高周波治療器など)も使います。

肩こりとねんざ

古里のおばあちゃんは、普段はとなり町のえだね先生に通っています。

おだやか古里さん げんきDAS

しかし、今回は足首をねんざして身動きがとれず、近所のそこだけ先生の治療院にやってきました。そこだけ先生を子供のころから知っています。

「ねんざならすぐ治るだろうし、守でも治せるじゃろ。」
(守というのは、そこだけ先生の名前です。)

古里のおばあちゃんはそう思って、そこだけ先生の治療院にやってきました。

肩こりがひどい古里のおばあちゃんは、そこだけ先生から「コリのおばあちゃん」と呼ばれていましたが、ほんとうは「こさと」さんです。

『肩こりが得意!』という、そこだけ接骨院の窓に貼りだされていた宣伝をみて、三年ほど前に10回ほど通ってみました。

「こるのはここですか?電気流しますね、15分ほど待っていてくださ~い。」

そこだけ先生は、患者さんがこるとか痛いというところに電極を貼って、15分たったら少し揉んで、「はい終わりで~す!」と朗(ほが)らかにいいます。

「気持ちはいいけど、そん時だけだね。なんにも治らんよ。」
古里のおばあさんは、愛想が尽きて通うのをやめてしまいました。

うんざり古里さん げんきDAS

コリは治せんじゃろ?

そこだけ先生は、古里のおばあちゃんからねんざの話を聞くと、例によって「痛いのはここかな~?」と言いながら足首に電極を貼り、タイマーを回しました。

そして、「最近みてなかったけど、肩こりは良くなった?」とニコニコと訊きました。

にこやかそこえだ先生 げんきDAS

「あんたは、コリは治せんじゃろ?」と、古里のおばあちゃんは笑いもせずに答えました。

「肩こりでも、ねんざでも、ここが痛いんでしょってペタッと貼って、タイマー回すだけじゃないか。守はコリは治せんじゃろ?肩こりとねんざの違いを言えるかね?」

ぷんすか古里さん げんきDAS

ご近所の古里のおばあちゃんは、そこだけ先生を子供のころから知っているだけでなく、底竹家のおばあちゃんの友達でもあります。
つまり、遠慮がありません。

なんでも一緒じゃないか

うんちく古里さん げんきDAS

「治療の器械は新しくしたみたいだけど、痛いとこはどこですか~?で、タイマー回して、ちっとも代わり映えしない。なんでも一緒じゃないか。肩こりとねんざは違うんじゃよ。肩こりみたいな慢性痛は、代謝の不調が原因なんだから、神経にそって治療しないといけないのと違うのか?」と、古里のおばあちゃんは、えだね先生の受け売りで、得意そうに話しました。
そこだけ先生は返す言葉もありません。

「あたしの先生はね、ちゃんと測って、どこの神経にそって代謝が悪そうか、見せてくれるんだよ。あんたみたいに、ぜーんぶ一緒じゃないからね。」

古里のおばあちゃんは、たたみかけるように言い放ちました。
患者さんは、意外とよく見ているものなのです。

面目丸つぶれ

「肩こりは、よその先生に治してもらってるよ。整体とかカイロかって?違うよ、あんたと同じ接骨院の先生だよ。鍼灸もやるのも守と一緒だよ。でも、あんたは鍼や灸だって、ここが痛いですかでお仕舞い、全部ケガと同じ治療、そこだけしかしない、そこだけ先生じゃないか。」

あせるそこだけ先生 げんきDAS

それを言ったら、それこそお仕舞いっスよ…。
そこだけ先生は、すっかりしょげてしまいました。

そもそも、急性痛を保険で治すのが接骨院なんだから、痛む部位だけ治療するのが本来の姿なんだから…、と心の中で言いわけをしてみても、集客のために窓に大きく『肩こりが得意!』と書いたのは自分です。
ご近所さんの前で、すっかり面目丸つぶれです。

そのとき、受付に座っていたそこだけ先生の奥さんが、ニッコリと笑いながら話に入ってきました。

(2018年08月26日 公開)


次のお話

そこだけ先生の奥さん登場
患者さんはわかると嬉しい