痛みを治す

痛みの種類ごとに、原因や治し方について、わかりやすく説明しています。

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痛みを治す 一般的な痛みの治し方

以降は痛みについての説明です。
できるだけわかりやすくまとめました。
ちゃんと知りたい!と感じていらっしゃる方は、ぜひ読み進めてみてください。


わかりやすい説明を

困っている方へ

痛みってどう治したらいいんだろう?
どうして痛いの?
どこで治してもらえばいいの?
そんなふうに困っている方ためのホームページです。

それぞれの症状について、できるだけわかりやすく、「自分で調べて、自分で治す」説明をしています。

半数以上が治療せず

2010年の調査では、慢性の痛みで、きちんと治療をうけていない人は、なんと半数以上(55%)でした。
多くの人が、一般的な治療=湿布や飲み薬で治らず困っています。
(標準医療情報センターのホームページから)

いつまでも痛い、くり返し痛い、というのが慢性痛です。

自分で調べて治す

自分の痛みを調べるストレッチの方法と、市販の鍼(はり)やお灸(きゅう)を使う方法を説明しています。

市販の鍼(はり)やお灸(きゅう)は、ペタッとシールで貼って使うものです。

痛みルートの詳しい説明のページもあります。

つぼを知るために

人によっては、つぼの位置が分かりづらいと思います。
とくに背中のつぼは、一人暮らしの方には扱いづらいでしょう。
こうした方のために、治療院の紹介もしています。

背中のつぼは、正確でなくてはいけません。
自信がないときは、ぜひ鍼灸師にご相談ください。

実は、慢性の痛みにもっとも多くの方が活用しているのは、鍼灸院や接骨院です(2010年の調査から)。
どうして?薬で治せないの?私に合うのは?と思った方は、ぜひこのホームページを読んでみてください。



治療の種類

すぐわかる「まとめ」

多くの人が困っている慢性痛の治療法を説明します。
薬がいいの?治療院のほうがいい?と悩んでいる方は、ぜひ読んでみてください。

炎症止めは一時的になら

炎症や痛みを止める炎症止め(消炎鎮痛剤)は、たくさん売られています。
しかし、消炎鎮痛剤は一時的に痛みを抑えるもの、と考えたほうがよいでしょう。
炎症止めで治そうとするなら慢性痛には特効薬がない、と考えてよいでしょう。

痛み止めが使える場合も

特別な症状=神経が障害されている場合なら、慢性痛痛み止めもあります。
痛み止めでは、プレガバリン(商品名リリカ)が有名になりました。
しかし、神経に働きかけるため、眠気やふらつき、高齢者の転倒など、副作用も知られています。
ご使用されるときは、お医者さんの説明を良く守って、養生に努めてください。

慢性痛の一部なら

慢性痛のうち、神経の障害によるもの(神経障害性疼痛)なら抗うつ剤が効く、という考え方もあります。
しかし、抗うつ剤は本来なら痛みの薬ではありません(鎮痛補助薬という分類になっています)。
抗うつ剤も、お医者さんの説明を良く守って、使われるとよいでしょう。

漢方薬は体質による

漢方薬には慢性痛によく効く薬もあります。
体質により使い分ける必要があるので、専門家によく相談しましょう。

もっとも活用されているのは?

ところで、慢性の痛みにもっとも多くの方が活用しているのは、鍼灸院や接骨院です。
どれが一番とはいえませんが、副作用が少ないことを考えると、鍼灸接骨もよい治療法といえるでしょう。
特に、痛みの悪循環がおきている痛みルートが分かれば、治療に大きく役立つでしょう。

以降では、薬による治療、鍼灸接骨などの治療について、それぞれ簡単にまとめています。
詳しい説明(薬と医療)もぜひごらんください。)


炎症止め

一般的に消炎鎮痛剤として知られています。

こんな時に:
ケガなどで炎症があるとき。
痛みを一時的にでもゆるめたいとき。

飲み薬や湿布があります。
炎症止めは、炎症を止めるだけでなく、痛みを止める働きもあります。

代表的なものとして、NSAIDs(エヌセイズ:非ステロイド性消炎鎮痛薬)があります。
市販薬の名前でいえば、アスピリン、バファリン、イブプロフェン、ロキソニン、ボルタレンなどです。
薬局で売られているものが多く、頭痛や生理痛の薬も同じ仲間です。

良い点:
すぐに使える。すぐに効く。痛みが治まる。寝違えなどでも、一時的に改善できる。

悪い点:
効果が一時的です。急性痛には良いのでしょうが、慢性痛や激しい痛みには適さないようです。
副作用として、胃腸障害や腎障害などがあります。このため、長期には使用しないように説明されています。
お薬全般にいえることですが、お医者さんの説明をよく聞いて、使用方法を守りましょう。
胃腸障害を抑える薬も一緒に処方されることが多いので、関係ないよなどと思わずに、しっかりと服用してください。


痛み止め

ここでは、痛み止め薬の中でも、神経自体の障害による痛みの薬=神経障害性疼痛治療薬について説明しています。

こんな時に:
事故で神経を切断したり、脊椎関狭窄症や神経根症などで神経が圧迫されるなど、神経自体に障害がある場合は効果的です。
代表的なものとして、プレガバリン(商品名リリカ)があります。

良い点:
坐骨神経痛やヘルニアなど、すぐには治りづらい痛みを止めることができる。

悪い点:
すぐには効かないことです。
長期間飲む必要があります。
神経に働きかけるリリカは、眠気やふらつき、高齢者の転倒など、副作用も知られています。
また、急にやめると体調が悪くなります(離脱症状)。

慢性の痛みでお困りの方は、すぐに効いて欲しい、効かなかったら止めてしまえ、と思うかもしれません。
しかし、お医者さんの指導に従って、ていねいに養生されることをお勧めします。


抗うつ剤について

こんな時に:
他の薬が全く効かない。
原因不明の痛みに。

原因不明なものは、精神的な症状=心因性疼痛だと解釈して、抗うつ剤を処方してみよう、ということかもしれません。

痛みの専門家のホームページでは、次のような記述もありました。
「抗うつ薬の中には、鎮痛効果が確認されているものがあり、慢性疼痛にも投与される。
慢性の神経障害性疼痛に対して第一選択薬として推奨されている。」
(滋賀大学 小山なつ先生のホームページ)

このように、神経の障害=根拠が明確であれば、試してみるとよいと思います。
しかし、抗うつ剤は副作用も多いので、心配な方も多いでしょう。
神経の障害など、どのような根拠で抗うつ剤を用いるのか、お医者さんによく説明してもらうとよいでしょう。

抗うつ剤は、鎮痛補助薬という扱いになっています。
本来は痛みの薬ではないけれど、痛みの治療に補助的に用いられる薬のことです。
他にも、抗てんかん薬などを用います。

良い点:
全くの原因不明の痛みに、対処できる可能性がある。

悪い点:
抗うつ剤は取り扱いが難しく、精神的な影響も考慮しなければならないでしょう(離脱症状など)。


漢方薬

こんな時に:
ケガによる痛みではないが、長びいたり、くり返す痛みに。
坐骨神経痛や五十肩、変形性膝関節症など。

痛みの漢方薬としては、再春館製薬所の痛散湯が有名ですね。
テレビやラジオでよく宣伝されています。

もともとは、昔から伝わる麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)というお薬です。
薏(よく)はヨクイニン(ハト麦)のことで、代謝の不調(水分の代謝)を改善すると考えられている生薬です。
麻杏薏甘湯なら保険適用です。相談すれば処方してくれるお医者さんもいらっしゃるでしょう。

麻杏薏甘湯に、防已という薬草をつけ足し、独自処方とした薬が痛散湯です。
(再春館製薬所があえて防已を足したのなら、違った効果もあるでしょうから、痛散湯から試してみても良いと思います。)

良い点:
関節痛、神経痛、筋肉痛など、痛みの適用範囲が広い。
慢性痛に効果がある。

悪い点:
すぐには効かないことです。
漢方薬はたいていの場合、2~3週間ほど飲んでみて調子が良ければ続ける、という使い方をします。
このため、自分に合った薬を探すには、根気が必要です。

毎年、冬になると葛根湯など漢方の風邪薬が宣伝されます。
体質改善や体調不良で、お医者さんのお薬がなかなか合わず、漢方薬の方が効いた、という方も多いでしょう。

慢性痛についても、お医者さんのお薬がなかなか合わない、効かなかったということがあります。
それは、お医者さんの保険医療は、科学的根拠がある治療だけを取り扱うものだからでしょう。
(国が税金で扱う医療なので、慎重に運用されています。)

しかし、昔から知られた漢方や鍼灸のほうが、科学的根拠が得られていなくても、実用的なときもあります。

また、漢方薬は、痛みがあればだれにでも効くわけではなく、体質に合っていれば効くと考えたほうが良いでしょう。

漢方薬には、他にも痛みによく効くといわれるものが多く、体質ごとにわかれているので、専門家によく相談しましょう。


鍼灸(はりきゅう)


鍼(はり)や灸(きゅう)による皮膚への刺激が、自律神経の転調を起こさせると考えられています。
慢性痛を含めた、慢性症状を得意としています。

鍼灸はもともと、ストレス(内因)、天候(外因)、疲労や不摂生(不内外因)など、自律神経と関係のある要因で乱れた体調を治すことを得意としています。

自律神経の不調による痛みルートの症状に、効果を期待できます。
痛みルートは、神経の枝にそって現れた不調です。
その枝にそって、まさにピンポイントで治療するので、効果的だと考えられます。

慢性痛では病院よりも、鍼灸院・接骨院を多くの方が活用している、という調査結果もあります。

病院では慢性痛に対して決定打といえる治療薬が無く、抗うつ剤が第一選択薬となる場合もあるため、ためらう患者さんも多いのでしょう。

原因となるだろう痛みルートがみつかるれば、治療に大きく役立ちます。
鍼灸の効果を自律神経から研究したほうが、慢性痛の効果的な治療方法がみつかるかもしれません。

正確には、はり師・きゅう師という二つの国家資格が必要な治療です。
(はり専門、きゅう専門の、いずれかの先生もいらっしゃいます。)


接骨(ほねつぎ)

接骨(ほねつぎ)は、ケガの応急処置、ケガによる痛み(ケガから3ヶ月がめやす)の治療を行います。
患部を固定し、冷罨法(冷やす治療)や温罨法(温める治療)を行い、また、電気治療などで回復を助けます。

柔道では、相手の関節や筋肉を傷める技(殺法)を習得しますが、その知識を活かしてケガを治す技(活法)も身につけます。
接骨(ほねつぎ)は、この活法を治療に活かしたものです。

関節や筋肉の動きから、故障のようすを確かめて、適切な治療をします。

正確には、柔道整復師という国家資格が必要な治療です。

接骨院の先生には、鍼灸師の資格も持った、勉強熱心な方が多くいます。
このような先生は、急性の痛みだけでなく、慢性の痛みについても熟知しています。

補足
接骨院の中には、整骨院と表記している治療院もあります。
これは、接骨(ほねつぎ)という言葉のイメージが、骨折や脱臼などのケガと強く結びついているため、もう少し広いイメージを持ってもらおう、と考えた結果だといわれています。
このため、接骨院≒整骨院≒整体院≒カイロ(カイロプラクティック=背骨矯正)というように、混同されてしまうことが多くなりました。
しかし、接骨院と整骨院は同じでも、整体院やカイロとは異なると考えたほうがよいでしょう。


按摩・マッサージ・指圧

固くなって代謝が悪くなった筋肉をゆるめることで、自律神経を転調させると考えられています。
鍼(はり)やお灸()(きゅう)はこわい、按摩やマッサージなら気持ちが良い、という方によいでしょう。

按摩やマッサージには、施術者によって、もみ方に強弱の差があります。
患者さんによっても、強弱の向き・不向きがあります。

たとえば、深いところにある背骨に近い筋肉は、深く強く押さないと、なかなかこりがとれません。
このため、深く強く押すのですが、筋肉痛(もみかえし)になることもあります。

ご高齢の方は、浅いところの筋肉からゆるめて、時間をかけて治療したほうがよい場合もあります。

浅く弱く押したりもんだりしたほうがよいか、深く強くしたほうがよいか、治療家との相性が大切です。
相性が合うな、と思った先生でも、相談しながら自分に合った治療を探していくとよいでしょう。

正確には、按摩・マッサージ・指圧師という国家資格が必要な治療です。
東洋医学(つぼなど)についても知識があります。


整体・カイロ

整体やカイロ(カイロプラクティック=背骨矯正)は、玉石混交という状態でしょう。
日本では、きちんとした資格がないので、知識や技術のレベルが一定ではありません。

海外で研鑽を積まれた方もいれば、思い立ってすぐに開業した、という方もいます。
按摩・マッサージ・指圧師の資格が無いから、整体と名のっている…、という場合もあります。

このため、どのような治療をしている、と紹介させていただくのは難しいでしょう。
ホームページなどで、どのような勉強をしていたか、どれくらいの知識がありそうかを、事前に調べてから相談するとよいかもしれません。

補足
鍼灸師や、柔道整復師、按摩・マッサージ・指圧師などは、安全管理(確保)について学んでいます。
このため、たとえば妊娠中の方には、極めて慎重に接する先生が多いでしょう。
こうした有資格の治療家には、一部の整体やカイロで行われている「妊婦整体」といった宣伝に、疑問を呈する人も多くいます。


治療院のご紹介

このホームページで説明した、痛みルートを活用している治療院をご紹介しておきます。
鍼灸院、接骨院だけでなく、薬局もあります。
ぜひ皆様のご健康に、痛みルートをご活用いただければと思います。



詳しい説明(薬と医療)

慢性の痛みがある人は、日本全体で4.4人に1人の割合もいます(22.9%)。
女性に限れば4人に1人の割合を越えます(25.7%)。
しかし、慢性痛を持つ人の55%=半数以上は、医療機関にかからず、治療を受けていないことがわかっています。

鍼灸院や接骨院で治療していてる方がもっとも多く、全体の20%にもなります。
病院ではそれ以下の19%しか治療を受けていないこともわかっています(下の図)。
(2010年の調査結果です。標準医療情報センターのホームページで紹介されています。)

もちろん、お医者さんの治療、製薬会社の薬は、科学的根拠を検証したものばかりです。
どうして、こんなことになってしまうのでしょう?

それは、お医者さんや病院でもらえるお薬は、科学的根拠が分かっているものに限られるから、といえるでしょう。
これは、お医者さんが適切な治療を提供するうえで、とても大切なことなのです。

しかし、この制限のために、お医者さんが扱える痛みは、次の三種類に限られる傾向があります。

1)ケガの痛み
  (侵害受容性疼痛)
2)神経自体の障害で起きる痛み
  (神経障害性疼痛)
3)精神的な原因の痛み
  (心因性疼痛)

実際に、お医者さんや製薬会社が作るホームページでは、痛みは上の三つに分類されています。
そして、それ以外については書かれていない場合がほとんどです。

このため、ケガの痛みや、神経の損傷による痛みでなければ、あとは「心の病」として扱われる傾向があります。
そして、抗うつ剤など精神疾患のお薬が、鎮痛補助薬として処方されます。

お医者さんや製薬会社にとって、この三つならお薬=治療方法があり対処できます。

本当のことをいえば、お医者さんにとって一番大事なお仕事は、危機的な痛み=ケガなどの急性の痛みです。
(お医者さんは、本来でいえば、もしもの時=病気やケガの時に私たちを守ってくれる守護者なのです。)
ケガや神経の障害、加齢による変形など、痛みの原因が明確で危機的な場合は、お医者さんの治療(手術を含む)をうけるとよいでしょう。

言い換えれば、ケガが治った後もいつまでもずっと痛む慢性痛は、お医者さんが扱のではなく、鍼灸などで工夫して治す範囲、と考えるとよいかもしれません。

しかし、多くの人にとって問題となる痛みは、上の三種類=薬で対処できるもの以外の、理由がはっきりわからない痛みが多いでしょう。
そうでなければ、慢性の痛みで悩む人の8割以上がお医者さんの治療をうけず、鍼灸院や接骨院のほうが病院より多く活用される、ということにはならないでしょう。

そこで、このホームページでは、鍼灸接骨の治療を説明するため、代謝の不調=自律神経の不調が痛みルートにそって広がる、という考え方を提案しています。

この考え方は、お医者さんやお薬による治療を否定するのではありません。
それ以外の、昔から鍼灸などで知られている痛みの治療を、わかりやすく説明しようとしているのです。

(すこしムツカシイ言葉で生理学的に説明すれば、痛みルートとは、自律神経の枝や筋肉のつながりにそって起きる脱水症状(等張性脱水、高張性脱水、低張性脱水)だと考えています。)

多くの皆さんが、このホームページを通じて鍼灸院や接骨院を理解し、痛みの治療に活用してくださればと願っています。

もし、痛みルートで測定できる痛みを、鍼灸接骨の治療法ではなく、たとえば塗り薬などで改善できれば、もっとたくさんのひとが、自分で痛みを治せると思います。
できればお医者さんや製薬会社が、多くの方が悩む慢性痛の新しい治療法を作りだしていただけるように、痛みルートの考え方がお役に立てばと願っております。

慢性痛自律神経痛みルートを、もう少し知りたいという方は、この後の「痛みの知識」をぜひお読みください。

補足
もちろん、リハビリテーションに力を入れるなど、慢性の痛みや、ケガの後に続く痛みの回復に力を入れている整形外科のお医者さんも、たくさんいらっしゃいます。
熱意あるお医者さんに失礼のないように注意しつつ書いていますが、至らない点がありましたらご容赦ください。

痛みの知識

痛みで困るとき

どうして痛い?

痛みで困っている人は、よく「どうして痛むの?」とか「痛みって何なの?」といった質問をされます。

ケガや火傷で炎症があるなど、痛みの原因がわかっていれば、こんな質問はしないでしょう。

痛みで困るのは、ケガもしていないのに・ケガは治ったのに、いつまでも痛い、くり返し痛い、というときです。

医療保険が使える期間も、ケガをしてから3ヶ月がめやすで、それ以降は原因のわからない慢性痛という扱いを受けます。
3ヶ月を過ぎると、症状固定という表現をされ、この症状は改善しないと判断されてしまいます。

しかしこのホームページは、鍼灸の治療経験から、慢性痛も改善すると考えて書かれています。
慢性痛の多くは自律神経の不調から痛みの悪循環がおきていると考えられます。

ここでは、痛みの悪循環痛みルートについて、できるだけ簡単に、患者さん目線で、説明してみたいと思います。

(特に、「お医者さんで痛みが治らなかった、どうしてだろう?」とお悩みの方は、詳しい説明(薬と医療)を先にお読みになるとよいでしょう。)


痛みの悪循環

痛みを「こじらせた」状態

痛みの悪循環とは、痛みを「こじらせた」状態です。
ケガや炎症は治ったのに、代謝の不調が残ってしまったのです。
このため、いつまでも痛んだり、くり返し痛む慢性痛となってしまいます。

自律神経の不調が考えられます

自律神経は、血流・代謝を管理します。
このため、代謝の不調は自律神経の不調といえます。
たとえば、代謝の不調が考えられる=寝ていると冷えて痛む、ねんざの後にいつまでも腫れて痛むといった症状なら、自律神経の不調が残ったままになっていると考えられます。

いつまでも・くり返し痛むなら

自律神経の枝=痛みルートにそって、痛みの悪循環が広がって慢性痛となっているかもしれません。
痛みルートのようすを調べて、ぜひ改善に役立ててください。


慢性痛とは?

いつまでも痛む、くり返し痛む

問題となる痛みの多くは、いつまでも痛む、くり返し痛む慢性痛です。
ケガが原因の痛みでも、ケガの後は3ヶ月がめやすで、慢性痛とみなされます。
治しかたがわからず、悩む方が多くいます。
このホームページを読みに来たあなたも、その一人かもしれません。

ケガの痛みは3ヶ月まで

ケガから3ヶ月までの痛みは急性痛と呼ばれます。
接骨院が保険で治療するのは、ケガから3ヶ月までの痛み=急性痛です。

自律神経による痛み

ケガや体調不良をきっかけに、自律神経が不調となります。
ケガをして出血すると、出血を止めるために自律神経が血流を抑えます。
さらに、痛みがあるだけでも、血流は低下してしまいます。
自律神経が関わる痛みは、体調や気候、ストレスで悪化する傾向があります。
(ケガや火傷が原因の急性痛は、痛みが一定です。)

慢性痛を治すには

痛みの悪循環がどこに起きているか=痛みルートのようすを調べて、ぜひ改善に役立ててください。


自律神経

痛みと関わるのは

自律神経は、身体の調節をしています。
その中でも、おもに痛みと関わるのは、血流を管理する神経だと考えられています。
この自律神経は、筋肉や皮膚へ、痛みを感じる知覚神経とよりそって、枝を伸ばしていきます。

どうして痛くなる?

自律神経が緊張すると、血流量が減ってしまいます。
緊張した自律神経の枝があると、枝にそって血流量が減って酸素や栄養が不足するなど、代謝の不調=痛みの悪循環がおきると考えられます。
ケガはしていないのですが、身体の中で不調が起こっているため痛みます。

どんな風に悪くなる?

こうした痛みは、体調や気候、ストレスで悪化する傾向があります。
これらの影響で、自律神経が不調になるからです。
たとえば、疲れる(体調が悪い)と腰が痛い!といった場合は、自律神経が関わっていると考えられます。
(ケガや火傷が原因の急性痛は、痛みが一定です。)

痛みルートを確かめよう

痛みの悪循環がどこに起きているか=痛みルートのようすを調べて、ぜひ改善に役立ててください。


痛みルート

自律神経と痛みルート

慢性痛は、自律神経の不調から痛みの悪循環がおきて、なかなかもとに戻らない状態といえます。
自律神経の枝にそって、線状に痛みの悪循環が広がることを、痛みルートと呼んでいます。

筋肉や神経にそって治す

たとえば、坐骨神経痛=脚の後ろ側に線状にあらわれる痛みが典型例です。
神経の枝にそって、協調して働く筋肉がそろって疲れやすかったり、固くなっていたりします。
こうした場合は、神経や筋肉のつながりにそって治療すると効果的なのです。

昔から知られている

痛みがでたり、治したりするところ=「つぼ」はよく知られていますね。
同じ症状に効くつぼの、線状のならびを、経絡(けいらく)といいます。
経絡にそって治すという昔からの知恵を、自律神経から説明しているのが、痛みルートといえます。

症状のあらわれ方

代謝が不足して、冷えて痛むような青色のルートがあります。
(イオンが不足する、低張性脱水など)

代謝が過剰になり、腫れて痛むような赤色のルートもあります。
(イオンが過剰になる、高張性脱水など)

どうやって調べる?

指先に弱い電気をかけて、皮膚の代謝のようすを調べます。
5分程度の測定で、上の図のような測定結果が出てきます。

あなたの痛みルートは?

痛みの悪循環がどこに起きているか=痛みルートのようすを調べて、ぜひ改善に役立ててください。
下のリンクで紹介している治療院に相談してみてください。

詳しい説明

痛みルートの詳しい説明を作成しました。
ぜひご覧ください。


きっかけによる分類

痛みが出たきっかけによって、次のように考えるとよいでしょう。

お医者さんに相談すべき痛み

まず最初に、お医者さんは私たちの健康を守る、最強の守護者であることを忘れないようにしましょう。
次のような痛みは、必ずお医者さんに相談してください。

1)ケガによる痛み
2)転ぶなどして激痛がする
3)患部が腫れている
4)患部が赤くなっている
5)患部に熱がある
6)今までにない強い痛み
7)だんだん激しくなる
8)夜間に痛みで目が覚める

1)~6)まではわかりやすいのですが、7)~8)は原因がわからないとほったらかしてしまうものです。

しかし、上記のような痛みは、大きな問題でないかどうか、まずお医者さんにしっかり検査してもらいましょう。
(お医者さんは、私たちの健康を守る守護者です。)

疲れによる痛み

スポーツで、練習を休めば治るけれど、練習を再開するとすぐに再発する、と悩む方は多くいます。
特に、小学校から高校生までの、成長期の部活などで多くみられます。

テニスや野球、バレーボールなどで、特定の筋肉を酷使すると多発します。
炎症が起きているわけではないのに、すぐに疲れて痛みます。
いわゆるオーバーワーク(使いすぎ)による痛みで、痛みの悪循環の典型例です。

日常生活でも、立ち仕事で腰がつらくなる、オフィスワークで首や肩が痛い(眼精疲労)といった症状も、同じ仲間です。

身体の一部に負担をかけ続け、その部分の自律神経の不調により、代謝が不調になり、痛みの悪循環がおきていると考えられます。

整形外科で検査しても、接骨院で(急性痛の)治療をしても、どこにいっても治らない、と困っている方が多くいます。

こうした症状は、原因となる痛みルートがわかれば、改善に大きく役立つでしょう。

鍼灸院に相談するとよいでしょう。
また、鍼灸の資格者がいる接骨院に相談するのもよいでしょう。

仕事による痛み

学校の先生は、黒板に字を書き続けるため、肩のオーバーワーク(使いすぎ)による痛みの悪循環になりがちです。
また、立ち仕事のため、腰の痛みをうったえる先生も多くいます。

オフィスワークでは、目を酷使するため、自律神経で頭部とつながっている肩や腕に、こりや痛みがでやすくなります。

こうした仕事による痛みは、上に書いたスポーツの疲れによる痛みと同様に、原因となる痛みルートがわかれば、改善に大きく役立つでしょう。

鍼灸院に相談するとよいでしょう。
また、鍼灸の資格者がいる接骨院に相談するのもよいでしょう。

冷やしてから痛い

前日から大きく冷え込んだ時は、季節によらず痛みをうったえる人がいます。
毎年、冷房を使い始めると腰が痛い、といった方もこうした例に入ります。

自律神経の不調により、代謝が不調になり、痛みの悪循環がおきる典型例です。
同じように、オフィスワークなのに疲れると腰痛がでる、部活ですぐに疲れて痛くなる部位(筋肉・関節)がある(オーバーワーク)、家族のことで悩むと肩が痛くなる(ストレス)、といった症状は、痛みの悪循環が考えられます。

鍼灸院に相談するとよいでしょう。

また、鍼灸の資格者がいる接骨院に相談するのもよいでしょう。

寝ている間に痛くなった

睡眠中は体中の血流量が低下します。
もともと代謝が悪いところは、さらに血流量が低下して、酸素や栄養が不足してしまいます。.
これが、こむら返りや寝違えの原因です。
鍼灸院に相談するとよいでしょう。

ただし、寝ている間に、関節の中にカルシウムが流れ込み、激痛を起こすことがあります。
朝になって関節がひどく痛むようであれば、お医者さんに炎症を止める薬を出してもらうと、早く改善できるでしょう。

また、寝ている間に痛みで目が覚めるようであれば、悪性腫瘍の可能性があります(夜間痛といいます)。
五十肩なども、寝返りのひょうしに痛くなり目が覚めるときがありますが、痛みで自然に目が覚めてしまうなら、内科医の診察を受けるようにしましょう。

転ぶなどして、強い力で打った

筋肉を打った場合は、打撲(うちみ)になります。
すみやかに冷却し、悪化を予防します(スポーツ選手がスプレーで冷やすようすを、見たことがあると思います)。
打撲による内出血をそのままにすると、カルシウムが筋肉の中で固まってしまいます。

骨を打った場合で、一番ひどいものが骨折です。
骨が折れると、身体を管理する自律神経が反応して、顔色が青くなったり、冷汗がでたりします。
痛みが強い時は、必ず医師の診察をきちんと受けましょう。

慢性痛の治療に切りかえるのは、3ヶ月がめやすです。

強い力でねじった

関節を無理にひねると、関節を支えるじん帯を傷めます。
じん帯を傷め、内出血するのが捻挫(ねんざ)です。
捻挫(ねんざ)をしたら、内出血が悪化しないように、すみやかに固定・圧迫・冷却を行います。
整形外科や接骨院に相談するとよいでしょう。

交通事故のむち打ち症は、首の捻挫と考えられています(頚椎捻挫(けいついねんざ)といいます)。

じん帯が痛む中で、特にひどいものがじん帯断裂です。
じん帯が断裂した場合は、自然には治りづらく、手術が必要な場合があります。
痛みが強い時は、必ず医師の診察をきちんと受けましょう。

慢性痛の治療に切りかえるのは、3ヶ月がめやすです。

手や足をついて身体を支えた

痛みが強い時は、関節の内側が傷んでいることが多く、レントゲンなどの検査が必要です。
例えば、半月板の損傷のように、関節の内側のクッションになる部分を傷める例が多くみられます。
また、関節の中で骨が欠けてしまうこともあります。

中年以降では、関節の中にカルシウムが流れ込み、激痛を起こすことがあります(偽痛風)。
痛みが強い時は、必ず医師の診察をきちんと受けましょう。

慢性痛の治療に切りかえるのは、3ヶ月がめやすです。

検査は必要?

整形外科で用いられる代表的な検査は、レントゲンなどの画像診断です。
レントゲン(骨の確認)やCTスキャン(細かな骨折、ひびの確認)、MRI(軟骨やじん帯、筋肉の確認)などがあります。

レントゲンは身体への影響(被ばく)が少ないのですが、CTスキャンは影響が大きくなります。
このため、CTスキャンは詳細を確認するときに用います。

たとえば、ケガをした直後は、痛みで筋肉や関節が動かせないので、ようすを確かめるのが困難です。
こうした時に、詳細に調べるためにCTスキャンを用います。

いずれにしろ、強い力がかかってケガをして、痛みが激しい場合は、医師の検査を受けるようにしましょう。

医師の検査が怖いというい理由で、鍼灸院や接骨院に相談される方もいます。
しかし、鍼灸院や接骨院で医師の診断(治療)を勧められた場合は、できるだけ従うようにしてください。

3ヶ月がめやす

検査の結果、骨折や捻挫、脱臼などのケガがあったとしても、急性症状として扱われるのは3ヶ月がめやすです。
もし3ヶ月を過ぎても、どんよりとした痛みや、ずきんと痛むようなことがあれば、慢性痛と考えて鍼灸院に相談するとよいでしょう。