m@stervision my favorite movies 2004

2004年に公開された新作映画のうち上から好きな順に並べたリスト。レビュウ時の星の数と順位が一致しないことも多々ある。
※2004年1月1日から12月31日までに公開された映画より(映画祭上映を含み、リバイバルを除く)
※対象本数は(DVD観賞分を含まず)外国映画221本、日本映画189本。うち、ピンク映画64本。


foreign movies 60

0.華氏911(マイケル・ムーア)

1.殺人の追憶(ポン・ジュノ)

2.悪い男(キム・ギドク)

3.Mr.インクレディブル(ブラッド・バード)

4.スクール・オブ・ロック(リチャード・リンクレイター)

5.シルミド(カン・ウソク)

6.レディ・ウェポン 赤裸特工(チン・シウトン)

7.ブレイキング・ニュース 大事件(ジョニー・トー)

8.THREE 臨死「回家」(ピーター・チャン)[DVD観賞]

9.オアシス(イ・チャンドン)

10.ルーニー・テューンズ バック・イン・アクション(ジョー・ダンテ)

11.スパイダーマン2(サム・ライミ)

12.ドーン・オブ・ザ・デッド(ザック・スナイダー)

13.マイ・ボディガード(トニー・スコット)

14.みんなのうた(クリストファー・ゲスト)

15.デビルズ・バックボーン(ギレルモ・デル・トロ)

16.独り、待っている(デイヤン・エン)

17.トルク(ジョセフ・カーン)

18.コニー&カーラ(マイケル・レンベック)

19.ホーンテッド・マンション(ロブ・ミンコフ)

20.ミッシング(ロン・ハワード)

21.ぼくセザール 10歳半 1m39cm(リシャール・ベリ)

22.ラブ・アクチュアリー(リチャード・カーティス)

23.ミスティック・リバー(クリント・イーストウッド)

24.マッスルモンク(ジョニー・トー&ワイ・カーファイ)[DVD観賞]

25.SAW ソウ(ジェームズ・ワン)

26.ショーン・オブ・ザ・デッド(エドガー・ライト)[DVD観賞]

27.パピヨンの贈りもの(フィリップ・ミュイル)

28.少女ヘジャル(ハンダン・イペクチ)

29.ニューオーリンズ・トライアル(ゲイリー・フレダー)

30.ビヨンド・アワ・ケン(パン・ホーチョン)

31.大丈夫(パン・ホーチョン)

32.ヘルボーイ(ギレルモ・デル・トロ)

33.マッハ!!!!!!!!(プラッチャヤー・ピンゲーオ)

34.エイリアン vs. プレデター(ポール・アンダーソン)

35.マスター・アンド・コマンダー(ピーター・ウィアー)

36.トロイ(ウォルフガング・ペーターゼン)

37.沈黙の聖戦(チン・シウトン)

38.オーシャン・オブ・ファイヤー(ジョー・ジョンストン)

39.堕天使のパスポート(ステーブン・フリアーズ)

40.ギャンブル・プレイ(ニール・ジョーダン)

41.グッド・ガール(ミゲール・アテタ)

42.ハイウェイマン(ロバート・ハーモン)

43.浮気な家族(イム・サンス)

44.子猫をお願い(チョン・ジェウン)

45.胡蝶(ヤンヤン・マク)

46.LOVERS(チャン・イーモウ)

47.柔道龍虎榜(ジョニー・トー)

48.ワイルド・レンジ 最後の銃撃(ケビン・コスナー)

49.アップタウン・ガールズ(ボアーズ・イェーキン)

50.トスカーナの休日(オードリー・ウェルズ)

51.夢遊ハワイ(シュー・フーチュン)

52.恋愛適齢期(ナンシー・マイヤーズ)

53.恋愛中毒(パク・ヨンフン)

54.爆裂都市(サム・レオン)

55.ギャザリング(ブライアン・ギルバート)

56.ターンレフト ターンライト(ジョニー・トー&ワイ・カーファイ)

57.インファナル・アフェア 無間序曲(アンドリュー・ラウ&アラン・マック)

58.何かが起きてる(カラン・ジョハール)

59.ゲート・トゥ・ヘヴン(ファイト・ヘルマー)

60.ザ・ボディガード(マーティン・バーク)

「華氏911」は無理にリスト内に入れれば「ベストテンのちょっと下」あたりになるのだが、映画の出来とは別に「2004年に最も作られる意義のあった映画」であり、映画史において「チャップリンの独裁者」にも匹敵する重要な作品であると、おれは本気で思っているので別格として1位の上に置いた。 ● ベストテン内に韓国映画が4本入った。これは不思議でもなんでもない。韓国映画はたぶんいま現在、質的なピークを迎えて/迎えつつあり、そのピーク時の数年の最良作が日本では2004年に集中して封切られたのだから当然の結果である。願わくば今後も──ハンサム・スターの主演作を買い付けたおこぼれで結構なので──いわゆる「韓流メロドラマ」の枠からハミ出したワールドワイドな良質作が日本に輸入されんことを。 ● 10位のジョー・ダンテは作家的成熟度と(今回の作品の)映画の完成度からいったらクリント・イーストウッドにも決して引けをとらないと思うのだが、アメリカでも日本でもマスメディアからは冷たい扱いを受けているのが残念。今回の映画も大コケしてしまったので次回作はまた数年先になるのだろう。 ● 2004年の反省は、DVD無間地獄に堕ちてしまったせいで香港映画の新作を輸入盤DVDでひと足はやく「所有」するようになり、その後、いざ日本で劇場公開されたときに「DVDを持ってるから」──「観てるから」じゃない。買っただけでまだ観てもいないのだ──心のどこかで油断してしまい、観るのを後回しにして、結局 見損なってしまうという失態を繰り返したあげく、「THREE 臨死」と「マッスルモンク」に至っては見逃してから輸入盤DVDで観て感動し「ああ、映画館で観ればよかった」と死ぬほど後悔するという醜態を演じたことである。2005年は、こうした失態を繰り返さぬよう心がけたい。

japanese movies 60

1.ゴジラ FINAL WARS(北村龍平)

2.稀人(清水崇)*video

3.美肌家政婦 指責め濡らして(荒木太郎)

4.ヴィタール(塚本晋也)

5.下妻物語(中島哲也)*video

6.恋の門(松尾スズキ)*video

7.お父さんのバックドロップ(李闘士男)*video

8.理由(大林宣彦)*video

9.ハウルの動く城(宮崎駿)*anime

10.怪奇!死人少女(白石晃士)*video

11.独立少女紅蓮隊(安里麻里)*video

12.あゝ! 一軒家プロレス(久保直樹)*video

13.ふくろう(新藤兼人)

14.花とアリス(岩井俊二)*video

15.後家・後妻 生しゃぶ名器めぐり(森山茂雄)

16.欲求不満な女たち すけべ三昧(池島ゆたか)

17.夫婦交換前夜 私の妻とあなたの奥さん(後藤大輔)

18.キューティーハニー(庵野秀明)*video

19.ワイルド・フラワーズ(小松隆志)*video

20.スウィングガールズ(矢口史靖)

21.誰も知らない(是枝裕和)

22.血と骨(崔洋一)

23.油断大敵(成島出)

24.ニワトリはハダシだ(森崎東)

25.濃厚不倫 とられた女(女池充)

26.たまもの(いまおかしんじ)

27.梅心中(伊刀嘉紘)*video

28.跋扈妖怪伝 牙吉(原口智生)

29.ソドムの市(高橋洋)*video

30.オーバードライヴ(筒井武文)*video

31.痴女OL 秘液の香り(渡邊元嗣)

32.ガールフレンド(廣木隆一)*video

33.世界の中心で、愛をさけぶ(行定勲)

34.完全なる飼育 女理髪師の恋(小林政広)[DVD観賞]

35.TOKYO NOIR(石岡正人+熊澤尚人)*video

36.感染(落合正幸)*video

37.解夏(磯村一路)

38.チルソクの夏(佐々部清)

39.父と暮せば(黒木和雄)

40.月とチェリー(タナダ ユキ)*video

41.NARUTO 大活劇!雪姫忍法帖だってばよ!!(岡村天斎)*anime

42.怪談 新耳袋[劇場版](吉田秋生/豊島圭介/雨宮慶太/平野俊一ほか)*video

43.恋愛小説(森淳一)*video

44.のんきな姉さん(七里圭)

45.犬猫(井口奈己)

46.ココロとカラダ(安藤尋)*video

47.アップルシード(荒牧伸志)*anime

48.愛染恭子 vs 菊池えり ダブルGスポット(愛染恭子)

49.恐怖列車(坂本一雪)*video

50.月猫に蜜の弾丸(港博之)*video

51.制服美少女 先生あたしを抱いて(高原秀和)

52.花と蛇(石井隆)*video

53.美少女図鑑 汚された制服(竹洞哲也)

54.痴漢電車 誘惑のよがり声(池島ゆたか)

55.盲獣 vs 一寸法師(石井輝男)*video

56.紀雄の部屋(深川栄洋)*video

57.ずべ公同級生(本田隆一)*video

58.官能の館 人妻昇天(橋口卓明)

59.憧れの家庭教師 汚された純白(吉行由実)

60.便利屋家政婦 鍵の穴から(山内大輔)

2004年の日本映画の状況をもっとも的確に言い表していると思うのは、瀬々敬久が「エロス番長」シリーズのアジビラ チラシに寄せた次の一文である。少し長くなるが引用する >[ DVカメラとパソコン編集は映画作りを大きく変えた──誰もが言う。何が変わったか、吉野家から牛丼は消えたがそれでも安い、まさに安い。そうして日本製の映画は「億を超える作品」と「一千万円以下の作品」に分かれてしまった。その間はほぼない。だからかつてのように3〜5千万円のVシネマや映画で新しい才能が現われることもない。言わばCNNとアルジャーラしか放送局のない地球の住人だ。ならば、ぼくらはアルジャーラを目指す。戦争の虐待を暴き、死体を映し、良識と心の検閲に対抗し、真の自由を探る。裸体を曝す戦友たちと共に、エロスの旗を振り翳し、侵攻する。カメラはもう神じゃない。ちっぽけなDVカメラは何処だって行き、切り開く。(中略)メンバーは交替可能、幾万の志ある有象無象であればいい。ゼロから出なおせ。] ● その結果として起こったのが、一般映画の下のほうとピンク映画の境界線の消失である。ピンク映画の予算が増えたのではなくて、一般映画の予算がどんどんどんどん降りてきて、ついにはピンク映画と大差ないレベルになってしまったのだ。ピンク映画の「3日撮り300万円」と、ビデオ撮り映画の「5日撮り500万円」では、プロダクション規模としてはほぼ一緒である。ピンク映画はフィルム現像代が余分にかかり、ビデオ撮り映画は(それなりの知名度の俳優を使うので)人件費がピンクよりかかる。ほぼそれだけの違いだ。 ● 「CNN 対 アルジャーラ」という対立軸とはまた別なのだが、ここにあげた60本からアニメの3本を除いた57本中(予算の大小はあるが)ビデオ撮りと思われる作品(*video)は27本。すべてフィルム撮りであるピンク映画を除外すると、なんと43本中、27本がビデオ撮りというおそるべき現状である。正確な統計をとる術はないが、おそらく全製作本数の内訳も同じような比率なのではないか。いまや日本映画はフィルムよりもビデオで撮られる作品のほうが多いのである。 いいのかそれで? ● 金がないから最初にフィルム現像費をカットする。それで切り詰めたものは「製作費」ではない。作品の内実そのものである。実際、ここにあげた作品の中でおれが「ビデオ撮りにして正解」と感じたのは、ビデオ画質の適性と物語を一致させた「稀人」1本きりで、あとの24本はフィルム撮影したほうが絶対に映画の内容にあっている作品ばかりなのである。ビデオ画質を逆手に取った色彩表現を行った「下妻物語」だって、キッチュな多重特撮がウリの「キューティーハニー」だってフィルム撮影(したデータをスキャンしてデジタル合成した後にフィルムレコーディング)する予算があるなら絶対にフィルム撮影すべきだし、フィルムカメラより高品質の自家製ビデオカメラで撮影したと豪語する「花とアリス」だって、絶対にフィルム撮影したほうが美しいはずなのだ。 ※公平を期すためにビデオ撮りのベストをあげておくと、斉藤幸一カメラマンがHDビデオで撮影した「青い車」は肌や髪の毛の表現、色の出かた、直射日光下での撮影などフィルム画質にかなり肉薄していたと思う。 ● じつは現状のフィルム上映の映画館で「フィルム撮影されたものとほぼ同等の品質」をビデオ撮りで実現しようとすると「HDビデオ撮りして(コンピュータ上で編集して原版を完成させてから)ネガ・フィルムに1コマずつ、つまり2時間の映画なら172,800コマをレコーディング」することが必要になり、最初っからフィルムで撮るのとたいして変わらない費用がかかるとも聞く。それにもかかわらずビデオ撮りが横行するのは「製作費が切り詰められて、そのうえDVDのマスタリング費用が安くつくんだから、上映時の品質が劣ってもかまわない」と考えているプロデューサーがそれだけ沢山いるということだ。我々はビデオ撮影されたピントの甘いフィルムを映画館で観せられる度に、そのことを忘れてはならない。 ● なお、井口昇「恋する幼虫」は2003年のリストにランクインしているので本年度には含まれない。


worst movie of the decade

1.デビルマン(那須博之)

この1本に較べれば、ほかの日本映画および外国映画の星1つの作品など、ただ単に「出来の悪い映画」であったり「ちょっとムカついた映画」でしかない。