さてこのマーロン・ブランドのようにでっぷりと肥えた老人スウィード・ソーンソン(マーロン・ブランド)には、目の中に入れても痛くないほど可愛がっている高校生の孫娘、それも双子のリブとインガがいた。ある朝、その2人が“あたしたち2人とも妊娠しちゃったの”とユニゾンで言いだす。なんという事を!おまえたちをかどわかしてレイプした悪魔のような男はどこのどいつだ!わしが成敗してくれる!−−ちがうのよ、お爺ちゃん、私たち愛し合ってるの!

というわけで苦虫をかみつぶしたような顔の老人の立ち会いのもとダブル結婚式。ひとときの火遊びのつもりが妊娠をたてに(あわれクモの巣にからみとられたハエと蚊のように)娘たちと結婚するはめとなったのは、どちらも典型的なホワイト・トラッシュ。リブの相手は町外れのトレーラーハウスに住む(さっぱり仕事のない)牽引トラックの運転手バド(チャーリー・シーン)。インガの相手は、しけたドライブ・インのコックをしている中年男ラリー(トーマス・ハーデン・チャーチ)。バドは頭の悪いチンピラで、ラリーは頭の悪い臆病者である。しかもラリーにいたってはインガの妊娠はまっかな嘘、とりあえずリブと一緒に結婚式をあげるための口実だったりする。

ところでこの老人は州立刑務所の悪名高き所長である。気に入らない囚人をそそのかして脱走させては背中から撃ち殺すともっぱらの噂だ。この刑務所長の内定をすすめているのがFBIの美人捜査官カレン・ポラスキー(やっと出てきた、ミラ・ソルヴィーノ)。カレンは地元出身で父親は地方裁判所の判事なのだが、このおっさんがドナルド・サザーランドだから、とーぜん悪徳判事でソーンソン所長のいいなりである。

さて、結婚式をあげてしばらくはそれぞれの家でウサギのようにセックスにはげんだ若夫婦だったが、生まれてこのかたずっと一緒だった双子が離れて暮らすのは堪えられないの!ってことで、むりやり亭主を説得して2組とも実家で一緒に暮らすことに。これが亭主たちにとってはとんでもない地獄の始まり。毎日、高圧的な態度のクソジジイにコキ使われては、わしの家で不浄な行いは許さん!と妻とのセックスさえ禁じられる。

そんなバドにとって唯一の息抜きはラリーのドライブ・インでビールを飲むこと。ある日、そこで町のアホの自慢話を聞くことに。いわく−−おれさまは連邦政府の古札輸送列車の機関士にやとわれたんだ。カナダからアメリカまで使い古しのドル紙幣を満載して−−バドの(とゆーかチャーリー・シーンの)眉がピクリと動く。もしかしたらそれって、この地獄から脱出するためのフリーチケット?

−−というようなお話だが、もちろんバカの考える計画だから何一つ予定どおりには進まず、もがけばもがくほど泥沼にはまっていくばかり。はたしてこの低能亭主コンビに救いの日はやってくるのか!? いったいミラ・ソルヴィーノにカッコイイ見せ場はやってくるのか!? だいたいマーロン・ブランドはこんなB級映画に出てる場合か!? やっぱり裁判費用のためなのか!?

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