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thEatricals2003.11.21
演劇弁当猫ニャー 秋の番外公演
演劇「RUNAWAY TO THE VICTORY」
人形劇「木村の親の大冒険」

2003/11/02 @ シアター風姿花伝
4列7番

11月2日日曜日。快晴。
初めて降りた目白駅。想像以上に立派な作りの駅でビックリ。
目的地であるシアター は駅から徒歩約20分の距離であります。
開場時間の1時間前に駅に着いた私は、ゆっくりとしたペースで駅前の通りを歩き始めました。
空は雲ひとつなく、念のためにと羽織ってきたジャンパー姿では軽く汗ばむほどです。
駅から離れるにつれ、商店の数が減っていき、周りの風景はどんどん住宅街のそれに。
突然現れた「シアター風姿花伝」というのぼりに気づかなければ、そのまま通り過ぎてしまっていたかもしれないほど住宅街の風景に溶け込んでいたのが目的地であります。
マンションの2階にあって、パッと見、公民館みたいな感じです。開場にはまだ時間があったので、向かいの中華料理屋に入って時間をつぶすことに。味はまあまあでしたが、あまりに無愛想な店員に少々気分を損ねたり。

開場時間の時点で待っている人は約10人。劇場の入り口の位置が少々変わっていて、階段を上って、上って、降りたところにあるので、待っている間は階段に座ることができます。まあ数人程度ですが。
雛壇上に13人×7列で椅子が並べられた小さな劇場。人形劇があるので前の方へどうぞという案内がありましたが、座高の高い私が前に行ってもお邪魔になると思いましたので4列目のど真ん中に着席。
客層は珍しく性別問わずに1人のお客さんが多かったです。そこにカップルがパラパラと。2組ほどご年配のご婦人がいらっしゃいました。男女比はほぼ半々。客入りは開演時で4列目までほぼ満席。後ろ3列にはポツポツと、といった感じでした。

●パンフレット
物販はありませんでした。

●セット
6畳ほどのスペースに3脚のパイプ椅子と長机が1つ。その横には事務机がおかれていて、その上には電話が1台とノートパソコン。長机の後ろにはホワイトボード。舞台右手には階段。左手と中央に出入り口。
ともかく狭い部屋の一室といった印象です。

●ストーリー
『RUNAWAY TO THE VICTORY』
舞台は近未来。アンドロイドと人類との戦争は混迷を極めていた。しかし、形勢は明らかに人類が不利。何せこの地球上には人類は100人ほどしか残されていないのだ。
舞台はそんなアンドロイドと戦いを続けている第二機動部隊の基地。隊長(久保貫太郎)は本部に連絡をしようとするが、電話は全く通じない。戦局はかなり厳しいようだ。そこへ傷を負ったタケル(ブルースカイ)が基地へ帰還。タケルは放射能に汚染されていた。慌てて治療を施す面々。しかし傷口を縫合する糸がなく、これ以上の治療ができないと頭を抱える。そこに新たにこの第二機動部隊へと配属されたタケシ(高木康寿)が登場。迅速な指示で見事タケルの治療を成功させた。
よかったよかったと喜んでいるところにけたたましいサイレン音が。戦闘体制発令を知らせるサイレンだ。後方支援を行うべく、急いで配置につく第二機動部隊の面々。早速の戦闘に胸を高鳴らせるタケシ。しかし隊員たちは机に座って大量の衣類を扱い始めた。ポイントパーマ(咲野雅司)は手馴れた手つきでアイロンを操り、タケルは衣類についたシミを取る。マドカ(藻田るりこ)はネットに衣類を入れながら洗濯時の分別。そして隊長はビニール袋に衣類を納めていく。
そう、この第二機動部隊は戦闘服のクリーニングをする部隊なのであった。部隊の実態を知り愕然とするタケシ。そこへ第一機動部隊の隊長であるクサカベ(荒井タカシ)が現れる。クサカベは過去へと戻り、先発部隊に伝令をして欲しいという任務を持ってきた。しかし現代へと再び戻ってこれる保証はなく、しかも過去に向かうときは素っ裸にならなければならないということを聞いて尻込みをする第二機動部隊の面々。ならば自分がと志願をするタケシだが、クサカベはエリートとして入隊したタケシがこのようなくだらない任務で犬死する必要はないと諭す。この言葉でクサカベに反感を持ったタケシは一気に第二機動部隊の面々と親交を深めていった。
ある日、元第二機動部隊の一員だったツバサ(細川洋平)が特殊任務を背負って、深夜の第二機動部隊詰所へとやってくる。彼の特殊任務、それは人類と敵対しているアンドロイドの人工知能を開発した人物を見つけ出すこと。しかしその目的の人物は身近な場所に存在していた。
いくつかの謎が一気に解決される6分間。そして、人類とアンドロイドとの間に開かれた未来は存在しうるのか?!

人形劇『木村の親の大冒険』
息子が自殺してしまった木村の親。自殺の裏には学校内でのいじめがあったようだ。しかし学校の校長と教頭はその事実を隠蔽。木村の親はその真相を突き止めるべく冒険の旅に出るのだった。一方それを知った教頭は、木村の親を倒すべく魔人の復活を企てる。
いくつもの出会いと別れ。徐々に明かされていく自殺の真相。そして魔人との戦い。木村の親の大冒険の結末は?

●感想
上演時間は『RUNAWAY〜』が90分(14:00〜15:30)、出演者自らの舞台転換が約10分あり、人形劇が40分(15:40〜16:20)で合わせて2時間10分。
演劇の方は、一応SFラブストーリーと言っていいのでしょうか。
バックグラウンドストーリーはとりあえず壮大──ていうか映画「ターミネーター」そのままですが──要所要所で流されるBGMもやけに荘厳だったり、軽快だったり、ブルーハーツだったり。なんだけど、目の前で繰り広げられるストーリーは不真面目一辺倒。
人形劇の方も観客の思いを裏切りつづけるかな毒気の強いお馬鹿な内容。笑いという点では前者に劣っていましたが、あの何ともいえない脱力っぷりは見る価値があった気がします。
本公演じゃやりずらい下ネタも無駄に満載で、その方面が決して嫌いではない私の顔はにやけっぱなし。こんな作品ばかりでもどうなのかとは思いますが、数回に1回ぐらいのペースでこんなバカ芝居を続けていって欲しいと思いました。

●役者
久保貫太郎さん。お尻を出しての熱演お見事でした。無駄に熱いお芝居は今回の狭い小屋では少々不完全燃焼だったかもしれません。
咲野雅司さん。ちょっとお寒い演劇の幕引き役お見事でした。6分間でストーリーを説明する部分は見ている方も疲れる熱演だったと思います。今作のMVPですね。
ブルースカイさん。髪を振り乱してのダンスお見事でした。脚本や演出に比べれば実にあっさりとしたテイストの演技はちょっと意外でありました。
高木康寿さん。見事な死に様お見事でした。今回の演劇ではいいアクセントになっていたと思います。
藻田るりこさん。アレを口に頬張る仕草が見事でした。いや、嬉しくないか。ところどころでものすごく目を引く演技をしていたのが印象的でした。
荒井タカシさん。1人片意地の張った演技お見事でした。でも愛との2人のシーンはもう少し大げさにバカをやって欲しかった気もしました。
細川洋平さん。ギターの弾き語りお見事でした。今ひとつ地味な役どころだったせいかもしれませんが、ちょっと中途半端な印象を受けました。
乙井順さん。地味においしい役どころお見事でした。人形劇でつくづく感じたんですが、声優としても能力高そうです。あと、ふとしたところで突然顔の印象が変わるのはさすが女優さんだと感心してみたり。


たまには下ネタ毒ネタ盛り合わせ ★★★★☆


− 公演データ −

演劇弁当猫ニャー 秋の番外公演
演劇「RUNAWAY TO THE VICTORY」
人形劇「木村の親の大冒険」

2003/10/31〜2003/11/03@シアター風姿花伝
全席自由 前売2500円 当日2800円

- STAFF -
「RUNAWAY TO THE VICTORY」
作・演出:演劇弁当猫ニャー
人形劇「木村の親の大冒険」
作・演出:ブルースカイ
舞台美術:秋山光洋 音響:会沢みゆき 照明:山口功一 音響協力:鏑木知宏
制作:笠原直樹ほか 製作:管理事務所 助成:財団法人セゾン文化財団

- CAST -
咲野雅司/久保貫太郎/高木康寿/藻田るりこ
荒井タカシ/細川洋平/乙井順
ブルースカイ
 

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