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thEatricals2003.07.02
小林賢太郎プロデュース公演
「Sweet7」

2003/06/28 @ 本多劇場
K列6番

6月28日土曜日。
今週も先週と同様にギリギリまで寝ていましたところ、劇場に着いたのは開演ちょうどの時間でありました。まあ、結果的に5分ほど開演が遅れましたので問題はなかったんですけども。
ていうか、前に下北沢に来た時も駅から劇場まで走った記憶があるんだよなぁ。

さて、今回はラーメンズの小林賢太郎さんがプロデュースする演劇公演「Sweet7」であります。
このプロデュース公演は今年で2回目。
1回目は去年の8月にアートスフィアで「good day house」という作品を公演しています。
私はこれも見たのですが、率直な感想としては、やっぱりラーメンズ単体の方が面白いなぁというものでした。
演劇とコントとの間に位置するような中途半端な印象があったんです。
まあ、あまり演劇を見慣れていない頃でもありましたので、そういう印象を抱いたのかもしれません。
かといって、今では十分演劇を見慣れたのかと聞かれると沈黙で返すしかないのですが。
劇場は本多劇場。
ラーメンズのライブ「CLASSIC」同様、女性客がほとんどです。
男性は女性の付き添いといった感じで、私のように男1人というのはなかなか珍しいようです。
いい加減、こんな状況にも慣れてきましたが。

深夜。老舗のケーキ屋「七日堂」の厨房で、パティシエのジャクズレ(片桐仁)はやたらと長い棒状の物体の長さをしきりに計っている。そこに知り合いの牛乳屋(小林賢太郎)が生クリームを持ってやって来た。ジャクズレに急遽頼まれて、こんな時間だというのに持ってきてくれたのだ。
ジャクズレがこんな時間まで作業をしているのには訳があった。最近「七日堂」の経営状態が芳しくないのだ。それは商店街の中央に位置する人気店「ル・パティシエ・サメジマ」の存在が大きい。このままではいけないとオーナーのヒロミ(森谷ふみ)は、店を建て直すためにあるプランを立てた。それは1週間店を休み、その間に新人を1人雇い店のトップパティシエであるモウリ(犬飼若浩)のアシンスタントにつけることで作業効率をあげることと、パティシエ各自が新たな創作ケーキを作り出し品揃えを豊富にするという2点だ。しかし、それだけでは心もとないと考えたジャクズレと先代の時代から店で働いているアライ(久ヶ沢徹)はギネスに載るようなケーキを作ることで話題になろうと考える。ジャクズレはそのための世界一長いロールケーキを作ろうとしていたのだ。ただ、芯は発砲スチロールというニセモノケーキなのだが。
翌日。当然、そんな食べられないケーキがギネスに認定されることもなく作戦は失敗。アライとジャクズレは別のアイディアを考えていた。しかし出てくるアイディアはどれもどこかケーキ屋からは1本ずれたもの。というのも当然で、アライはかれこれ20年近くケーキを作っておらず、ジャクズレにいたっては食べられるもの以外なら何でも作れるというのが特技だと言い切るような男なのだ。
唯一まともなケーキを作るモウリに、助手として予定通り1人の新人が雇われた。専門学校に通う彼の名前はセコム(野村知広)。求人広告に掲載されたモウリの輝かしい海外での受賞歴に憧れて申し込んできたのだ。しかしその受賞歴はヒロミが考えた嘘の話。それを知ったセコムは店を辞めようとするが、入店の際に交わした契約書のせいで、仕方なく店に残ることを決める。
メンバーが集まり、さっそく新しいケーキの開発をしようと意気込む面々だが、突然ライバル店のオーナーサメジマ(西田征史)が謎の男ムロオカ(室岡悟)を連れてモウリを引き抜こうと画策したり、セコムの母(平田敦子)がやってきたりと、なかなか思うように計画が進まない。当初の予定の7日間はどんどんと過ぎていって……「七日堂」は経営危機を乗り越えられるのだろうか?

予想以上に長かったことにまずビックリ。
慌てて劇場に入ったせいもあって、上映時間を知らなかったこともあるのですが、途中で休憩が入るほどだとは思いませんでした。
ちなみに上演時間は休憩時間10分をはさんで約2時間40分。
前作「good day house」よりも「演劇」になっていたのはよかったです。
ラーメンズのライブには「笑い」という面では勝てないのは分かっていたので、純粋に「演劇」として楽しむことが出来ました。
ストーリーは割とオーソドックスな内容で、大きな裏切りもなく見やすかったです。
今回はセットもしっかりとしたものだったので(厨房機器は本物を使用していましたし、水道からはちゃんと水が出る徹底振り)、演出にリアリティを感じさせました。だからこそ、ありえないキャラクター設定もすんなりと受け入れられました。このあたりは前作よりも向上していると思います。
また、そのキャラクター群も役者さんの個性に合っていた気がします。
何より退屈したシーンが少なかったです。
2時間半という長丁場でここまで見せることが出来たのは素直に凄いと思います。
次回が素直に楽しみだと思える公演でしたね。

小林賢太郎さん。出番少ないながらも、やっぱり存在感あり。1人皆とは違うことをしているエンディングが唯一の見せ場なのかしら?
片桐仁さん。明確なツッコミ役がいないので、1人でボケてツッこんでと八面六臂の大活躍。大好きです。
久ヶ沢徹さん。今回片桐さんとコンビを組んだわけですが、さほど違和感は感じませんでした。豪快なキャラクターは外見の印象にもあっていました。ただ台詞を忘れるのはどうなのかしら?
平田敦子さん。役どころがピッタリだと感じたのはこの方ですね。体格だけに捕らわれない存在感を見せつけていたと思います。他の演劇とのかけもちの関係もあって出番はさほど多くなかったのが残念。
犬飼若浩さん。演技が一番うまかったのはこの方だと思います。場面場面で自分の存在を出したり消したり、また見えないところでの演技もしっかりされていて、卒がないといった感じでしょうか。ただ、前半と後半で全然キャラクターが違うのは脚本のせいとはいえ、ちょっと違和感あり。
野村知広さん。役どころ的に名前負けしてしまってあまりおいしくなかったと思うのですが、嫌味のない演技は好印象でした。
西田征史さん。犬飼さんと同様に前半と後半ではキャラクターが変わっていますが、さほど嫌味には見えなかったですね。まあ、突っ込む個所がなかったわけじゃないですが、回りに助けられていたような。
室岡悟さん。「good day house」同様、ズルイです。ただ、キャラ設定までほとんど一緒だったのはどうなのでしょうか? 個人的にはあまり笑えませんでした。もう1癖2癖あってもいいと思います。今後もエンディング後のナレーションは室岡さんが担当するのかしら?
森谷ふみさん。「good day house」の時よりもよかったと思います。あまり悪ふざけがなかったのもあるのかな。さっぱりとした役どころがあってますよね。でもあえて暗い役どころも見てみたい。


ある意味正当派なコメディかも ★★★★☆


− 公演データ −

小林賢太郎プロデュース公演
「Sweet7」

2003/06/27〜2003/07/06@本多劇場
2003/07/10〜2003/07/13@近鉄小劇場(大阪)
全席指定 前売4000円 当日4500円

- STAFF -
作・演出:小林賢太郎【ラーメンズ】
舞台監督:野口毅 舞台監督助手:安田美和子、埋橋真理、松嵜耕治
照明プランナー:大迫浩二 照明オペレーター:岩崎美緒
音響:寺澤信 音楽:anonimass
スタイリスト:伊賀大介 スタイリスト助手:杉山真由美
舞台美術:NIELSEN 演出補:豊田竜太
フライヤーデザイン:good design company
製作:須山裕之、稲葉哲也
主催:テゥインクル・コーポレーション、産経新聞社事業局

- CAST -
小林賢太郎【ラーメンズ】/片桐仁【ラーメンズ】
久ヶ沢徹【サモ・アリナンズ】/平田敦子/犬飼若浩
野村知広【TIMELAG】/西田征史【鼻ギター】/室岡悟/森谷ふみ
 

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