m a k e s h i F t
thEatricals2003.06.24
G2プロデュース 第6回公演
「ゴーストライター」

2003/06/22 @ 紀伊国屋ホール
F列14番

6月22日日曜日。
前日の夜、「さかつく3」にはまり、寝たのが5時過ぎ。
目が覚めたら1時を回っていたので、慌てて支度をして家を飛び出す。新宿には開演15分前に着いたので、そのまま立ち食い蕎麦屋に飛び込み、5分で昼食終了。
紀伊国屋書店の新しく出来たエスカレーターを使って4階へ。
急いでパンフレットを買って、座席に着いた瞬間、鳴り響くブザー音。ぎりぎりセーフ。
何か最近こんなのばっか。

割とG2プロデュース作品を見ている私でありますが、純粋なG2プロデュース公演はこれが初めてであります。
今作は関西圏で人気を集める曲者役者を揃えたということで、ほとんどが未見の役者さんであります。
関西特有のパワフルある演技を期待しての観劇でありました。

役者をやってはいるものの、それだけでは食べていけないので喫茶店でバイトをしていた宮本洋輔(三上市朗)はバイト先で忘れ物を見つける。その忘れ物の中身は脚本。読んでみると予想以上に面白い。持ち主である市ノ瀬佳奈(武藤陶子)に脚本を返し、賞に出してみればいいと薦めるが、恥ずかしいと言って佳奈はただ首を振るばかり。それならば俺の名前を貸してやると洋輔。佳奈も渋々了解する。そして作品は見事に大賞を獲得。その脚本に見惚れたプロデューサー磯野(楠見薫)はすぐさまその脚本を映画化。度重なる脚本の修正も、佳奈がこっそり修正することで回避。こうして完成した映画は大成功。程なく、大手電話会社NNTの依頼を受けた広告代理店の栢木(川下大洋)は、磯野を通じて、宮本へ脚本を依頼。当初、断るつもりだった宮本だが、その作品で役者としても使ってもらえるという話に乗り、承諾してしまう。当然、洋輔に脚本が書けるわけもなく、ロケ地となった上海に佳奈を呼び出し、書いてもらうことに。洋輔に淡い思いを抱いている佳奈は喜んで快諾するが、洋輔は最初の作品で知り合った女優の菜津子(松下好)に熱をあげる毎日を送っていた。佳奈のがんばりで何とか脚本は出来上がるものの、そのたび脚本会議ではクライアントの都合のみを押し付けようとする栢木に、主演の大女優のわがままを伝えるマネージャー壇ノ浦(瀬戸中基良)、おまけに映画関係者でもないのに何かと駄目出しをする堂島(関秀人)と、手を入れても手を入れても完成にこぎつけない。佳奈はそんな無茶な注文にも必死に答えて、何度となく書き直しを続ける。しかしそんな佳奈には、洋輔にも言えない秘密を持っていた。実は彼女は本当のゴースト(幽霊)だったのだ。ゴーストなのに脚本が書けるのは、クラブ歌手のチャン(コング桑田)の不思議な歌のおかげなのだが、そこに悪魔払いが特技という香港スタージャッキー横山(腹筋善之介)や、市ノ瀬にしか見えない不思議な男(久保田浩)などが絡んできて、話は混迷を極めていく。無事脚本は書きあがるのだろうか?

面白いことは面白いんだけど、うーん。
一応、上のあらすじではきちんと時系列に沿って書いてるんですけど、実際の舞台では時系列はバラバラでありまして、非常にごちゃごちゃしておりました。ちょっと分かりづらいのであります。
舞台の奥行きを使ったり、クライマックスでの演出なんかは見事だなと思うんですけど、何かが物足りない印象。
何が足りないんだろう?
役者さんについては後述するとしても、キャラクターの位置付けはちょっと微妙と思うのもあり。
やっぱり、ストーリーなのかな。
この作品では、元々あった脚本にどんどん手を入れられ、最終稿では当初のラブロマンス部分が隅に追いやられてしまいます。つまり、元々核だった部分が外されるのですが、その代わりの核が出来たのかとそれもちょっと微妙だったり。
これがこの作品にも言えるのかもしれません。
一応メインは洋輔、佳奈、菜津子の三角関係だと思うんですけど、そこにサスペンスやコメディが複雑に混ざりこみすぎて、核がぼやけてしまってます。
終わりまで見て、結果的に何が言いたかったんだろう? と疑問符しか浮かばないんですよね。
まあ、多分これが言いたかったんだろうなというメッセージは当然あるんですけど、うまく伝わってこなかった。
本来あのエンディングなら、もう少し感動できたはずなんですよね。感動屋の私としては。
しかし、それほど感動できなかった。
それが感想の全てなのかもしれません。
蛇足ながら、恒例なのかもしれませんが、久保田さんと腹筋さんのバトルは邪魔だった気がします。あと、ラストシーン前の宮本、市ノ瀬が抱擁した後のやり取りも邪魔だったと思います。こういう、邪魔なシーンが印象を薄めちゃったんじゃないかなぁ。

三上さん。濃いキャラクターの多い中、キャラクター芝居をしない自然体の演技が光ってました。
武藤さん。恋する引っ込み思案な乙女を全身使っての熱演。丁寧な演技は見ていて好感が持てました。だからこそ上にも書いたラストシーン前がいらなかった。最初のキャラクターのまんま行って欲しかったです。でも、やっぱり彼女が今作のMVPかな。
関さん。典型的なキザ男を演じきっていました。動きよりも表情や口調が印象的です。もっとアクの強いキャラクターでもよかったかも。
久保田さん。オープニングで一気に引き込まれました。飄々としつつも、1本筋の通ったキャラクターは可愛らしくもあり、鬱陶しくもあり。ちょっと台詞、噛みすぎ。
コングさん。確かに歌は上手。でも、今作ではそれだけの感じ。せっかくの存在感も単なるBGMではもったいない。
松下さん。美人なんだけど、妖艶じゃない。面食いないつもの私ならキャーキャー言ってそうなんですけど、これだけの役者さんが揃ってしまうと見劣りしてしまいました。キャラクターに合っていなかったのが大きいです。
川下さん。嫌なクライアントを楽しそうに演じていました。こういうキャラクターって本当にいるからむかつくんですよねぇ。
楠見さん。男前なプロデューサーを嫌味なく演じていました。あえて癖を押さえていたのかな?
腹筋さん。面白いキャラクターなんですけど、この芝居に必要だったのかといえばちょっと微妙。笑いを取らない演技を見てみたい。
山田さん。最初見たときお笑いコンビ「号泣」の島田さんかと思いました。淡々とした演技も妙に似ていて、ずーっとそのキャラクターのフィルターを通して見てました。悪くないです。
瀬戸中さん。間の悪い役柄ということで、あえてやっていたんだとは思いますが、ちょっとやり過ぎ感は否めないです。見ている方までイライラさせる必要はないと思います。


観劇後の清涼感が乏しい感じ ★★★☆☆


− 公演データ −

G2プロデュース#6
「ゴーストライター」

2003/06/08〜2003/06/15@近鉄小劇場(大阪)
全席指定 前売・当日 A席6500円 B席4500円 ベンチシート6000円
2003/06/18〜2003/06/29@紀伊国屋ホール
全席指定 前売4500円 当日4800円

- STAFF -
作・演出:G2
美術:綿谷登  照明:倉本泰史
音楽:佐藤史朗 音響:内藤勝博
衣裳:名村多美子 大道具:浦野正之
舞台監督:木村力 演出助手:野玲
脚本協力:丸山啓吾、三上市朗、miyou、がっしゃん、川村公一
宣伝美術:黒田武志 宣伝写真:秋丸敏哉
スタイリスト:山上仁豊子 宣伝協力:久保克司
パンフレット編集:村上美香 Web:川村公一、酒井元舟
製作:尾崎裕子、宮崎由美、千葉博実、藤田早苗
プロデューサー:大西規世子 製作総指揮:G2
主催・製作 ジーツープロデュース

- CAST -
三上市朗【劇団M.O.P.】/関秀人【立身出世劇場】/久保田浩【遊気舎】
コング桑田【リリパット・アーミーII】/腹筋善之介【IQ5000】
山田かつろう【売込隊ビーム】/瀬戸中基良【ヨーロッパ企画】
楠見薫/武藤陶子【TEAM 発砲・B・ZIN】/松下好/川下大洋 【Piper】
 

loG  toP