m a k e s h i F t
thEatricals2003.04.08
ラーメンズ 第13回公演
「CLASSIC」

2003/04/05 @ 本多劇場



4月5日、土曜日。
空は生憎の雨模様。私の心も雨模様。(パチスロに負けて)
ラーメンズは私が好きな芸人の一組です。
彼らとのはじめての出会いはNHKでオンエアされている「爆笑オンエアバトル」でした。
コントでありながら、今まであった概念をことごとく無視した作品作り。明らかに一般向けではないネタに非常に感銘を覚えたのです。
シュールな面を見せつつも、ベタなところも攻めていく。ストーリーは一見明解、簡潔で観客者の入り込む隙間がないようで、実は観客にストーリーを委ねる柔軟さも持ち合わせている。まあ笑いの内容を説明するのは難しいので、私も何書いてるのかよく分かりません。先へ進みましょう。
舞台は下北沢の本多劇場。
下北沢には何度か来たことがありますが、駅前はごちゃごちゃしていて、よく迷子になります。
若者向けのお店が建ち並ぶ中、劇場もいくつかあります。どれも行ったことはありませんが。
というわけで本多劇場も初めて行きました。ネット上で場所を検索すると駅のすぐそばの様子。
これなら迷うこともないだろうと、少々お散歩時間も含めて会場1時間前に下北沢へと向かいました。
雨だというのに、人の数はいつもとさほど変わりはありません。
とりあえず、劇場の場所を押さえておこうと、傘を片手に劇場を探します。
えーと、迷子になりました。
結果20分ほど歩き回った上に、コンビニで地図を見てようやくたどり着けました。
ネット上の地図は当てになりません。覚えておきましょう。
客層は女性が多いですね。ただ、若い人だけかと思ったら、意外とご年配の方もいたりして。
席がちょっと狭かったので、図体のでかい僕には窮屈でありました。


以下はコントの内容の完全なネタバレです。
会話の内容は、メモに取ったものから起こしなおしましたが、言葉回しやニュアンスなどはオリジナルとは違うとことが多々あります。また完全に再現したものではないので、雰囲気を掴み取っていただければ、程度に考えてください。
ちなみに会話文が青いのは小林さん赤いのが片桐さんの台詞です。


1.ベルボーイの革命
老舗ホテル「テイオウカクホテル」の入り口に立つ2人のベルボーイ。
「結局さ、儲かってるところにはなにかあるってことさ」
「でもさ、特に何もやってない帝国、オークラ、ニューオータニは?」
「おい、呼び捨てはやめろ。そりゃ御三家さんはいいよ。伝統と格式のブランドがあるからな」
「このホテルだって切手になったことあるんでしょ?」
「100年も前の話だ。今じゃ弱小クラシックホテル。お前、新御三家は知ってるか?」
「ウェスティン、フォーシーズン、パークハイアット」
「だから、呼び捨てにするな。『ホテイチ』って知ってるか? デパチカに対抗してホテルの1階でシェフの料理をふるまう」
「でも二番煎じは、どうかな?」
「再建を目指すなら革命を起こさなきゃ」
息巻く先輩ベルボーイ。
「でも僕たちベルボーイに何ができる?」
不安顔の後輩ベルボーイ。
「ベルボーイだからできる革命もあるんだ。まずベルボーイをやめる」
「何になるの? ポーター?」
「違う。仲居!」
「やった!」
「旅館は、この不景気なのに儲かっているらしいからな。女将もつける!」
「すっげ、バナナみたいだ」
「あのシャンデリアも全部提灯に変える。噴水のライオンも獅子舞いに変えちゃおう。お前獅子舞持ってただろう」
「うん。明日もってくる」
そこにお客様が。
いつもの通りお客様を入り口へと先導する後輩ベルボーイ。お客様を見送った後、先輩は必死に目配せをする。
それに気づいた後輩、床に正座をし、三つ指をついて「ごゆっくりおくつろぎくださいませ」と頭を下げる。そして、自動ドアなのにふすまを閉める手つき。
「どうだ?」
「分からないけど何か新しい感じがする」
興奮する2人。
「コンパニオンも芸者にする。ところで、芸者ってそもそも何?」
「踊ったりする人じゃないの?」
「何を踊るんだ?」
「芸者ダンス?」
「『芸者ダンス』って言うと芸者の絵が描いてあるタンスのことだろ」
「あ、そうか」
「芸者遊びは?」
「芸者立たせて輪投げとかするんじゃないの?」
「だから、ベルボーイとかドアボーイとかも『ベル太夫』『ドア太夫』にしてだな……」
そこに別のお客様が。
今度は先輩がお客様を入り口へと誘導する。後輩が必死に先輩へ目配せ。
気づいた先輩。「テイオーカクホテルへおいでやす。ごゆるりとお遊びおすえ」と着物の袖を振る真似をしながら、踊りを舞う。
「あとは露天風呂だな」
「でも露天風呂のあるホテルもあるよね」
「露天風呂といえば、何だ」
「猿」
「じゃあ、猿はやめて犬とかにするか。お盆浮かせてジグソーパズルやって雨降って台無し、ダメだ」
「そもそも露天風呂の定義って何だろう?」
「外風呂」
「外風呂って言っちゃうと40代が読む素敵っぽい雑誌みたいじゃないか」
「そうか、外風呂って言っちゃうと40代が読む素敵っぽい雑誌みたいだよな」
「そうだよ、外風呂って言っちゃうと40代が読む素敵っぽい雑誌みたいじゃないか」
「そうだ、呼び方を変えよう。『ダイヨクジョウ(大浴場)』ってどんなイメージ?」
「大いなる性欲」
「だめだ」
「じゃあ、銭湯は?」
「せめて『なんとか湯』じゃないと」
「『そば湯』は?」
「いいねぇ」
「あんまりつかりすぎるとのびますよ」
「うまい」
「脱衣所の浴衣とかを脱いだ横にざる、ザル! が置いてあって、その上に浴衣をちょこんと載せてそばちょこん、そばちょこ……」
「無理すんな。あと、外人客を喜ばすために忍者使って床、壁、天井とアクロバティックに風呂掃除をさせよう」
「怪我人が出そうだな」
「サルティンバンコを雇えばわけないよ。お湯に浮いているゴミを箸を使ってバンジーで取る」
「できるのかなぁ」
「わけねえよ! サルティンバンコをなめるなよ。お前も何か案を出せよ」
「じゃあ、ハイ!」
「はい、小遊三さん」
「え〜、違う人がいい」
「じゃあ、好楽さん」
「やったー。露天風呂っていうと泳ぐ人がいるじゃない。だからいっそのこと、泳いでOKのお風呂を作ったらどうだろう」
「おお」
「他の人とぶつかると危ないからロープで仕切って、岩もゴツゴツして危ないから平らにして、で、泳いで汗をかくからお湯の温度も低めに設定して」
「いいアイディアだが、それは温水プールだな」
素晴らしいアイディアに俄かに活気付く2人。
そこへコンシュルジュが現れる。
「あ、コンシェルジュ、お疲れさまです。え? お客様がロビーで踊るホテルマンを見た? さあ、気がつきませんでしたけど。先輩見ましたか」
「いや、気のせいではないでしょうか」
その言葉にコンシュルジュが立ち去る。その後姿を見ながら先輩は毒づく。
「頭堅てーんだよ オジサンは!」
「これから革命が起ころうっていうのによ」
「今に見てろ。このテイオウカクホテルを超有名にして世界の要人を呼んでやるんだ。それで、マライアあたりが気に入ってテーマソングを歌うんだ。『テイオ〜カ〜クホテル〜♪』ってな」
「日本語だね」
「あたり前だろ。俺が作詞するんだから」
調子に乗った先輩は振り付きで歌い出す。
そこに再びコンシュルジュが登場。踊りを教わりたい様子。
揚々と振り付けを教える先輩。
「脇を締めろ! 脇を!」


上の会話では抜かしていますけど、同じ台詞をお互いに何度も言い合うパターンが随所に出てきました。で、最後は小林がやや巻き舌で言う。ラーメンズの人気シリーズであった「日本語講座」パターンです。この辺りのニュアンスは文章ではうまく伝えられないのが残念。


2.人気漫画家マリコマリオ
ホテルのとある部屋。
2人の男が椅子に腹ばいになっている。
しばらく動かない。
やがて1人が頭を上げる。
「ぎゅーって目を閉じて、パッと目を開けたら、目の前がハワイになってたりしないかな」
その言葉にもう1人の男もガバッと頭をあげて、はげしく賛同する。
そして2人同時に目をつぶり、やがて目を開ける。
ゆっくりと椅子から立ち上がり、ハワイの海岸はいいなという素振りを見せる2人。
しかしすぐにあるわけないと再び椅子に腹ばいになる。
「部屋中の時計の針を100回転ぐらい逆に回したら、30分ぐらい本当に時間が戻ったりしないかな」
2人は慌てて近くにあった時計の針を勢いよく戻しだす。
「どうだ、戻ったか?」
「あー! 時計の針を動かしたから、本当の時間が分からなくなってしまった」
「そうだ、ベッドに時計が!」
勢いよく時計に目を向ける2人。
もちろん時間が戻っているはずもなく、2人は落胆する。
「こうやって、ぎゅーっと小さく丸まったら」
「もういいよ」
「ブロッコリーとかにならないかな」
その言葉に反応して嬉々として一緒に丸くなる2人。
「どう、なってる?」
「なってない。俺は?」
「なっていないけど髪の毛がブロッコリーぽい」
2人は漫画家である。ペンネームはマリコマリオ。互いを「A」「F」と呼び合う2人は「オシリーマン」というマンガの執筆のためこのホテルに缶詰になっているのだ。
原稿は25ページ必要なのだが、終わっているのは下書きが2ページだけ。
おまけに締め切りまではほとんど時間が残されていなかった。
「他のマンガ家の人ってよく毎週アイディアが浮かぶな」
「例えそれが隔週でたった3ページでも2年半連載を1回も落としたことないって凄くない?」
「凄い」
「だから尊敬しなければいけないよね」
「じゃあお話し作って」
「それはないだろう。2人そろってマリコマリオなんだから」
「だってAがお話しリーダーなんだろ。俺はお絵かきリーダー」
「緊急事態だ、手伝ってくれ」
「じゃあオシリーマンがビーム出して残りのページは全部爆破シーン。ページをめくると、ドカーン、ドカーン、ドカーン……」
「却下。ところで、先週はどんな話だったっけ?」
「オシリーマンのオシリーカーが壊れて、JAF呼んで、直って、実家に帰って、お米もらって、高速で渋滞して、オシリーマンが巨大化して歩いて帰った」
「全く続けようがない話だ」
「お前が作ったんだろ」
「巨大化以外は全部実話だからな。でも今週は1週間ホテルに缶詰になっているだろ。大したエピソードはないし」
「じゃあやっぱり全部爆破シーンだよ」
「前にそれやって怒られたじゃないか。宇宙の誕生の回」
「いい話だと思ったんだけどなぁ。ページをめくると真っ黒、真っ黒、真っ黒、……最後のページが真っ白。こうして宇宙は誕生した。オシリーマンが生まれるはるか昔の話だ」
「そりゃ巻末にもなるわ。あー、もうどうすればいいんだよ! この原稿を……あれ?」
Fが両手をヒラヒラさせながら。
「あなたたちのマンガは全部書いておきましたよ」
「妖精さん!」
「人気投票も水増ししておきましたよ。巻頭カラーも手配済み」
2人両手を繋いで笑いながらグルグルと回りだす。
「ヤッター! って、何もないよ! あとまだやっていない現実逃避は何だ?」
「オシリーマンに彼女でも作るか」
「オシリーウーマン? でも今からキャラクターデザインは無理か」
「大丈夫だよ。オシリーマンにまつ毛つけて髪の毛生やしときゃ」
「それじゃただのニセオシリーマンじゃないか」
ここで、2人同時に気づく。いっせーのーでと、声を合わせた。
「ニセオシリーマン!」
ここで編集者から電話がかかってくる。
「もしもし、お疲れさまです。原稿ですか? 完璧に出来上がってます。え?  お腹空いてるんでなんでもいいですよ。待ってまーす。あ、ブリトーがいいです。ブリトー」
電話を切るA。
「逃げるぞ。下のコンビニにいるって言うからあと15分ぐらいだ。非常階段を使って」
Fはユニットバスに入り何かを物色し始めた。
「何やってるんだよ?」
「タオルパクってく」
その言葉に慌ててユニットバスに入るA。
「お前、歯ブラシ2本はズルイぞ」
「いいじゃん。お前はこれ」
「やったー、造花だぁ、っていらねぇよ!」
「(巻き取る仕草をしながら)トイレットペーパー!」
「じゃあ俺は浴衣だ」
「おい。ちょっと待てよ。オシリーマンは子供たちのヒーローなんだぞ。絶対に裏切ったりしないんだ」
「そ、そうだったな」
「だから浴衣はやめとこ」
「分かった。ハンガーは?」
「あり!」
「バスマットは?」
「それはなしだな」
「シャワーカーテンは」
「んっと、ギリギリあり」
「基準が分からない」
「にしてもトイレットペーパーは時間かかるなぁ」
「巻き取らなきゃいいじゃん」
「おー」
暗転。


隔週で3ページ連載をしている云々のくだりは、アッパーズという雑誌で連載をしている小林さん自身のことを指しています。最初はこの台詞を言いたくなかったようですが、エンディングトークでも同じようなことを言っているので、まんざらでもないと思っていると私は勝手に考えています。


3.受験生と家庭教師
ホテルのベッドの上で独り言を話す生徒。
家庭教師は机の上で黙々とテストの採点をしている。
「俺、大学受かったら車買ってもらうんだ。で、マンションも買ってもらうんだ。仕送りは月100万貰うんだ」
「へぇ、お前今何浪だっけ」
「7浪。で、卒業したらパパの会社継ぐんだ」
「へぇ、今、何浪だっけ?」
「7浪。でね〜、女優と結婚して〜……」
「来年は?」
「8浪。って来年はねぇよ! そのためにお前にわざわざホテルにまで来てもらってるんだからな。テストはどうだ? 今回はかなり手応えあったもんね」
「2点」
「マジで?! あ、『boy』の綴りってこうかぁ」
「お前は何に手応えを感じていたんだ?」
テスト用紙を見つめながら、ふと気になる点を見つける。
「これ『ノウ』だろ。合ってるじゃん」
「ケー、エヌ、オー、ダブル(know)だな」
「待て、何だこのKは?」
「うるさい! ナイトもケー、エヌ、アイ、ジー、エイチ、ティ(knight)だ」
「だから何だこのKは」
「うるさい! 1も、オー、エヌ、イー(one)な」
「それじゃ『オネ』じゃん」
「何だ、オネって」
「山のとんがった所」
「意味が変わってくるだろ」
「ダブル、エー、エヌ(wan)」
「ローマ字じゃん」
「じゃあ、ダブル、アイ、エヌ(win)」
「それ じゃ『win』じゃん。勝つだよ」
「急上昇だよ。ウィンウィンウィンって上がって、ダーウン!」
「ちょっと合ってること言ってんじゃないよ! これも」
「合ってるだろ、アンド」
「漢字で書くな」
「安らげよ」
「意味が変わってくるだろ!」
「英語に意味なんて関係ないんだよ」
「むしろ中心だよ! ここも『a』が抜けてる。1本のペンだから『a pen』」
「これは2個だから『a』が2個」
「2は『two』だよ」
「なんでだよ 『あ! あ!』(2箇所を指差しながら)って」
「そのニュアンスを解答用紙にどう書くんだよ」
「裏に4コマで」
「却下。『two』はティ、ダブル、オー」
「お、プロレス団体みたいだな」
「お前はザ・勉強ができない奴だな」
「your welcome」
「火曜はファイヤーデイじゃないからな」
「あ、チューズデイだ」
「おっ、一応は勉強してるんだな」
「俺が考えた覚え方があるんだ。満月マンデイ月曜日、火事に注意してチューズデイ」
「お」
「水たまりができるほどウェンウェン泣くよウェンズデイ、木刀を腰にサースデイ、金魚のフライフライデイ」
「うんうん」
「どんより雲がたちこめて悪魔が来たよサタンデイ、日曜はサンデイのことだよサーンデイ、石鹸がつるっと滑るよツールデイ、ガールフレンドはベストフレンド、ガルベス」
「待て、待て! いっぱい聞きたいことあるんだけど『ツールデイ』って何?」
「ツール曜日」
「え? え? 何それ」
「月、火、水、木、ツル、金、土、日、ガル、べス」
「ガルとべスは別の曜日なんだ」
「フライデイは週刊フライデーの発売日だからまだ分かるんだけど、少年サンデーは日曜発売じゃないんだよな。何曜日だっけ? サン曜日? あと、ウエンディーズが休みなのは、ウェン曜日!」
「お前さっき言えてたじゃねーか!!」
「で、ロイヤルホストが休みなのは……」
「ロイ曜日なんていうんじゃないだろうなあ」
「何言ってるんだよ! ロイ曜日なんてあるわけないだろ! やめちまえ人間を! この何かが!」
「何かってなんだよ?」
「先生」
「生徒」
「はーい」
「第二問」
「まだ第二問かあ〜」
「お前は定冠詞を使いすぎなんだよ。『the』だらけじゃないか」
「かっこいいじゃん、『the』」
「Yes,I do theって。なんで最後につけるんだよ」
「(別のポイントを指差しながら)でも、これは合ってるじゃん」
「ゼット、エー!(za) ってなんでここだけローマ字なんだよ」
「個性だよ」
「次の日本語を英語にしなさい。『彼は台所に来るやいなや言った。例えばフランス料理はどうだ。』この『ザブングル』って何?」
「例えば」
「フォーエグザンプル!(for example)」
「イブサンローラン?」
「この『アズキーマン』は?」
「なになにするやいなや」
「アズスーンアズ!(as soon as)」
「アズマーマン」
「違うよ!」
「アズマーマンは『あずま』って人のあだ名」
「意味が変っちゃダメなんだよ」
「意味なんて関係ないよ」
「だから、中心だって言ってるだろ!」
「この何かが」
「何かって何だよ?」
「先生」
「生徒」
「はーい」
「もう答えを言うから書け」
先生の言った英文を必至に書く生徒。
先生はふらふらと部屋の隅へ。
「あー!」
突然、何かを指差して驚く先生。
「なんでもないことで驚いてみる。あー! どう?」
「やめてください。ビックリするから」
「これって大学案内? 亜細亜大学受けるんだ。なんで亜細亜大学なの?」
「だって『ザ・亜細亜大学』。ザアジア大学、ザージア大学。ザージアって悪の組織みたいでかっこいいじゃん」
「なるほどなぁ。でも残念ながらそれを言うなら『ジ・亜細亜大学』だな」
「そうなの? ジ・アジア、ジージアなんか弱そうだよぉ」
がっくりとベッドに崩れ落ちる生徒。
「強そうなのがいいんだったら、亜細亜大学よりもいいのがあるじゃないか」
「え? どこ?」
「大東文化大学!」
「強そぉー。改造電化製品みたい。じゃあ改造電化大学にする」
「大東文化な。でも今年は、もう願書間に合わないから来年だな」
「8浪かぁ」
「いっそ10浪までいっちゃえば」
「10浪? ジョン・ローンみたいだ」
「こりゃ15浪だな」
「ジュード・ロウみたいだ」
「もう、20浪だよ!」
「20浪はイヤだよ」
「さすがに20浪はイヤか」
「20人目の息子みたいじゃん」
「今までのもそうだろうが!」
「ヒーセッドアズスーンアズ…」
「書けたか。って、おい! 全部カタカナじゃないか!」
生徒、部屋の外へと逃げ出す。
暗転。


コントとしてはオーソドックスな先生と生徒ネタ。実際の英単語の部分や、アンドを漢字でなど観客が実際に考えないと分からないネタが随所に盛り込まれています。
ちなみに「大東文化大学」はラーメンズのネタではおなじみです。その名前が出るだけで、会場には笑いがあふれます。


4.想定範囲内
ベッドのシーツを正すコンシュルジュの回りをうろうろしながら話をする男。
「1階のライオンがゲロはいてるみたいな噴水の水ってさあ、あれ、どうなってるの?」
何も答えず、ベッドメイキングを続けるコンシュルジュ。
「あ、待って、言わなくていいから。俺考えたんだよね。あの水がどこから来てるのか。しかも触るとあの水あったけーんだよな。これが何を意味するのか? 温泉が眠っているんだよ、このホテルの地下には。そこで、ホテルの隣のスイカ畑を買って、このホテルの地下に横穴を掘る。そしてその横穴からお湯を拝借する。そのお湯をホテルに売る。どうだ完璧な計画だろ」
「あの噴水は、どこともつながっていない。モーターで循環させてるんだ。温かいのは水中に照明が入ってるからだ」
「なんだよ、夢のない…。『夢なし芳一』かっ! バクか!」
「バクってなんだよ?」
「バンドだよ! (ベッドに倒れこみ)うまい話がうまいこと転がりこんでくる、うまい話はないもんかね」
「分かりにくいけど分かりやすいな。要は金が欲しいんだろ」
「そうなんだよ。楽してドーンっていうのがいいんだよ」
「地獄へ落ちろ」
「地獄へドーン! 笑えねーよ。いいベッドだな。ちょうだい」
「ダメだよ。金払って泊まれ」
「払ってどうするんだよ。金作ってなんぼの話をしてるんだろ」
「働け」
「出た出た大人の理論。しゃべり場出れるな。『なんかぁ、思い出作りっていうかぁ、若いうちしかぁ、遊べないんだったらぁ、絶対、勉強とか、しないで遊んでいた方がよくない?』ってムカつくんだよ!!」
「自分で言ったんじゃねーか! ちゃんと働いたらどうだ。ホテルの仕事でよかったら紹介するぞ」
話を無視して、テレビのリモコンをポケットにしまいつつ部屋を出ようとする男。
「リモコンを盗むな」
「俺、お掃除キライだから」
と言いながら、紅茶のティーバックをポケットに次々と入れていく男。
「ティーパックを盗むな! 言っとくけど俺はお掃除係じゃないからな」
「何でここにいるんだよ」
と言いながら、またもリモコンを取ろうとする男。
「だから、リモコンを盗むな。持って帰って一番役に立たないものだぞ。いいか、おまえがいきなり来るから話できるように理由つけてこの部屋を借りたんじゃないか。本当はアシマネだ」
「なんだよアシマネって。アシスタント・マネージャーかよ」
「そのアシスタント・マネージャーだよ」
男、がっくりと腰を落としつつ。
「ああ、ビンゴっちまったよ。俺はこういうところで運使っちゃうんだよな」
「まあ、ここはヨーロッパスタイルのクラシックホテルだからコンシュルジュっていうんだけどな。掃除がイヤなら配膳係は、どうだ? 大きなパーティがあった時なんかにバイトを雇うんだ」
「食ってもいいならやる」
料理を運ぶ真似をしながら、口をモグモグと動かす男。
「食べちゃダメにきまってるだろう」
コンシュルジュの言葉を無視して風呂に入ろうとする男。
「風呂入るぞ」
「ホテルをなんだと思ってんだ?」
「お前んち。なんだよ。このホテルにはシャンプーもリンスも石鹸も髭剃りも歯ブラシもシャワーカーテンもないのかよ」
「そんなわけないだろう。あ! 前の客だな」
コンシュルジュの様子を見て子供のようにはしゃぐ男。
「知〜らないよ、知らないよ、な〜んにも知らないよ」
「(芸者のように踊りながら)だ〜いじょうぶ、だいじょうぶ、全部想定範囲内」
「なんだそりゃ」
「ウチの若いベルボーイに教えてもらったんだよ」
「そうじゃなくて、想定範囲内ってなんだ?」
「備品は消耗品だから持って帰られても黙って対応できるようにしてあんの」
コンシュルジュの言葉をまたまた無視して勝手に冷蔵庫からビールを取り出す。
「ビールもらうぞ」
「だから俺んちじゃないんだって」
「いいじゃん、想定範囲内だろ。俺、今20円しか持ってないんだ」
「ん? ちょっと待ってろ」
突然、部屋の外へと出るコンシュルジュ。
男はその間にテレビをつけ、有料チャンネルの確認を始める。
再びコンシュルジュが部屋に戻ってくる。
「こら、勝手に見るな。廊下まで丸聞えだぞ」
「何しに行ったんだよ」
「小銭が落ちる音がしたから行ってみたら、案の定そこでお客様が財布を落としてコインをぶちまけてて、一緒に拾ってきた」
「どうしてそんな音が聞こえるんだ? 廊下って絨毯だぞ?」
「俺はプロだからな。プロって言うのはこういうもんなんだよ」
「かっこいいな。よし、俺もそれになりたい。そのコン、コン…」
「無理だよ」
コンシュルジュの話をまたも無視して、かかってきた室内電話に勝手に出る男。
「もしもし客室でございます。私ですか? このたびコンコルドに内定しました……」
慌てて受話器を奪い取るコンシュルジュ。
「勝手に出るな! もしもし、ああ、ちょっと変わったお客さまが見みえられて。え? ロビーで異臭? 分かったすぐ行く。(受話器を元に戻し)帰れ。ここには、お前のような奴ができる仕事はない」
「そんなこと言うとガムとか万引きしちゃうぞ」
「だから、お前のワルは小さいんだよ! いいか、俺はお前のことが嫌いなわけじゃない。むしろ好きだ。だからこそ悪い道に進んで欲しくないんだよ」
「お前……」
「だから俺の財布を返せ」
「(ポケットから財布を取り出しつ)なんで分かったんだ?」
「想定範囲内だ」
暗転。


小林が竹内力を意識したという役作りで登場。ふらふらとした足取りで、ダメな大人を演じています。ここでは、前のコントとのつながりが出て(コンシュルジュがベルボーイに踊りを教わっていたり、備品が漫画家に取られた後だったりする)今回のコントが全て同じホテルを舞台にしていることがわかります。


5.ギリジンツーリスト

竹馬に乗ってギリジンツーリストのガイドが登場。後から大きなバッグを抱えたツアー客。
「お部屋はこちらになっております。なかなかいい部屋でしょ?」
ツアー客は鞄を部屋の隅におき、満足そうな笑顔で窓からの景色を眺める。
「それでは明日のスケジュールを説明します。朝、海岸で日の出を見ます。明日の日の出は6時ちょうどです。海岸まではここから徒歩1分ほどですので5時58分起床、5時59分出発、日の出を確認後6時1分にホテルに戻ってきます。朝食は7時ですので59分間ロビーで待機してください。朝食は1階のレストラン『ライト兄弟』です。『ギリジンツーリスト』と言えば消費税がタダになります。7時朝食、7時4分ロビー集合。そのまま2時間待機してください。なお、ゲームボーイは認めません」
ツアー客、鞄をチラリと見てから、大きく頷く。
「9時4分私が起きてきます」
軽く驚きの表情を見せるツアー客。
「『アド街を見た』と言ってください。『私も見た』と答えます。次にバスに乗ります。バス停までは歩いて1時間60分。バスは1日4本あるのですが、時刻表はバス停に行ってから確認します。バス代210円は各自ご用意ください。目的地に着きましたらその場で1時間90分待機となります。そこで昼食となります」
ツアー客、笑顔。
「私の」
ツアー客、ちょっと愕然。
「昼食が終わりましたら特に名物というわけではありませんが、鹿を見に行きます。鹿を見せてもらえるおうちはイマゼキさんといいます。ご主人は大変気性の激しい方なので、鹿を見ても何とも思わない顔をしていてください。次に山を見ます。山はそこから見えるものを適当に見てください。山の名前は私に聞かれても分かりかねますので聞かないでください。また、イマゼキさんにだけは絶対に聞かないでください。その後『サカイマチ児童公園』に移動して水を飲みます。公園に水道はありませんので、近所の家で貰ってきてください。これに入れてもらってください」
ポケットからビニール袋を取り出し、ツアー客に手渡す。
「これ、毛が入ってるんですけど……」
「サービスです」
「無くさないようにしなきゃ」
「そのまま1時間120分待機します。それから私の持ってきた小さいテレビを見ます。番組は明日の朝刊で選びます。3時間程テレビを見たら、そこでおやつにします、私の。ドーナツにします」
大きく何度も頷くツアー客。
「その頃にはもう真っ暗ですので、なるべく白っぽい服を着てきてください。ここでいったん解散します。自由時間ですが、住宅街なので静かにしましょう。300分後集合。集合場所はその時、私がいる場所です。私は全力で逃げますので見失わないようにしてください。」
ツアー客、何かを思い出す素振りをして、頷く。
「深夜2時ホテル到着予定です。そこで夕食となります、鹿の。以上で説明は終わりますが、何か質問はありますか?」
先ほど渡されたビニール袋を取り出し、何かを言おうとするツアー客。
「(それを無視して)それではルールを守って楽しい旅行にしましょう」
ツアー客に分厚い冊子を手渡す。
「これは明日のバスの中で歌う歌の歌詞カードです。全部で1000曲あります。1冊しかありませんので今夜中に覚えてください。メロディは全部一緒です。例として、1曲歌います」
ガイドは乗ってきた竹馬をギターに見立て、足を乗せる台を金色のやたら大きいギターピックのようなものでかき鳴らしながら歌を歌う。
「ギリギリギリギリジンジン♪ ギリギリギリジンジンジン♪」
ここで手拍子をするツアー客。それに合わせた会場内でも拍手が起こる。
ガイドがものすごい形相で、手拍子を止めさせる。
「ギリギリギリギリジンジン ギリギリギリジンジンジン
なんでもギリギリの 旅行代理店ギリジンツーリスト
スケジュールがギリギリだ あんまり気にしない
行き先教えない ていうか決めてない
決めても教えない お台場に行ったことがある
ウィンディン〜 ブロウィン〜 フロムジエージーア〜 女は海〜
旅の途中で添乗員いなくなる いい意味で
ギリギリギリギリジンジン ギリギリギリジンジンジン」

竹馬を元の位置に戻す。
「歌詞をちょっとでも間違えたら最初からやり直しです。それでは、お疲れさまでした」
ガイド、部屋のベッドに入る。
「それではおやすみなさい。お客さんはその辺で工夫して寝てください」
1人取り残されたツアー客。しみじみと訛りの入った声で一言。
「楽しみぃ」
暗転。


これまたラーメンズのコントではおなじみのギリジンがガイドとして登場。頭と腰の部分に金色の飾りをつけているのが特徴です。


6.マニアな2人
ベッドに腰掛けた小林が、椅子に腰掛けた片桐に手品を披露している。
「こうやると、さっき間に入れたはずのスペードのエースが、ほら! 一番上に来るんだ」
「すげぇ! それって、どうなってるの?」
「エースが2枚あるの」
「あ、言っちゃった」
「今度はキングが4枚あるでしょ。これをこうしてカードの間に入れちゃう。それで、こうやると、ほら! 一番上に4枚のキングが」
「うわ! すげぇ! ねぇねぇ、これはどうなってるの?」
「8枚あるの。あ、種明かしはダメだよ」
「へぇ」
「ねぇ、カードを選んで。選んだら覚えて。覚えたら、カードを適当なところに入れて。それで、呪文を唱えると、カードが勝手に上にずれあがっていく……ほら、すごいでしょ」
「うんうん、それはどうするの?」
「あ、これは売ってるのって、おい。言っちゃだめだよ」
「でも、これだけ上手かったらプロになれたんじゃない?」
「プロは無理だよ。プロって言うのはマジックが上手いだけではダメなんだ。アイディアが斬新だったり、話が上手かったり。それに常にマジシャンじゃなきゃいけないんだ。いつどこで何を言われてもいいように常に何か仕込んでおかないといけない」
「お前だっていつも外国のコイン持ち歩いてるじゃないか」
「うん。でもさっき廊下でぶちまけちゃってホテルの人に拾うの手伝ってもらっちゃた。そうだ、挨拶文を書いてきたんだ聞いてもらえる?」
「いいよ」
小林は事前に用意していた紙を広げ、内容を読み始める。
「ただ今ご紹介にあずかりました小林といいます。マサルくん、ルミコさんご結婚おめでとうございます。マサルくんと僕はは高校時代にマジック同好会で知り合いました。マサルくんは本当にマジックが上手で(アームスプレッドがどうこう、スプレッドがどうしただ難解な手品用語が織り交ぜられた内容が続く)温かい家庭を築いてください」
小林、完璧な出来だといわんばかりの表情で紙を閉じ胸ポケットへしまう。
「つまんねぇ」
と、灰皿を投げつける片桐。
「あぶね! 灰皿はやめろよな」
頭をさすりながら答える。
「いいか、明日の会場で手品に興味あるのは、おまえとマサルしかいないんだ。分かるようにやれ」
「でも共通の話題は手品しかないから」
「そうだ、お前手品やればいいじゃん」
「え? 無理だよ」
「盛り上がるぜ。ほら、お前が消えて会場から出てくるとか」
「僕はテーブルマジック専門だから」
「双子だよ、双子」
「僕、双子じゃないよ」
「産め」
「そんな無茶な」
小林がベッドの傍らにあるプラモデルを見つける。
「あ、新しいヤツ買ったんだ」
「遠出するとさ、地元のおもちゃ屋に掘り出し物があったりするんだよ」
「もう作ったんだ」
「ああ、ロビーでプラカラーぶちまけちゃって、ちょっとした異臭騒ぎになっちゃったけどさ」
2つのプラモデルを両手に持ち、互いに戦わせながら片桐が話す。
「お前も来いよ」
「え?」
「ほら、これ貸してやるから」
「あ、あ、えーと、悪の道に行くのだ!」
「悪? 戦争に善悪なんてないんだよ! なんて急に反戦」
「じゃあシャアザク。ガシャン! ガシャン!」
「お前、いい加減にしろよ!」
「いただろう、こういう赤いロボットが」
「ロボット? モビルスーツだろうが!」
「知らねぇよ! それよりお前は挨拶文はできているのか?」
今度は片桐が事前に用意していた紙を広げ、内容を読み始める。
「ただ今ご紹介にあずかりました片桐といいます。マサルくん、ルミコさんご結婚おめでとうございます。マサルくんと僕は高校時代にプラモデル屋さんで知り合いました。マサルくんは本当にプラモ作りが上手で(色付けがどうこう、ガンタンクがどうしたこうしただ難解なプラモ用語が織り交ぜられた内容が続く)温かい家庭を築いてください」
片桐、完璧な出来だといわんばかりの表情で紙を閉じ胸ポケットへしまう。
「(ものすごく小さな声で)つまんねぇ」
と、カードを投げつける片桐。
「あぶね! カードはやめろよな」
「いいか、明日の会場でガンプラに興味あるのは、お前とマサルしかいないんだ。分かるようにやれ」
「でも共通の話題はガンプラしかないし」
「そうだ、この際ガンダムごっこやれよ」
「何だよそれ」
「大爆笑取りたくねぇのかよ」
「別に大爆笑は欲しくねーよ」
「全員キョトンとしてても俺だけは大爆笑してやるよ。ケーキ入刀の時にナイフの代わりにライトセーバー……」
「ライトセーバーじゃねえよ、ビームサーベル!!」
これで切れてしまった片桐は、小林をガンダム用語(ちょっとゾイドの話も含む)を使って、あれでもないこれでもないと小林を罵りつづける。
それをただ黙っていた小林。
「かわいそうに。何だかよく分からないが、無性にお前を抱きしめてやりたい気持ちで一杯だ。お前のことは絶対俺が何とかしてやる」
「お願いします」
「にしても、このままじゃお互い挨拶に問題ありだぞ。いっそ、一緒にやるか?」
「2人続けるよりすっきりしてて、いいかもな」
「ただ今ご紹介にあずかりまし た小林と」
「片桐です」
「僕はマサルくんとマジック同好会で」
「僕はプラモデル屋さんで知り合いました」
「マサルくんは本当にマジックが上手で(先ほどと同様に手品用語が云々)」
「マサルくんは本当にプラモデルが上手で(先ほどと同様にガンプラ用語が云々)」
次第にお互いが張り合いだし、難解な用語が飛び交い、一応挨拶が終わる。
「まあ、呼んでもらえてだけでもありがたいと思わなきゃ」
「友達増やすぞぉ」
暗転。


本当に小林は手品が、片桐はガンプラが趣味なので、難解な専門用語がスラスラと出てきます。ちなみに、途中で片桐が小林をガンプラ用語で罵る部分はほとんどアドリブで、延々5分以上も罵りつづけました。それに答える小林の台詞もアドリブだったようです。私はどちらの分野にも詳しくないので、専門用語はチンプンカンプン。おかげで、全く聞き取れませんでした。


7.バニーボーイ
片桐が1人で部屋に入ってくる。
上着を脱いでベッドの上に置き、椅子に腰掛ける。
すると、ベッドの脇からバニーガールが頭につけている耳がひょっこり現れる。
タバコがないことに気づいた片桐がベッドに近づくと、耳はスーッとベッドの陰に隠れていく。
再び椅子に腰掛けタバコを吸おうとすると、再び耳が現れ、それが耳をつけたバニーボーイであることが分かる。バニーボーイは背広を探り出す。
片桐がライターがないことに気づいて、再びベッドに近づく。男は慌ててベッドの影に姿を隠す。
ライタータバコに火をつけてくつろいでいるうちに、バニーボーイは再び背広を物色し始め、財布を見つけると丁寧に1枚づつ札を抜いていく。しかし、それを片桐は目の前で見ていた。それに気づいたバニーボーイはまたゆっくりと札を財布に戻し、背広のポケットに入れると、何事もなかったかのようにベッドの脇に隠れる。
「おい」
「チューチュー」
「なんだネズミか」
「そうだよ」
「困ったなぁ、俺ネズミ嫌いだから部屋変えてもらおうかなぁ」
「(慌てたように)ち、違うよ。ネズミじゃないよ、フェ、フェ……」
「フェレット」
「そうだよ。フェレットだよ。ワンワン」
「フェレットは鳴かないんだよ」
ベッドに隠れていたバニーボーイを引き釣り出す片桐。
「こんばんは」
「どこから入ってきた?」
「お掃除の人がお風呂を掃除している時に隠れた。何もしないで待ってたよ、テレビも見なかったよ」
「帰れ」
「お腹がすいたんだよ。だって7時間もここに居たんだよ」
「知らねぇよ。何で俺がここに泊まることを知ってるんだよ?」
「何でも聞いてるよぉ(頭につけたウサ耳に両手をやってかわいい表情をする)」
その態度に切れた片桐がバニーボーイをベッドに投げ飛ばす。
ベッドで1回転を決めてすっと体勢を立て直したバニーボーイはすたすたと室内電話の受話器を取る。
「ドライカレーお願いします」
「(慌てて受話器を奪い取り)何勝手なことしてんだよ!」
「ねぇ、同伴しようよ〜」
「他に客いねぇのかよ。お前今どのくらいなんだ?」
「No.12」
「従業員数は?」
「12人」
「ウェイターより下か」
「何がいけないのかなぁ?」
「接客態度」
「普通だと思うんだけど」
「普通じゃねぇよ。じゃあちょっとやってみろよ」
バニーボーイ、片膝をついてご挨拶。
「いらっしゃいませ、バニーボーイの店『ラビリン』へ、『ラビリン下高井戸店2号店』へようこそ」
「2号店なんだ。じゃあ、水割りをもらおうかな」
「(タメ口で)いいよ」
片桐、ちょっとムッとする。
「どうしたんですか最近。全然来てくれなくて寂しかったですよ」
「実は熱出しちゃって」
「へぇ、どこから?」
「身体から。で、寝てたんだ。そしたら不思議なことがあったんだ」
「(大きく頷きながら)へぇ、本当にあるんだぁ〜」
「まだ言ってないから。で、家で寝てたんだ、布団で」
「え、ちょっと待って。家で? 布団で?」
「家の中にある布団の中で」
「え? 布団の中で? わた?」
「掛け布団と敷布団の間だよ」
「ん? 何布団だ?」
「何布団でもねーよ! 敷布団の上に俺がいて、その上に掛け布団」
「in?」
「inじゃねぇよ、onだよ。敷布団on俺on掛け布団。で、俺んちの天井にモビールがあるんだけど、眺めてたんだ」
「モビールが?」
「俺が! で、まったく動いてないんだ」
「身体が?」
「モビールが! で、そのモビールが」
「(突然、前傾姿勢で両手を前に組み、渋い声で)お、どんなモビールの話だ」
「だから、モビールに『動け!』って思ったの。そしたら回るのよ。左って思ったら左に、右にって思ったら右に。これって不思議だろ」
片桐が右へ左へと動かしていた指を見つめて頷くバニーボーイ。
「じゃなくて全体の話」
「(妙に芝居がかった声で)ああ、全体的にね」
「そのくらい朦朧としてるの。40度あったんだ」
「最初垂直だったのが40度に傾いて?」
「違う、熱が」
「モビールの」
「俺の体温の話!」
「(先ほど同様のポーズと渋い声で)お、どんな話だぁ」
「まぁ夢でも見てたのかなぁ」
「夢かーい! チャンチャン」
その言葉にキレた片桐、バニーボーイをベッドに投げる。
すっと、体勢を立て直したバニーボーイはすたすたと室内電話の受話器を取る。
「うどん!」
「(慌てて受話器を奪い取り)なんでルームサービスでうどんなんだよ」
再び椅子に座ると、さっきの投げられた衝撃でバニーボーイの耳が片方後ろに折れ曲がっている。それに気づいた片桐は耳を直してやると、バニーボーイは右の耳だけ前に折る。
その姿に「すげぇ、むかつく」と、急いで耳を元に戻す。
「でな、すげぇ腹立つことがあったんだよ。こないだ病院に行ったらさ」
「(怒った表情と声で)病院……」
「まだだって。で、近所だったんだけど」
「(怒った表情と声で)近所……」
「だからまだだってば!」
「間違えた。よく間違えるんです」
自分の頭をポコンとこぶしで叩き、舌を出してかわいい表情をするバニーボーイ。
「で、風邪が治らないから近所の病院に行ったんだよ」
「(すごいシリアスな表情と口調で)ひとつ聞いていい? 何で近所の病院に行ったの?」
「近いから」
「(分かったような口調で)はいはい、遠いよりも近い方が圧倒的にいいもんね」
「でね、内科医ってさあ、普通、薬で治すじゃん」
「内科医を治す」
「治さねーよ」
「内科医は治らない」
「内科医は人だよ!」
「人だよっ! デーーデッ♪」
突然、なぜか手拍子して場を盛り上げようとするバニーボーイ。
「何、盛り上げてんの?」
「(真剣な表情に戻って)ごめん聞いてなかった」
「で、その話がね……」
「(またまた同じポーズと渋い声で)おっ、どんな話だぁ」
「だから、内科に行ったんだよ。ところがそこでは簡単な手術ならするって言うんだよ」
「それは、おかしい」
「だろ?」
「じゃあ難しいのは、やらないのかって話だよ」
「やらないんだよ! だから内科医が……」
「でったーー!! でましたぁ!!」
おおはしゃぎのバニーボーイに切れた片桐、バニーボーイをベッドに2度投げる。
その度に1回転を決めてすっと体勢を立て直したバニーボーイはすたすたと室内電話の受話器を取る。
「パン!」
「(慌てて受話器を奪い取り)何だよ、パンって」
再び椅子に座ると、さっきと同様にバニーボーイの耳が片方後ろに折れ曲がっている。それに気づいた片桐は耳を直してやると、バニーボーイはまたも右の耳だけ前に折る。
その姿に「だから、むかつくんだよ。何だよその目は。イノセントでもなんでもないぞ!」と、耳を元に戻す。
「で、その会話がさあ」
「(片指を立てて、ちょっと考える素振り)え? 考える。何会話だろう?」
「何会話でもねーよ! 日本語会話だよ。で、不安になっちゃってさー」
「ちょっと待って、不安になる前はなんだった?」
「普通だよ」
「(頷きながら)はいはいはい、見えてきたよぉ」
「でな、内科の医者の診察が超簡単なの。ちょっと見ただけで『風邪ですね』なんて言いやがってさ」
「はいはい、確かにそれは腹が立つね〜。だって、もう、顔が…ねえ?」
「いや、顔は普通なんだけど」
「(立ち上がって、可愛らしいポーズをとりながら)まぁいいんじゃない? たまには、らしくないことも、ね?」
完全にむかついた片桐、思いっきりバニーボーイを2度3度とベッドに投げ飛ばす。
その度にすっと体勢を立て直したバニーボーイはすたすたと室内電話の受話器を取る。
が、無言で受話器を戻す。
「イタ電かよ!」
バニーボーイ、鼻の辺りをやたらと気にする。
「出てねぇよ鼻血は! おまえムカつきパブやれ」
「あるんだねぇ」
「ナンバーワンだよ」
暗転。


個人的な今回のナンバーワン。もう、バニーボーイの1つ1つの仕草や言葉のむかつくことむかつくこと。片桐さんも途中本気でむかついてた素振りだったし。


8.1313号室
客である小林が、ホテルマンである小林を部屋に呼び込む。
「この窓なんですけど」
「(深々と頭を下げて)申し訳ございません。この窓はハメ殺しでございます」
「開かないの?」
「ちょびっとだけ開くお部屋もございますが、移動なさいますか?」
「この部屋がいいんだ」
「左様でございますか。では移動っぽい感じは、いかがですか?」
せーのの掛け声で2人がジャンプする。
「おー、ここが同じ部屋かぁ」
「(2人同時に)う〜ん、移動っぽい」
「ユニットバスなんですけれど、シャワーカーテン閉めても、どうしても少しだけ水が外にこぼれちゃうんですよね」
「(深々と頭を下げて)申し訳ございません。どうしてもちょびっとは外にこぼれてしまいますが、気持ち安心のコツはいかがでしょうか?」
「お願いします」
「シャワーカーテンの下の方にシャワーで水をかけてバスタブにピタっとくっつける」
「(2人同時に言うも、少し片桐がずれる)う〜ん、気持ち安心」
「ちゃんとあわせてくださいね」
「あとクローゼットなんですが扉を開けるとなんで電気がつくんですか?」
「センサーです。では、こうお考えください。クローゼットの中に小さい人間が住んでいて開くとスイッチを押している」
「(2人同時に)うーん、ちょっと怖い」
「浴衣なんですけど」
「お客様」
「朝起きると全部脱げちゃうのは、どうしてなんですか? 妖怪『浴衣脱がし』がいるんですかね?」
「(2人同時に)ちょっと見たい」
「お客様。話し相手をお探しでいらっしゃいますね」
「ええ、外に出たい気分じゃないし、面白いテレビもないし。スイマセン、こんなこと言うお客さんいないでしょ」
「そうですね。でもご安心ください。ホテルマンにNOはございません」
「じゃあ、立ち話もなんなんで座ってください」
「いいえ、ここで結構です。何かお飲み物はいかがですか?」
「じゃあ、ビールをもらおうかな」
「ルームサービスでお取りしましょうか?」
「いいや、冷蔵庫のでいいです」
「どうぞ、いたれりつくします(グラスにビールを注ぎ、片桐の口にビールを運ぶ。さらに口元をハンカチで拭う)」
「わあ、いたれりつくされた」
「ではここで私の芸をおみせしましょう。ちなみに『しょう』は英語のshowでございます。『みせる』というのも難しいほうの『魅せる』です。鬼とか入ってる。ちなみに『です』は英語のdeathではございません。あしからず」
「あしかりません」
「それでは、はっ! (ビールを注いだグラスを持ち上げ)くっつくコースター!」
「つまんねぇ〜」
「今宵は気分がいいので特別に種明かしを。グラスが濡れているので紙のコースターがグラスの底にくっつい……」
「分かってるよ!」
「(ショックの表情で壁に思いっきりぶつかる)あぁ!」
「ショックでかすぎるんだよ! ええと……」
「宮澤と申します。宮澤の宮に宮澤の澤。ちなみに澤は難しい方の澤ですが、私は自分の名前なので難しいと思ったことはございません」
「はあ。僕、宮澤さんの話が聞きたいな。ちょっと変わったお客さんの話とか」
「かいこまりました。ある時、こんなお客様がいらっしゃいました。『ペットを洗ってくれないか?』と。そこでホテルマンが客室に向かいますと何が居たとお思いますか?」
「え、えっと、ロバとか?」
「(ショックの表情で壁に思いっきりぶつかる)あぁ!」
「ああ、当てちゃってごめんなさい!」
「いえ、お客さまの想像を裏切ることのできなかった私が悪いんです(壁に頭を打ち付ける)」
「ああ、暴れないで、(グラスを持ち上げるとコースターがついてくる)あ、コースターがコップにくっついてきた」
「あぁ!」
「出来てごめんなさい。ほ、他にないのかな?」
「結婚してくれっていうのが」
「へぇ」
「それで下の結婚式場で」
「本当にしたのかよ。バカだな」
「ホテルマンバカ、とはよく言われます」
「じゃあ、嬉しかったことは?」
「『離婚してくれ』と言われたことでしょうか」
「イヤだったんじゃん」
「現在バツ6でございます」
「バカだな」
「ホテルマンバカ、とはよく言われます」
「バカホテルマンだよ。そうだ。今度は僕の話を聞いてください。その前にルームサービスをお願いしてもいいですか。そうだな、チーズの盛り合わせにしよう」
「かしこまりました」
室内電話を手にとるホテルマン。しかし、電話が繋がっていない。
「あれ? 申し訳ございません。電話が壊れているようです。すぐにフロントに行ってまいります」
「いや、その電話機は壊れてなんかないよ」
「と申されますと?」
「この部屋のルームナンバーは?」
慌ててドアを開けルームナンバーを確認するホテルマン。
「1313号室……」
見る見る恐怖に顔が歪んでいくホテルマン。
「何か気づかない?」
何かに気づいたかのように、目を見開くホテルマン。
「そう、このホテルには13階も13号室もない。あんたも噂に聞いたことくらいあるだろう…? 春にお化けが出ちゃまずいですか?」
恐怖におののくホテルマン。
「この部屋の話は先輩から聞いておりました。まさか自分が体験することになるとは。あの、2、3質問してもよろしいでしょうか?」
「どうぞ」
「何をお恨みになられているのでしょうか?」
「別に」
「ここまでは飛んでいらしたんですか?」
「いや、歩いて」
「わ、私をお食べになるつもりですか?」
「いや。君、幽霊に偏見を持ちすぎ。恨まなし、飛ばない幽霊だって居るんだよ。足だってあるし。怖がらないで、もっとフランクに」
「美空ひばりさんは元気?」
「知らないよ! ていうか霊界コンサートとかはないぞ! …あると思ってたか?」
「うん。ジョン・レノン仕切りで」
「なんで仕切ってんだよ」
「今日は、どうしてこちらの世界にいらしたんですか?」
「ある人に会いに来た。それは、おまえだー!」
「(別に驚きもせずに)誰ですか?」
「本来の姿じゃないから分からないと思うよ。ヒントをあげよう。農業系です」
「知り合いに農業やっている人はいないけどなぁ」
「じゃあ、第2ヒント。人間ではありません。ジャンルは家畜。麦とか運んでます」
「何系?」
「それを言うと答えになるだろ。ああ、ホテルマンに洗ってもらった時は気持ちよかったなぁ」
「皿!」
「バカか! ヒント全部忘れてるじゃねぇか! ロバだよ。ロバ」
「あ」
「お元気でしたか? 私はあの時のロバです。この感謝の気持ちを表すために詩を書いてきました。
宮澤さん 宮澤さん NOと言わない宮澤さん
折り目正しい宮澤さん おじぎがキレイな宮澤さん
ポマードつけすぎ宮澤さん ちょっぴり臭いぞ宮澤さん
みんな大好き宮澤さん みーやーざーわーさーん
ロバより」

「それ、私じゃないですよ。 もう1人の宮沢ですよ。沢の簡単な方の」
「えー!! 間違えた?」
「はい」
「(ショックの表情で壁に思いっきりぶつかる) 恥ずかしいよぉ。詩なんか読んじゃったよ」
「人間誰しも間違いはある」
「人間じゃない。ロバなんだよ。くそー、おまえなんか食べてやる!」
「やっぱり!」
「嘘だよ! ワラ持ってこーい!」
「この家畜が。(ドアを開け廊下に向かって)ロバが出たぞー!」
「ヒヒーン!」
暗転。


しっかりとしてるのか、単なる馬鹿なのか微妙なホテルマンがいい味出してます。片桐さんが最後に壁にぶつかるとき、思いっきり頭を強打したらしく、しきりに痛がっていたのが印象的でした。


9.テイオウカクホテル テーマソング
最初に登場したベルボーイが再び。
2人で歌を歌い出す。

ドン ドン ドンドンドン
テイオウカクホテル(テイオウカク テイオウカク)
最上級のおもてなし(テイオウカク テイオウ)
星の数ほどの星の数(テイオウカク テイオウカク)
シーツを洗って待ってます(テイオウカク テイオウ)
料理は超一流 オーナーシェフも外国人
ワインは年代品 お皿はノリタケ非売品
ソムリエはテレビチャンピオン テイオウカク テイオウカク

ドン ドン ドンドンドン
スイートルームも充実の(テイオウカク テイオウカク)
備品はすべてオリジナル(テイオウカク テイオウ)
灰皿 スリッパ シャンプー 髭剃り 歯ブラシ
バスローブ ハンガー 石鹸 懐中電灯 便箋 湯のみ
持って帰ったら 即通報

ドン ドン ドンドンドン
結婚式で使うなら(テイオウカク テイオウカク)
かわいいチャペルは赤い屋根(テイオウカク テイオウ)
ステンドグラスは舶来品 赤絨毯はおろしたて
ライスシャワーはコシヒカリ 神父はアルバイト
ケーキはリサイクル(テイオウカク テイオウカク)

ドン ドン ドンドンドン
かっ飛ばせー バーテンダー ドンペリ開けろー オー!

修学旅行で使うなら(テイオウカク テイオウカク)
団体割引やってます(テイオウカク テイオウ)
有料チャンネル止められます ビールの自販機止められます
監視カメラをつけられます 逃げたら出動ドーベルマン(ワン)
煙草をすったら即対応 消火器で鎮火

ドン ドン ドンドンドン
かっ飛ばせー ベルボーイ 荷物を持ってってー オー!

大企業のパーティーは(テイオウカク テイオウカク)
宴会場も充実の(テイオウカク テイオウ)
コンパニオンは日本人(テイオウカク テイオウカク)
ここでは言えないサービスも(テイオウカク テイオウ)
詳細はパンフレットで 修学旅行のお部屋は抜いときます
素人ばかりを取り揃え 先生方のお部屋には入れときます
チェンジは2回まで テイオウカク テイオウカク

ドン ドン ドンドンドン
父から受け継いだ もてなしのいろは(いろは)
母から受け継いだ 気配りのいろは(にほへと)
生まれながらのホテルマン 姿勢がいいのも生まれつき
ズボンの折り目も生まれつき おぎゃあでございます
産婆さんが引いた

1!2!3!4!
テイオウカクホテル(テイオウカク テイオウカク)
思い込んだら(テイオウカク テイオウ)
防犯対策抜かりなし 防災訓練はしゃぎすぎ
ベッドの上でのお煙草は 消火器で鎮火

ドン ドン ドンドンドン
かっ飛ばせー オーナーシェフ 日本語喋れー オー!
T・E・I・O・U テイオウカク
T・E・I・O・U テイオウカク
エレベーターなし テイオウカクホテル ホテル界の帝王
チップは結構です いらっしゃいませ


最後の方の歌詞はかなり怪しいです。変なラップとか入ってたし。メロディーラインは非常にシンプルなので、1度聞けば誰でも歌えます。何なら私が歌唱指導をば。


えーと、死にそうです。中村ユージのライブの時の数倍疲れました。
ライブの感想ですが、DVDなどで見ていた印象と違って、今回のはシンプルな笑いが全面に出てきていたように思います。
アドリブなのか台本どおりなのか分からない(明らかにアドリブと分かる個所もありますけど)台詞とアクションの連続で、見えないところでマイムをしていたりと、本当に目が離せない2時間でありました。
とにかく、何も考えずに笑っていられる。そんな幸せな舞台でした。
ちなみにエンディングトークでは、片桐さんが女子バスケットボールの練習風景という形態模写を、小林さんが香取慎吾のガッツポーズ、話をする松尾スズキとその話を聞いていない宮藤官九郎、振り向く竹内力と3本も物まねを見せてくれました。劇中ではルパンの真似をしたり、窪塚の真似をしたりとやりたい放題なのね、小林さんって。

掛け値なしの面白さ ★★★★★


− 公演データ −

ラーメンズ 第13回公演
「CLASSIC」

2003/03/12〜2003/03/16@近鉄小劇場(大阪)
2003/03/24〜2003/04/06@本多劇場
全席指定 前売3500円 当日4000円

- STAFF -
作・演出:小林賢太郎 音楽:徳澤青弦
舞台監督:宇野圭一、野口毅 音響:寺澤信
照明プランナー:大迫浩二 照明オペレーター:松元智美
美術:nielsen ポスター・フライヤーデザイン:good design company
アシスタント:豊田竜太 演出助手:山田祐香、須山裕之
主催:株式会社トゥインクル・コーポレーション、株式会社サンケイ企画(大阪)

- CAST -
ラーメンズ
片桐仁/小林賢太郎
 

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