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thEatricals2003.02.07
G2プロデュース
「人間風車」

2003/01/11 @ PARCO劇場



見に行ったのは先月のことなんですけど、whereaBoutの方に書いちゃったんで、感想を書くことにします。
ファッションなんかとは縁遠いところにいる人間なので、PARCO劇場どころか、渋谷PARCO自体はじめて行きました。何かおしゃれな若者がいっぱいで気持ち腰がひけたり、ひけなかったり。
ていうか、近所に食事するところ少ないのね。開場30分前にPARCOについて、飲食店を探して近辺をうろうろするも、心惹かれるお店がなくそのまま劇場へ。観劇中、何度もお腹がなりました。恥ずかしかったです。
演劇と関係ない話はここまでとして、「人間風車」という演劇自体はこれが2回目の再演だそうで。
初演については全く知らないのでありますが、ネット上の批評を見る限り前回の生瀬・斎藤コンピの方がよかったとの声多し。
当然、前回を見ていない私は比較することも出来ませんので、素直な感想を。

一見普通の童話っぽい作りでありながら、オチにあまりに現実的なところを盛り込んでしまう童話ばかりを書いている童話作家、平川(入江雅人)は、今日もそんな童話を公演で子供たち(中山祐一朗、三鴨絵里子、宮吉康夫、岩橋道子、高木珠里)に聞かせていた。子供には大人気ながら親には目の敵にされ、そんな作品が本になることもなく、友人の童話作家である国尾(橋本さとし)やTVディレクターの小杉(山内圭哉)から金を借りながら生活していた。
そんなある日、国尾がテレビ番組に出ることになり、それを見学に来ていた平川は、ひょんなことがきっかけで女優のアキラ(永作博美)と知り合う。
彼女に恋をした平川は、彼女に話してあげるために、素晴らしい童話を創りあげる。その作品は童話
賞の最終選考にまで残り、お祝いでアキラを自宅へと呼ぶ。緊張のあまり話題を失った平川は、最近現れた自分の作品の登場人物になりきる知恵遅れのファンの話をする。しかし、そのファンはアキラの弟(河原雅彦)であり、アキラは部屋を飛び出してしまう。
なんて事を言ってしまったのかと後悔をする平川。しかし、それはこれから始まる悲劇のスタートに過ぎなかった。



にしてもこれはホラーなんだろうか?
人間の内面っていうのは一種のホラーっちゃあホラーなんだろうけど、ストーリーとして捕らえるとあまりホラーな感じはなかったです。ファンタジーでは確かにありましたけど。
序盤は、現実と童話の世界が入り乱れる楽しいショーのような感じ。しかし一転して後半は、人間の業が劇場内を暗雲で埋め尽くしたかのような暗く重い舞台。完全に気持ちを奪われてしまいました。特にラストは救いようのない展開に一筋の光を与えてくれて、少なからず胸にグッとくるものがありました。見終わった後、少し余韻を残しつつ歩いた渋谷の街はにぎやかではあったんだけど、少し静かになったかのような錯覚を覚えました。
タイトルにも絡んでいて、作中にもちょこちょこ顔を出すプロレスネタは、普通のお客さんでも楽しめたのかしら。少なくとも、永作、山西のコントで出た星野総裁に関するネタは少々マニアックすぎるような気も。まあ、僕はプロレス大好きなので何の問題もありませんでしたけど。


入江雅人さん。何か久しぶりに見た感じ。昔テレビなんかでもやってた「SHA・LA・LA」の頃よりもグッとよくなった。童話を一人語りするシーンは彼の印象にものすごくあっていたような気がする。ただ、後半は逆に違和感を感じる部分も。彼の色というのがはっきりしているということなのかな。別の舞台での演技が見てみたい。
永作博美さん。反則だと思えるほど可愛らしかった。コント部分はもう少しはじけている姿が見たかった、というのは単なるファン心理です。ラスト前の熱演は恥ずかしながら、少し泣いてしまいました。
河原雅彦さん。サムという人物をうまく投射していて、すごく怖かった。かもすると、単なるサイコな役どころだったけど、彼のおかげで最後の一筋の光明が映えたような気がします。
山内圭哉さん。嫌な感じの人柄がビシビシ伝わっていい感じです。ただ、それだけだったといえばそれだけな感じ。
中山祐一朗さん。うわぁ、何かあんな子供っているもんなぁ。デフォルメといってしまえば、それまでなんだけど、その上を行く面白さがありました。あまり違和感なかったもん。好演です。
三鴨絵里子さん。子供と大人、動と静の佇まいがすごくよかった。何気ない演技が妙に印象に残りました。
宇梶剛士さん。テレビの見すぎかもしれませんけど、ものすごい刑事役がしっくりきます。ベテランの味でしょうか、芝居に1本芯が通るようです。
山西惇さん。この役者さんって何か好き。ただ立っているだけで、場が和むような。もちろんそれだけではない雰囲気も持ち合わせていますけど、今作に関しては前者のイメージがよく出ていたような。


ハッピーエンドばかりがいいお話じゃない ★★★★☆


− 公演データ −

PARCO+リコモーション G2プロデュース
「人間風車」

2003/01/07〜2003/01/26@PARCO劇場
2003/01/27@名古屋アートピアホール
2003/01/29@仙台市民会館大ホール
2003/01/31@グリーンホール相模大野
2003/02/19〜2003/02/23@シアター・ドラマシティ(大阪)
全席指定 7500円

- STAFF -
作:後藤ひろひと【Piper】 演出:G2
美術:綿谷登 音楽:佐藤史朗
照明:黒尾芳昭 音響:Alain Nouveau
衣裳:加藤寿子 主題歌:瓜生明希葉
舞台監督:青木義博 演出助手:山田美紀
製作:(株)パルコ・(株)リコモーション
企画:G2プロデュース 制作協力:(株)キューブ

- CAST -
永作博美/入江雅人/河原雅彦
橋本さとし/山内圭哉【Piper】/中山祐一朗【阿佐ヶ谷スパイダース】
三鴨絵里子【ラッパ屋】/宮吉康夫
岩橋道子【ラッパ屋】/高木珠里【ドーナツもぐもぐクラブ】
岩崎大【Studio Life】(東京公演)/川原田樹(大阪公演)
宇梶剛士/山西 惇
 

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