金の成る木


「あ〜あ。なんか面白い話でも転がってないかなぁ」
「面白い話って何だよ」
「ん?そうだなぁ。例えば金の成る木とかさぁ」
「カネノナルキ?」
「そうだよ。あるわけないだろうけど、あったら面白いよなぁ」
「あるぜ」
「へ?」
「俺の叔父さんが植物の遺伝子がどうたらこうたらとかいう仕事しててさ、この間そんな木ができたって言ってたぜ」
「マジで?」
「マジで」
 悪友は真顔で答えた。

 数日後、家路へと急ぐ俺の腕の中には小さな鉢植えがあった。
 鉢植えからは、まだ小さいながらもしっかりとした幹が生え、枝からは青々とした葉が風にゆれている。
 やがて自分の部屋へとたどり着き、鉢植えをテーブルの上に置くと、こみ上げてくる嬉しさに思わず俺は歌い出した。
「♪これでぇ〜俺は〜大金持ちぃ〜♪」
 その時、鉢植えの幹が少し動き、『カーン!』と乾いた音が部屋に響いた。


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