小説『人生をもう一度』

人生をもう一度

「最近お前調子いいよなぁ～」
「まあね。我ながらいいアイディアが思い付いてね」
「どんなアイディアなんだい？」
「言ったら、真似するつもりだろ？」
「ばれたか」
「まあいいや。お前は親友だし、教えてやるよ」
「本当か？」
「ああ。まず、子供が出来たばかりの男を狙うんだ……」

　俺は最近、俺の人生はこれでいいのか？と考えることが多い。
　普通の大学を出て、普通の商社へ入って、普通の結婚をした。
　特にこれといって目立った特技もなく、平凡な人生だ。
　妻との生活は幸せだが、何気ない日々の流れにうんざりすることもあった。
　そんな妻との間に念願の子供ができた。結婚して３年目、俺の年も３０を過ぎていた頃だった。しかし、日ごとに大きくなっていく妻のお腹を見るたびに、改めて自分の人生がこれで良かったのかと自問する機会が増えていった。本当に俺がやりたかった人生はこれだったのだろうかと……。
　そんな時にあいつが現れた。あいつはもう一度俺に人生をやり直させてくれるという。俺は悩んだ。新しい人生、それは願ってもないことだった。だが今の妻との人生も捨てがたいものがあった。１週間の後、俺は結論を出した。
　俺が出した答えは新しい人生だった。妻や生まれてくる子供には申し訳ない気もしたが俺は今の人生が自分の本当に望んでいるものではないと感じたのだ。俺の今までの記憶は全て消えてしまうそうだが、新しい人生には無用なものだ。今度の人生は悔いのない人生にするのだ！！

「それでどうするのさ？」
「まあ、今の世の中。自分の人生に疑問を持ってないやつなんかいないから、カモはたくさんいる。で、後はその嫁さんの子供に男の魂を放り込んで、あぶれた子供の魂を頂いてくればいいわけ。簡単だろ？」