一家団欒


「お、俺もうがまんできないよ!」
 突然次男が立ち上がった。
 一家6人、楽しい夕食の時だった。
「ごめん!俺今まで黙っていたけど、この間のひき逃げ事件。俺がやったんだ!!」
 次男は両手をテーブルにつき頭を垂れた。
 一瞬静寂を食卓が包む。
「ハハハ、何だ最近元気が無いと思ったらでそんなことを気にしていたのか」
 豪快に笑うのは父親。
「今までだまっとったがわしなんか、17人ぐらい人殺しとるぞ。ほら、何とかとか言ってた連続殺人もわしがやったんだ。たった一人ぐらい殺したからといって何めそめそしてるんだ」
「そうだよぉ、私だって援助交際っていっておじさん捕まえては、ホテルでみんなでなぶり殺して金取ってるもん」
 妹が自信満々に続く。
「お前はまだまだちっちゃいなぁ〜。俺なんかおふくろ殺してるんだぜ。バットでよ。おかげで今じゃプロのスラッガーだ!やはり練習の賜物だよな!もう少しお前らも腕を磨けよ」
 長男は力こぶを作りながら叱咤する。
「その時に作ったトンカツはおいしかったでしょう?今日のお肉も脂がのってておいしいわよ。向いのサトウさんとこのジロー君だもの」
 ある日突然現れた新しい母親はそういってステーキをほおばる。
 そしておじいさんがゆっくりと口を開く。
「わしもぉ、今までだまっちょったがぁ、実は警察の潜入捜査官なんじゃぁ。やはり今までの殺人事件の犯人達はお前達じゃったんじゃなぁ〜」

―――翌日
「母さん、今日の味噌汁はうまいなぁ」
「年取ってるぶんダシがよく出たわ」
 家族5人の笑いが食卓を包んだ。


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