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gAme2003.03.28
PlayStation2
ボボボーボ・ボーボボ ハジけ祭


このゲームの原作を知っている人が何人いるんだろう?

少なくとも私と同年代の人間であれば、ほとんど知らないと思われます。
このソフトは週刊少年ジャンプにて連載されている同名のギャグ漫画を原作としています。
私は漫画が大好きですが、ギャグ漫画はさらに輪をかけて大好きであります。まあ、これは漫画に限らず、どのジャンルでも笑える作品を好む傾向が私にはあります。

さてこの「ボボボーボ・ボーボボ」という漫画の簡単なストーリーは以下の通り。

西暦300X年。
地球はマルハーゲ帝国が支配していた。
マルハーゲ帝国皇帝ツル・ツルリーナ4世は自分の権利の象徴として全国民をボーズにするべく全世界で"毛狩り"を開始した。毛狩りとは頭に生えている新鮮な毛を直にぶち抜くことで、この毛狩りを行うのがマルハーゲ帝国毛狩り専属部隊"毛狩り隊"だった。
マルハーゲ帝国はとても強大でどの国も逆らうことは出来ず、全国民がこの"毛狩り隊"に苦しめられていた。
そんな中、毛狩り隊に立ち向かう救世主が現れる。究極の拳法「鼻毛真拳」を扱う男、それがボボボーボ・ボーボボだ。
ボーボボは仲間であるビュティ、首領パッチ、ヘッポコ丸などと毛狩り隊と戦っていく。


まじめに文章を書くのが馬鹿らしいストーリーでありますが、このストーリーなんてホント建前としか思えないようなのが原作の本編。
何せ全く話が進まない。
主人公であるボーボボを筆頭にありとあらゆるキャラクターが悪ふざけを続け、ストーリーと全く関係ないキャラクターがどんどん登場し、ありとあらゆるところで馬鹿を繰り返す。で、思い出したかのようにストーリーは展開していくのであります。
なんて言えばいいか説明も非常に難しいのですが、まあ少年ジャンプで連載していた「すごいよ!! マサルさん」に出てくるマサルさんや、ヤングマガジンで連載していた「行け!稲中卓球部」に出てくる前野、井沢のような行動といえば分かる人は分かってくれるでしょう。(そして、わからない人をどんどん引き離していく)

ゲームの内容を簡単に説明すると、3D視点で奥から手前に向かうように強制スクロールされる画面の中央にボーボボがいて、画面の四隅から敵が襲ってきます。プレイヤーは左右の3Dスティックでボーボボの鼻毛を操作し(鼻毛真拳の使いですからね)敵を倒していく。
ボスとの対戦では、画面に表示される左右二つの矢印の方向に素早く3Dステッィクを倒すことで攻撃が出来るというもの。
はっきり申しまして、ゲームとしては特に内容が面白いわけじゃないし、グラフィックが優れているわけでもない。
アクションゲーム部分は、最初に3Dスティックの操作に手間取ることもあるでしょうけど、難易度はさほど高くない。それに同じ操作の繰り返しなので、飽きが早い。ボスとの対戦ステージも、若干の反射神経を要しますが、やることは単純至極ものです。まあ、偉そうな言葉を並べたところで、つまんないんですよ。ゲームとしては。そう、ゲームとしては。

しかしこの感想からそのままクソゲーと断定することは私は出来ない。
いや、クソゲーはクソゲーです。ただ、愛すべきクソゲーといった感じ。
ではその理由を。
まずはストーリーが展開されるムービー。
原作の破天荒さをよく頑張って表現したのには素直に拍手を送りたい。
荒を探せばきりはないけど、原作ファンならほぼ納得できる仕上がりだろうと思う。
あと当初はどうなることかと不安だった主人公ボーボボの声。実はアニソンの帝王こと水木一郎氏が担当しているのだ。(主題歌も同氏)
最初こそ大いに違和感を感じましたけど、ゲームを進めるうちに、実にしっくりときていると感じ始めている自分に気づきます。もう今では、水木氏以外の声では納得できません。ある意味、無謀とも思えるキャスティングにゴーサインを出したプロデューサーは素晴らしい。
そして上で散々けなしたゲーム内で繰り広げられる無駄な演出の数々。
まずBGM。このゲームのアクションゲーム部分で使われている曲は全てボーカル入り。それはステージに合わせた歌詞の内容になっているのですが、まじめにくだらない歌詞を歌い上げていらっしゃる。ちなみに私のお気に入りはレンタルビデオ店がステージのときの曲。
『毎週月曜、水曜はポイントサービス〜♪』
なんてゲーム中に宣伝されて、どうしろというのだろう。ゲーム中のビュティ(主にツッコミ担当のヒロイン的キャラ)の気持ちが非常によく分かる。
次に、ステージ内に現れるダンボール箱などを鼻毛で壊すとアイテムなどの他に仲間が登場するときがあります。しかし仲間といっても特に何もしてくれません。ただボーボボの後ろに立ち、踊ってるぐらい。中でも首領パッチというキャラは、突然ボーボボの背後からいなくなったと思ったら、敵と一緒に登場して、ただ泣いていたり、踊っていたり、何もないのに磔にされていたりします。全く意味がありません。これこそボーボボの世界。素晴らしい。
さらに、ゲーム中に登場するアイテムでアフロ用アイテムがあります。(ボーボボの髪型はアフロであり、原作ではボーボボのアフロが突然半分に割れて、中からいろいろな生き物が登場したりする)
このアイテムを装備すると、コンボ(連続して相手を倒すと2HITといった具合にコンボ数が増えていく)が連続すると、画面上部中央にキャラクターが出てくるようになるものです。
ちなみに「ハミガキセット」というアイテムだと、3HITで歯ブラシと歯磨き粉が登場して「どうも〜ハミガキセットで〜す」などと言います。5HITまで繋がるとコップも登場して「コップもいま〜す」などと言います。「後藤」というアイテムにいたっては延々後藤と名乗る謎のキャラが出てくるだけ。
こんなアイテムがゲーム上なんの役に立つのかというと、全く役に立ちません。はっきり言って必要のない代物なのであります。こういう無駄が好きです。
さらにボスとの対戦ステージ。
ボスからの攻撃時はなんとか拳だなんだとそれらしい攻撃を繰り出してくるのですが、ボーボボが攻撃のときは明らかにおかしなものばかり。これを文章で説明するのは非常に難しいので割愛します。手を抜いたと思わないでください。面倒だっただけです。
他にも選択時などの音が電子音ではなく人の声だったり(多分水木氏がピコンピコンとか言ってる)ステージクリア時のランク表示でジャンプのマークが出てきたり(普通はSランクからDランク)と、アクションゲームのコアとなる部分以外のところに無駄な手を入れられてこのゲームは完成されているわけです。
「ボボボーボ・ボーボボ」を開発するにあたり、通常のゲーム作りに比べ明らかに間違ったベクトルに向かっている開発方針に私は胸を打たれたのです。
誉めてばかりもなんなので苦言も言うならば、密度が濃いが為にストーリーが非常に短くなってしまっているのが残念です。もし、ストーリー部分だけでももっとボリュームがあれば、もっともっと楽しめたはずです。
まあ、開発陣もそこまでは精神力が持たなかったのでしょう。
バカなことを真面目にするのは非常にキツイものですから。


私は好きだが、決してオススメは出来ない ★★★☆☆


− ゲームデータ −

PlayStation2

「ボボボーボ・ボーボボ ハジけ祭」

発売元:ハドソン
ジャンル:アクション
2003/03/20発売
5800円

 

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