ついに音声認識技術もここまで来たか。
率直な感想であります。

このゲームは、主人公がモニタールームからリオという女性に指示を出し、敵を倒したり、部屋を調査したりしながら先に進んでいくアドベンチャーゲームであります。
基本的な操作は、マイクに向かって指示を言うこと。
例えばテーブルに近づいてほしければ、マイクに向かって「テーブルに行って」と言います。
するとリオはテーブルに向かいます。
で、テーブルの上にあるワインを調べてほしければ「ワインを調べろ」と言います。
するとリオはワインを調べてくれるのです。
ただ「ワイン」という正式な名前が分からない物体もあります。
その時は「緑色のものを見て」とか「赤いビン」とか言えばリオがそれらしきものを指し示して、正式な名前が分かるようになります。
このようにして、自分の分身としてリオを操作していくわけであります。
って、このゲームは文章で面白さを伝えても、非常に伝わりにくいんだよなぁ。

自分が発した言葉をきちんとコンピューターが理解するっていうのは、本当に大変なことなわけで、これをしっかりと作りこんだ開発者の方々には本当に頭が下がる思いです。
以前にも、「シーマン」とか「夜明けのマリコ」みたいな音声認識ゲームはありましたけど、それらとは明らかに認識率が高いです。
しかも、色々な言葉が押さえられています。例えば走ってほしいときには「走れ」でも「走って」でも「急いで」でも通じます。そのおかげで、誤認識されやすい言葉は言い換えることで、大分回避できるわけです。
開発者の方は、言葉の選定でかなり苦労したのではないでしょうか。

このゲームを進めていくと、途中で「山手線ゲーム」が出来るようになるのですが、これがまたアツイ！
山手線の駅名なんてせいぜい30ぐらいしかないのに、25以上出てこないと勝てないのです。12星座なんて全部言い切らなければ勝てません。都道府県なんて、何言ったか覚えてられません。
もう本当に強敵です。これは、何かのときの練習になりますです、ハイ。（何かってなんだよ）


先ほど、正式名称の分からないものは、物体の色や形状などから指定することができるということを書きました。
でも、中にはどう言えば伝わるのか非常に考える場面も出てきます。
そんな時、ふと昔のことを思い出しました。

それはまだ私は中学生ぐらいだったと思います。
私はとあるデパートのパソコン売り場で「ファンハウスミステリー」というアドベンチャーゲームを遊んでいました。
確かもともとアメリカのゲームで、日本ではスタークラフトが発売していました。
これはとある遊園地が舞台のアドベンチャーゲームで、そこで書類を見つけ出すとかいう内容だったと記憶しています。
記憶が相当あいまいなので、ネット上で調べてみると、ここに詳細がありました。
1985年発売ということなので、中学生だったという記憶に間違いはないようです。

このアドベンチャーゲームは単語を自分で入力していくタイプのものだったのですが、プールのシーンで、上のサイトの写真にもあるような人魚と会うことができます。
そこから脱出するには、乱れている人魚の髪を持っている櫛で梳いてあげればいいのですが、どうもそれを表す単語に出会えません。
「カミ　ナオス」とか「クシ　ツカウ」とか「カミ　ソロエル」とか「カミ　トク」とか「カミ　トカス」とか、思い浮かぶ単語を片っ端から入力していきますが、全然進みません。
いい加減、癇癪を起こしかけているときに買い物を終えた母親がやってきました。
どうしてもこのシーンをクリアしないときがすまなくなっていた私は、母親にすがりました。
しかしそれでも簡単には答えが見つからず、親子そろってディスプレイの前で云々唸っておりました。もう、何やってるんだか。
そうして苦闘すること数十分。ようやく「カミ　スク」という正解にたどり着いたのでありました。
ていうか、「すく」って、すぐに出てこねぇよ。
（アメリカ版での回答は「COMB HEAR」であり、それをそのまま直訳したものと思われる）

とまあ、昔のゲームは非常に不親切だったわけですが、それでもその限られた答えを導き出すのが非常に面白かったものです。
「オペレーターズサイド」は、ここまで不親切なわけではないですが、そんな古き良き時代のゲームの印象を垣間見ることができ、往年のゲームファンにも何かを思い出させてくれる良質なソフトだと思います。

− ゲームデータ −

PlayStation2 「ＯＰＥＲＡＴＯＲ’Ｓ　ＳＩＤＥ」 発売元：ＳＣＥ ジャンル：ボイスアクションAVG 2003/01/30発売 5800円　（マイク同梱版）7800円