ACT.107 ファン心理について考える (2001.11.11)

 モーニング娘。というアイドルグループがいる。
 そんなの誰でも知ってるぞと石を投げつけられそうだが、少なくともデビュー当時を知る人たちはまさか彼女たちがこんなにもメジャーな存在になるとは思っていなかったことだろう。プロデュースをしているつんく♂もそう思っているに違いない。ていうか、いつの間につんくには「♂」などというマークがつくようになったのだ。こう明記しないと、女に間違われていたのだろうか。いや、どう見たって男じゃないか。かといって、読み方に何かしら変化が出たわけでもない。あのマークの意味するところは一体なんなのだ。誰か教えてくれよ、まったく。いや、とりあえずプロデューサーについてはどうでもいいのだ。
 突然であるが、私はミーハーである。これは事実だから別に隠さないし、隠したこともない。
 もう30が近いっていうのに、毎週のようにテレビを見続け、新曲をチェックし、今の流行を押さえようとしたりする。なんて書くと非常に見苦しいな。ま、でも新しい物好きなのは、もう一種の病気みたいなもんで、今更どうしようもないのが本音なのである。
 で、モーニング娘。なのだが、新しい物好きである私はデビュー当時からテレビでその存在を知っていた。
 そしてこの雑文を書いている2001年11月現在で、4回目の増員を行い13名の大所帯となっていることも知っている。もちろん、途中の経緯についても全て知っているし、どんなシングルを発売し、どんな派生ユニットが産み出され、彼女たちを含めたつんく♂がプロデュースする面々の総称も、それらの内のいくつかのグループをシャッフルして作られたユニットなども全て知っている。
 などと人に話していると、だいたいの人がそれは単なるモーニング娘。のファンではないかと言う。
 まあ実際のところ、私が属するいわゆるパソコン関連のお仕事をしている同年代の方々はあまりテレビを見ないようである。(少なくとも私の周りでの事である)特に最近流行りの歌や芸能人などというものになるとちんぷんかんぷんだという方々が多いような気がする。(あくまで私の周りのことだ)その中にあって私は、とりあえずよく顔を見る芸能人なんかについてはよくチェックしていたりする。当然、仕事場では1番の芸能通ということにされてしまう。更にそれがアイドル限定の話で進むと、私はそのアイドルのファンだということにされてしまう。彼らに言わせれば、そこまで詳しく知っているのはファンだからだこそだということらしい。(だから……もういいや)そして今の職場ではモーニング娘。のファンということにされてしまっている。かといって否定しない私も私なのだが。
 かといって、じゃあ私がモーニング娘。のファンなのかと自分に問い掛けてみると少々疑問符が浮かんでしまうのだ。
 ところで、どこまでその対象者に入れ込めば、ファンと呼べるのだろう。
 今回のモーニング娘。のようにアーティストを対象者として考えてみる。

ファン度チェック表
1.そのアーティストのシングル曲を歌詞を見なくても歌える。
2.そのアーティストのCDを全部持っている。
3.そのアーティストのファンクラブに入っている。
4.そのアーティストの出るテレビ番組は全て見ている。
5.なおかつビデオ録画し保存している。
6.部屋はそのアーティストのグッズであふれている。
7.コンサートには必ず行く。
8.ファンサイトを立ち上げてしまう。
9.そのアーティストのありとあらゆるデータが頭の中に入っている。
10.日常会話がそのアーティストのことのみになってしまう。
11.1日でもそのアーティストの姿を見ないと禁断症状が出る。
12.そのアーティストを神と崇め、1日6回の礼拝を怠らない。

 もう最後の辺りになるとファンなのかどうなのか疑わしいが、こういった風に段階というのがやはり存在するのではないだろうか。
 個人的には、普通のファンで2、もしくは3まで。大ファンなら6、7ぐらいまで。熱狂的なファンなら9辺りまでいっちゃうのかな、と思うのだがいかがだろうか。ちなみに10以上まで行くと、一般人には受けいえれてもらえなくなるので注意が必要である。
 では、私とモーニング娘。の関係はいかがなものだろう。
 実は1にも該当しないのである。
 先ほどのリストと私の状況を重ねてみよう。

1.シングル曲のタイトルは出てくるが、歌詞までは思い出せない。
2.持っているのはベストアルバムのみ。
3.ファンクラブには入っていない。
4.「うたばん」はMCとの絡みが面白いので見ているが、それ以外はさほど見ない。
5.モーニング娘。に限らず、保存用でビデオ録画をしたことはない。
6.アーティストグッズといわれるものは部屋にひとつも存在しない。
7.だからこの間行ったTUBEのコンサートが初めてなんだよ。
8.このホームページだけでいっぱいいっぱいです。
9.メンバーの名前と年齢ぐらいなら言えるかな。
10.そんな寂しい大人になりたくありません。
11.酒が切れると危ないです。
12.神よ、もしおられるならばパチスロ運をもう少し上げてもらえぬだろうか。

 後半はともかく、前半部分も実に中途半端だ。もし私がファンと呼ばれるものならば、非常に中途半端なファンと言えるだろう。そうなのだ、私は中途半端なファンなのだ。
 しかし考えてみると昔からいわゆるファンになった相手というのはそうそういないことに気づいた。前にも書いたことがあるが、自分がファンであると公言して憚らなかった異性は南野陽子ぐらいである。あぁ、懐かしいなぁ。
 そんな時でさえ、アルバムの購入とせいぜい部屋に数枚のポスターを貼るぐらいであった。ファンクラブにすら入っていなかったのだ。ていうか、今思えばよく部屋にポスターなんか貼っていたものだ。今じゃとても考えられない。おまけに当時の私は1人で映画の「はいからさんが通る」を見に行ったのだ。確か同時上映は「ビーバップハイスクール」だった。ほとんどの客がそれ目当てなのに、私は「はいからさんが通る」を見に行ったのだ。わざわざ事前に原作漫画まで読んで予習したり、相手役の阿部寛(これが俳優デビュー作)にやきもちやいてたりしたのだ。うわぁ、恥ずかしい。
 でもそう考えると、当時の私はそれなりのファン心理を持っていたというわけか。やっていることは中途半端でも、気持ちは間違いなくファンであったということだろう。この年になってそんなことを省みることになるとは夢にも思わなかったが。
 昔はともかく今は気持ち的にも中途半端なものであるから、ファンだと公言することもできない。実際、自分の中では今は誰かのファンだなと感じることもないわけだし。
 そういうわけなんですよ。え? 浜崎あゆみの新曲はどうかですって? いや、あまり浜崎あゆみは好きじゃないんで、正直なところチェックもあまりしてないんですよ。え? やっぱりモーニング娘。のファンとしては好きになれないって事なのか、ってちょっと私の話聞いてました? あの、ちょっと、だから……

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