2003/12/27 @ 下北沢駅前劇場
Ｅ列11番

12月27日土曜日。昼。晴れ。
強風吹きすさぶ年の瀬。今年最後の観劇ははじめて向かう下北沢駅前劇場。
下北沢に行くと食事は「山頭火」のラーメンというのが最近の定番になりつつあって、今日は味噌ラーメンを食べた。個人的には塩のほうが好きです。
何てゆっくりと味わっていたら、会場についたのは開演３分前。慌てて階段を駆け上がり、客席はほぼ満員。やはり板尾さんの集客力は大きいと感じました。
ようやく自分の席について辺りを見回すと、若い人中心ながら年配客から子供までいて客層は非常に様々。男女比は半々程度といったところでしょうか。

バンビ座は板尾創路さん、平尾良樹さん、井上康さんの３人からなる新しい演劇ユニット。板尾さん以外の方は初見なのでいったいどんな舞台になるものやら。

●パンフレット
パンフレットの販売はありませんでした。物販は今回の公演チラシをラミネートカードにしたものに主演３人のサインが入ったものだけでした。

●セット
舞台中央やや左よりにベンチに見立てられた３つのボックス。舞台中央やや右より置く側にバス停に見立てられたボックスが４つ積み上げられ、その右となりに石碑に見立てられたボックス。
非常にシンプルなセットになっています。

●ストーリー
人里離れた寂れたバス停にウルトラマンのお面をかぶった男がやってくる。しばらくしてもう２人の男が息を切らせながらやってきた。背広に身を包んだ男がバスの到着時間を確認して軽くため息をついた。次のバスまでは相当時間があるらしい。
この３人は兄弟である。今まで病院に入院していた長男を２人の弟が迎えに来たのだ。さらに言えば、この３人は人間ではない。なんとウルトラマンなのだ。地球の平和を守るためＭ78星雲からやってきた。しかし別に怪獣と戦ったりしないし、スペシウム光線も出せない。彼らはただ怪獣に謝り、謝り、謝り倒して、勘弁してもらうことしかできない。しかし、決して彼らがウルトラマンの偽者なのではない。テレビで放映されていたウルトラマンが偽者なのだ。
常々怪獣と戦うヒーローに憧れていた長男は、自分の理想像としてのウルトラマンの姿を酒場で、かの円谷氏に話していた。そしてあの誰もが知るヒーロー、ウルトラマンが出来上がったのだ。
当然２人の弟は不服である。あまりにも己の姿と違いすぎているのだ。２人は人間生活になじむ努力をしているが、長男は力強いヒーロー像に傾倒していて手におえない状態。今後はどちらが長男の面倒を見るのかなすりつけあう始末。
そんな３兄弟に訪れる様々な事件が、彼らの未来の行く先を変えて行く事になる。

●感想
上演時間は１時間30分。（14:00〜15:30）
板尾さんらしいといえばらしいお話。でもちょっと物足りない感が強いです。
シュールといえばシュールなんですけど、板尾さんの得意のする方面とはちょっと違うといったところでしょうか。
内容としても３人の会話をメインに淡々と流れていくので盛り上がりに欠けますし、あまり派手さもありません。また笑いの部分も爆笑というよりも、ちょっとニヤリとさせられる程度。別にそれが間違っているわけじゃないんですが、他のお客さんの様子を見る限り、今ひとつ心を取り込みきれてないかなぁ、と。
笑える芝居イコール面白い芝居というわけでは当然ないですが、１箇所ぐらい思いっきり笑わせて欲しかった気もします。それは観客全員の想いだったに違いありません。
でも実は芝居の内容よりも気になったのが、観客のマナーのほうです。
いくら地味な芝居だからといって、私の真横でいびきをかいて眠られるのはどうかと。いくらマナーが分からないお子様だからといって、芝居中にポテトチップスなどという音の出る食べ物を食べさせるのはどうかと。そんな人たちのせいで、芝居に集中できなかったというのもあります。まあ逆を言えば、それらを気にさせないほどの芝居ではなかったということなんですよね。

●役者
板尾創路さん。その独特の佇まいはテレビで拝見しているときと何ら変わらず、それだけでもおかしいです。でもやはり観客はそれ以上のものを求めてしまっているので、その辺で肩透かしをくらったような。それも狙いだったのかもしれませんけど。
平尾良樹さん。井上康さん。２人とも丁寧な演技をする人だなぁというのが印象的でした。ただ板尾さんの持つオーラには敵わないなぁとも。

客を選ぶ芝居なのかも　★★☆☆☆

− 公演データ −

バンビ座 「Ｍ78」 2003/12/25〜2003/12/28＠下北沢駅前劇場 全席指定　前売3500円　当日4000円 - STAFF - 作：浅野光希　演出：宮國トミ - CAST - 板尾創路／平尾良樹／井上康 小山弘訓