立原美幸心霊ドキュメント・魔道に建つ家/百戦練磨の立原氏が恐怖した霊とは?
でたらめ霊視のこじつけ番組!マッチポンプで何が「番組史上最大の恐怖」か!
 
 
まずは、投稿された手紙に同封してあった複数枚の写真を立原氏が鑑定。この時点で、依頼内容をどこまで聞いているか、手紙を読んでいるかなどは一切不明。
ここでの立原氏発言を整理しておこう。
1:「家の中を(霊が)歩いているんだけど…」「(霊視の)感触は女なんだけどな…」
2:「たぶんその人はこっから来ているんだと思う」と、雑然とした小さな庭の写真を提示。
3:「その通り道になっているのが鏡」と、和室にある鏡台の写真。背景は障子戸。
4:「この人(相談者の母親)に2人憑いている」
5:「(霊のひとつは)泣いている姿を見せている」「(亡くなった)当時22、3才」「(母親と)関わりがある」「恨みと悲しみが半々」「あまりいい感じがしない」
などである。
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さて、件の相談内容であるが、投稿者はYさん(女性)。年齢がわからないが、親とかの感じから、30才前後くらいではないかと思われる。
7年前、現在の家に引っ越してきたところ、Yさんの妹が数日に渡ってひどい頭痛に悩まされる。彼女はある晩夢を見る。それは、水たまりから聞こえる「息苦しい」「開けてくれ」などのうめきであった。
そこでYさんの両親は、不動産屋に心当たりを問いただすと、前の住人が井戸を埋めてしまったという。なんとそれは、立原氏が上記2の発言で提示した庭にあったのだ!という。
業者に頼んで掘り返して見ると、なんとゴミがつまった井戸を発見。ゴミを処理して、お坊さんに清めてもらい、埋め戻した(?ん?)という。その後、妹の頭痛はぴたりと止んだという。
ところが話はここで終わらなかった。今度はYさんの恐怖体験が始まる。
深夜、何者かに身体を大きくゆさぶられる感じがし、飛び起きると、肋骨を掴まれるような鋭い痛みが走った。それは直接骨を掴まれるごとくの痛みであり、後にはクラゲに刺された様なヒリヒリ感が残るという。
それが何日も続き、ついに幽霊がその姿を見せるようになった。それは、灰色の姿をしたミイラの様で、髪もバサバサだったという。霊はYさんの布団の上を這い上がり、時には、Yさんの顔を舐めあげるという。
その後、私生活でもうまくいかなくなって、今回の相談におよんだということであった。
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はっきり言おう。病院に行くべきである。
肋骨の痛みは、おそらく「肋間神経痛」だと思う。幽霊に結び付けているのは気の病である。
しかし、それよりもなによりも、このYさん、顔はボケマスクで処理されているのだが、腕や首元はがりがりに痩せ細って、肌はしわだらけである。30才くらいとはとても思えず、一見老人かと見紛うほどである
これだけでも、身体上に問題があると思うのだが。
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さて、そんな気づかいもなく、スタッフはYさんの部屋にカメラを仕掛け、深夜の様子を撮影する。
午前2時をまわった頃、Yさんはうなされ始め、飛び起きてスタッフを呼ぶ。驚いて駆け付けたスタッフに彼女が言うことには、「お経みたいな声が聞こえ」「身体が動かず、声も出ない」「肋骨をぐっとつかまれた」そうである。
まあ、自己暗示であろう。「お経」と言うのは、翌日、立原氏が除霊に来ることからの連想であろう。
もちろん、暗視カメラには何も写っていないし、「お経」も録音されていない。
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翌日、御大将立原氏の登場である。
その朝、ホテルで立原氏はスタッフを呼び、突然宣告する。
「人間ではなかった」「魔物、ひらたく言えば妖怪の様なもの」「全然異質なものに対しては戦闘体制を組むしかない」「喰うか喰われるしかない」「その魔物こそがYさんの私生活に影響を与えている」と、突然何の根拠も無く、前の霊視と全然関係無いことを口走り始めるのだ。
その上、「(スタッフも危ないので)ある程度覚悟してほしい」と般若心経を渡すのであった。
ディレクターは狼狽しているようだ。そりゃ、そうだなあ。僕だって狼狽すと思うよ。もっとも僕の場合は、こいつ何言ってんだって、ことだけど。
さあ、マッチいっぱい擦ってるよ〜。
とにかく、根拠の無い危険を連発して、立原氏一行はYさんの家に向かうのであった。
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さて、そこでディレクター氏は、立原氏に対してご注進ネタを披露する。
y'sHouseMap 実は、右図の様に、最初の霊視で指摘したように、まさに井戸と鏡の位置は一直線になっているのだ。まあ、それを言うディレクター氏の嬉しそうな(自慢気な)口ぶりときたら。
しかし、よく考えて欲しい。上記霊視の3では、鏡が「通り道」になっていると言っているのだ。図では、鏡は通り道ではなく、突き当たりになってしまう。
これ多分、霊視を失敗したのである。
写真では鏡の背後に閉じられた大きな障子戸がある。通常、この手の大きな障子戸は庭に向かっていることが多い。井戸があるのは当然庭である。だから、鏡の背後にある井戸から、鏡を通って家の中に入ると言っていたに違いない。
実際立原氏は、その話を聞いた時、「一直線になっているんだ」と、やや戸惑い気味に感じるのは、僕がそう見えてしまうだけでしょうか。
その後、立原氏は、「鏡の中に(霊が)一人、二人居る」と言い、「井戸から鏡へ行き、鏡から井戸へ出ていく」と言っている。鏡は「通り道」で無くなってしまった
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さて、次に立原氏は2階のYさんの部屋に向かう。
2階だから、霊の通り道とは関係ない。しかしそんなことは「百戦練磨」の立原氏には関係ない。その場で「ここに居る」と断言するのである。
ここで立原氏は、Yさんに向かい、「ここに居るよね?(わかるでしょ?)」と訴え、暗示かけを怠らない。
しかも、「なんだろう、この人」と、ひどくうろたえ怯えている。なぜ、こんなに怯えるのかわからない。だって、この霊の姿は、Yさんの投稿に同封されていた写真で、すでに霊視済みのはずなんだから。
それはさておき、え〜と、と、言うことは、先ほど「鏡の中にいる」と言ってた霊とは関係ないってことだな。はて? じゃあ、立原氏の見た鏡の中の霊ってなんなんだろう?
と、いうことは一切説明なく、立原氏の言うことには、
6:「(Yさんの部屋にいる霊は)ひどく泣いている」
7:「Yさんしかわからないから(何を?)、すがった」「助けて欲しい」
8:「(霊は)23才」「(Yさんの母親と)いろんないざこざあったけど、仲直りしたかった」
9:「Yさんが(自分に)気付かないので、いじわるばかりした」「自分が叶わなかった幸せにしてやるものかといじわるを繰り返した」のだそうである。
Yさんは十分気が付いていると思うんだけどなあ。
これらのことを立原氏は、強い霊に圧倒され(時折倒れる演技を取り混ぜ)ながら、語っている。
これが「いつもは冷静な立原氏」が番組史上、始めて倒れたという「恐怖」である。
あ、そう。
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さて、ここで母親に心当たりはないかと聞こうとしていたところ、変わった展開が生じる。
突然、Yさんに件の霊が憑依してしまうのだ!
Yさんに憑いた霊の言葉は、
A:「この娘に教えているから…」「この娘の口から話すから…」
B:「早く終わらせて」
C:「あなたたちがここに来て、私を助けてくれることはわかっていました…」
D:「すごく寒いところにいる」
で、ある。何も目新らしいことを言っていないことに注目。
これに対し立原氏は、「まわりに何もないでしょ。でもちょっと上を見れば暖かい光りが見えるよ」と、Yさん、じゃなかったYさんに憑いた霊を誘導する。
それに対しYさんは、速攻で、
E:「光りの中に行けそうです。ありがとう…」
と、言い、そのまま霊は成仏したのであった…。
おい、ちょっと待てえ!
何年間も続いた霊の恨みつらみはどうなったんだ!? 「この娘の口から話すから…」って、結局何ひとつ話してないじゃないか!
しかも、正気に戻ったYさんは「多分(母親の)学校の友達ではないか…」と言うが、母親には全然心当たりがないという。おいおい、それじゃあ、浮かばれないと思うんだけど…。
まあ、人生長く生きれば、いざこざのひとつや二つぐらい見つかるだろうからね。そう思って立原氏も言ったんだろうけど、当てがはずれったってとこだね。
結局、ここまでの話、Yさんの相談に立原氏が味付けし、それをYさんがフィードバックしたにすぎないのである。
しかし、もっとも拍子抜けしたのは、当の立原氏であろう。あれほど、恐ろしい霊と言っていたものを、相談者が勝手に簡単に成仏させる方向に持っていっちゃったんだから。
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こうして見ると、霊は存在しようがしまいが、除霊という行為によってYさんの気持ちが安らぐなら構わないではないか、と言う人もいるだろう。
確かにエクソシズムは必要なものである。
心の病を霊のせいにしている人にとって、除霊の行為は、間違いなくある程度救いになるだろう。
しかし、だからといって、こういう番組は是とは言えない。
番組は商売なのだ。金をとる霊能師にとっては、ギャラも入る上に、格好の宣伝の場だ。その上彼等には、その心の病に至った根本的な原因を解決できないし、興味もないからだ。
霊現象は心の病の表現の一種にしかすぎない。問題は根本的に違うのだ。
その上、もうひとつ気に入らないことがある。ほとんどの霊能師が、この立原氏のように、「霊障」という負のイメージを前面に押し出そうとすることだ。根本的解決のないまま、霊に全ての責任を押し付ける、いびつな解決方法を取っているからだ。
僕が宜保愛子を悪く言わないのは、彼女は「霊は人を呪わない」という正のイメージで相談者に接しようとしているからである。
彼女の除霊(正確には除霊するわけではなく、供養に近い)には愛情を感じるが、残念ながら立原氏にも番組ディレクターにも愛は感じられない。
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さて、さっさと終わってしまったYさんの除霊だが、冒頭の霊視4で言っていたように、母親には「2人の霊が憑いている」。
それは、おじいさんの霊で、家族を見守っており、問題はないそうである。あっけないことこの上ない。
しかし、さっさと終わらせなければいけないのだ。なぜなら、立原氏は「魔物」と対峙せねばならむのだから。
魔物は女の霊とは関係なく、Yさんに取り憑き、私生活に影響をおよぼしているのだという。
いやあ、Yさんにとってはびっくりだろうねえ。折角、ミイラのような女の霊は除霊できたのに、まだもう一匹残ってたんだから。
立原氏によると、魔物は井戸から出てくるのだという。え? 井戸にいるのが魔物だったのね。
しかも、魔界への道は床の間(上記図参照)にあるという。鏡はどうなったんだあ!!!
そんなことに関係なく、「魔物」と対峙が始まる。
ナレーションでは「スタッフも緊張を隠せない。一歩間違えば命をも失うのだ」と盛り上げる。
しかしナレーションで一所懸命盛り上げなければならないわけがあるのだ。なぜならこの後、立原氏は簡単に「自分の中に取り込んで」「持って帰ってしまう」のだ。実にあっけないのだ。
ロケ時間を考えると、たぶん、もう帰りたかったに違いない。
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と、いうわけで、これで終わりである。
このあっけなさで、タイトルが「百戦練磨の立原氏が恐怖した霊とは」である。いい加減にしろよ、と言いたくなる。
結局、Yさんを苦しめた女の霊は何者かわからず、立原氏の突然言い出した魔物も具体的なことは何もない。しかも、魔物に関しては、立原氏が勝手に言っているだけで、当のYさんにも心当たりがないのである。
多分「魔物」は「保険」である。
最初の除霊がうまくいかなかった場合(マトがはずれた場合)に、より強力な霊のせいにするためである。しかも立原氏にしかわからないのだから、意味付け・除霊自由自在である。
さて、あまりにあっけなさすぎたのか、番組進行がスタジオに戻ってから、立原氏と電話が繋がっているという。
立原氏によれば、魔物はまだ身体の中にいて、説得する(?)のには長くかかるだろうとのことである
ばっかじゃなかろか。勝手に言ってろ。
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Yさんが再び「取り憑かれ」ないことを祈るばかりである。
しかし、ホントに体調がまともには見えないから、病院行った方がいいと思うんだけどなあ。
 
 
 
 
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