2019年、小惑星激突?!
最新小惑星激突のニュースと、報道されなかった6/14の恐怖
 
 
昔の中国の杞の村に、「天が崩れ落ちてくるんじゃないか」とひどく心配して、夜も眠れず、食事も喉を通らないという男がいた。まわりの人はこれを笑い、これが、いらぬ取り越し苦労をすることを「杞憂」というようになった語源です。
しかしこの『列子』での話、ある男が「杞憂」の男を説得するときに、「日月星宿は、天の中で輝いているだけで、例え落ちてきたにせよ、人を傷つけることはない」とか「大地は満ち満ちていて決して崩れることはない」などとデタラメを言って、「杞憂」の男を丸め込んでしまいます(笑)。
これはこれで、問題ですね(笑)。
 
さて、2019年に小惑星が衝突するのではないか、というニュースがぽつぽつと流れています。
この天体は、2002年7月9日にLENERプロジェクトによって発見されたもので、暫定的に「2002NT7」と名付けられました。
直径が2キロメートルもあるこの天体が衝突すると、6500万年前の恐竜を滅ぼした小惑星衝突(直径は約10キロメートル)ほどまでいかないとしても、環境は激変すると考えられています。
「2002NT7」が、地球に最接近するのは2019年2月1日。NASAのジェット推進研究所によると地球衝突の確率は20万分の1程度であるといいます。
 
実は、惑星の軌道計算はひどくむずかしいのです。
発見してすぐに軌道を出すのは至難の業。だから、映画『ディープ・インパクト』のように、発見直後に軌道が判明するなどということは、現時点では無理があります。
2000年にも「2019年9月に小惑星が衝突か?」というニュースがあったのですが、どれほどの人が覚えているでしょうか。(その前に、聞いた事がないかもしれません(笑))
この天体は「2000QW7」と名付けられたましたが、現在では、その衝突話は聞かなくなってしまいました。
実際、「2002NT7」の地球衝突確率も、23日には600万分の1まで減少しているようです。
安心してよさそう?
しかし、この確率、ほんとうに低いのでしょうか?
ちなみに、ジャンボ宝くじで1等が当たる確率は、およそ1000万分の1です(笑)。
 
今回の「2002NT7」は、直径がかなり大きいために話題になっているようですが、大きめの小惑星や彗星が地球近くを通過することは、実はかなり頻繁にあり、ひと月に1、2度の割合で起こっています。
最近では、2002年6月14日、世界がワールドカップで大騒ぎになっていたときに、直径100メートルほどの小惑星が、地球から約12万キロメートルというところ通過していきました。
月までの距離が38万キロメートルなので、かなりの至近距離と言えるでしょう(静止衛星軌道のわずか3倍)。
1908年にロシア・ツングースカに落下した天体は、直径60メートル程と言われています。幸い森林地帯に落下したので人的被害はほとんどありませんでしたが、80キロ四方の木々がなぎ倒され、トナカイなど多くの動物が焼け死にました。ツングースカ地方の人々は爆風で地面に叩き付けられ、数百キロ離れたところでは汽車が脱線。千キロ離れたところでもガラスが割れるという被害が出たとされています。
もし、2002年6月14日の天体(2002MN)が都市部に衝突していたら、被害は甚大なものになったでしょう。
こんな小惑星の話聞いた事もないって?
そう、怖いことですが、この天体が発見されたのは、最接近の3日後のことだったのです。
「2002MN」は太陽方向から近づいて来たために確認することが出来ず、地球をかすめて夜側に回って初めて発見されたのです。
 
現在、多くの国立・民間の天文家たちが協力して、地球接近天体(NEO/Near Earth Object)を監視していますが、何分宇宙は広大で充分とは言えません。
大きいものであれば発見も早いかも知れませんが、「2002MN」のように見過ごされてしまうものもあるでしょう。
ちなみに、2019年の「2002NT7」接近の後、2038年と2087年にも危険な小惑星が接近することが指摘されているようですが、軌道の再計算によって問題なしとされたようです。
しかしながら、軌道計算が難しいということは、現在問題ないとされている天体の中にも、将来地球衝突軌道上にあると判明されるものが現われるかも知れません。
残念ながら、「杞憂」は、決して「杞憂」ではありません。
軍備などに金をかけずに、地球接近天体の監視・対策方面にもお金をそそいでほしいものです。
 
でも、「地球は、もう終わりだあ」なんて、無茶しちゃだめよ(笑)。
spc
 
(JUL 28, 2002)、(JUL 30, 2002/一部追加・修正)
 
 
 
もっとも重要な事は、正確な情報です。
このような地球接近天体の情報は、日本スペースガード協会のHPにて公開されています。

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arw  http://www.spaceguard.or.jp/
 
 
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付記
 
NASAの発表によると、「1950DA」という小惑星が、西暦2880年3月16日に地球に最接近するという。
この小惑星は周期51年で、直径1キロメートル程だという。恐竜を滅ぼしたとされる隕石が、直径10キロメートル程なので、わずか10分の1にすぎない。なんて、あなどってはいけない。もし衝突したら、地球環境への影響ははかり知れないのだ。
そして、その衝突の確率は現在のところ、なんと300分の1。かなり高い!
僕はもう死んじゃってるはずだけど、その頃には解決策もあるでしょ、きっと。たぶん(笑)。
spc
 
(AUG 06, 2002)
 
 
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