クローン人間の行く末
判りはじめたクローン技術の問題点
 
 
クローン羊のドリーの誕生の衝撃から6年が経ちました。
ヤギ、豚、牛、猫などのクローンが次々に誕生しています。日本でも、200頭以上のクローン牛が生まれているそうです。
もちろん、世界では、ヒトのクローン実験も着々と進んでいます。
 
道徳などと言っても始まりません。
現在でも臓器移植は莫大な金を産み出します。拒絶反応がない臓器が提供できるようになれば、巨万の富を築くことになるでしょう。
もちろん、純粋に医療的見地から研究している方もいらっしゃるでしょう。多分そちらの方が多いだろうと期待しますが。
でも、UFO宗教団体「ラエリアン」(詳しくは当HP<UFOと宇宙人>の用語人名基礎知識を参照)がヒトクローン計画を発表したりするのを見ると、や〜な感じがしますが。
 
現在、明確にヒトのクローンを禁止している国は、日本を始め、イタリア、ドイツ、フランス、インドなど。 一方、アメリカは一旦廃案になったものの、再び下院でヒトクローン禁止の法案が可決され、上院での審議を待っています。
また、イギリスなどのように、ヒトクローンは禁止しているが、ヒトの胚を使った実験は容認している場合も多いようです。ヒトクローンを作るまでもなく、この胚から、様々な組織や臓器の細胞に変わるES細胞(胚性幹細胞)というものを作り出して移植すれば、拒絶反応のない移植が可能になるからです。
中国では、すでに2000年1月、クローン胚の作製に成功したと発表しています。
 
個人的には、すべてのクローン実験に反対、というわけではありません。
確かに医療的には必要な技術だと思います。もっとも、病気を自然淘汰と考えるべきかどうかは、意見の分かれるところでしょうが。
それは、さておき。
このヒトクローン計画、本当に大丈夫なのでしょうか。
現在、核移植された胚が無事誕生に至るクローン動物は、わずか数パーセントにすぎません。また、霊長類で成功した例も、まだありません。
いやいや、道徳観のお話しをしたいのではありません。
それよりも、もっと大きな問題がわかってきたのです。
 
羊のドリー君、昨年、後左脚に関節炎を発症しました。
関節炎は、老いて発症するはずの病気です。ドリー君の関節炎の原因は遺伝子異常でした。
元と同じ遺伝子を持っているはずのクローンが「遺伝子異常」って、どういうこと?
 
実は、ドリー君だけではありません。2002年4月28日付の英紙サンデー・タイムズによれば、ドリー君の産みの親イアン・ウィルムット博士は世界のクローン動物を追跡調査した結果、「これまでにつくられたクローン動物すべての遺伝子に何らかの異常があるとみられる」と発表しました。
博士によれば、日常的に発生している異常として、
(1)羊、牛の場合は体の巨大化
(2)マウスの場合、胎盤が正常の最大4倍に肥大
(3)豚の場合は心臓の欠陥
などの症がいを列挙。このほか発育障害、肺の異常、免疫機能不全、突然死なども確認されたといいます。
 
クローンといえば、元細胞をとった母体と同じ形質のものができるはず、と思われてきました。
ところが、実際は違っていました。
例えば、ある猫は母体が三毛なのに、クローンは黒色になってしまいました。これは一体どういうことなのでしょう?
遺伝子には種々のスイッチがあって、そのスイッチを、DNAに結合したメチル基分子が胚の成長に合わせて、オンにしていきます。
ところがクローンのように、完全に遺伝子が組み上がっている状態のものを移植すると、メチル基分子の働き方が異なってしまい、例え同じ遺伝子を持っていたとしても活性化する遺伝子情報が変わってきてしまうらしいのです。
そのシステムは、まだよくわかっていません。
ウィルムット博士は、現状の技術でのヒトクローン計画に対し、 遺伝子の欠陥を伴う危険が極めて大きいと強く警告しました。
が、すでに止めることはできないでしょう。
 
見切り発車となっている、ヒトクローン計画。
どんなものが産まれて、死んで行くのやら。
なお、この4月、アラブ首長国連邦における会議で、「クローン人間計画により、参加者の女性が妊娠八週に達した」と発表されたそうです。
順調にいけば、今年中にヒトクローンが誕生することになります。
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(AUG 01, 2002)
 
 
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