副題は「偽りの性的虐待の記憶をめぐって」。オカルトと全然関係ない様に見えますが、実はそうでもないんですよ。
近年アメリカでは、子供の頃に親などから性的虐待を受けたとして、両親を訴えるという訴訟が増加しています。
しかも、それが、真実でないとしたら、、、。
カウンセリングを繰り返すことで、植え付けられる偽の記憶。
カウンセリング大国アメリカの産み出した悲劇とだけは言ってられません。幸い日本ではあまり幼児期の性的虐待が大きく問題視されていませんが、最近いやに流行っているPTSD(外傷後ストレス障害)などを聞くと、日本でもそう遠い未来のことではないかも知れません。
さらに言えば、この問題は、生前記憶やアブダクション(宇宙人による誘拐)などのオカルトの心理/記憶ともおおいに関係があると思います。
偽の記憶がどう作られるかの実験や、なぜそういった記憶をつくられるかなど、オカルト心理の根本をなす興味深いものがここにあります。
フロイト、ユングをはじめとする正当系からオカルト心理学を扱った本まで何冊か読みましたが、個人的な考えや興味と相まって、今まで読んだ心理学書ではベストです。
それにしても、陳腐なホラーより怖いですよ。
(APL 15, 2005)
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