・・・・・が、何も感触はなかった。
「えっ!」
 太助のモノは、何もない場所で揺れていた。
 今、抱きしめていた、離珠が突然消えてしまっていた。
 太助は、呆然としながらも体を起こした。
「離珠・・・・・・」
 そして、視線を下げると、離珠が横になっていた。
 先程までと同じ格好をしているが、大きさはいつもの離珠だった。
「り・・・しゅ・・・」
 太助は、訳が解らないまま呼びかけていた。
 離珠も気が付いたのか、体を起こしてきた。
 自分の体の大きさを確認すると、離珠は照れ笑いを浮かべていた。
『元に戻ってしまったデシよ・・・・・』
 太助が、呆気にとられていると、ペコッと太助に向かって頭を下げた。
『ごめんデシ・・・・・』
 そして、離珠は立ち上がると、トテテテテッと太助の部屋から裸のまま走り去っていった。
 太助は呆然としながら、離珠の出ていったドアの隙間を見つめていた。
 そして、力強く天を向いている、自分のモノに視線を戻した。
「これは・・・どうすれば・・・・・」
 太助が、呆然とベッドの上に座り込んでいると、部屋のドアがノックされた。
 返事をする間もなく、扉が開かれていく。
「太助様、いま離珠が裸で・・・出ていきま・・・した・・・けど・・・・・・・」
 シャオは裸のままベットの上にいる太助を見つめていた。
 そして、下半身にいきり立つモノを見つけると声を失っていた。
「シャオ!・・・こ、これは・・・その・・・」
 裏返りそうになる声を整えながら、太助は言い訳を考え始めた。
 しかし、シャオは問い詰めては来なかった。
 太助の部屋の入り口で顔を赤く染めながらも、力強く立ち上がっている太助のモノに熱い視線を送っていた。
「た、太助様・・・その・・・一人でなさらなくても・・・夜までお待ち下されば・・・・わ、私が・・・・・」
「えっ・・・?」
「えっ!・・・あ、あの・・・失礼します!」
 シャオはさらに赤くなった顔を押さえながら、慌てて走り去っていった。
「あっ!シャオ待ってくれ!」
 太助は、走り去るシャオを追いかけようとしたところで固まっていた。
 追いかけたとして、なんて説明するのかと考えたとたんに、太助は動けなくなっていた。
 やがて、太助は重大なことに気が付いて、頭を抱えた。
「お、俺は自慰を見られたと言うことになってしまうのか・・・・・」
 自分でしていたわけではないが、そう思われてしまうことが太助にはとても恥ずかしかった。
 太助はのたうち回りたい衝動に襲われていた。
 しかし、去り際のシャオの言葉を、太助は思い出した。
『夜までお待ちくだされば・・・・・』
 その言葉に、軽蔑の響きは感じられなかった。
 太助は、その言葉に一縷の望みをかけ、最後の希望のように感じ始めた。
 そして、今夜のことに思いをはせると、沈みかけた気持ちが一変して、待ち焦がれるようになった太助だった。



おわり