湯煙り慕情







 七梨達と翔子の5人は、那奈の誘いで温泉宿に泊まっていた。
 築、半世紀以上は経っている古びた宿だった。
 木造平屋建ての宿も珍しく、所々が剥げている壁など過ぎ去った年月を物語っていた。
 宿の外見に合せるように、宿泊客も太助達6人しかいない寂しさだった。
 しかし、呼び物の露天風呂だけは、宿に似つかわしくないほど立派なものだった
 広い湯船の中には所々に岩が顔を出し、奥には巨岩が居座っていた。
 周りには背の高い木々が立ち並び、湯船の上だけが空を覗けた。
 宿に背を向けて入っていると、秘湯に来た気がする露天風呂だった。
 その露天風呂に、紀柳が一人で入っていた。
 瑞々しい肢体を湯船に大きく投げ出し、一人ふやけていた。
 手ぬぐいを頭に乗せ、至福の表情を浮かべていた。
「ふぁ〜。お酒も悪くないが、こうして温泉に入っているのが一番だな」
 夕食の時に出たお酒で、那奈が宴会モードに移ったのに合せて紀柳は露天風呂に来ていた。
 温泉に入っているのが、一番の幸せというように体全体で表していた。
 かれこれ、小一時間は入っていたが、まだ部屋に戻るつもりは紀柳には無かった。
 一人で温泉を堪能していると、露天風呂の入り口の方から、太助とシャオの声が聞こえてきた。

 太助とシャオは並んで薄暗い廊下を歩いていた。
 歩くたびに、鴬張りのような音が廊下に響いていた。
 太助は疲れた表情で、軋む音を聞きながら歩いていた。
 対照的にシャオは楽しそうだった。
「はぁ、那奈ねぇやルーアンには参ったぜ」
「ふふふ、でも、那奈さんは楽しそうでしたよ」
 そんな会話をしながら、廊下の角にある露天風呂の入り口にたどり着いた。
 ここの宿一番の目玉のためか、大きく立派な暖簾に『露天風呂』と達筆な字で書かれていた。
 太助は男風呂に行こうとして、シャオに声をかけようとしたき、ある文字が目に入った。
 暖簾の角に赤字で、しかし小さく書いてあった。
『実は混浴』
 太助は考え込んだ。
 ・・・・・本当?
 シャオと一緒の温泉。
 裸と裸のお付き合い、背中の流しっこ・・・・
 そして・・・・そして・・・・
 甘美な思いにひたっていると、シャオに声をかけられた。
「太助様どうかなさったのですか?」
 シャオの声で、太助は我に返った。
 そして絞り出すような声で、シャオに話かけた。
「あ、あの・・・シャオ・・・・・・・・さん」
「はい?」
 太助は俯きかげんで、何とか声を出していた。
「あの・・・い、一緒にお風呂入りませんか?」
「・・・・・・・・は、はい!」
 シャオも赤くなりながら、返事をした。
 入り口の前で、俯いて真っ赤になっている二人だったが、どちらからとなく暖簾をくぐった。

 湯船の中で紀柳は、二人の会話を聞いていた。
 紀柳の耳が良いのもあるが、古い建物の所為で聞こえてきていた。
「主殿・・・・・」
 そう呟きながら、紀柳は考え込んでしまった。
『主殿・・・・・の成長を祝って、ここは二人きりにしてあげたいが、私はまだ温泉に浸かっていたい。さてどうしたものか・・・・』
 お湯の中に漂いながら、暫く考えていた。
「・・・・・隠れよう。岩陰にいれば、主殿たちからは見えないし、私も温泉に浸かっていられる・・・・」
 そう、つぶやくと紀柳は、お湯の中を移動していった。
 時たま、水面に色白のお尻が見え隠れしながら。
 紀柳が、岩陰に隠れるのに合せるかのように太助とシャオが浴場に入ってきた。
 お互いに、自分の前をタオルで隠しながら浴場の入り口に立っていた。
「シャ、シャオ・・・入ろうか」
「はい・・・・」
 二人とも顔を赤く染めながら、洗い場に移って体を洗い始めた。
 暫くして、シャオが声をかけてきた。
「太助様・・・お背中流しましょうか?」
「えっ!・・・う、うん」
 太助が緊張して待っていると、シャオが太助の背中を洗い始めた。
 洗い始めてすぐ、何か思い出したようにシャオが声を上げた。
「あっ!あの・・・太助様、うつ伏せに寝ていただけますか?」
「えっ?は、はい・・・」
 太助は疑問に思いつつ、その場にうつ伏せになった。
 脇で何やら、シャオが体を洗っている気配がした。
 何をするのか気になり、太助は声をかけた。
「シャオ?」
 太助が声をかけると、シャオが太助の背中の上に覆い被さってきた。
 そしてシャオは、泡だらけの体を太助の背中に擦り付けてきた。
「おぉ・・・」
 突然の出来事に太助は思わず声を漏らしていた。
「あ、あの太助様・・・いかがですか?」
「とっても、いいよ・・・」
 太助は、心の中で嬉し涙を流していた。
「良かった・・・こうすれば太助様が喜ぶって、翔子さんに聞いたんです」
 普段は翔子の入れ知恵には腹を立てるとこだが、今の太助は翔子に感謝状を送りたかった。
 自分の背中を移動するシャオの柔らかい胸を感じていると、下半身に血が集まり始めた。
 背中全体でシャオと触れ合い、石鹸の滑りも手伝って、とても言い表せない気持ちよさだった。
 シャオも普段と違う感じに酔いしれ、呼吸の中に秘やかな声が混じり始めていた。
「うん・・・はぁ・・・あぁ・・・・」
 シャオの押し殺した声が、浴場に流れていった。

 巨岩の後ろにある小さな窪みのような場所で、心奪われたようにお湯に入っている紀柳だった。
 暫くして、いつもと違うシャオの声が聞こえるのに気が付いた。
 太助達に気が付かれないよう、そっと巨岩の影から顔を出した。
 浴場を見回すと、洗い場で二人を見つけた。
 横になった太助の上を、シャオが体を擦りつけるように動いていた。
 そして、動くたびにシャオのくぐもった声が聞こえてきた。
 紀柳は、驚きと共に見入っていた。
 胸の奥で、騒ぎ始めた感情があったが、ただ二人の行為を見ていた。
 暫くして、ひときわ大きなシャオの声が聞こえた。
 そして、シャオは太助に覆い被さったまま、動かなくなった。
 起き上がった太助は、ぐったりしているシャオを抱き起こし、そっとお湯をかけ体に着いている泡を洗い流し始めた。
 そして、シャオを抱きかかえて、太助が湯船の方に近づいてきた。
 紀柳は、慌てて岩陰に隠れた。
 隠れる時に、下半身に大きく隆起している物が、紀柳の目に飛び込んできた。
「主殿のが、大きくなって・・・・・」
 紀柳は岩陰に隠れながら、太助のものが頭に焼き付いていた。
 大きくそそり立ち、 恐怖さえ感じるようなものだったが、太助のものだと考えるとその気持ちは薄らいでいった。
『主殿は、相手がシャオ殿だからあんなに・・・・・』
 紀柳は自分の中に、寂しいような何とも言えない感情が沸き上がったのに気がついた。
『自分は主殿に試練を課すために、主殿はシャオ殿を守れるようにと・・・・』
 言い訳みたいな考えだなと思いながら、紀柳は岩陰に佇んでいた。
 太助の事を考えていると、紀柳の手は自然と自分の胸に触れ、ゆっくりと動き始めた。
『あぁ・・・これが主殿の手なら・・・・・』
 紀柳は太助を思いながら、手の動きを早めていった。
 少し、自信のある大きな胸の上を、強弱を付けながら自分で愛撫していた。
「んぁ・・・ぁぁ・・・主殿・・・・・」
 何時しか、紀柳の口から声が漏れ出し、その微かな声で太助を呼んでいた。
 そして、シャオと太助の声が近くから聞こえてきた。

 巨岩の近くまで来た太助は、シャオを湯船に下ろし二人でお湯に浸かった。
 巨岩を背にした太助は、シャオを後ろから抱きしめて、膝の間に抱きかかえるようにした。
「あの・・・太助様・・・」
「シャオ・・・」
 太助は後ろから手を回し、シャオの胸をもみ始めた。
「あぁ・・・ふぅあ・・・・」
 強く揉んだと思うと、優しく肌を撫ぜるように指を滑らせ、先端の突起をつまんだりしていた。
 胸の先端を強く挟むと、ピクッと体が跳ねるようにシャオは反応した。
「あぁ・・・うぅうぁ・・・・んぁ・・・」
 シャオの反応に気をよくした太助は、さらに集中して胸を攻めていった。
 直に触れるシャオの胸は、指が吸い付くような感じがして、とても柔らかく太助は飽きることなく堪能していた。
「うんぅ・・・はぁぁぁ・・・・・んうっ・・・」
 先ほどの余韻が残っている所為か、シャオの反応は早かった。
 太助が胸を愛撫し始めると、すぐに官能的な声をシャオはあげ始めた。
 手を休めず、シャオの耳元に近づき太助は囁いた。
「シャオ・・・かわいいよ・・・」
「あぁ・・・たすけ様・・・んぅっ・・・・」
 そのまま耳元に舌を伸ばし、シャオの感じそうな所を舐め始めた。
「はぁん・・・んん・・・ふぁ・・・・」
 耳元から首筋にかけ、太助の舌が触れるたびにシャオの体は、電気のようなものが走り震えた。
 太助はシャオの反応を確かめながら、下半身に手を伸ばし太腿の付け根の間に潜り込ませた。
「あん・・・あぁあぁ・・・た、太助様・・・そこは・・・」
 シャオの軽い抵抗に合いながら、太助の指は目的の場所に到達した。
「うんぅぅ・・・・ん・・・・あぁぁぁ・・・・・」
 挟まれた太助の指が、ゆっくりと動き始めるとシャオは声を上げた。
 そして、太腿の締め付けが緩むと、太助は大胆にシャオの秘裂を撫で上げた。 
「はぁん・・・・あぁあぁぁ・・・・・」
 シャオは体の奥が熱くなり、思わず太助にねだるように体を預けた。
 腰の辺りにずっと触れていた、太助の物の所為かもしれない。
 太助の指が触れるたびに、体の奥が熱くなって力が抜けていった。
「シャオ、そこの岩に手を付いて」
「あぁ・・・は・・・はい・・・」
 シャオは太助の言葉に従い、岩に手を付いてお尻をこちらに向けた。
 その姿に、太助はとても興奮していた。
 シャオの下半身は、丸見えで前も後ろも太助から良く見えた。
「あ、あの、太助様、・・・・・」
「シャオのが良く見えるよ」
「そんな・・・あぁ・・・」
 太助はシャオの後ろにかがみ込むと、秘裂を覗き込んだ。
 そこは普段、人目に晒される事の無い場所だった。
 蜜壷の入り口は、シャオの期待を表すかのように、時たまヒクつきながらひっそりと息づいていた。
 太助は、眺めながらシャオの蜜壷の感触を思い出し、自分の物が更に体積を増やしたのを感じた。
「太助様・・・あまり見ないでください・・・・」
「・・・どうして?」
「・・・・・恥ずかしいです」
 シャオは赤い顔で伝えたが、太助は意に介さずゆっくりとシャオの秘裂を指で開いてみた。
「あぁ・・・・」
 シャオは恥ずかしさのあまり、思わず声が洩れた。
 指で広げられたそこは、真っ赤に充血していて、太助を誘っているように見えた。
 そして太助は、誘われるままに舌を伸ばした。
「ふぁ・・・あぁ・・・・」
 秘裂の筋に沿って舐め上げると、シャオの口から甘い声が洩れた。
 シャオは、自分の恥ずかしい所を舐められるたびに、力が抜け崩れそうになるのを堪えた。
 何度も舌に嬲られるうちに、お湯とは違う粘り気のあるものがシャオの秘裂から溢れ始めた。
 広げられたヒダに沿って、太助は舌を動かし溢れ出る蜜をすくい上げていた。
「あぁぁぁ・・・・んっぅぅ・・・・・」
 シャオの反応を確認しながら、太助は何度も舐め挙げた。
 止めどもなく流れ始めた蜜を、零れるのを防ぐように太助は掬い上げた。
 もう少し堪能していたかったが、太助は下半身に急かされている気がしてきて、ヒクついている自分自身をなだめた。
「そろそろいいかな?」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・太助様・・・」
 太助の舌で、秘裂を舐められていたシャオは、岩にすがりついて体を支えていた。
 太助は立ち上がると、自分のものをシャオの秘裂に擦り始めた。
「はぁぁ・・・・」
 太助の物が触れると、シャオの体は期待に打ち震えた。
「シャオ、いくよ・・・」
「は、はい・・・」
 シャオの返事を待ってから、太助はゆっくりと腰を進めた。
「あぁぁぁぁ・・・・・」
「くぅぅぅ・・・・」
 何度となく味わったシャオの中だったが、相変わらず気持ち良すぎた。
 周りから太助のものを締め付け、離さないかのように絡みついてきた。
 動こうとするとシャオの中は抵抗して太助を中にとどめようとした。
 シャオの中は、この世のものと思えない場所だった。
 シャオの腰に手を添え、太助はゆっくりと動き始めた。
「あぁぁぁ・・・・んぅ・・・・はぁ、はぁぁぁ・・・・」
 シャオのひときわ高鳴り始めた声を聞きながら、奥に突き進み始めた。
 突きながら、シャオの胸で揺れている大きな果実に手を伸ばした。
 空中でぶら下がっているせいか、先ほどより大きく柔らかな揉みごたえだった。
「あぁ・・・ぁぁ・・・はぁんぅ・・・」
 手からこぼれ落ちそうになる果実をもみながら、ゆっくりとした大きなストロークで太助は腰を動かした。
 絡みついてくる柔肉を掻き分けながら奥まで進み、突き当たりに辿り着くと惜しむように入り口まで戻っていった。
 何度も蜜壷の奥に潜り込み、シャオに包み込まれた喜びに打ち震えながら、太助は腰を動かし続けた。
 やがて太助は、腰の動きを押さえようとするが、どうしても押さえられず速くなっていった。
 シャオも後ろからの激しさを増していく突き上げに、たちまち高みに昇り始めていた。
 いつもなら、前にいるはずの太助がいないせいか、意識が下半身に集中してしまう所為かもしれない。
 太助に抱きつけない事を、不安に思いつつもシャオの体は急速に高まっていった。
「あ、あ、あ、た、太助様・・・も、もう・・・・」
 シャオの声を聞き、限界の近づいてきた太助は改めて腰に手を添えると、更に激しく奥まで突き込み始めた。
「太助様!太助様!んぁぁあぁあぁぁぁ・・・・」
「うぅぅぅ、シャ、シャオ!」
 太助は背後からシャオを強く抱きしめると、一番深い所で強張りを開放した。
「あ!あああぁあぁ・・・・・」
 太助の熱い迸りを体の奥に感じると、シャオはひときわ大きな声を上げた。
 シャオの蜜壷は、痙攣するように太助のものを何度も締め付けた。
 シャオの締め付けに合せるように、太助のものは何度も樹液を吹き出し、蜜壷を満たしていった。
 温泉といつもと違う体位の所為か、シャオはいつもより高みに上り詰めて、気を失い崩れかけた。
 慌てて抱き止める太助の耳に、那奈の声が聞こえてきた。
「くぉらぁ〜太助〜どこだ〜!!!」
「 た〜様〜飲みましょ〜よ〜」
 その声は、段々近づいてくるように感じられた。
「げっ!や、やばい・・・」
 太助は、慌ててシャオを抱え上げると、巨岩の裏に回り込み身を隠した。

 狭い窪みの影で、紀柳は一人自分を慰めていた。
 近くから聞こえる、太助とシャオの喘ぎ声に自分を重ねていた。
「んぁぁ・・・あ、主殿・・・・そこは・・・・んぅ・・・」
 シャオの嬌声が挙がるたび、自分の体に太助が触れている気がしていた。
 太助の指が、そして、舌が紀柳の体を責め立てる。
「あぁ・・・・はぁぁぁ・・・んくっ・・・・」
 紀柳の体は、頂点を目指して駆け昇り始めた。
 そして、高ぶった気が上り詰めようとしたとき、紀柳の目の前に太助が現れた。
 太助は紀柳がいる事に驚いたが、那奈に見つかる事を恐れて、抱きかかえたシャオと共に紀柳に身を寄せて隠れた。
 紀柳も突然飛び込んできた太助に驚いたが、イク寸前の手は止める事が出来なかった。
「あぁ・・・うぁ・・・あ、主ど――――」
 声を上げそうになった紀柳の口を、太助は急いでふさいだ。
「むぁぁぁぁぁ・・・・・」
 声を挙げ、体を強く緊張させた紀柳は、体から力が抜けたのか太助に寄りかかってきた。
 荒い呼吸を繰り返す紀柳は、力の抜けた体をすっかり太助に預けていた。
 太助は、突然現れた自分に対して、悲鳴を上げようとしたのかと思ったが、違う事に気がついた。
 一人、自分を慰めていた紀柳は、太助が現れると同時に上り詰めたのだった。
 シャオと紀柳の柔らかい裸体に挟まれていると、太助の下半身は再びそそり立ち始めた。
 その時、浴場の扉が勢いよく開く音に太助は身を強ばらせた。
「太助ー!おま・・・・え・・・・あれっ?誰もいない・・・」
「おかしいですわ、お姉様」
 那奈とルーアンの声に、太助は体が動かせなくなった。
 そして、今見つかったら言い訳の出来ない状況を自覚した。
 両脇から、裸の美女二人に寄り添われている現実。
 もし、見つかりでもしたら、どんな事が起きるのかも想像できずにいた。
 思わず、夜空を仰ぎ天に祈っていた。
「お姉様、あそこの岩陰が怪しくありません?」
 ルーアンの声に、太助は全身の汗が噴き出した。
「甘いな、ワトソン君!」
「あの・・・お姉さま、私ルーアン・・・」
「人間、食う、ヤル、ときたら後は寝るだけなのだよ!ワトソン君」
「あの・・・・・」
「と言う訳で・・・・・部屋で待ち伏せをし磔獄門!しかる後に有る事、無い事を全部はかせましょう。それを肴に・・・・フフフッ、いくよ!ワトソン君」
「あの・・・だから・・・」
 ルーアンは、一人モードの違う那奈に困惑しながら、後を追いかけていった。
 二人の出ていった気配に、太助は激しく脱力した。
 そして、今夜は部屋に帰れないと、太助は思った。

 そのころ翔子は、一人女性部屋で飲んでいた。
 異様にテンションの高まった、那奈とルーアンの後を追いかける気は起きなかった。
 紀柳は何時の間にか居なくなり、シャオは太助と出ていったので、仕方なく一人で飲んでいるのだった。
「まったく、那奈ねぇの行動に付いていくとロクな事にならないのに決まってる」
 翔子は頬杖を突きながら、氷を浮かべたグラスを眺めていた。
「前回だって・・・・・やめやめ・・・・・・はぁ」
 翔子はウィスキーを、グイッと喉の奥に流し込んだ。
 飲み干したグラスを脇に置くと、翔子はテーブルに突っ伏した。
 そして、目の前に転がっているピーナッツを指で玩びながら、翔子は気だるげに呟いた。
「ふぅぅ・・・・お風呂にでも入りに行こうかなぁ・・・・・・」


 つづく

             By NAO