主殿、これも試練だ!



 うららかな日だった。
 風も無く、穏やかな陽気は、人に安らぎを与えるかのようだった。
 七梨家にある居間のソファーに、太助は横になって猫のようにくつろいでいた。
 欠伸を噛みころしながら、暇を持て余していた。
「ふぁ〜、こんな事だったら、無理にでもシャオについていけば良かった」
 先ほど、翔子からシャオに、誘いの電話があった。
 翔子に、男は来んなと言われて、シャオだけ送り出したのだった。
 ルーアンも、那奈も出かけており、太助一人で留守番だった。
 もう一度、欠伸をしそうになった時に、声が聞こえて太助の体に緊張が走った。
「万象・・・大・・・」
 太助は急いで体を起こすと、回りを警戒した。
『そ、そうか、紀柳がいたんだ・・・・』
 紀柳が居るのに、すっかり気を抜いていた事を後悔した。
 最悪、怪我ですめば良いけどと、思いながら。
 何かが飛んでくるか、大きくなって襲ってくるか、太助は身構えたまま数秒が過ぎた。
「・・・・あれっ?」
 太助は、警戒しながら、回りを確認した。
『テーブルは・・・・問題なし、ソファーは・・・・・小さくなってない』
 幾分、緊張を解きながら、居間の入り口を見ると紀柳が倒れていた。
 今ごろ起きてきたのか、パジャマ姿のままだった。
 太助は慌てて駆け寄ると、紀柳を抱き起こした。
 抱き起こした紀柳は、少し苦しそうな表情をしていた。
 そして、額にはびっしりと、汗をかいていた。
「おいっ、紀柳!大丈夫か?」
 呼びかけても返事はなく、紀柳はぐったりしていた。
 そして、額に手を当てると、熱があるのが分かった。
「熱があるじゃないか・・・・・」
 太助は紀柳を抱え上げると、慌てて紀柳の部屋に向かった。

 紀柳の部屋にたどり着くと、太助は紀柳をベッドに寝かせようとした。
 そして、ベッドのシーツなどが湿っている事に気がついた。
 熱を出して、だいぶ汗をかいたらしい。
 抱いている紀柳のパジャマも、だいぶ汗を含んでいた。
 太助は紀柳の体が冷えないように、タオルケットで包んでベッドの脇に座らせた。
「えーと、新しいシーツは何処だぁ!」
 家中を引っ掻き回して、シーツと上掛け、そして汗を拭く為の洗面器とタオルを用意した。
 そして、紀柳のベッドのシーツを新しい物に代えた。
 そこら辺は、一人暮らしが長かった所為か、手際良く進んだ。
 改めて、紀柳をベッドに横にして、着替えさせようとして太助の動きが止まった。
 太助は、紀柳の胸元のボタンを外そうと、手を伸ばした所で固まっていた。
 顔を赤くさせたまま、太助は紀柳の大きな胸を見詰めていた。
『ど、どうしよう・・・・・』
 このまま、濡れた服を着ていると悪化するかもという思いと、もし着替えさせている時に紀柳が目覚めたらという思いで、太助は身動きできなくなっていた。
 暫く悩んでいたが、グズグズしてる暇はないと思い直した。
『ごめん、紀柳・・・・』
 太助は震える手で、紀柳の上着のボタンをゆっくりと外していった。
 外し終わると上着がずれて、紀柳の大きな胸を包む白いブラジャーが見えた。
 紀柳のブラジャーは、汗をたっぷり吸い込んだ為、肌に張りついて胸がすけて見えていた。
 太助の鼓動は、早鐘のように鳴り響き始めた。
 自分の鼓動が、紀柳を起こしてしまうのではないかと思うほどだった。
 胸から視線を何とか逸らした太助は、紀柳の上半身を抱え起こして、ゆっくりと上着を脱がした。
 続けて、汗を吸って濡れているブラを脱がした。
 下から現れた紀柳の胸は、汗に濡れていたが太助にはとても綺麗に見えた。
 太助は思いがけず、胸に手を伸ばしていた。
『柔らかい・・・・』
 自然に指が動き出し、何時の間にか揉みつづけていた。
「ん・・・・んぅ・・・・・・・」
 紀柳の声に、太助はドキッとした。
 自分が何をしようとしていたか分かり、とても恥ずかしくなった。
 そっと、紀柳を横たえると、頭を抱えた。
『俺は何を考えているんだ・・・・紀柳は病気なんだぞ』
 気を取り直した太助は、再び紀柳を着替えさせ始めた。
 だが、パジャマのズボンを脱がそうとした時、「ごくっ」と太助の喉が鳴っていた。
 太助は気を落ち着ける為に、深呼吸してから紀柳の腰を抱えてズボンを脱がした。
 汗で張り付いた、ズボンは脱がしにくく、多少てこずったが何とか脱がす事が出来た。
 ショーツもやはり、汗でびしょ濡れだった。
 そこには、下に隠れた割れ目の形がハッキリと浮かび上がっていた。
 そのショーツを太助は、苦労しながら足から抜き取った。
 隠すものの無くなった、紀柳の秘裂はしっかりとその口を閉じていた。
 太助は、初めて見る紀柳の秘所を見詰めた。
 そのまま吸い付きたくなる衝動を、太助は何とか押え込んでいた。
 思わず、注目してまう視線を引き剥がして、本来の行動に戻った。
 洗面器で、濯いだタオルを固く絞り、紀柳の体を拭き始めた。
 タオル越しに触れる紀柳の体は、硬い所が無いのではと思わせるほど、何処も柔らかな感触がした。
 腕を拭いて、足の汗も拭き取り、残るは胸と紀柳の大事な秘所だけだった。
 紀柳の秘所を拭く時は、さすがに緊張してサッと拭くに留めた。
 代わりに胸は、まるで愛撫するかのように丹念に拭き上げた。
 そして、何気なく顔を見た時、紀柳の視線と目が合った。
「き、紀柳・・・こ、これは汗をかいていたから・・・その・・・・」
 太助は慌てて、言い訳し始めた。
 紀柳は、いつから気がついていたのか、焦点の定まっていない視線で、太助を見詰めていた。
 いくら汗を拭く為とはいえ、紀柳を裸にしたのは自分だった。
 更に、タオル越しだったが、紀柳の体を触っていたのは事実だった。
 まだ、熱の所為か、紀柳は意識がハッキリしてないようだった。
 紀柳は、弱々しい声で呟いた。
「主殿・・・すまない・・・・・」
 焦っていた太助は、紀柳の言葉が良く聞き取れなかった。
「えっ・・・」
 太助は、慌てて紀柳の口元に耳を近づけた。
「寒いのは苦手だ・・・・・」
 紀柳はそう呟くと、太助の頭を胸元に抱え込んだ。
「ちょ・・・き、紀柳・・・」
 顔に当たる紀柳の胸の柔らかさに感動しながら、太助は焦った声を上げた。
 紀柳の胸の中で慌てる太助を、更に強く抱きしめながら紀柳は呟いた。
「主殿は、あたたかいなぁ・・・・・」
 そう言うと紀柳は寝息を立て始めた。
 だいぶ落ち着いた寝息を耳にすると、太助は動くのを止めた。
 眠りに就いたばかりの紀柳を、起こすのも忍びないと思い始めた。
『なんといっても、気持ち良いし』
 これが太助の思いとどまった本当の理由だった。
 そして、いくらなんでも裸で寝かせるのはまずいと思い、太助は足元にあった布団を器用に手繰り寄せると、紀柳の体に掛けた。
 自分はすっかり隠れてしまうが、少しの間と思い直した。
 そのうち、紀柳の胸の気持ちよさの所為か、太助は睡魔に襲わていつのまにか眠り込んでいた。

 太助は、人の声で目が覚めた。
 顔に当たる胸の感触もすぐに思い出し、布団の中で寝てしまった事に気がついた。
「紀柳さん、大丈夫ですか?」
 シャオの声が聞こえ、太助は緊張した。
 紀柳の布団の中で、太助は身動きせず、息も必死に殺して気付かれないようにした。
 そして、裸の紀柳に抱き着いていることが、シャオに知られない事を切実に祈っていた。
「ああ、シャオ殿にも心配をかけてすまない。もう少し寝ていれば大丈夫だ。」
「良かった・・・」
 シャオの安堵の声が聞こえてきた。
「夕食、起きれますか?」
「いつもの時間に、下に行く」
 太助は、布団の中で緊張しながら、会話を聞いていた。
「それでは、とっておきの病人食を作りますね・・・・・ところで、太助様を知りませんか?」
 太助の鼓動が跳ね上がった。
『紀柳、黙っていてくれ』と、強く、強く願った。
「あ・・・いや、わからない」
「そうですか・・・・・腕によりをかけて作りますから楽しみにしていて下さいね」
 シャオの出ていった気配に、太助は力を抜いた。
 そして、一向に治まる気配のない、胸の鼓動に気がついた。
 落ち着けようとしていたが、鼓動の速さは上がるばかりだった。
 そして、自分の鼓動ではなく、顔の触れている紀柳の胸から聞こえてくる鼓動だと気がついた。
「あ、主殿・・・・」
 紀柳が、小声で呼びかけてきた。
 太助は、紀柳の顔の方に移動して、布団から顔を出した。
 そこには、顔を赤く染めて、伏し目がちにしている紀柳が居た。
「紀柳、黙っていてくれてありがとう」
 言葉を掛けると、目の前にいる紀柳は更に真っ赤になって俯いた。
 互いに、次の言葉が出ずに黙り込んでいた。
 太助は改めて、今の状況を認識すると自分の下半身が熱くなるのを自覚した。
 裸の紀柳と一緒の布団に入り、唇が触れるほど近くで黙り込んでいた。
「あ、主殿にも・・・め、迷惑を掛けたようだな・・・・・」
 太助は目の前で、顔を赤く染めながら話す紀柳がかわいく思えた。
 そして、いまだに激しく打っている紀柳の鼓動を感じていた。
 気がつくと太助は、自分の唇を紀柳に押し付けていた。
「んっ!んぅぅ・・・・」
 紀柳は目を見開くと、声を漏らした。
 太助を押し返そうと、紀柳は腕に力を込めたが、太助は放されまいと更に唇を押し付けた。
 しばらく、紀柳と太助の押し合いが続いた。
 やがて、紀柳は体から力を抜き始めた。
 紀柳の拒絶がなくなると、太助は唇を放した。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・」
 二人の、荒い呼吸音だけが聞こえていた。
 太助は、紀柳の瞳を見詰めながら声を掛けた。
「紀柳・・・本当に嫌だったら、言ってくれ・・・もし、嫌じゃなかったら・・・・・」
 紀柳は逡巡の表情を浮かべて横を向いた。
 視線を宙にさ迷わせて、考え込んでいるようだった。
「紀柳・・・・」
 太助は、改めて呼びかけた。
 やがて紀柳は、太助を見詰めると静かに頷いた。
 そして、太助の首に腕を回すと、静かに瞳を閉じた。
 太助も抱き寄せられるまま、優しく紀柳の唇に触れた。
「ん・・・んぅ・・・」
 太助が舌で、紀柳の唇をノックすると、ゆっくりと唇が開いて舌が顔を覗かせた。
 紀柳の舌を口に含み、太助が紀柳の口に舌を伸ばすと吸い込まれた。
 互いの舌を絡ませるように、熱い口付けを交わした。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・主殿」
「紀柳・・・・」
 太助は声を掛けると、首筋に唇を這わせ、徐々に下がっていった。
「んぁ・・・ふぁ・・・」
 柔らかく、大きな二つの丘陵に到達すると、麓から舌で触れ徐々に頂を目指した。
 もう一つの柔らかな山にも、手を伸ばして優しく触れていた。
「あぁ・・・んぅ・・・あ、主殿・・・・」
 舌が、頂に到達すると紀柳は声を高めた。
 太助は、頂に現れた突起を口に含み、軽く歯を当てた。
「ひゃっ・・・くぅ・・・あぁ・・・・」
 紀柳の反応を見て、太助はくり返し突起を攻めた。
 もう一つの丘陵も、突起を指の間に挟んで、強弱を付けながら堪能していた。
 太助は階下にシャオのいる事も忘れ、紀柳の胸に夢中になっていた。
「あ、主・・・どの・・・そ、そんなに強くしたら・・・あぁぁ・・・・」
 たっぷり胸を堪能した太助の唇は、その位置を更に下半身に移していった。
 途中、おへそに挨拶をしながら、紀柳の秘裂に到達した。
 そこは濡れてなく、相変わらずしっかり口を閉じていた。
 ひっそりと筋が走り、目立たないように息づいていた。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・あんまり見ないで・・・くれ・・・」
 太助は紀柳の言葉を聞き流すと、目と鼻の先という近さで眺めていた。
 そっと指で優しく押し開くと、中から透明な雫が滴れてきた。
 やっと、出口を見つけたかのように、次々に溢れ出てきた。
「紀柳・・・こんなに我慢しなくても・・・・・」
「あぁぁぁ・・・・いやぁ・・・・・」
 紀柳は、手で自分の顔を隠すと、か細い悲鳴を上げていた。
 太助は、舌を伸ばすと、紀柳の秘裂をなぞり始めた。
「あぁ・・・はぁぁぁ・・・んぅ・・・・」
 たちまち、紀柳の声が上がり始めた。
 指で広げた秘裂を舐め上げ、溢れ出る蜜を掬い取っていった。
 更に舌を伸ばして、秘裂を押し割り中に潜り込んだ。
「んぁぁぁ・・・うぅ・・・・」
 紀柳の秘壷の中を太助の舌が動くたびに、紀柳の体に緊張が走り、跳ね上がった。
 太助は、いつまでも溢れ出てくる蜜を、喉の奥に送り込みながら、しゃぶりついていた。
「んぅぅぅ・・・あああぁぁぁ・・・・」
 紀柳は今までに無い大きな声を上げると、大きく体を反らして太助の舌でイッた。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
 紀柳は荒い呼吸を繰り返しながらぐったりしていた。
 紀柳が絶頂を迎えたのを確認すると太助は服を脱ぎ出し、裸になってベッドに戻ってきた。
 太助の下半身は隆々と起ちあがり、紀柳はボーッとしながら眺めていた。
 ベッドに上がった太助は、紀柳に覆い被さり耳元に囁いた。
「紀柳・・・いいかい?」
「はぁ、はぁ、・・・・あ、主殿・・・わたしは、まぐわいが苦手だ・・・・だから」
 紀柳の話ている途中で、太助は唇で言葉をふさいだ。
「紀柳・・・大丈夫だよ・・・・・」
 優しく言葉を掛けると、紀柳は暫くして、ゆっくりと頷いた。
 太助は、紀柳の秘壷の入り口に自分の物を押し付けると、ゆっくりと腰を進めた。
「んぅっ・・・うぅぅ・・・・」
 太助の物が、入り始めると紀柳は微かに声を上げた。
 紀柳の中は固く強ばっているようで、太助のものを拒んでいるかのようだった。
 その為、蜜で濡れているとはいえ、抵抗が大きく、太助のものは奥に進みにくかった。
 ジリジリと腰を進めると、やがて太助のものはすべて包み込まれた。
「ぐぅ・・・んぅぅ・・・はぁ・・・・」
 紀柳を見ると、軽く眉を寄せて、多少苦しそうな表情をしていた。
 緊張の為か、全身に力が入って、身動き一つせず固まっていた。
 太助も、紀柳の中がキツク、腰を動かさず体を重ねていた。
「紀柳・・・全部入ったよ・・・・・」
「あ・・・主殿・・・・・」
 多少、涙目になっていた紀柳は、緊張しながら太助を見詰めた。
 緊張で体か硬くなっている紀柳に、太助はそっと話し掛けた。
「紀柳・・・緊張しなくて大丈夫だから・・・安心して任せてくれ・・・」
 太助は、紀柳の頭を優しく抱えながら囁いた。
 そして、小鳥が啄ばむように、紀柳に何度も口付けをした。
「あぁ・・・はぁぁ・・・主殿・・・・」
 紀柳の髪の毛に触れ、丁寧に手櫛を入れた。
「紀柳・・・」
 紀柳の名を囁きながら、唇を合せるうちに、紀柳の体から緊張が解け始めた。
 そして、秘壷も固さが取れてきた。
「あ、主殿・・・もう大丈夫だ・・・・」
 紀柳は優しく微笑むと、太助に腕を回した。
「紀柳・・・動くよ・・・」
「ああ・・・・」
 太助は紀柳に声を掛けて、ゆっくりと腰を動かし始めた。
「おぉぉ・・・・」
「あぁぁ・・・んぅぅ・・・」
 紀柳の中は、劇的に変化していた。
 先ほどまでは、固い肉壷の中を突き進む感じだったが、今は、緊張の解けた所為か、柔らかく変化して太助のものに絡み付いていた。
 締め付けは相変わらず強かったが、動くたびに柔肉が絡まり、太助は紀柳の中に融けていく感じがした。
「き、紀柳・・・とても・・・とても気持ち良いよ」
「あぁん・・・ふぅあぁぁ・・・ああ・・・わ、わたしもだ・・・」
 紀柳の秘所は、まさに蜜壷と呼ぶ以外に表現できないくらい変化していた。
 柔らかくなった紀柳の中は、先ほどと比べられぬほど、太助の欲情を煽っていた。
 太助の腰の動きは、自然と早まり、自分の意志では止められなくなっていた。
 紀柳も、自分の中で動きまわる太助のものに煽られ、意識がぼやけ始めていた。
「あぁ・・・んぁぁ・・・あぁぁ・・・主殿・・・」
「くぅぅぅ・・・・き、紀柳・・・」
 すっかり、ほぐれた蜜壷から蜜が溢れ出し、部屋に卑猥な音が響いていた。
 太助の腰を打ちつける音と、紀柳の嬌声がこだましていた。
 紀柳の蜜壷の気持ちよさに酔いしれていた太助のものは、やがて出口を求めて熱いものが、もがき始めていた。
 紀柳も、頭の中が白くなり始め、とこかに飛ばされてしまう感じがし始めていた。
「き、紀柳・・・・もう・・・」
「あ、主殿・・・主殿・・・・」
 二人は互いに強く抱きしめ会い、太助は紀柳の奥深い所で、熱い塊を開放した。
 何度も細かく震えながら、太助は紀柳の奥に熱い樹液を送り込んだ。
 体の深い所に突然現れた熱さに、紀柳の意識は白く飛んだ。
 二人は、荒い呼吸を繰り返しながら、汗にまみれた体を重ねていた。
 やがて、二人は見詰め合うと、唇をどちらからとなく寄せ合った。
「紀柳・・・凄く良かったよ」
「主殿・・・・」
 紀柳は言葉を紡ぎ出せず、赤く染まった顔を伏せた。
 太助は紀柳の胸に埋もれながら、なえ始めた自分のものが収まっている紀柳の中を感じ取ろうとした。
 始めとのギャップが大きかった所為か、紀柳の蜜壷は太助を魅了してやまなかった。
 何とか、もう一度味わいたいと、太助はあがき始めた。
 目の前にある、大きな胸に吸い付き、腰を揺らし始めた。
「あ、主殿!そ、そんな・・・・あっ」
「紀柳・・・もう一度だけ・・・」
 太助の思いに答えるかのように、息子は元気を取り戻し始めた。
 自分の中で、体積を増やしつづける太助のものを感じて、紀柳の官能は急速に昂ぶり始めた。
 太助は、紀柳の蜜壷を再び味わえる事に歓喜していた。
 紀柳の中は、とても柔らかく、自分が突くたびに変化しているようだった。
 柔肉に包まれながら、太助は何度も激しく突き上げていた。
「あぁぁ・・・あぁぁ・・・はぁぁ・・・・」
 太助は体位を変えようと、紀柳の中から抜け出した。
 体に力の入らない紀柳は、太助のなすがままに体勢を変えさせられた。
 後ろからしたくなった太助は、紀柳をうつ伏せにすると、腰を高々と上げさせた。
「あ、主殿・・・こ、この格好は・・・恥ずかしい・・・」
 紀柳の秘所は、太助の目にすべて曝け出されていた。
 先ほどまで、太助を受け入れていた蜜壷は、中の赤く染まった柔肉が見えるほど口を開いていた。
 太助が来るのを期待するように、蜜が溢れ出ていた。
「紀柳・・・凄い・・・」
「そんな・・・見詰めないでくれ・・・」
 改めて狙いを定めると、太助は一気に潜り込んだ。
「ひゃぁぁ・・・あんぅぅ・・・・」
 蜜壷は、然したる抵抗もなく太助を受け入れた。
「うぁぁ・・・あぁ・・・はぅぁぁ・・・・」
 荒々しく、突き上げられながら、紀柳は快感の波に飲まれ始めた。
 太助は絡み付く柔肉に包まれながら、奥へ、奥へと突き込み始めていた。
「あ、あ、あ・・・主殿・・・そんなに激しく・・・・あぁぁぁ」
 太助は、紀柳の声が聞こえていたが、腰の動きは意志とは関係なく激しさを増していくようだった。
 再び、熱い塊が競り上り始めた時、太助は深く突き込んだ。
「き、紀柳・・・」
「あぁ・・・主・・・どの・・・ふぁあああぁぁ・・・」
 我慢の限界に達した太助は、紀柳の奥に再び熱い精を放った。
 紀柳も、熱い塊を感じると同時に、絶頂を迎えていた。
 快感の波に漂う二人は、折り重なるように崩れ落ちた。
 激しさの後の呼吸音だけが、部屋の中に漂っていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・」
「ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ・・・」
 二人は、呼吸を落ち着けながら、体を寄せ合い横になっていた。
 そして、見詰め合っているうちに、つかの間のまどろみに落ちていった。
 太助は、立ち去る足音を聞いたような気がしたが、気だるさの中に埋もれていった。

 その日の夕食は、紀柳の為に薬膳とおかゆだった。
 ルーアンも戻って来て、4人揃っての食事だった。
 ただ、ルーアンは不機嫌だった。
「ちょっと、アンタ達!なんで、たー様の傍に座るの!何で、そんなにくっついて座るのよ〜!」
 太助の両側には紀柳とシャオが座っていた。
 テーブルの一辺はそんなに広くない為、窮屈そうに体を寄せ合って三人は座っていた。
 紀柳が太助の隣に遠慮がちに座ると、シャオもまた太助の隣にやって来たのだった。
「えっと・・・ただ、何となくです・・・・・ルーアンさん」
「・・・・・・・・・・・・」
 シャオはあやふやな答えをして、紀柳は赤い顔をしたまま、黙って俯いていた。
「だぁ〜!一体何なの、たー様から離れなさいよ!」
 離れる気配のない二人に、ルーアンは暴れ出した。
『ははは・・・・・』
 太助は、両側から預けられる体重に困惑しながら、考え込んでいた。
 シャオが、紀柳に対抗意識を持ち始めたように、感じられたのだった。
 その理由を考え始めて、紀柳との行為を見られたのかと思い至ったとき、太助の心は不安に満ちていった。
 そして太助は、テーブルの上の夕食が襲い掛かってくるのを、呆然と眺めていた。


おしまい