昨日のつ、づ、き

 重い足取りで、教室に入った太助は周りを見回した。
 教室に入っても、はやし立てられる事もなく、変った事は起きなかった。
 ただ一人、山野辺がこちらを見てにやけていた。
『ちくしょう、言うなよ山野辺!』
 太助は、強く願わずにはいられなかった。
 何度か、山野辺の行動に惑わされる事もあったが、今のところ言う気はないらしい。
 とりあえず、何事もなく午前中が過ぎていった。

 昼休みになると、山野辺は太助に声をかけてきた。
「おーい、七梨!」
 太助は、思わず身を縮めた。
 そして、振り返った先には、満面の笑みを浮かべた山野辺が立っていた。
「な、なんか用か・・・・でしょうか?」
「ほぉ〜。なんか用か、ねぇ。昨夜は―――」
「?! わぁーわぁー!」
 慌てて、山野辺の口を押さえつけた。
「や、山野辺! そ、そうだ、別の場所で、は、話そう」
 山野辺を屋上に、急いで引っ張っていった。
『や、やばい。何とか山野辺に秘密にさせないと』

 幸い、屋上にひとけは無く、密談をするには最高の場所になっていた。
「七梨、こんな場所に、連れ出してどうしようというの?」
 目は笑っていた。そして、声にもどこか、面白がっている感じが含まれていた。
「おまえなぁ・・・・」
 急に、まじめな顔をして詰め寄ってきた。
「七梨、昨夜はシャオとどこまでいった」
 いきなり核心に触れてきた。
「なっ!な、何の事でしょうか・・・」

とぼけんな!」
「・・・・・」
「みんなが知ったらどう思うかねぇ」
「な、何を言っているのでしょうか・・・。ははは・・・・」
「・・・昨日、渡したの飲んだろ」
「うっ!・・・そ、それは・・・」
 山野辺は期待に満ちた、顔を寄せてきた。
「シャオにしてもらったんだろ。まさか、まさか一人で・・・」
「・・・・・・・・」
 太助の答えを待っていたが、山野辺は階段の方に向きを変えた。
「・・・シャオに、聞いてこよっ!」
 立ち去ろうとする翔子を、慌てて引き止めた。
「ま、待て。どうしたら秘密にしてもらえるんだ」
「してもらったんだろ?」
 目が、語っていた「言わないなら、行くぞ」と。
「・・・・・・あ、あぁ」
「気持ちよかったか?」
『何で、そこまで言わなくちゃならないんだ』
 太助は答えるかどうか迷っていた。
 下手に答えても、泥沼におちいる可能性もある。
 山野辺は沈黙を肯定と受け取ったのか、一人うなずいていた。
 太助は、とにかく、黙っていてくれるように頼む事にしようと、考え始めた。
 そして、頼むにはどうしたらいいのかと、しばらく考え込んでいると。
「――――ろうか?」
 と、山野辺の声が聞こえた。
「・・・えっ」
 見ると、顔を赤くさせた山野辺が立っていた。
 そして、恥ずかしそうに体を寄せてきた。
「や、山野辺・・・」
 太助と目を合わせると、はにかむような顔を見せて、かがみ込んだ。
 そして、ジッパーをおろして、太助のものを引き出した。
 山野辺に、体を寄せられたときから、太助のものは大きくなり始めていた。
 触れられる事で、さらに大きく体積を増やしていった。
「・・・まだ、大きくなるのか?」
 ゆっくりと、太助のものを上下に動かし始めた。
「う、うっ・・・・」
「七梨、気持ちいいのか・・・ もっと気持ちよくしてやろうか?」
 太助は、ただ、首を縦に振って、翔子の次の行動を待った。
 山野辺は、上下に動かしていた手を止めて、一度気合いを入れるような仕草をした。
 そして、ゆっくりと顔を近づけて、太助のものを口に含んでいった。
「うぉ・・・」
 太助は、声が出るのを押さえられなかった。
 まさか、口の中に入れてもらえるとは、思ってもいなかった。
 その、山野辺の口の中は、とても暖く、とても気持ちよかった。
 その気持ちよさに、太助は立っていることが出来なくなり、その場にしゃがみこんだ。
 山野辺も、口から離すことなく、太助の動きに合わせてかがみ込んだ。
 そして、口に含んだまま動かず、舌で太助のものをしごいていた。
 シャオとは違った気持ちよさに、太助はすぐに限界に向かっていった。
「や、山野辺・・・・」
 いきそうになる事を伝えようとしたとき、山野辺は口から太助のものを出した。
 焦らすかのように、太助のものを触りながら質問してきた。
「そう言えば、まだ、きちんと聞いていなかったな」
「な・・・にを?」
 必死に堪えながら、太助は声を出した。
「シャオと、何処まで、し、た、か」
「・・・・・・」
「答えないと、このままだぞ」
「・・・・・く、口でしたもらった、だけ・・・だ」
「ふ〜ん・・・ 本当か?」
「あ、ぁ・・・」
 その言葉を聞いて山野辺は、また、口に含み始めた。
「う、う・・・」
 今度は、太助をいかせるために、激しくしごき始めた。
 山野辺の、激しい動きに合わせるかのように、太助のものは高ぶり始めた。
 そして、さっき焦らされたときとは違い、急激に頂点に達しようとしていた。
「や、山野辺!」
 太助は、山野辺の頭を押え込み、自分のものを喉の奥に押し付けた。
 その瞬間、今まで耐えていたものが一気に噴き出した。
「ごほっ・・・」
 喉の奥に当たる、最初の勢いにむせはしたが、山野辺は残りを静かに飲み込んでいった。
 そして、出し終えた太助のものを離さず、まだ、口の中に含んでいた。
 太助は声を掛けようとしたが、されるがままにしていた。
 山野辺は、まるで証拠を消すかのように、丁寧に何度も舐め上げていった。
 そして、満足したのか、太助のものを口から開放した。
「七梨・・・ おまえ結構、乱暴だな・・・」
「ごめん・・・ 山野辺・・・」
 太助は、次を期待するように、山野辺に手を伸ばそうとしたが、躱されてしまった。
 立ち上がった山野辺は、一歩後ろにさがりながら言う。
「だめだぞ。七梨」
 太助を睨むような目つきで。 しかし、口元は笑っていた。
「シャオに悪いからな・・・。それ、さっさとしまったほうがいいぞ。きししし!」
 慌てて自分のものをしまう太助を後に、山野辺は走り去っていった。
 太助は、走り去ったほうを見ながら、激しい自己嫌悪に陥った。
「俺・・・ 何やってんだろ・・・」
 肩を落として、落ち込む太助の耳に、午後の授業開始のチャイムが聞こえてきた。

おしまい
      By NAO

 

戻る