受難の時


                             放射朗
  1


「優、発育が遅いのかなあ、おまえ声変わりはあったか?」
 平和な夕食時に父の言ったその一言が、僕の受難の始まりになるなんて、当然だけどその時の僕には知る由もないことだった。
 父はいつもの事だけど、日本酒を、母は、久しぶりのビールを気持ちよく飲んでいた。

「別に、僕は普通だよ」
 味噌汁を一口飲んで僕は答えた。
「中学3年にしては、少し遅いかもしれないけど、優君はおとなしいからいいのよ。
あまり男らしいのは最近はやらないんだから。優君学校でもてるでしょ」
 ほろ酔い加減の母がニコニコして言った。

「でも、男の子でもあんまり可愛いと、変な男に襲われるかも知れないわね。あなた、やっぱり柔道でもやらせようか」
 何だか急に話の雲行きが怪しくなった。
「でもうちの道場はあの事故の後、男子柔道部は解散してしまったからなあ」
 父は警察署に勤めている。
 父の警察署の道場はずっと一般の青少年を受け入れて、柔道部を作っていたが、去年の終わりにちょっとした事故があって、その柔道部を廃部にしていた。
 今は一般人は受け入れずに、警察官だけで練習しているらしい。
「そういえばあの時の子、リハビリで何とか歩けるくらいには回復したらしいわね。一時は半身不随になるかと思って心配していたんだけど」
「まったく。練習中に頚椎骨折というのは初めてだったよなあ、やっぱり優は、危ないから止めておいたほうがいいかもな」
「そうだ。女子柔道部があるわ。女子が相手なら優君でも怪我する事もないわよ」
 母がいきなり突飛な事を言い出した。

 母も以前は婦人警官をしていた。父とは職場結婚というやつだ。
「おまえが練習していたとこか。そうだな。それいいかもな」
「今の子達もみんな私の後輩だし、ちょっと頼んでみるわ」
 僕の意思は完全に無視されて、話がどんどん進んでいく。
「ちょっと待ってよ。女子の中でなんて嫌だよ」
 僕の抗議は二人とも当然予想していたのだろう、うんうんとうなずいて軽くかわ
された。
「いやなら負けないように練習するだろ。そのほうが上達も早いはずだ」
 というのは父の論理。
「まだ女の子意識する年でもないでしょ」
 というのが母の論理だった。
 父の論理にはともかく、母は何も分かっちゃいない。
 いつまでも子供でいて欲しいという希望的観測がかなり入っているようだ。

 僕はさらに強硬に抗議しようとしたが、母に出鼻をくじかれた。
「優君、ギターが欲しいって言ってたわよね。夏のボーナスで考えてあげてもいいなあ。でも、その前に体は鍛えなきゃね」

 学校の柔道部に入るという手も有ったのだが、その時は混乱していて言いそびれた。
 それに3年生なのに新入部員として1年と一緒にやらされるのはちょっと嫌だ。
いじめもあるかもしれないし……。
 女子の中とは言っても、警察署の道場ならその点は大丈夫だろう。
 知り合いもいないだろうし……

 僕は早速次の日の夕方、母に言われた道場に向かった。
 『小牟田警察署女子柔道場』と大書きされた門を入り、奥に進む。
 門の中は車を置くスペースの他に池まであった。
 随分立派な道場だ。どこかでうぐいすが、たどたどしく鳴いていた。
 建物は古いが由緒ある雰囲気が漂っている。
 堂々とした正面入り口から入ると、右に下足棚があった。
 靴を脱いでそこに入れる。
 奥の方からは活気に満ちた声が上がっていた。
 
 入り口近くで覗いていると、額に汗を光らせた一人の女性がやってきた。
 汗で湿った柔道着の胸元からは湯気が上がって見えた。

「キミ、斎藤優君でしょ。先輩から聞いてるわ。ちょっと早かったわね。こちらにどうぞ」
 母の後輩だろうか。その女性に案内されて、僕は奥に入って行った。
 広い柔道場だけどまだ練習しているのは10人くらいだ。
 半分は大人の女性で、残りは僕と同じくらいの年齢の女子達だった。

「今日からみんなと一緒に練習する、斎藤優君です。本当は此処は男子禁制なんだけど、特別に入部を許可しました。皆さんよろしくしてやってください。私は麻生早苗。此処のコーチをしているの。よろしくね」
 麻生さんはみんなに僕を紹介した後、僕のほうを向いて自己紹介した。
 麻生さんも、その他の人たち、女の子達も、柔道なんていうごつい格闘技をやってる割には優しそうだった。
 麻生さんはちょっと松島菜々子似の美人だ。
 スタイルも柔道着を着ててもわかるくらい胸が大きくて、近くで見ている僕はつい恥ずかしくてうつむいてしまう。

「初めまして。私たちは海星中学の2年生です。私は近藤綾子、こっちが田口ユカ、こっちが前崎智香です。斎藤さんは見た感じ3年生くらいですか?」
 同い年くらいかと思っていた女の子が他の二人を紹介しながら聞いてきた。
 同じ海星中学と聞いて、ちょっとまずいと思ったけど、まあ学年も違うからどうということは無いか。
「僕も海星中学だよ。3年2組。よろしく」
 僕は挨拶を返した。

 紹介が済んで、練習が始まった。
「それじゃあ、キミはとりあえず近藤さんたちと練習していてね。学校の体育で習ってると思うけど、まずは受身の練習からね。あそうそう、着替えは奥の倉庫を使ってね」
 僕は道場のすみの倉庫に行って着替えた。

 最初の練習は受身から始めた。
 一学年したの女子と一緒に。
 近藤綾子はまあまあ。田口ユカはちょっときつそうな目つきで苦手なタイプ。
 前崎智香は目が大きくて美少女顔。ちょっといい感じだなと思った。
 3人とも運動しやすいようにか、ショートカットにしていた。
 
 四人で並んで受身の練習。畳を打つパーンという音が広い道場内に響く。
 少しずつ人も多くなり、中央の方では婦警さんたちの乱取り稽古が始まりだした。

「私たちも組んでやりましょう。ちょうど四人だからいいね。あまらないもん」
 綾子が言う。
 僕達も組んで練習する事になった。
 僕と綾子、ユカと智香がまず組んだ。
 初心者とはいえ柔道は体育である程度習ってるし、僕の方が綾子より身長も十セ
ンチは高い。体重だってそれなりに重いはずだ。
 体力はあまり自信ないが、年下の女の子には負ける気はしなかった。

「本気出していいですよ。私は手加減しますけど」
 綾子は無邪気に笑いながらそんな事言っている。
 僕に生意気だと思われないか、彼女は気ならないのだろうか。
 それとも最初から僕のほうが弱いと思って、それが当然だと考えてるんだろうか。
 僕は少し不愉快になった。ちょっといじめてやろう。
 本気を出すのは男らしくないかと思っていたが、ちょっと乱暴に乱取りを開始した。
 ぐっと腰を落とした彼女の方に踏み込んで、踏ん張った足をはらいに行く。
 彼女はそれをひょいと簡単によけると、僕の下に入り込むように腰を入れて、背負い投げにきた。
 身体がふわりと浮き上がる。平衡感覚が狂う一瞬の不確かさの後、僕の身体は畳に打ち付けられていた。
 痛みは感じない。ちゃんと受身が取れていたからだ。
 衝撃と、屈辱感。
 すぐに立ち上がって再度組みなおす。
 こいつは油断出来ない。僕は気合を入れなおした。
 彼女の右腕が僕の襟をつかみ、ぐっと引いて、あっと思ったら、また投げられていた。今度は違う技で。

「先輩受身はちゃんとできるみたいですね。これなら遠慮なく投げられます」
 綾子はそう言いながら更に何度も僕の身体を畳に打ち付けた。
 投げられては起き上がり、向かっていき、更に投げられる。
 屈辱感を感じていたのは最初だけ、後の方になると、とにかく体力が持たなくなって、汗だくになり、足もフラフラになってしまい、余計な事を考える余裕すらなくなってしまった。

「先輩、少し休みましょうか。疲れたでしょ」
 綾子は可愛い顔で笑いかける。
 そんな優しい表情で、僕を散々攻め立てる彼女に僕は複雑な感情を持ってしまう。
 なんと言ったらいいのか。可愛い女の子と力ずくで勝負してまったく勝てない情けなさと、恥ずかしさ。自己嫌悪と彼女への尊敬。
 そんな気持ちがごちゃごちゃにミックスされて、すっかりまいってしまう。
 でも、疲れたと言うのは嫌だった。
 勝負では負けても、体力でも負けるというのはあまりに情けない気がした。

「僕はまだ大丈夫だよ。男だからね」
 つい、言わずもがなの一言が出てしまう。
「さすが男は体力ありますよね。でも私はちょっと休ませてください」
 綾子はそう言って壁際に座り込んだ。
「先輩まだ大丈夫ですか。じゃあ、私とも練習してください」
 そう言って僕の側によってきたのはちょっときつい目つきの田口ユカだった。
 ユカにも同じようにまったく歯が立たなかった。
 同じように何度も何度も投げられて、最後には起き上がる事さえ出来なくなってしまった。
 へばっていると、今度は智香がやってきた。

「先輩さすがにもうきついでしょ。ちょっと休みましょう」
 彼女は起き上がれない僕の肩を抱いて、壁際まで連れて行ってくれた。
「少し手加減してあげれば良かったかな。最初にあんまり痛めつけたら、泣き出しちゃってもう来たくないなんて言うかもよ」
 小声でユカが綾子に言うのが聞こえた。
 僕は怒る気力も無い。
 智香が僕にポカリスウェットを持ってきてくれた。

「少し休んだら、私と今度は練習してくださいますか?」
「ありがとう。うん。少し休んだら大丈夫だから」
 自信喪失でショックを隠し切れない僕だけど、智香の優しさで少し救われた気がしていた。

 水分を補給して、20分ほど休んだ後、僕は智香と組んだ。
「今度は立ち技の後、寝技の稽古もしてもらっていいですか」
 いいよ、と僕は答える。
 智香も他の二人に負けず劣らず技の切れは抜群だった。
 あっさり投げられた後、寝技に入った。
 自分より小さく軽い女の子にあっさり押さえ込まれるのはやっぱり恥ずかしい。
 懸命に彼女の腕を振り解いて立ち上がろうとする僕を、智香はすんなりと背中側に回りこんで僕の首に腕を絡めてきた。
 絞め技か?体育の授業では危険だから絞め技は禁止だ。
 だから絞められたのは初めてだった。
 息はできるが、首に絡みついた彼女の腕は僕の頚動脈を絞め付け、血液の流れを止める。
 目の前が暗くなる。ふわりと浮き上がるような感覚の後、すぐに何もわからなくなった。

「きゃっ。やったやった。おしっこ漏らしてる。さっきのポカリが効いたかな」
 ぼんやりした意識の中、声が聞こえていた。
 この声はユカかな?漏らしてるってなにを?
「智香、やるわね。あったまいー」
 今度は綾子の声?
 徐々に視界が開けて、感覚が蘇ってくる。
 股間が冷たい。こんな感じは小学生のころおねしょをしたとき以来だ。
 おねしょ?
 それまでゆっくりだった僕の思考回路がやっと普通に働き出した。
 周囲には道場の人たち全員が集まって 、畳の上に倒れている僕を見下ろしていた。
 そして恐る恐る股間に手をやると、濡れた感触が当然のようにかえってきた。

「気が付いた?前崎さんに絞め落とされたんだよ。落ちたのは初めてでしょう。
おもらししちゃったね。気にしないでね。落ちた時はたまにあることだから」
 麻生さんが僕を覗き込んで言った。
 僕は混乱してしまってすぐに起き上がろうとするけど、うまく起き上がれない。

「大丈夫?」
 そう言って手を貸してくれたのは、僕を絞め落とした智香だった。
 手を振り払おうかと思ったが、恥の上塗りみたいな気がしたので素直につかまった。
 後で記憶を整理してみると、智香達3人で共謀して僕を辱めた事は明白だったが、 この時は記憶も朦朧としていてそれに気付かなかったのだ。
 綾子は濡れた畳を雑巾で拭いていた。
 クスクス笑いを漏らしながら。


  2


 次の日、僕は学校を休んだ。
 とても学校になんて行く気にはなれなかった。
 学年は違うけど、どこかで綾子たちと顔を合わせるかもしれない。
 風邪を引いて頭が痛いという事にして、今日は1日寝てる事にしていた。
 
「優君。大丈夫?近藤さんたちが柔道に誘いにきてるわよ」
 母さんが部屋に入ってきて言った。
 風邪で寝込んでるのに柔道なんてやれるわけ無いじゃないか。
 僕がそういう前に、母さんがふふっと笑って言った。
「昨日の事聞いたわよ。絞め落とされたんだって?だから今日は学校もサボったんでしょ。まあ、学校は明日から行けば良いけど、今日の事はお父さんには内緒にしておくから柔道は行きなさいね。このまま止めてしまうなんて言ったら、無理やり頼んで入れてもらったのに、恥ずかしいわよ」

 母さんが部屋を出るのと入れ違いに綾子達3人が、お邪魔しますなんて言いながら入ってきた。
 じゃあ優をよろしくね、そんなこと言いながら母さんは出て行った。

「先輩。今日は学校サボりですか?せっかく3人で3年生のクラスに見に行ったのに居ないんでがっかりでしたよ」
 綾子が僕の寝ているベッドに腰掛けて言った。

「なんのため僕のクラスに来たんだよ」
 僕の言葉に3人はけたけた笑った。

「そんなの決まってるじゃないですか。絞め落とされておしっこちびった男の子が次の日どんな顔で授業を受けるのか見たかったんですよ」
 彼女ら3人は既に僕に対する悪意を隠そうともしていない。

「いいかげんにしろ。帰れよ、柔道なんて行くもんか」
 ちょっとばかし僕より柔道が強いからといってなめられてたまるもんか。
 僕は男だぞ。

「そんな事言っていいんですか?クラスの人たちにも真相をばらしますよ」
 言いながらユカは僕の布団に手を入れて、股間をまさぐりだした。

「逃げないで。ばらされたくはないでしょ」
 よけようとするとユカがそう釘をさした。
 ユカの手で僕はパジャマと下着をずるずる下ろされた。

「止めろよ。何てことするんだよ」
 くすぐったかったが、すぐに変な気持ちになってきた。
 布団の中でユカの手は僕の物を握り、ギュッギュッと揉む。

 3人はセーノと声を声を合わせて、僕の布団を剥ぎ取った。
 僕の剥き出しの下半身が現れる。
 
「わーお、立ってる立ってる」
 智香の言葉。他の二人もユカの握った僕の物を触ってきた。

「止めろよ。勘弁してくれよ」
 僕は小さくそう言うだけで、どうしようもなかった。
 力ではかなわないし、弱みは握られてるし……

「気持ちよくしてあげるよ」
 ユカがそう言って握った物をゆっくり擦り始めた。

「止めてくれ」
 大声をあげれば母さんが飛んでくるだろう。
 こんなところを母さんに見られるのは絶対嫌だったから小さな声でしかしゃべれない。

「そんな事言ったってちんぽは正直だね。びんびんじゃん」
 平気で綾子は卑猥な呼び名を使う。そして僕の玉を握り、揉んでいる。

 三人に見られながら僕はすぐにでも発射しそうな気分になってしまった。
 擦りあげる手つきはすごく上手で、とても初めてとは思えない。
 何人もの男の物を扱いなれてる手つきだ。
 恥ずかしい気持ちも刺激的で、絶頂を迎えた。
 と思ったら、ユカの手が止まる。

「ふふふ。簡単にはいかせませんよ。もう少し遊びましょ」
 ユカはピクついている僕の物をじらすように、ほんの少しずつ刺激する。

「いきたくてうずうずしてるよ。ほーらいきたい?」
 綾子が玉を揉みながら言う。

「い、いかせてくれよ」
 僕はユカに頼んだ。嫌でたまらないが、どうしようもなかった。
 身体が言う事を聞かない。いきたくてたまらなくなったのだ。

「智香、足持って」
 ユカがそう言って、僕は頭の方に立った智香に両足を持たれて、でんぐり帰しの格好に押さえつけられた。剥き出しの下半身がちょうどお尻の穴を真上にした格好で三人の前に晒される。

「身体柔らかいですね。これなら自分のちんぽをフェラできるんじゃないですか」
 智香が力をいれて押さえながら言う。
 背骨がいっぱいまで曲げられて、苦しい。

「ほんとだ。もう少しでしゃぶれるよ」

「最後は自分でフェラさせていかせようよ」
 綾子とユカの言葉で、つぶっていた目を開けると、目の前にまだ勃起している僕の物があった。

「ほら、口を開きなさい。自分で咥えてるところを、あたし達に見せてよ」
 自分の物を咥えるのは、それほど抵抗がない。
 自分の物だから汚いとは思わない。ただ背中が痛くてきつい。

 僕はゆっくり口を開いた。
 綾子の手が伸びて、僕の物を握り口の方に導いた。
 後2センチくらいだ。でもその2センチはかなり遠い2センチだ。

「もう少しよ。ユカも押さえるの手伝って」
 頭上から智香が言っている。
 ユカが体重をかけるようにして僕の身体を折り曲げる。
 痛いと叫ぼうとする僕の口に、自分の勃起した物が侵入してきた。
 口の中の異物の感じと、しゃぶられるあそこの快感が同時に起こる。

「やった。しゃぶってるしゃぶってる。自分で自分のフェラするなんて変態だわ」

「ほら、かりに舌を這わせて自分でいきなよ」
 智香が間近に顔を寄せて観察してるのが見えた。
 いきたくてたまらなくなっていた自分の敏感な部分を、僕は苦痛に耐えて舌で刺激した。

 ああ、いく。いってしまう。

 絶頂感と口中に発射される生暖かい液の味。
 快感となんともいえない変な味がミックスされ気を失いそうだった。


 3


「さあ。それじゃあ御稽古に行きましょ。でも、その前にこれよ」
 綾子が手に持っているのは、イチジク浣腸だった。
「お尻を高く上げて四つん這いになって」
 智香が僕の腰を持ち上げるようにした。
「もういいだろ。そこまでしなくても……。」
 僕は一度無理やりいかされた後で、しばらく動くのも億劫、早くうがいをして口の中をきれいにしたかった。

「うがいしたいんでしょ。言うこと聞かないと、そのままお稽古だからね」
 ユカに一番痛いところをつかれて、僕は彼女らの言うままにお尻を差し出すポーズを取った。
 散々辱めを受けているとはいえ、やっぱり屈辱的なことには変わらない。
 
「じゃあ一個め行くわよ。ええと、このキャップを外してと、さあ、お尻の穴に太い、あんまり太くないか、管が入りますわよ。ブスッと」
 綾子の実況中継の後、僕の肛門に異物感があり、管が入ってきた。
 すぐに冷たい液体が、思った以上にたくさん注入されてきた。
 そして管はすぐに出て行った。

「今度は私が二個目いきます」ユカの声だ。
 最初に一個名いきますと言っていたから、想像はしていたけど、やっぱり一人一個ずつ入れていくつもりのようだ。
 2個目の液体も入り、今度は智香が3個目を入れてきた。
 2個目を入れられたあたりから、僕はもうトイレに行きたくなっていた。
 下腹にきりきり来る排泄の衝動は、次第に大きくなり、我慢できないくらいに膨らんでくる。

「早くしてくれよ。トイレにいきたくなってきた」
「トイレはまだ行かせないわよ。しばらく我慢しないと駄目」
 やっと友かによる3個目が注入し終わったけど、綾子の言葉は聞き捨てならなかった。 

「どういうことだよ。トイレ行かせてくれよ」
「さあ、早く服を着て 。稽古に行くわよ。道場のトイレになら入っていいよ。そこまで我慢って事」
 ユカが言った。
 僕をどうするか、すでに3人で話して決めてあるみたいだ。
 仕方ない。
 それなら急いで道場に行かないと。
 道場までは家から急いでも15分はかかる。
 それまで我慢することが出来るだろうか。
 
 
 僕の家のある住宅街をぬけて、プラタナス並木の通り道を急ぎ足で行く。
他の三人のことなど気にしている余裕なんかない。
湧き上がる欲求に脂汗を流しながら耐えるだけだ。
 家を出て、まだ5分くらいなのにすでに限界が近い。
道場までは急いでもまだ10分はかかる距離だ。

 最悪の事態が頭に浮かんでくる。
 こらえ切れなかったらどうなるか。
 あの三人組が素直に家に返してくれるとは思えない。
 道場で、また辱められることになるだろう。
 彼女らは僕より1学年とはいえ年下なのに、そんな女の子達に、もて遊ばれいじめを受けるなんて考えたこともなかった。
 男としても情なくなる。
 男をやめたい気分になってきた。
 僕が女の子だったら、まだ楽だったろう。
 三人相手には勝てないし、いじめられるのも、仕方ないとあきらめきれるかもしれない。
 何とかトイレに行きたい欲求を紛らわせようと努力してきたが、もう限界だった。
「もう我慢できそうにないよ。その辺の家に入らせてくれ」
 僕は綾子に泣きついた。 

「入らせてくれじゃないでしょ。あんたまだ立場わかってないの。いつまで先輩のつもりでいるのよ。入らせてくださいでしょ。言葉に気をつけなさい」
 綾子は高圧的に言い、僕の背中を小突いた。
「すいません。入らせてください」
 僕は涙がこぼれるのを我慢できなかった。
 どこで間違えて、こうなってしまったんだろう。

「まあ、予定通りかな。じゃあ、そこの公園に入りなさい」
 智香指差すところには、公園の小さな公衆便所が有った。

 僕は急いでその中に飛び込んだ。
 ズボンを下ろす手がもどかしい。洋式便器に座り込んだとたん恥ずかしいくらい大きな音を立てて排泄が始まった。
 自分の意志ではどうにもならない。
 お腹の中に溜まっていたごみが一気に噴出していった。

 やっと少し落ち着いた。冷たい金属でできている流水のレバーをひねって便器の中の茶色い物を消去する。
 臭いはすぐに無くならないが、天井のファンがゆっくりと消し去ってくれた。

 個室から出ると、三人は腕組みして僕を待っていた。
 
「ちゃんと拭いたか見てやるから、そこに両手をついてお尻を突き出しなさい」
 ちょっと眉をしかめたユカが言った。
 男子便所の中だ。僕らの他には誰も居なかった。

 此処で抵抗しても始まらないのは、これまでの事で痛いほどわかっている。
 恥ずかしかったけど、僕はおとなしくいうことをきくことにした。
 ユカが示した小便器に手をついて、後ろにお尻を突き出す格好をした。
 綾子と、智香の手がすぐに僕のズボンと下着をズリおろした。

「お尻を下げちゃ駄目よ。もっと突き出すようにするの」
 ユカがヒステリックに叫ぶ。
 僕は他の誰かに聞かれないか、そればかり気になっていた。
 三人にいじめられ、責められるのは慣れてきたけど、他の人にこんな格好を見られるのは絶対に避けたかった。
 
 ユカが再び大声を出さないように、僕は彼女の気に入るように、お尻を高く突き上げるようにした。
 
「いい格好ね。男のくせに年下の女子に恥ずかしい格好を強制されてるなんて、情けなくて泣きたくなるんじゃない」
 ユカは僕の突き出したお尻を右手でパシンと叩いた。
 我慢できないほどじゃないけど、ピシッとした痛みが僕を襲う。
 
「これで仕上げをしてあげる」
 綾子の声だ。
 何の事か僕が振り向くと、いつの間に用意したのか彼女の手にはビン入りのコーラが握られていた。
 多目的ナイフを使い、慣れた手つきで彼女は栓を抜いた。
 そして親指で栓をして、強く振り出した。
 
 これから彼女が何をやろうとしているのか、鈍い僕にもすぐにわかる。
 でも僕は彼女達を振り切って逃げる勇気は無かった。
 すぐに捕まって、もっとひどい事をされるのが落ちなのだ。
 僕は目をつぶってこれから起こる苦痛と、恥辱に耐える準備をする。

「いい子ね。だいぶ素直になってきたみたい」
 そんな事を言いながら綾子は僕の尻にビンを近づけた。
 智香が両手で僕の尻を開いて、綾子の作業を手伝っている。
 開かれた尻の真中に、冷たいコーラのビンの先端が触れてきた。

 思わずお尻をすぼめるようにするけど、ビンの先端は強引に穴を広げて、侵入してきた。
 同時に指で押さえられていたビンの中身が勢い良く僕の中に入ってきた。
 冷たさはそれほどでもない。
 僕の家に来る前に既に買っておいたからだろう。
 時間がたって、ぬるいコーラになっていたのだ。

 ビンがぐっと押さえつけられて、穴が押し広げられる。
 そのままぐいぐいとビンを振るようにして、最後の一滴残らず僕の中に注入され
る。たちまちお腹がパンパンに張ってきた。
 炭酸ガスが腸内で膨れ上がってるのだ。

「いたたた、お腹が痛いよ。もう許してください」
 綾子は僕の声を無視して、更にビンを奥の方まで入れだした。
 肛門は開く限界まで広げられ、身を引き裂かれるような激痛が襲ってくる。

「うわあ。痛い裂けちゃうよ。勘弁してください」
 痛いのと情けないので、僕は涙を流して彼女らに許しを請った。
「まだお尻が硬いね。これじゃあ男の相手をさせるのはまだ早いかなあ」
 綾子の声は少しも興奮した様子が無い、冷静な物言いだった。
 
「何とかなるわよ。もう呼んでるんでしょ。それより、もう出させてもいいんじゃない?」
 智香の意見でようやく僕は解放された。
 さっき出てきた個室に入って、たった今注入された液体をすべて放出した。
 一瞬血かと思った黒いコーラは、真っ白い便器にまだらの模様を描いた。


 腹痛も治まり、何とか落ち着いた。
 このまま個室にずっと居座りたい。
 出て行きたくない。
 水を流す音で終わったと悟られたのだろう、誰かが乱暴に扉を開いた。
 鍵を掛ける事は禁止されていたのだ。
 目の前に立っている男を、僕はあっけに取られて見てしまった。
 てっきり綾子たちだと思っていたのに、見知らぬ若い男がそこに居た。

「終わったみたいだね。さあ、出てきな。かわいがってやるぜ」
 無関係の男が知らずにドアを開いただけかと思っていたが、どうやらそれは楽観的過ぎたようだ。

 僕は言葉も無く、急いで下着とジーンズをずり上げる。

「どうせすぐ脱ぐんだから脱いだままでいいぜ」
 そう言うその男の後ろには、他にも数人の男達が居た。

 彼らに両腕を捕まえられて、引き立てられるようにして公衆便所を出ると、綾子たちがニヤニヤしながら見守っていた。

「どういうことだよ、これ」
 綾子に向かって、僕はやっとそれだけ声を出すことが出来た。
 思わぬ展開に愕然としてしまって、声もかすれていた。

「さっき話してたの聞かなかった?あたし達が呼んだの。あんたのお尻をかわいがってもらうためにね」
 綾子の代わりにユカが言った。ユカの細い陰険な目は嗜虐の快感に潤んでいた。

 男達は四人いた。
 僕を捕まえて、ジーンズと下着を剥ぎ取ろうとしている。
 僕はしり込みして抵抗する。
 無意味な抵抗でも、本能的に身体は逃げようとするものだ。
 智香がつかつかと近づいてきた。

 いきなり僕の股間に向かって、締まった足首をひねりながら叩き込んできた。
 ズンと下腹部から激痛が生じ、立っていられなくなる。
 地面に転がってのた打ち回る僕。

「うわー。女は怖いなあ。金玉の痛みを全然わかってないんだもんなあ」
「今の、潰れたんじゃないか、まあどの道女にする奴だからいいけど」
 苦痛で意識が濁っている僕の上から、男達の同情の混じった声が降ってきた。

 木陰とはいえ真昼間の公園だ。
 人目もあるだろうに、信じられない彼らの行為だ。
 両足からジーンズと下着が剥ぎ取られ下半身裸でTシャツ一枚にされながら、これはきっと夢の中の世界で、現実ではありえないと僕は思い始める。
 
 股間の痛みは本物だけど、痛い夢が絶対無いなんてきまりは無いはずだ。
 そうだ。これは夢だ、きっと。

 僕はベンチに上体を乗せて、お尻を突き出す格好にさせられた。
 
「白くてすべすべの尻だね。じゃ、今から4人でかわいがってやるから。綾子たちはビデオ係しっかりな」
 ちらりと目の端に写った綾子は、ソニーのデジタルハンディカムを構えて、スタンバイしていた。
 かってにしろ。これは夢だ。こんな事が本当にあるわけが無い。
 きっともう少ししたら、母さんが優しい声で起こしに来るはずだ。

 優君、いつまで寝てるの。もう7時半よって。

 夢の世界はもうすぐ夕暮れ時だ。木々の陰が長くなり、公園はまだらに沈んでいく。
 風が通る度に、影はうごめき、赤茶けた公園の地面をゆさぶっていた。

 周囲には僕らの他には誰も居ない。
 それとも僕が知らないだけで、大勢の人間が僕の恥ずかしい格好を見ているのかもしれない。
 僕のお尻に男がクリームを塗っている。

 そして既にギンギンに起立している彼の物が、ゆっくりと僕の入り口を押し開けて、じわじわ侵入してきた。


 4


 苦しい。さっき股間を蹴り上げられたときに睾丸が腹の中に逃げ込んだままだ。
 早くしたに下ろさないといけない。
 体温で温まるのはまずい筈だ。
「なんだよ。こいつ女みたいだと思ってたら金玉ないじゃんか」
 後ろから僕を抱く男が覗き込み、笑いながら言った。
「さっき蹴られた時腹ん中にはいったんだぜ。本当につるんとして傑作だな」
 鎖のついた皮ズボンをはいた男が横から言った。
「そのままやっていいよ。やってるうちに下りてくるから」
 綾子の声だ。
 じゃあそうしますか。なんて軽い感じで言いながら、最初の男の物がじわじわ侵入してきた。

 お腹は苦しかったけど、散々肛門は責められたあとだから、広げられても痛みは感じなかった。
 弾力のある太い棒の侵入は驚くほど長く続いた。
 ぐいぐい押し広げながら、まだかまだかと思うくらいに先端が僕の直腸に深く深く潜り込んでくる。

 この感触はどういえばわかってもらえるだろう。
 やられてみないとわからないだろうけど、まるで自分がお尻の穴から串刺しにされる感触だった。焼き鳥みたいに串刺しにされて網焼きにされる。

 こんがりいいにおいに焼きあがって、何度も裏がえされる。
 今僕は男のペニスでお尻の穴を深々と犯されてるんだ。
 女みたいに、バックから貫かれるのは苦しいけど、それだけじゃなかった。
 やっと彼のものがすべて僕の中に納まった。

「ケツの穴は男も女も同じだな。それでもこっちのほうが少しきついかもな。いい締まりだ」
 彼は気持ちよさそうにそう言いながら、腰を入れ始めた。
 彼のジーンズのチャックが僕のお尻に当たり、冷たい刺激を与えてくる。
 当たるたびにチャッチャと音を立てる。
 その振動のせいか、腹に入っていた睾丸が下りてきたのだろう、腹部の痛みはすうっと消えていった。
 太くて長い彼のものが、僕の直腸の中を出入りしている。亀頭のカリが腸の襞をこすり、かさいで行く。
 被虐の快感というものは実際にあるものなんだ。
 ぼんやり考えながら、僕は肛門に力をいれて、その棒を締め上げてみた。
 根元を締め付けられるせいか、僕の内部で暴れているそれが一段と太く大きく硬く変身した。

「おお。こいつ感じてきたみたいだぜ。だいぶ硬くなってきた」
 僕の腰に手を回して、そいつは僕のペニスを握ってきた。
 腰をリズミカルに突き入れながら、右手でやんわり擦り上げてくる。

 あ。あん。うーん。
 我慢してても、気持ち良すぎて声が出てしまった。

「かわいい声でなき出したな。そろそろ俺もいきそうだぜ」
 腰の動きが強く、早くなってきた。
 アヌスを貫かれるスピードが速くなり、僕もだんだんいきそうになってくる。
 
「う、うん……」
 アヌスに根元までぐっと押し込んで、彼は痙攣するように激しく僕の中で発射した。思わず熱いっと言ってしまいそうなくらい、熱い精液がびゅびゅびゅ、と3回くらいに分けて直腸の中にぶちまけられるのを感じた。
 その刺激を受けて、僕もすぐに彼の手の中に発射してしまう。
 射精すると同時に反射的に僕のアヌスが引き締まり、深々と侵入した彼のペニスを締め上げる。

「おうおう。すごい締まりだ。噛み千切られそうだ」
 公園のベンチの上で、男にお尻を犯されて、それをビデオで撮影されているなんて、とても現実とは思えなかったけど、この快感は最高の現実だった。
 それまで、恥ずかしい所を見られたくないから誰も通りかからないで、と思っていたのが、もっと犯されてたいから誰も来ないで、と思うように僕の気持ちが変わってきた。
 熱い液を入れられることがこんなに素敵な事だったなんて知らなかった。
 もっともっとやられたい。
 僕のお尻から男の半分萎えた物が引き抜かれた。
 
「ははは。ぽっかり開いてるよ。この穴を良く写しておいて上げるね」
 綾子がハンディカムをお尻に近づけて言った。

「次は俺だな。もうギンギンだぜ。誠治、暇だったら咥えさせてやれよ」
 今度僕を犯す番の坊主頭の太った男が、もう一人の背の高いごつい体つきの男に言う。ベンチに突っ伏して、足を伸ばしお尻を突き出す格好をしていたけど、誠治と呼ばれたごつい男が僕をどけて目の前のベンチに座った。
 チャックを下ろして、半立ちの黒くて太い棒を取り出した。

「じゃあ。咥えて、舌を絡めな。歯を立てたら金玉潰すからな」
 噛み付いて逃げるなんて僕はもう考えもしなかった。
 逃げ切れるとしても、もう逃げる気は無い。
 男に犯される快感を知ってしまえば、ホモというわけじゃなくても、それを咥え
る事に抵抗感は無かった。いや、抵抗感が無いという事は、すでにホモになってしまったという事なのだろうか。

 少し尿の匂いが鼻につく、そのゴムの様な亀頭を口に含んでみた。
 すっぱい味が少しだけ口に中に広がった。頭の芯が崩れていくような、興奮の波が再び湧き上がってくる。
 ねっとりとした感触の亀頭に舌を絡めて、尿道口を舌先で刺激してみる。
 今まで想像もしたことのない淫らな行為。
 自分のよりふたまわりも大きそうな男の物を握り、揉み、咥える。
 豊かに生えた男の陰毛が抜けて口に入り喉にからみつく。

 さっきよりさらに太い感じのする坊主頭の男の勃起したペニスがまた僕のアナルを広げながら侵入してきた。すでに痛みは全然感じない。
 目いっぱい広げられて、奥の方まで入ってくる感覚があるだけだ。
 お尻を犯されながら、口では別の男のをしゃぶる体験は、僕の中で形ある何かが崩れて、再編成される、まったく新しい自分に作り変えられる、そんな感じだった。

「うまいじゃないか。咥えるの。このまま口でいきそうだぜ」
 僕にフェラチオされている彼は腰をずらせて、咥えやすくしてくれた。
「さっき、自分のザーメン味わってきたんだよね、こいつ。自分のと味比べさせてやればいいよ」
 ユカが言った。
 そういえば彼女達はどんな気持ちで眺めてるんだろう。
 男同士のこんな行為を眺めて楽しいんだろうか。
 そうだ。彼女達はサディストなのだった。
 僕が苦しむところを見て喜んでいるのだ。
 じゃあ、逆に僕が大喜びで犯されるようになれば、彼女達を少しはがっかりさせられるはずだ。
 僕はすでに苦痛は感じていない。肛門を犯されることも、フェラさせられる事も、慣れてしまって快感に変わりつつある。
 きつい状況が続く事で精神の安定のために、無理やり慣れてしまった、という感じでもない。
 僕には最初からその素質があったのかもしれない。
 彼女達を少しでもがっかりさせるために、僕はお尻を突き出して男の物を根元まで自分から犯されやすいように動き、さらに目の前の勃起した物を誠意を込めてしゃぶった。
 舌を絡めて、亀頭を吸い上げる。
 
 男の腰がぐっと動いて、僕の口の中にびっくりするくらいたくさん生暖かいどろどろの液体が発射された。
 すぐに僕はそれを飲み込んだ。さっき飲んだ自分のと比べて、ちょっときつい味がした。
 さっきは自分のものなのに吐き気がしたが、今度は全然平気だった。

 うーん。後ろでも坊主頭が太くて反り返ったものを出し入れしている。
 腰を回すように動かしている。
 坊主頭の息が激しくなり、動きが速くなる。卑猥に響く粘膜がこすれあう音もオクターブが高くなる。もうすぐ彼がいきそうだ。
 そう思ううちに僕の腰をつかむ力がぐっと強くなり、彼の身体が痙攣した。
 熱い大量のミルクが僕の中に再び発射された。
 ぐっぐっとペニスを突き入れて、思いっきりたくさんの欲望を僕の中に彼は吐き出した。

「男同士のエッチって気持ち悪いけど、なんかすごいよね」
 綾子達が感想を言い合っている。
「こいつとうとうオカマになったみたいね。でもなんかあっさりしてて面白くないなあ」
 智香はまだ不満そうだ。
「もっと犯してだって、つまんないね。もうちょっと痛めつけてやればよかったかなあ」
 ユカも言った。

 もっとたくさん犯してください。僕はそうつぶやきながら彼女達の前で、男達と行為を続けた。彼女達の事はもうどうでも良くなっていたのだ。

 僕の受難の時は終わったのだ。
 恥ずかしくて苦しくてつらい時間は終わりになった。
 これからはきっと快楽の時間が残されているはずだ。
 そしていつか時間がたって、僕がなかなか結婚すると言い出さないのに業を煮やした僕の両親が、僕に聞いてくる。
 女の子に興味はないの?なんて。
 その時、僕の両親は受難の時を迎えるだろう。
 いつのまにか自分達の一人息子は受身専門のホモに変身させられていたと知って。

 諦めてしまえば、別にたいしたことじゃないかもしれないけど、やっぱり孫の顔が見れないのはちょっとしたショックだろうから。



                          受難の時 おわり