エピソード4             


                                             放射朗



 弟は高校を卒業した後、家出するようにして上京しました。
 仕事も、住む所も、何のあてもなく、貯金していた十万円と少しを持って、置手紙を一つ
残して行ってしまったんです。
 もちろん私には心当たりがあったけど、両親には言えるわけもないし、弟の無事を祈る
だけでした。
 でも、どうしても弟に会って謝りたくて、大学の夏休みに弟を探しに上京することにしました。
 弟はあの事件の後、私を責めるようなことは一度も言いませんでした。
 私も同じように被害者だと考えていたみたいで、そのことにはなるべく触れないようにして、
残りの高校生活を過ごしていました。
 
 でも私と弟との関係が、まったく変わり無いわけがなく、弟は私とはあまり口を利かなくなり
ました。
 弟の傷の深さは私の想像以上でしょう。
 それまで女の子とつき合ったこともなく、想像上で理想の少女と出会うことを夢見ていた少年が、
大勢のたくましい女達に無理やり経験させられたんだから。

 それも実の姉がその引き金を引くようなことまでして……。
 東京に向かう新幹線の中で、あの事件のことを必死で思い出さないように、私は唇をかんで
耐えていました。


 弟の居場所は漠然とだけど心当たりがありました。
「僕、もう女の人は怖くなっちゃった。ぞっとするって感じ。できたら男と結婚したいよ」
 ため息混じりに話す隆志。
「何言ってるのよ、気持ちはわかるけど……。男同士で結婚なんかできないんだから、あきらめ
なさい」
 私は胸が痛みました。
 隆志を女性恐怖症にしたのは私自身なんですから。

「僕、女になりたい気分なんだ。女になっちゃえば女の人からあんなひどい事されずにすむし……。
そうだニューハーフになろう、そしておかまバーで働くのさ」
 隆志は最後は無理して明るくそう言いました。
 
 それに、私だけに置手紙で今度会うときは妹になっているかもね、なんて書いてあったし。
 だから弟が上京して働くと言い出したときに、真っ先に新宿2丁目のネオン街が思い浮かんだん
です。
 もちろん両親にはそんなこと言ってないけど、私には、一緒にひどい目にあった仲間意識もあって
少しだけ打ち明けてくれたんだと思います。
 本当はその引き金を引いたのは私なのに。

 でも新宿二丁目のその手のお店なんていくらでもあるし、当てもなく探しても見つかるわけはあり
ません。
 だから私は高校時代の友達で、今は東京の大学に行っている男の子にそれとなく相談して、なん
とかその手の店のママを紹介してもらうことにしたんです。
 その手の店同士で情報交換も盛んだという話を聞いたし、新潟から上京したばかりのボーイか
ニューハーフ予備軍という項目で情報が引っかかる事にかけてみる気でした。
 

 久しぶりに来た東京は、夏の強い日差しがコンクリートに照り返して、眩暈がするくらいの
猛暑でした。
 道行くサラリーマンは額や、薄くなった頭頂部にまで汗を流しながら、背広の上着を手に、
横断歩道をゆらゆらとかげろうの様に渡っていました。

「あなたが公ちゃんの言っていた沢渡亮子さんね、美人じゃない。いつから働けるの、もう玉抜きは
したの?」
 私が自己紹介を簡単にすると、クラブ「ハーフ天国」のママ、康子さんは矢継ぎ早に質問してきました。それも、何か勘違いしてるみたいです。
 
「違いますよ、私は本当の女性です。簗瀬公一さんとは高校時代の友人で、ちょっと知りたいことが
あって、ママさんを紹介していただいたんです」
 私は慌てて訂正しました。
「フフフ、わかってるわよ、冗談よ」
 薄暗い店内では、ニューハーフの康子さんはとてもきれいでした。

「それで、何が知りたいの。」
 単刀直入に康子さんは聞いてきました。
「実は家出した弟を探しているんですが、どうもこの界隈で働いてるんじゃないかと思って……、。」
 康子さんが出してくれた薄めの水割りを一口飲んで、私は切り出しました。
「弟さんの名前は?、それと、どちらから出てきたんでしたっけ?」
「弟の名前は隆志です。新潟の柏崎が故郷です。」
 柏崎という言葉で目の前に青黒い冬の日本海が広がるような感じが一瞬しました。
「柏崎?そういえば和歌子も柏崎出身だったわね。年が違うけど、何かヒントが聞けるかもね。」
 康子ママはそういって和歌子さんを呼んでくれました。

 和歌子さんの年齢は二十九歳。同じ柏崎に住んでいても、二十一歳の私とも、十八歳の弟とも
ちょっと接点がない年齢です。
 それでも、和歌子さんの口から思いもしなかった話が聞けました。
 和歌子さんがニューハーフになるきっかけを作ったのが、私のいる剣道部だったと言うんです。

「ちょうど十年前かしら。あたしとあと二人、三人がつかまっちゃって、散々やられちゃったのよね。
剣道部の二十人くらいの女の子達が舌滑ずりする光景は今でも忘れられないわ」
 和歌子さんはさっきまでお客の相手をしていて、少し飲まされたようで、酔っていました。
「でも悪いのは私たちの方だったのよね。倉田雅美って娘を弁護する気はないけど、私が彼女
だったら、同じ事をしていたでしょうね」
 和歌子さんの話の中に出てきたのは、すでに剣道部で伝説になっている雅美先輩の名前でした。

「なんだ。あなたあの剣道部の部員なの。じゃあ、弟さんとは関係ないけど、この話も聞きたいでしょ」
 そう言って和歌子さんはその事件のことを詳しく教えてくれました。


 10年前、彼、田口洋介は岡田雄二、田村充らとつるんで悪さばかりしている不良だった。
 リーダー格は柏崎の有力者の息子で1年年長の雄二、洋介と充はその子分みたいなものだった。
 3人は目星をつけた娘を雄二のワンボックスカーに連れこんでレイプする事を何度も繰り返していた。娘が警察沙汰にできないようにレイプしている現場をビデオに撮ったり、写真に取ったりしていた。

 警察沙汰にしたら、これらをばら撒くと言って脅すのが彼らの手段だった。
 さらに、数人の仲間を加えて、地元を離れて白昼堂々と女を襲うこともあった。
 歩道を歩いている女子大生風のボディコン娘を10人くらいで取り囲む。
 いきなりのことに戸惑う女の衣服を、全員で剥ぎ取る。

 大声を出すことも出来ず、しゃがみこむ女。
 他の通行人は、かかわりあうことを避けるように、自分達に目を合わせることなく、足早に立ち去る。
 すぐに近くには誰もいなくなる。
 誰も女を助けようとする者はいなかった。

 薄情だがそれが現実だった。
 しかし誰かが警察に電話をする。
 そして警察が到着するまでの10分くらいの間に、雄二たちは全裸に剥いた女を好き勝手にいた
ぶっていた。
 サイレンの音が遠くから聞こえ出すと、いっせいにばらばらになって逃げ出す。
 そんなことを繰り返していた。


 実際には犯された女達は警察に通報するようなことはまずないと言ってよかった。
 警察沙汰になれば、厄介だし、何より親や回りの友人達に知られてしまう。
 何度もレイプを繰り返した経験から、娘達はレイプされたことをまわりに知られるのが一番嫌な
ようだった。
 しかし、中には気丈な娘もいて、それでも警察に通報されることがあった。
 そのときは雄二の父親が出てきてもみ消し工作及び示談にさせた。
 
 被害者の中には自殺未遂をする娘もいて、洋介は内心後悔したこともあったが、雄二はそんな
人間性のかけらも見せなかった。
 また、洋介は雄二が怖くて反抗などとてもできなかった。
 ワンボックスカーの中で、衣服をすべて剥ぎ取って足を大きく広げさせた娘を写真に取るのが
雄二の無上の喜びだった。
 泣き叫ぶ少女の顔を何度も堪能していた。
 そんな悪逆非道の数々を犯している彼らは、ついに青葉女子大学剣道部の新入生をレイプ
するにいたった。その新入生はまだ剣道部の数々の試練にももまれておらず、バージンでさえ
あった。

 
「あんたたち、何でこんな目にあってるか分かってるだろうね」
 両手両足を縛られて床に転がされている彼ら3人の前で、ほかの部員たちから雅美先輩と
呼ばれている女が腕組みして言った。
 その女はリーダーと言うにはむしろ小柄で、華奢な印象だった。
 それほど強そうには見えなかったが、目つきは鋭く、シャープな顎が意志の強さをあらわしていると
洋介は思った。
 今日も、彼らは三人でいつものように良い女を物色中だった。
 その時、二人組みの女子大生から逆に声をかけられた。
 でも、人数が合わないからあと一人待ってる場所にみんなで行こうと言う事になって、連れて来
られたのが、合宿中の剣道部の宿舎だった。

 その道場に5人で来た直後、いきなり十数人の部員たちがなだれ込んできたのだ。
 部員たちは暴れる彼らを竹刀であっさりおとなしくさせて、押さえつけ縛り上げた。
「どう言うつもりだ。早く解け!」
 雄二が牙をむいて叫んだ。
 その時、先日彼ら3人にレイプされた新入部員、松田明美が連れてこられた。
「ちぇ、そういうことか。仕返しってわけかい。それで、どうするつもりだ」
 彼女を一瞥した雄二が言った。
 雄二はまだ自分の置かれた状況を正しく認識していないようだった。
 数は多いが、たかが女どもに何ができる、と思っていた。
 だが洋介は剣道部のリーダー格の雅美にただならぬものを感じて、不安にとりつかれ始めて
いた。 充も同じようだった。
 
「あんた達のやってきたことと、同じ事をしてあげるよ。たっぷり楽しませてもらうからね」
 雅美の笑い顔は舌なめずりする虎のようだった。
 3人は大勢の部員たちによってたかって衣服を剥ぎ取られた。
 両手両足縛られているので、普通には脱げない。
 衣類はナイフであっさり切り裂かれ、裸にむかれたのだった。
 さながら熊が毛皮をはがれるような光景だった。
 最初は充がいけにえにされた。
 不安で縮こまっていた充のペニスは部員の女たちの手による巧みな刺激ですぐに勃起させら
れた。 そしてコンドームを装着される。

 仰向けにされた充の下腹部に、すでに裸になった女の尻が降りてきた。
「はっはっは、こりゃ良いねえ。こんな仕返しなら大歓迎さ」
 雄二がその様子を見て叫んだ。
 充の勃起したペニスに女の尻が覆い被さり、根元まであっさりくわえ込んだ。
 充の突起が女の赤い肉を分けて、濡れ光る亀裂にねじりながら侵入するのが洋介にはよく
見えた。

 充は最初の不安も緩み、その快感に身をゆだねていた。
「うん、締まりもいいぜ、感じるー」
 充が不安も解けて陽気に叫んだ。
 充の上で、女の腰がうねるようにうごめく。女も感じ出したようで、あ、とかうっとか小さくつぶやいて
いる。
「おいおい、こっちはほっとかれてるぞ、こりゃ確かに拷問かもな」
 雄二が皮肉った様子で笑う。
「まあまあ、夜は長いんだから、あせらないの」
 雅美が言った。
 まだ日が沈んだばかりだ。
「おう、いきそうだ。気持ちいい−」
 そう叫ぶと、最初から5分も持たずに充は白濁液をゴムの中に放出した。

「はい一発目終了しました」
 女がそう言って立ち上がると、ほかの下級生らしい部員が群がって、充のコンドームを取り外した。
 そして少し元気のなくなった半萎えのペニスをがっしりした指でしごきあげ刺激していった。
 充はまだ余裕たっぷりだ。すぐに再度の勃起状態になった。

「二発目行きます」
 今度はさっきと違ってスレンダーな女が再び勃起した充のペニスに覆い被さった。
 充は仰向けに押さえ込まれたまま、身動きのできない状態だ。
 女の尻がまるで充のペニスをくわえ込む大蛇のように落ちてきた。
「女に犯されてるみたいですごく興奮するぜ」
 充は下から突き上げるように腰を動かした。
 充の上にまたがった娘は自分を振り落としそうなくらい元気良く暴れるペニスにあっという間にい
かされそうになっていた。
 
「あの元気がいつまで続くかしらね。楽しみだわ。さてそろそろこっちも始めようか」
 洋介の前で雅美が言った。
「あんたはスペシャルだからもう少し待ってな」
 雄二に向かって雅美が言う。
 雄二のペニスは待ちきれずにギンギン直立していた。
 すでに勃起している洋介のペニスを、雅美は無造作にこすりだした。
 指で輪を作り、亀頭の縁をじんわりと刺激していく。
 洋介は雅美におびえていたが、巧みな手技であっさり登りつめた。
 白濁液が洋介のへその周りで水溜りを作った。

「フフフ、一滴残らず搾り出してやるよ」
 そう言って笑う雅美の顔を洋介はなぜか美しいと思った。
 これからどんな目に合わされるのかわかりもしないが、雅美は確かに美し
かった。
 今まで自分たちは嫌がる女を無理やり3人で犯してきた。
 逆に自分が受身になって犯されるというのはそれまでしてきたレイプとは
また違った興奮と官能を含んでいるようだった。

「3発目終了しました」
 充に乗って腰を上下させていた部員が言った。
「最高だよ、自分は寝転んだままで全部女達がやってくれるんだからな。でも
もう少し休ませてくれよ。すぐ元気になるからさ」

 3回射精して充はすっかり満足していた。
 しかし、まだがんばれば2、3回は軽いかななどと考えていた。
 下級生が群がって、ひたすら休息を求める充のペニスに再びさまざまな刺激を与え始める。
 ペニスの刺激だけではすでに元気にならなくなったようで、今度は別の刺激も与えられ始めた。
 一人は乳首を舐め、別の女が充の肛門にクリームを塗って、指を挿入した。
「うわあ、変な所に指入れないでくれよ」
充がたまらず叫んだ。

「いやならさっさと立たせるんだね。まだこっちはたくさんいるんだから。あたし達全員満足させて
もらうんだから」
 部員たちはそう言って充の肛門をなぶりつづける。
「男はこの前立腺マッサージが一番効くんだよね。まだまだ10回はやってもらうから」
 女の言葉を聞いて、洋介は初めてぞっとした。この女たちは立たなくなった
ペニスを無理やり立たせて、10回以上やらせようとしているのだ。
 とても自分はそんなにできない。
「うわあ、いいかげんにしろ!こすれて痛いだろ。インポになったらどうしてくれるんだよ」
 充が騒ぎ出した。
 押さえつけられた両足を振り払おうとする。
 女の力なんてたいした事ないと甘く考えていた充だったが、両足それぞれに一人づつの体重が
かけられ、まったく身動きできなくなってしまった。
「くそ、おまえら、こんなことしてただですむと思うなよ。 止めろ!馬鹿やろう」
 どんなに暴れても悪態ついても女達は放してくれなかった。
 きつく押さえつけられ、執拗な刺激が与えられつづけた。
 
 悲しいことに、男は気持ちと裏腹に刺激に反応してしまうのだ。
 勃起したペニスは膣にこすりあげられるとしまいには射精してしまう。
 そして萎えてしまって起ちそうもないのに、彼女らの歴戦のテクニックで信じられないことに何度も
勃起させられてしまった。

 したくも無いのに勃起してしまうのはそれだけで苦痛だった。
「ひー。もう許してくれよ。頼むよ。仕返しなんかしないから。俺達が悪かったよ。これで終わりにして
くれ」
 充が哀れな声をあげ始める。威勢の良さはとっくに失せてしまった。
 「何言ってるの。あんた達は何回もレイプ重ねるくらい溜まりに溜まってるんだろ。まだたった8回しかいってないじゃない。20回くらいいかせてやるんだから。さっさと起たせろよ」
 女の足が充の股間を軽く踏み潰した。

 充は激痛に声が出なくなった。
 失神しそうになるが、ほっぺたにびんたを食らって気絶させてももらえなかった。
 黙ってその様子を見せられつづけていた雄二も、やっと状況が容易じゃないことがわかってきた。
 かといって縄は解けないし、逃げ出すこともできない。
 このまま自分の順番がくるのを待つ以外になかった。
 
 充は苦悶にあえいでいる。
 洋介も雅美の手だけで、5回いかされていた。あたりには彼らの放出した液の臭いが立ち込めて
いた。
 その臭いでさらに女たちは興奮の度合いを深めていくようだった。
「先輩代わりましょうか」
 雅美の横にちょっと小太りの部員が来て言った。
「そうね、そろそろ代わってもらおうかな。それからもう一人はこいつの口をふさいでやりなさい」
 雅美がそう言って立ち上がる。

「もう立たないよ、止めてくれ」
 洋介の言葉は落ちてくる女の尻にふさがれた。
 ちょうど性器が口にかぶさるように微調整して女が洋介の顔に尻を落としてきた。
「立たないなら口でやってもらうよ。何、すぐに元気にしてやるわよ」
 洋介の顔にまたがった女は体重をずっしりかけてきた。
 洋介は息が詰まりそうになり、口をあけた。女はすでに相当興奮しているらしく、鉄分の匂いがする
液体がドロッっと洋介の口に流れ込んできた。
「佐伯さん生理まだ終わってないんじゃなかったの?」
 洋介の口にまたがった女に、横の部員が言った。
 
「えへ、もうほとんど終わりかけなんだけどね」
 洋介の口に流れ込んできた液体は多分に経血を含んでいたようだ。
 気づいた洋介が暴れるが、全体重を顔にかけられたら起き上がるのは不可能だ。
 窒息しそうになって気が遠くなるころ、尻が少し浮かされ、新鮮な空気がようやく洋介の肺を
満たした。
 そうやって、しばらく口で奉仕させ、息がつまりそうなるころ少しだけ隙間を空けて空気を吸わ
される。
 何度もそうしていると、洋介の意識は朦朧となってくるのだった。
 そのプレイが始まったことで、洋介は充や雄二の様子はまったくわからなくなってしまった。
 
 真っ暗な中で女の欲望の中心を舌で舐めまくる。そうしないと空気を吸わせてもらえなくなるのだ。
 洋介のペニスは執拗な刺激でこすれ、充血し、勃起するだけで痛みが走るようになってきた。
 それでも卑猥な奉仕をさせられ、肛門に指を入れられて、前立腺を刺激されると、どうしても勃起
してしまうのだ。
 
 始めのほうが快感だっただけにその落差は計り知れないものだった。
 すでに地獄の拷問だと思った。
 口がふさがれてなければ、とっくに泣いて謝っただろう。
 しかし洋介の口は卑猥な奉仕に専念させられ、泣き言を言うひまもなかった。

 洋介はすでに何回発射させられたかわからなくなった。
 腰がだるく、縄を解かれても自分ひとりで立てるか怪しいくらいだ。
 やっと目の前が明るくなった。顔面騎乗していた女が立ち上がったのだ。
「こいつ舐めるのへたくそだよ。やっぱりちんぽじゃないと駄目かな」
 散々口で奉仕させた上に女はそう言って洋介の頭を軽く蹴飛ばした。
 洋介は屈辱を感じる余裕もすでになかった。
 やっと自由に呼吸ができるようになってありがたいと感じるだけだった。

 明るさになれた目で見回すと、雄二に大勢の部員が群がっていた、充はというと、足の縄を
解かれ、胸をつけて尻を突き出す格好にされていた。
 そして洋介たちが犯した剣道部員、明美が充の尻のそばに、腰に黒々とした異様な擬似ペニスを
つけて立っていた。
「さて、それじゃあ一滴残らず搾り取られて泣きが入ったこいつに、仕置きをしまーす」
 2回生の良子がみんなの注目を集めるために叫んだ。
 周囲から歓声が上がる。
「助けてください。もうあんなことは絶対しません。雄二が悪いんだ。俺たちは言いなりになっただけ
なんだ」
 充は涙をこぼしながら震える声で懇願していた。
 しかしむなしく無視されるだけだった。
 
「散々自分勝手な事しておいて、許されるわけないだろ。殺されないだけましだと思いな。今から
おまえのちんぽより一回り太くて5センチ以上長いでかちんでおかま掘ってやるからな。尻の力抜
いてないとざっくり裂けるぜ」
 良子は楽しそうに笑った。

 次にやられる洋介にその光景がよく見えるように位置を変えて、新入部員は擬似ペニスの亀頭を、
クリームで濡れた充のアヌスに押し当てた。
 そして一思いに腰を入れた。
「ぎゃあー」充の悲鳴が響いた。
「まだ先っぽが入っただけじゃん。大騒ぎすんなよ。これから根元まで全部入れるんだからな」
 良子が充の頭を小突いた。
 うぐっうぐっと充がうめいている。

「ほら、最後まで入れてやりな、敵討ちだよ」
 良子に促されて、明美はさらに腰を入れた。擬似ペニスは半分ほども充の肛門に埋まった。
「ぎゃーもう許してくれー」
 明美はうっすらと笑いを浮かべて、擬似ペニスの残りを確認しながら、最後まで押し込んだ。
 充の肛門は無残に裂かれ、鮮血が太腿をたれ落ちた。
「これでどうだ。あたしはもっと痛かったのよ!」
 明美は顔を紅潮させて叫んだ。
 
 すぐに洋介の番が回ってきた。
 洋介もすでに逆らう気力も体力も搾り取られて皆無だった。
 言われるままうつぶせの尻を突き出した格好を取った。
「ほら、おまえを犯すちんぽだよ。舐めてきれいにしな」
 充の肛門の奥深く挿入されたそれは、茶色いものを付着させ、異臭を放っていた。

 顔をそむけた洋介の尻に竹刀のきつい一発が入る。
 さらに、それを口にくわえるまで、何発もの打撃を受けていた。
 たまらず擬似ペニスを口に含む。
 苦い味がねっとりと洋介の舌を包んだ。
 異臭に吐き気がこみ上げる。

「よくしゃぶってつばをつけといたほうが、後々痛くなくてすむよ」
 良子の声に従い、洋介はプライドと言うものを捨てた。
 肛門にそれが入ってきたとき、洋介は体を引き裂かれていると思った。
 激痛は想像以上だ。
 必死で逃げようと体をずり上がるが、無情に腰を押さえられて、さらに奥まで蹂躙される。

 自分がしてきたことはこんなにひどいことだったのか。
 洋介は今まで犯してきた娘達の泣き顔を思い出していた。
 そして自分はこうなるのが当然なのだと悟った。 
 それからしばらく記憶がなかった。
 洋介は肛門を裂かれる激痛でなかば失神したようだった。

夢うつつの状態から洋介が正気に戻ったのは30分後だった。
 目の前には大勢の女達にもてあそばれている雄二が見えた。
 仰向けに押さえつけられた雄二の顔と腰の上には全裸の女が一人づつまたがって腰を
ゆすっていた。

 充のほうを見ると、彼はまだ失神した状態だった。
 充の肛門には3本束ねた竹刀が20センチほども挿入されていた。
 その光景を見て洋介の肛門にも痛みが走る。
 痛みがよみがえってきた。

 てっきり自分もあんな風にされていると思った。
 肛門にまだ違和感が残っていたからだ。
 しかし自分の肛門は無事だったが、何度も無理やり射精させられて、体はだるく、起き上がることも
困難だった。
 戒めを解かれているとはいえ、とても反撃できる状態ではなかった。
 洋介はまだ気を失ってるふりをして雄二たちの様子を見ていた。

「おまえが首謀者なのはわかってるんだから、子分達よりたっぷりかわいがってやるよ」
 雅美が竹刀で雄二の腹を小突きながら行った。
 洋介はこっそり腕時計を盗み見た。すでに十時を回っていた。
 拉致されてから既に4時間が経過している。
 いつまで続くんだこの地獄は……。

「許してくれ。助けてくれ。俺が悪かった」
 雄二の顔にまたがった女が交代しようと腰を挙げたとき、雄二が悲痛な叫び
をあげた。
 その声は震え、おびえていた。
「さっきまでの威勢はどこいったんだよ、まだ満足してないのが7人は居るんだから弱音吐いてないで
立たせろよ」
 ポニーテールにしている可愛い娘が言った。
 その可愛い外見とどすの利いた言葉の落差は、自分もいっぱしの不良としての自覚のある洋介も
舌を巻くほどだった。
 彼女はそう言いながら竹刀で軽く雄二の睾丸をこづいた。
 ぎゃっと言う悲鳴がすぐにあがった。
 女にとって軽く小突いたつもりでも、男にとっては地獄の激痛だった。
 苦しむ雄二を見下ろして女達の笑い声が上がった。

「ほら次はこれだよ」
 ビリヤードで玉を突くようにして別の女が雄二に股間をつついた。
 声をあげる事もできずに雄二はのたうっていた。
 冷や汗だろうか、顔中汗まみれになって苦しげにうめいている。
 女には理解できない苦痛で息も出来ないようだ。
 体を丸めて逃れようとするが、何人もの女達に押さえつけられて、雄二は大の字にされたまま
まったく動けなかった。

「ふふ、玉を殴られる苦しみも、今日まででおさらばなんだから、たっぷり味あわせてやるよ」
 雅美が言った。

 さらに30分が過ぎた。
 雄二はその間に2回いかされていた。
「12発目終了しました」
 雄二の腰にまたがっていた娘が雅美のほうに言った。

「許してください。もう無理です」
 雄二の口調はすっかり丁寧に変わっていた。
 本当にもう限界なのだろう。
 見ると彼のペニスは赤く腫れ上がり、見るも痛々しい状態だった。
 
「さて、みんな大体満足したみたいね。それじゃあ、最後はこいつらが二度と悪さできないようにして
あげましょう」
 雅美の命令で雄二は大きく股を開いた格好で、仰向けに押さえつけられた。
「うわあ止めてください。もう許してください。お願いです」
 雄二が泣き叫ぶ。

「動かさないようにしっかり押さえていなさい」
 雅美は雄二を無視して部員に声をかけた。
 まさか。
 洋介は恐怖で鳥肌が立った。
 竹刀を上段に構えた雅美が、足を広げた雄二の正面に立った。

 次の瞬間、空気を裂く音がしたかと思うと、雄二の体が跳ね上がった。
 そしてもう一度。
 風船を割るようなパチンと言う音が二回聞こえた。
 
 睾丸を竹刀で叩き潰したのだ。
 ぎゃーという悲鳴は意外にすぐに消えた。
 雄二は悶絶し、意識を失ったのだった。
 次に充が同じようにして去勢された。
「許してくれー助けてくれー」
 という泣き声も、すぐに悲鳴に変わり、また静かになった。

 そして自分の番がきた。
 二人がやられる光景を見せられて、自分も諦めていたが、その時になると恐怖で思い切り
暴れた。
 それでも大勢の部員に押さえつけられると、どうにもならなかった。
 力では本気を出せば絶対女なんかに負けない。
 男はどうしてもそんな風に思ってしまう。
 しかし現実には、非力な女でも5人も集まれば、普通の男はあっさり押さえ込まれてしまうのだ。
 腰をずらして逃げようとしたが、胸の上にでかい尻を乗せて女に座られるとまったく動けなくなる。

 ふふふ。こいつちびってるよ。
 そんな声が聞こえて、自分が失禁したことを知った。
 生暖かい尿が自分の太腿と膝にかかった。
 もう嫌だ。死んだほうがましだ。
 そのとき、また空気を裂く音がした。
 自分の睾丸が2個とも破裂した音も少しだけ聞こえたが、すぐにまわりが真っ暗になり、何も
わからなくなった。
 


「気が付いた時は病院のベッドの上だったわ」
 長い告白は終わりに近づいたみたいです。
 和歌子さんは、遠い目つきをしながら水割りを口にしました。
「あきれたことに雄二の家の人とは話がついてたらしいの。レイプ事件を公にしない代わりに仕返しを
するということでね。雄二の家でも、雄二には手を焼いていて、いいかげん何とかしなければと思って
たらしいのよ。だから、私たちがリンチにあってる間、雄二の関係者は外で待ってたらしい。それで、
すぐに病院行きというわけ」

 それで話は終わりでした。
 結局弟の消息はわかりません。
 でも、和歌子さんは手がかりになるかもしれないからと、別の店を教えてくれました。
 その店のマスターがこの辺を取り仕切っている組の人と親しいから、聞いてみるといい、と。
 でも、ただで教えてもらおうなんていうのは甘いわよ。一晩付き合うくらいは覚悟しておきなさい、
とも言われました。

 クラブ『ハーフ天国』を出たのは11時過ぎでした。

 私はこのまま和歌子さんが教えてくれた店に行ってみることにしました。
 犯されることなんて覚悟の上です。
 私が弟にしたことに比べれば、そのくらいはどうって事無いと思うことにしました。





                                        エピソード4 終わり  



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