夕陽に染まる エピソード1
放射朗
  

 この大学の剣道部のうわさは私が高校生のころも何度か聞いたことがありました。
 上下関係が厳しいとか、練習がきついとか。そんなことは当たり前のことだと思って
いましたが、中には新入生の最初の自己紹介は上級生全員の前で、全裸でしないといけ
ないなどと、ちょっと信じられないうわさまであったんです。
 そんなうわさの数々、ほとんど信じてなかったけど、本当だとしたらちょっとどきど
きするなんて思っていました。

 女ばかりの集団が、男の人が思っているよりはるかに大胆になれるということは、女
子高生だった私にも少なからず経験がありました。
 それに一人だけやれというんじゃなくてみんなで一緒にやるんだったら、自分でもで
きるんじゃないかと思いましたし・・・・・・。
 
 そんな疑問は実際に入部した時に、事実だったんだと思い知らされました。

 新入部員は私を入れて八人でした。上級生は二回生が六人、三回生が八人、四回生は
あまり部活には顔を出しませんが、九人いるということでした。
 新入生の初日には四回生も全員そろっていました。
 新入生は全員上級生の前に1列に並ばされています。
 
「それじゃあ全員揃ったところで、新入生の挨拶はじめます」
 三回生の増田久美先輩が司会をはじめました。新入生たちはみんなジャージ姿です。
 先輩たちは剣道着に着替えていました。二回生の先輩たちが妙に嬉しそうでした。

「やっとしごく側にまわれたよね」
 どこからかそんな声が聞こえてきました。
 
「はい!では一回生のみんなはここで全部服を脱いで、自己紹介をしてください」
 増田先輩は当然の事のように淡々といいました。

 その声で新入生たちはざわめきはじめました。私もそんなうわさは聞いたことがあり
ましたが、まさかと思っていたので、とっさにどうしていいかわかりませんでした。

 それでもその声に「はいっ」と大きく答えて、服を脱ぎはじめる新入生が三人いました。
 後でわかったことですが、その三人はあらかじめ言い含められていたんです。
 いくら先輩の命令でも、入ったばかりの新入生がいきなりそんな命令を聞くわけがあ
りません。
 でも8人の中の三人が従うと、他の5人は動揺してしまいます。私もその中の一人で、
最初は冗談じゃないと思っていたけど、三人が次々に衣服を脱いでいくのを見ていると、
自分も従わないといけないような気になっていくんです。

 三人はすでにパンティとブラジャーだけになっていました。
 さすがに恥ずかしいのか三人ともそこで止まって、うつむいています。
 後の五人の内、私の右隣の子がおずおずとジャージを脱ぎ出しました。それにつられ
るように私を含めた残りの何人かもジャージを脱ぎました。

「何ぐずぐずしてんのよ!全部脱げといったでしょ!一番遅かった子は特別メニューが
待ってるからね」
 増田先輩の声が響いて、上級生達からも、脱げ、脱げと野次が飛び始めました。
 最初の三人はとうとう全裸になってしまいました。
 
 そして私を含む何人かも下着だけになりました。
 全裸になった3人は恥ずかしそうに胸と前を両手で隠すようにしています。
 そんな状況で、一人だけまったく動じることなく服のまま突っ立ている子がいました。
 確か名前は斎藤さんだったと思うけど・・・・・・。

「あんた命令を無視する気らしいね」
 増田先輩がその子に向かって言いました。
「くだらない行事に付き合う気はありません。そんなことするために剣道やってきたん
じゃないんだから」
 斎藤さんの言葉ははっきりとしていて、ずいぶん度胸のある人だと感心してしまいま
した。
「あなた、なかなか見所ありそうだね、名前は?」
 予想に反して増田先輩はなんだか嬉しそうに彼女に聞きました。
「斎藤翔子。剣道歴は10年です」
「名前は聞いたことあるよ。確か去年の女子高剣道大会で準優勝までいったんだったね。
自分より弱いやつの命令なんか聞けないって事か」
 斎藤さんはその言葉には答えず黙っています。
 
「いいわ、そういうことなら、試合しましょう。三本のうち私から1本でも取ったら、特
別待遇にしてあげる。でも一本も取れなかったら、命令に従ってもらうわ。腕に自信がな
いんだったらここから黙って出て行きなさい」
 
 増田先輩が特に気負う様子もなく言いました。高校の大会とはいえ準優賞までいった
子を相手に1本も取らせないなんてできるのかしら。
 周りの上級生たちから拍手喝采が起きました。斎藤さんが試合を受けると答えたから
です。
「久しぶりに面白いもんが見れるね」
 二回生の一人がそういうのが聞こえました。
 
 きちんと防具をつけた二人が向かい合いました。
 私たち新入生は裸のまま(そのときは私はまだ下着姿だったけど)正座させられて、試
合を見学させられました。
 
 斎藤さんは中段の構え。
 ピシリとした構えにはすきも無く、私から見てもかなりの腕前だというのがわかりま
した。増田先輩は、最初下段で構えていたけど、ゆっくりと上段に変えました。
「おおっと、増田先輩に上段やらせるんだから、あの子も結構やるんだ・・・・・・」
 二回生の一人がつぶやくように言いました。
「そうね、増田先輩が試合で上段使うなんて久しぶりに見たよ」
 その横の二回生が答えました。
 二分くらいは打ち合うことなく互いに間を取り合っていました。片方が近づけば片方
が引き、それをゆっくりと繰り返すんです。
 でも試合は一瞬で終わりました。

 斎藤さんが胴を狙って踏み込んだ瞬間、増田先輩は少しだけ引いてそれをはずしざま
に見事な面を決めたんです。
 切れ味の鋭い見事な面が入ると、大きく歪んだ増田先輩の竹刀が私の目に飛び込んで
きました。あんなふうに竹刀が歪んで見えることなんて初めてでした。斎藤さんはその
一撃でくず折れました。

 10年間剣道をやっている、しかも大会で準優勝までいっている斎藤さんを増田先輩
は一撃で失神させてしまったんです。高校の剣道と、大学の剣道がそれほどレベルが違
うのか、それとも増田先輩が強すぎるのか・・・・・・。
 失神してしまった以上、三本やるまでも無く増田先輩の勝ちでした。

「防具をはずして休ませておやりなさい」 
増田先輩のあまりの強さ、カッコよさに私を含めて、新入生はみんなぽーとなってしま
いました。
「他に文句のある人はいない?」
 増田先輩の質問に誰も答えません。
「だったら全部脱いでしまいなさい」
 はっと我に帰ったみたいに新入生達は立ち上がると、まだ下着姿だった私や何人かは
すべて全裸になりました。
「前を隠すんじゃないよ!両手は後ろに!足を広げて起立」
 そんな命令にもみんな従順に従いました。

「あなたが一番脱ぐのが遅かったわね。一番遅かった人には特別メニューがあるって言
ったの憶えてるわね」
 私の右の子に、増田先輩が言いました。
 
 その子のひざが震えだしたのがわかりました。両手を後ろに組んで、足を広げて1列に
並んだ全裸の新入生の姿は、さながら股間のヘアーの品評会でした。

「右から三番目の子、かわいい顔の割にもじゃもじゃジャン。ちゃんと手入れくらしろ
よな」
「左端の子は正反対ね。あれパイパンなんじゃないの。剃るまでもないって感じ」
 上級生はそれぞれ観察しながら卑猥な言葉を言っていました。順番に新入生が出身校、
氏名、趣味などを自己紹介していきました。
「男経験の自己紹介も追加ね」
 上級生の一人がそういうと、自己紹介は最初からやり直しになりました。
「南校から来ました。林田あゆみです。趣味は特にありません。男性経験は・・・・・・」
 最初の娘がそこで言いよどんでいます。
 いつのまにか一列に並んだ新入生の後ろに回っていた上級生が、林田さんのお尻にき
つい一撃を加えました。竹刀の跡がくっきり残るほどの一撃に林田さんは顔を苦痛にゆ
がめ、泣き出してしまいました。

「泣いても無駄だよ。大きな声ではっきり言いなさい」
 増田先輩に促されて林田さんは気を取り直して自己紹介を続けました。
「・・・・・・男性経験は高校三年の時、です」
 その後も、今までの経験人数とか、初体験の状況とか根掘り葉掘り聞かれました。
 その答えによって上級生たちは笑ったり、冷やかしたり、新入生の羞恥心をことさら
あおるようにしていました。
 私はそれまで男性経験がなかったので、そんなに恥ずかしいことは聞かれませんでし
たが、後にそんなこととは比べ物にならないくらいの屈辱的で恥ずかしい事を強要され
る事になるのでした。
 
「さて一番脱ぐのが遅かったのは山本裕子さんね。それと、さっき試合で負けた斎藤祥
子さんも準備が整ったようね」
 増田先輩が言いました。
 試合で失神していた斎藤さんはすでに全裸にされて私たちといっしょに並ばされてい
ました。
 
「特別メニューは剃毛にしておきます。あまり最初から痛めつけるのも悪いしね」
 増田先輩が言うと、二回生の一人が、バリカンつきの男性用髭剃りを持ってきました。
 二人は抵抗する気力も無いようで、おとなしくされるままになっていました。

 最初は斎藤さんでした。
 二回生の先輩の持つ髭剃りがうなりをあげて動くたびに、道場の床には縮れた真っ黒
い陰毛がぱらぱら落ちていきます。見る見るうちに、毛に覆われていたピンク色の割れ
目がはっきり露出してきました。
 斎藤さんはしっかりと目を閉じ、目じりからは少し涙をこぼしています。
「だいたい前はいいかな。今度はよつんばいになって尻を上げなさい」
 後ろまで剃るつもりなんだわ。
 斎藤さんはすでに観念してるんでしょう、抵抗する事も無く最も恥ずかしい犬のよう
なポーズをとりました。こっち向きだったから斎藤さんのお尻の穴が皆に丸見えでした。

「なんだよ、ちり紙のかすがついてるよ、拭く時はきちんと拭き無さいよ。ちょっと、
雑巾持ってきて」剃毛係の先輩が別の先輩に言いました。
 そして手渡された濡れた雑巾で斎藤さんのお尻を拭き始めました。
 う、うう。嗚咽が漏れてきます。斎藤さんの悔し涙が床にこぼれて光るのが見えまし
た。ことさら辱めるように先輩は丁寧に斎藤さんのお尻の中心を時間をかけて拭き取り
ました。
「こんなもんかな」
 そう呟くと、再びバリカンのスイッチを入れました。斎藤さんのお尻の周りは濃い毛
が疎らに生えていました。それらもすべてきれいさっぱり剃り上げられたんです。
 最後に彼女は仰向けになって皆の前で両足を大きく広げられました。
 割れ目も肛門も丸見えの恥ずかしい格好です。
「あれ、濡れてるんじゃない?」
「これに懲りたらもう歯向かわない事ね」
 先輩達に点検され、ひどい事を言われたりしながらやっと斎藤さんのお仕置きが終わ
りました。
 その後、同じように山本さんも陰毛を剃り上げられましたのですが、彼女のときは前
を剃る時、先輩が意地悪心を起こしたのか、ちょっと違う展開がありました。
 両足を広げて立っている全裸の山本さん。
 最初にバリカンで簡単に前を剃ったのは同じですが、髭剃り用の刃に切り替えて剃って
る時です。
「うん、ああ…」
 思わず漏れた山本さんの声は甘い響きを含んでました。
 うふふふ、笑いながら動く先輩の髭剃りは、ちょうど山本さんのクリトリスを刺激する
ように動いています。髭剃りの振動で山本さんは感じてしまってるのでした。
「ほらほら、髭剃りでいかせてやるよ」
 快感を必死でこらえている山本さんを面白そうに先輩はいじめていました。
「我慢しないでさっさといってしまいなさいよ。いくまで止めないんだからね」
 別の先輩が山本さんの後ろに回り、両手で彼女の乳首を揉み始めました。
「ああ、許してください。恥ずかしすぎます」
 山本さんは堪らず声を上げました。それでも先輩達は許してあげません。
 周囲の興奮がじわじわと高まっていきます。
 私も正座しているお尻をもじもじさせて、踵をお尻の割れ目に密着させました。
 そして踵であそこを圧迫したり擦ったりしてしまいました。ひそかにする恥ずかしい
事は声が出そうなくらい気持ちよかった。
 私の横の一回生も同じようにもじもじしていました。
 いつのまにか山本さんを剃っていた先輩は剃りながらもう一方の手の指で彼女の亀裂
を愛撫し始めていました。
「ああーうん。いやです。いきそうです」切実そうな山本さんの声でした。
 濡れたような音が聞こえてきたのは、先輩の指が山本さんの中に入り蠢き始めていた
からに違いありません。
 山本さんは爪先立ち、背をそらせるようにしていってしまいました。
 私は思わず深いため息を吐き出しました。なんだかすっかり疲れてしまいました。
 いかされた彼女は力が抜けて倒れこんでしまいました。
 興奮した大勢の女達は黙ってその様子を見つめていました。
 髭剃りの音だけがぶんぶんスズメバチのように唸っていました。
 
「これから一年間あなたたちには陰毛を伸ばす権利はありません。後は自分で毎日処理す
ること。もしサボって伸ばしていたら、かなり痛い目にあってもらいますからそのつもり
でね」
 増田先輩のその一言で、羞恥に充ちた新入生自己紹介の儀式は終わりました。
 私はその言葉でやっと日常に帰ってきた気がしました。

 でも、こんなことはこれから始まるさらに屈辱的で、痛みすら伴う剣道部一回生の今後
の、ホンの初めの一ページに過ぎませんでした。





                       夕陽に染まる エピソード1 終わり