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オビ=ワンのすご技
 オビ=ワンはポンダ・バーバに切りつけたわけではない
 『新しき希望』 オルデラーンへ向かうために、パイロットを探しにカンティーナ(酒場)に入るオビ=ワンとルーク。
 ルークは一杯ひっかけていると、隣にいたドクター・エヴァザン(写真1)が、言いがかりをつけてくる。

 「生意気だとさ」と、ポンダ・バーバ(写真2)が、ルークのことを気に入らないと言っていると通訳してくるが、「おれも気に入らねえ」と、エヴァザンも怒りを表明する。「なめるんじゃねえぞ、俺は12の星で死刑が決まっている」とさらに、つっかかってくるエヴァザン。「気をつけるよ」とそっけのない態度をみせるルークに対して、「殺してやる」と怒り出すエヴァザン。「相手は子供だぞ、一杯おごごろう」とオビ=ワンが仲裁に入る。その時、突然切れたエヴァザンは、ルークを投げ飛ばす。
 次の瞬間、オビ=ワンはライトセーバーを抜き、床にはポンダ・バーバの右手とブラスターが落ちている。

 このシーンに関して、「最初に言いがかりをつけたのは、ポンダ・バーバだが、その後いちゃもんをつけたのは、エヴァンサである。エヴァンサではなく、ポンダ・バーバを切り捨てたのはおかしいのではないか」という批判がある。

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写真1 ドクター・エヴァザン

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 写真2 ポンダ・バーバ

 しかし、この批判は誤りである。もっと、映画を詳しく見てみよう。
 ポンダ・バーバの右腕が切り捨てられていたのは、ブラスターを抜いたからであり、オビ=ワンは完全な正当防衛なのである。
 そして、最初にブラスターを抜いたのは誰かというと、実はポンダ・バーバではなく、エヴァザンなのだ。ルークを突き飛ばした直後に、すばやくブラスターを抜くエヴァンザンのカットが一瞬うつし出される(写真3)。

 そして次のカットが抜いたブラスターのカット(写真4)。このブラスターを握っているのは、白っぽい服を着た男である。オレンジのジャパースーツではないから、この手はポンダ・バーバのものではない。そして、このブラスターはポンダ・バーバの持っていたブラスター(写真8)とも明らかに異なる。
  エヴァザン
    ↓

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写真3 ルークが投げ飛ばされた直後のカット エヴァザンは右手に手をやって、ブラスターを握っている。
 エヴァザンがブラスターを抜いたことは、間違えのない事実である。
 
 そしてエヴァザンがブラスターを抜いた次の瞬間に、オビ=ワンはライトセーバーを抜き、エヴァザンに切りつける。そして、エヴァザンは横に吹っ飛ばされる。そして、後ろにいたバーバもまたブラスターを抜いていて、その右手が切り落とされたのである。
 オビ=ワンはセイバーを一振りしかしていない。しかし、ブラスターを構えたエヴァザンとポンダ・バーバの両方を、一刀のもとに切り伏せ無力化したのだ。決して、ポンダ・バーバの右手だけを切ったわけではないことが、よくわかる。ビデオで見直してみよう。オビ=ワンの達人的なセイバー技を見ることができる。
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写真4 エヴァザンのブラスターのアップ
 腕の服の色に注意しよう。オレンジのジャパースーツではないから、この手はエヴァザンのものである。
 このシーンは、人物描写的にも重要な意味を担ってる。温厚そうな老人のオビ=ワンが、いきなりセイバーを抜くとは、何と荒っぽい、という批判もあった。しかし、オビ=ワンは実は、短気で荒っぽい気性だったのである。
 『帝国の逆襲』で、ヨーダはルークの様子にあきれて、「すぐカッとなる。父親もそうだった。」とつぶやく。それに対して、霊体のオビ=ワン「私は違いましたか?」と、声で答える。オビ=ワンは、ルークの父アナキンと同様に短気だったというのだ。
 実際、『ファントム・メナス』では、師であるクワイ=ガンの死に直面して、我を忘れてしまう。オビ=ワンの短気さの現れである。また、オビ=ワンの短気さは、今後も『エピソード2』『エピソード2』で描かれていくだろう。そのオビ=ワンの短気がシリーズの中で初めて登場するが、このカンティーナのシーンと言える。
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写真5 セイバーを抜く直前のオビワンの表情
 してやったりという表情をしている。まさに、水を得た魚。
 オビ=ワンの短気さの表現であり、このオビ=ワンは『ファントム・メナス』のオビ=ワンと明らかに連続している。
 もう一つ、このシーンにおもしろい描写がある。エヴァザンがルークに言いがかりをつけるシーンの前に、バーバの左手がうつるが、その手は指のない丸い手である(写真6、7)。しかし、切り落とされた右手にはきちんと指があった(写真8)。 
 同一個体でありながら、左手と右手の形状が異なるというのは、大きな発見である。
 今までの常識的な理解は次の通りである。
「水の惑星アンドー出身のアクアリッシュ人は、その手の形状によって二つの種属に大別される。丸いヒレ状の手をもつ種属と毛むくじゃらの五本指を持つ種属があるが、その相違の起源は明らかにされていない。」(「スター・ウォーズ・クロニクル」P84)
 こうした常識に反して、映画に登場していたポンダ・バーバは、同一個体でありながら、右手と左手の形が異なっていたのである。

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写真8 切り落とされたバーバーの右手 

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写真6
 

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写真7 写真6のアップ
バーバの丸い左手

 それでは、このシーンでもっとも凄い反射神経を見せたのは誰か。オビ=ワンは、エヴァザンがブラスターに手を遣った瞬間に、既にセイバーを握っている(写真8.赤矢印)。さすがにジェダイ騎士の反射神経である。
 しかし、オビ=ワンよりも凄い運動神経を見せたキャラがいる。それは、バテーンのウーハーである。ウーハーは何と、オビ=ワンがライトセーバーに手をかけた瞬間から、それを抜いてポンダ・バーバの右手を切り捨てるまでのほんの一瞬の間に、カウンターの下にもぐりこんでいる(写真9)。このウーハーの反射神経もただものではない。
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写真8 エヴァザンがブラスターに手をかけた瞬間、オビ=ワンもセイバーを握っている。さすが、ジェダイの反射神経である。
そのくらいでないと、この荒くれどもが集うカンティーナでバーテンとして生き残っていくことは不可能なのだろう。ポンダ・バーバもウーハーなみの運動神経を持ち合わせていれば、腕を切られずにすんだのだが。 uha.jpg (10629 バイト)
写真9 素早くカウンターの下に隠れるウーハー