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  これでいいのか USJ

2001年5月18日に、大阪ユニバーサル・スタジオ・ジャバン(USJ)に行ってきた。
 本当であれば、「USJとはこんなに楽しいところだよ」というレポートを書くつもりであったが、私がUSJでした経験は、想像を絶する不快な体験であった。
 これから、USJに行こうと思う人は、是非以下の文章を読んでから行って欲しい。心構えさえきちんとしていれば、そう驚くことはないだろう。最悪を想定していけば、それ以下ということはないはずである。以下、アトラクションについてのネタバレはないので、安心して読んでいただきたい。 

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 なお、USJにこれから行こうとしている人が知っておいたほうが良いマメ知識を、赤字で紹介しています。

1 入り口でアンケート
 入り口から入って、さあアトラクションに行くぞ、とはりきっている瞬間に、アンケートにご協力くださいと、係員に声をかれられた。私は、「結構です」とハッキリと断った。しかし、「お願いします」と食い下がってくる。私は、もう一度「結構ですから」と断ったにもかかわらず、一行に引き下がる様子はない。同伴していた友人がトイレに行くというので、その間に答えさせられるはめにった。

 そのアンケート項目は異常に多く、結局5分くらいして友人が戻ってきても、アンケートが終わる様子はなかった。それも要領よく質問するならまだしも、全くアンケートに慣れてない様子で、小学生に読み聞かせるようにゆっくりとした口調で喋る。全く段取りを理解していない。そのせいか、50歳くらいの上司の人が一緒にいて、横で指導しているのだが、その上司もたいしてアンケートの内容を理解していない。

 ダラダラといつまでも質問してくるので、「早くしてくれ」と早く終わらすように促すが、態度は全く変わらない。結局、終わるまで十分くらいかかった。終わったときに、絵葉書をくれたけど、

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「アメリカン・グラフティ」に出ていたメルズ・ドライブイン
 でも、どれだけの人が『アメグラ』
を見ているのだろう?

十分も協力してこんなものしかくれないのかとも怒りが込み上げてきた。腹が立ったので「入ってすぐに、こんなアンケートを答えさせるとはどういうつもりだ。」と文句を言うと、上司の人は全くの無反応。「どうもすいません。」とか「よりよい施設作りのためにお願いしております」とか、それらしいことを言うのならまだわかるが、全くの無反応、無視である。人を馬鹿にするのもいいかげんにして欲しい。接客態度というか、客を何だと思ってるのか。20歳に満たないアンケートをとっていたお姉ちゃんが、無反応というのならまだわかる。しかし、その50歳くらいの上司の人も、全く無礼極まりないのである。
 別にアンケートに答えてもいいけど、タイミングが問題なのである。アトラクションのところに行けば1時間の行列ができているわけで、そこに行ってアンケートをとれば、客の方も時間つぶしになって、記念品ももらえて一石二鳥である。あるいは、ベンチのあるところに行けば、休憩している人だってたくさんいるわけ。にもかかわらず、一個もアトラクションを見ていなくて、これから回ろうという貴重な時間を奪うようなことを、半強制的にやらせるというのは、どういうつもりなのか。半強制的というのは、私ははっきりと大きい声で二回も断っている。にもかかわらず、しつこくつきまとってくる。答えないと通さないという雰囲気である。その態度事態が不愉快である。街中のキャッチセールスや、宗教の勧誘でもこれほどしつこいことはない。
 こうした、観客を不愉快にさせる行為を、企業ぐるみで(上層部の意志で)行っているというわけだ。それも入園して1分もたたないうちに。この不愉快な思いがその後も、十回以上も続くとはその時は、予想だにしなかった。
2 予約券をもらうのに行列?
 場内には、「ユニバーサル・エクスプレス」という、時間予約券が配られている。二つ以上のアトラクションを同時に予約することはできないが、かなり便利なシステムである。まず、入場してすぐに「ジュラシック・パーク」の予約券をもらうために、そのブースへと向かう。しかし、そこには100人以上の行列ができていた。もちろん、入場のための行列が、そんなに短いはずはない。予約券をもらうための行列である。

 でも行列はしかたがない。混んでいるのだから。問題はその行列のさばき方である。スタッフ二人が入場券の裏

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「JAWS」の船長
喋りは流暢だが、何を言っているのか全く聞き取れない

にスタンプを押している。あと二人のスタッフが、その後ろのブースで、ただ予約券を配るだけ。この単純な作業をやるだけなんのに、極めて能率が悪い。動作が緩慢でてきぱきした様子であるのなら、混んでいても文句は言わない。おまけに、その係員が横を向いてオシャベリしていたのには驚いた。おしゃべりといっても、仕事をしながら(スタンプを押しながら)話しているのならわかるが、その間スタンプを押す動作が15秒以上も中断されていた。
 この行列は人がたくさん並んでいるためにできている行列ではない。スタンプを押すのに手間取っているので、この行列ができていることは明らかである。しかし、スタンプを押すのと券を配る人の人数は同じで、券を配る人は暇そうにしているのである。スタンプを押す人を三人にして、券を配る人を一人にすれば、効率は1.5倍にあがる。あるいは、スタンプを押すと同時に、券を渡せば効率は2倍に上がるだろう。
 USJのいたるところで見られるが、一方で行列ができているのに、暇そうにボケーッと立っている人が、随所にいる。仕事を分業してるのはわかる。しかし、分業というのは、能率を上げるために分業するのだ。マニュアルに従ってやってるから、変えられないかもしれないが、人員の配置が適切でない。さらに、スタッフは100人の行列ができていようが、5人が並んでいるのと全く同じ紋切り型の対応をしているのである。一人一人に挨拶をする。説明をする。確かに丁寧でいいのだが、この予約券に並んでいる人は、間違いなくほとんどが早く予約券をもらって、他のアトラクションに並びたいと思っているだろう。そうした観客の気持ちというものに対して、ちょっとでもいいから配慮して欲しいものだ。
 行列自体は全く構わないけど、スタッフがおしゃべりしたりして全力で働いてないために行列が余計ひどくなっているわけで、それに対して非常に腹が立つのである。


3 なぜ、こんなに歩かされるのか?
 行列自体はいい。パーク全体が混んでいるのだから。でも、なぜこんなに歩かされるのだろう。行列の長さと同じだけ歩かされる。でも、そんなに歩く必要はないはずである。列のコンパートメント(棒と棒の間にかかっている紐のような仕切り)を時々変更してうまく調整すれば、こんなに歩かなくても良くなるはずである。ディズニーランドは、まめにコンパートメントを変更していた。
 一番ひどかったのは、「ターミネーター」のところである。午後から回ったせいか、そんなには混んでいなかった。しかし、コンパートメントは一番混んでいた時間帯のがそのままになっているので、行列の最後尾につくまでに数百メートルも意味もなくジグザクの通路を歩かされることになる。結構みんな早足で歩いているのに、「列の間をあけないでください。」とアナウンスが入る。間を空けたらだめだと思って、皆小走りで走る。もちろん、小走りで走ろうが、超ゆっくりと歩こうが、行列の最後尾に到着してから30分以上待たされることに全く変わりはない。
 丁度、私の前にいたのがお老人の集団だった。70歳くらいの老夫婦が、息を切らせながら小走りで走っている姿は、可哀想であった。
 コンパートメントをちょっと仕切りなおすだけで、この無駄な走りは、瞬時に、そして完全に解消されるというのに。USJは老人と子供に対してひどすぎる。


4 アメニティの悪さ

 老人と子供に厳しいというのは、アメニティの悪さにおいてもそうである。USJの一つの目玉は、ロサンゼルス、ハリウッドのユニバーサル・スタジオとほぼ同じ設備を日本に再現したということである。アメリカ的な建物が立ち並び、日本にいてアメリカが体験できるという。しかし、それがそのまま日本で受け入れられるのか、という問題がある。それが最も顕著に表れているのがトイレの問題である。
 外国旅行をしたことがある人ならわかるが、日本ほどトイレがたくさんある国は世界にない。もちろんアメリカでも治安上の問題もあってトイレは少ない。どうやら、USJはトイレの数とその配置についても、ハリウッドのUSJをそのまま再現してしまったらしい。
 USJではアトラクション内部にトイレがない。普通の大人であれば、まあ問題はない。問題は子供やお年よりであろう。トイレが少ないこと自体はしょうがないけど、まずそれが観客に充分告知されているかどうかという問題がある。行列に並ぶ前に、アトラクション終了まで、トイレに行けないということがきちんとわかっていれば、トイレに行けばいいわけで、行かないほうが悪い。しかし、それを観客に告知せずに、行列に並んでしまってから知ってはどうにも動きがとれなくなってしまう。
 結局のところ、アトラクションの中にトイレがないというとは、充分に告知されてない。観客の多くは経験的に学習するしかないわけで、それは完全にテーマ・パーク側の責任である。
 アメリカと日本の大きな違い。ハリウッドのユニバーサルでは一時間以上の行列ができるというのは稀であろうから、トイレの問題はそう大きくないだろう。すぐに、アトラクションに乗れるわけだから。しかし、USJでは一時間以上待ちのアトラクションがいくつもある。すなわち、一度並んでしまうとアトラクション終了まで一時間半近くも列から離れられないという現象が出現してくる。これは、ハリウッドのスタジオではたまにしか起きないだろう。したがって、特別の対応(列を抜けてトイレに行ってももとにもどしてもらえる)や、「トイレにいけない」ということに関して、アメリカ以上に周到な告知や説明が必要となるわけだが、そんなことには全く配慮はないようである。
 また、トイレのみならず、ゴミ箱が少ないというのも気になった。アトラクションの中にゴミ箱が1個か2個しかない。つまり、行列の長さベースに換算すると、20から30分に1個くらいしかゴミ箱が存在しないことになる。結局、ゴミを20分以上も持ちつづけることになった。そうしたことが影響してか、植木の下にゴミを捨てている不心得なも者までいたが、それもゴミ箱が多ければそんなこともなくなるだろう。
 USJの職員は、観客としてUSJを回ったことがあるのだろうか? 一回でも行列に並べば、トイレの問題やゴミ箱の問題が深刻であることは、わかるはずであるが。


5 情報告知の遅さ
 前章でも書いたが、トイレに限らずあらゆる点で、情報の告知が遅い。あるいは看板などに注意書きをしているのかもしれないが、その看板が見ずらいところにあるので、情報が伝わっていない。
 例えば、「ジョーズ」や「ジュラシック・パーク」などでは、水に濡れないためにカッパを販売している。これはサービスとして非常に良い。しかし、カッパを売っているのは入り口の一箇所だけである。行列に並んでしまうと、もう二度と買うチャンスはない。しかし、並んでいる時に「カッパは入り口一箇所での販売となります」とアナウンスが入る。並んでしまったら列を外れて買いに行くことはできないのに、このアナウンンスに何らかの意味があるのか? 私の友人はどうしてもカッパが欲しいというので、スタッフの人に断って列を外れて入り口に買いに行った。そのスタッフの人は、快く許可してくれた。、しかし、列に戻る時に数メートル離れたところにいた別なスタッフに横は入りしていると思われ、大声で注意された。すぐ目の前のカッパ売り場で買っているのだから、そのスタッフの視野に入っていたと思うのだが。私の友人は、スタッフにきちんと断ってから列を外れたのに、大恥を書くはめになった。結局、列を外れて買いに行くような行為は、横入りと誤解されるので、「してくれるな」と言うことらしい。
 一見正しいが、それなら行列に並ぼうとする人全員に、「カッパは一箇所の販売になります」という説明を徹底すべきである。
 カッパに関して、もう一つ驚いたのだが、朝の「ジュラシック・パーク」の時は、カッパを買うためだけに、アトラクションとは違う行列が20人近くできていたことだ。これも時間の無駄としか言いようがない。行列の途中で売れば、全ての問題は解消される。
 最近(私が行った後)では、人員削減のために、自動販売機でカッパを売っているらしい。しかし、それもアトラクションに入る入り口である。列の途中にカッパの自販機を一台おけば、観客はカッパを買い忘れることもなく、カッパを買うために行列することもなく、パーク側も人員の節約になるし「カッパは一箇所の販売になります」というアナウンスも不用になる。
 USJは、こうした無駄と不条理の宝庫である。エンターテーメントのテーマパークではなく、USJは悪い顧客サービスの見本市である。サービス業、小売業にたずさわる人たちには極めて勉強になるテーマパークであるから、是非とも見学に行って欲しい。お客にしてはいけないことの全てを、わずか一日で実体験できる。
 告知の遅さは、カッパに限ったことではない。例えば、いくつかのアトラクションでは、子供(身長制限)、妊婦、閉所恐怖症や、めまいのある人はダメですとアナウンスで告知する。しかし、行列して10分以上も経って、そんなこと言われても困ると。入る時に行って欲しい。
 入り口が広く設計されているのは、のびのびとして良い。アメリカ風の設計なのだろう。しかし、おかげでそうした警告の掲示板がどこにあるのかが、非常にわかりずらいし、目立たない。結果としてほとんどの人はそれを見ないで中に入っていくのである。


6 自己責任の考えは日本で通用するのか?
 アメリカは自己責任という概念が、徹底した国である。例えば日本の「立入禁止」の看板は、アメリカでは「自己の責任で進め」と書いてある。進めという命令文なのだ。
 USJで水をかけられてカゼを引いた、あるいは「ウォーターワールド」で不意にかけられた水が目に入って結膜炎になった、という書き込みを、USJ関係の掲示板で見かけた。
 このアトラクションは「水でぬれます」という告知がきちんとされていれば、アメリカ人は誰も文句は言わないだろう。濡れるのはわかっているわけだから、濡れたくないのであれば、そのアトラクションに参加しなければ言いわけだし、カッパで防御するとか、濡れた後にきちんと乾かす等の対応を取らないほうが悪いのである。ただし、これは自己責任の考えがしっかりしているアメリカでのこと。それと、告知がしっかりしているという前提である。

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日本人は水をかけられてアメリカ人のように脳天気に楽しめるのか?

 例えば、アメリカでは警察が犯罪者を逮捕するときも、必ず権利の説明をする。もし、権利の説明をしないで逮捕すると、その逮捕は無効になる。事前の説明が重要である。したがって、「水でぬれます」という告知がある以上、観客はそれに自己責任で対応すべきであり、パーク側には責任はないのだが、それは自己責任概念が、全ての国民に周知徹底しているアメリカでのことである。
 日本で、それが通用するのだろうか? おそらく通用しない。通用しないから、カゼを引いたり、結膜炎になったという文句、不満の書き込みが掲示板に書かれることになる。
 日本には自己責任という概念は全くない。責任の所在をはっきりさせないで、人の責任にしたり、あいまいにしてごまかす。不良債権が何百億円作っても、誰一人として責任をとらないのが日本という国家なのである。また、国民もその無責任に関して無関心である。
 結膜炎の例は極端だが、被害者の観客は汚い水をかけたパークの責任だと言い、パークはかけられた水にきちん対応しなかった観客の責任にするだろう。結果として、不満や怒りだけを提供するテーマパークが出来上がっていく。
 それと、自己責任に関して、それは告知がしっかりとしてはじめて成立するということを繰り返しておく。現在のUSJが告知義務を果たしているかというと、全く果たしていない。パークの責任として、観客全員に知らしめる必要がある。それも、あらかじめである。
観客のほとんどは、パークの入り口付近においてある、マップを見ながら場内を散策する。しかし、このマップは、全員に強制的配っているわけではないので、この時点で責任義務怠慢である。
 そして、安全についての説明として、身長制限と妊婦についての但し書きがついているが、「詳しくは情報をご覧いただくか、クルーにお尋ねください」と書いてあるだけで、このマップを読んでも詳細は書いていない。身長制限は何センチ以下なのか。あるいは、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」では「閉所恐怖症」や「めまい」の人はダメという説明も、ここには書いていないのである。
 リスクをとらないとスリリングな体験はできるばずかない。しかし、そのための安全への配慮は、今のUSJにはあまりにもなさ過ぎる。


7 高い、まずい、少ないの三拍子そろった料理
 私はアメリカが好きで何度も行っているが、アメリカらしさの一つはジャンク・フードだと思っている。ハンバーガー。ホット・ドッグ。サンドイッチ。

 大きなホット・ドッグにケチャップとマスタードをたっぷりかけて、口一杯にほおばる。たったこれだけで、「アメリカに来たんだなあ」と実感することができる。
 では、USJのジャンク・フードはどうだろうか。ホット・ドックを食べようと楽しみにしていたが、その期待は完全に裏切られる。

 まず値段。ホットドッグ一個の値段が、500円である。まず、ここでやめようかと一瞬逡巡する。まあ、でもそれなりのものが出てくるのだろうと注文するが、またもや驚く。大きさは、「モス・バーガー」で食べる普通のサイズのドッグである。そして、中身がソーセージ以外、何も入っていない。ピクルスは、自分でトッピングするようになっていたが、オニオンが入っていないのである。オニオンの入っていない、ホット・ドッグが存在するのか。アメリカ人なら、この時点で暴動を起こしているだろう。 唯一、救われたのはピクルスとケチャップ、マストタードを自分で好きなだけかけられること。しかし、しかしである。それらは、超小さなパックに入っていた。ケチャップであれば、最低3袋はかけたい。マスタードなら2袋。他に具がないのでピクルスも3袋はいる。すなわち、まともなホットドッグに自分で味付けするために、小さなパックを指で切ってしぼりだすという動作を、8回繰り返さなければならないのだ。結局1分以上かかってその動作をする。当然、他の客も手間取っていた。
 結局指先が汚れた。紙ナプキンで手を拭こうと思うと、驚くべきことに、そこに紙ナプキンは置いていないのである。別な場所においてあったが、そこを探してナプキンをとってくるのに、さらに1分ほどがかかる。結局、ホット・ドッグを受け取ってから、ドッグを食べ初めまでに3分以上もたってしまって、ドッグもさめてしまっているという始末。簡単に食べるはずのジャンク・フードに、なぜこれだけわずらわされるのか。
 結局、日本の市価の二倍の価格で具が入っていないさめたドッグを食べさせられる。「モス・バーガー」のプレーン・ドッグの方が100倍得である。
 値段は高くても良いけど、もっとボリュームのあるものを出せないのか。今より大きさを1.3倍にするだけで、満足度は二倍になる。もし、それがダメなら、せめてケチャップやマスタードを、シャンプの容器みたいな、上から押したらたくさん出てくる容器にでもみ入れて、たくさんかけさせて欲しい。わざわざ細かい袋に小分けして得るのは、たくさん使われないようにという防御的思想であろう。そんなところで、コスト・カットするなよ!! 建物を作るのには、何十億、何百億もかけておきながら、こういうディテールでケチってどうなるのだ。結局、ここはアメリカではない。日本にいるのだということを、ホット・ドッグ一個で実感するのであった。
 はっきり言って、飲食物の値段が高すぎる。ビール一杯800円。それも、ただの透明のビニールのコップに入ったビールである。そんな高いビールが、日本中探してどこにあるのだ。ススキノの暴力バーくらいのものである。
 値段が高くても、それなりの味とボリュームがあれば、いくら払っても満足する。しかし、ボリュームはないし、味もまずいのである。
 高い、少ない、まずいの三拍子がそろった料理か楽しめるのが、USJの売りである。
USJの前に、ユニバーサル・シティウォークという大きな商店街があり、飲食店もたくさん入っていた。最初にUSJに来て、このシティウォークを通り、「わざわざユニバーサル・スタジオまで来て、スタジオの外で飲食するバカな奴がいるのか。こんなところに飲食店を出してももうからないだろう」と思った。しかし、その考えはき完全に間違えであった。市価の二倍近くするまずい料理をスタジオ内で食べるほうが、よっぽどバカであった。

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ユニバーサル・シティウォーク
飲食店はUSJより安い
気の利いた小物屋、オモチャ屋があるので要チェック

 あまり悪口を書いても怒られるので、一つだけ褒めておこう。私が訪れた飲食店では、おしゃべりして時間をつぶしたり、ダラダラと動く怠惰な店員は見当たらなかった。客が行列をして待っているのだから当たり前であるが、他のアトラクションやお土産やでは、そうしたキビキビとしたスタッフが、全く見られないだけに、こここだけは褒めておこう。

8 お土産屋の混乱
 夕方以降お土産屋が混雑しているという話は聞いていたので、覚悟はしていた。しかし、やはりここでも、驚かされるのである。混雑しているのは、客が多いためではなかったのである。いや、客は少なくはないのだが、この行列の長さは店員の要領の悪さに起因していることは、目に見えて明らかであった。
 もっとテキパキとやれば、こんなに行列にはならない。それと、自分の仕事しかやらないセクト主義。例えば、こんなシーンがあった。私を含めて10人以上の行列が並んでいる。その前で、ICカードを買ったおばさんの客に対して、これは「ICカードでありテレホンカードではありませんがよろしいでしょうか」と親切に説明している。その後、ICカードとテレホンカードの説明をはじめて、本当にICカードで大丈夫かと再確認。結局、客はそのままで良いと同じ物を買って行った。何と親切な店員だろう、もし空いている時なら。しかし、混雑して、土産屋が大混乱している中で、こうした悠長なやりとりが行われていたのだ。たぶん、この店員はマニアルに書かれている通りに対応したのだろうが。
 そのICカードを買ったおばちゃんの表情を私なりに読むと、「その描かれているキャラクターやデザインが気に入ったから買ったのであって、ICカードでもテレホンカードでもどっちでも良いです」といいう雰囲気であった。そのおばさん自体、最初からどっちでもいいから早くしてくれという雰囲気であるのに、その雰囲気を全く察せずに、淡々と、またゆっくりとした口調で説明するのである。

 この例は、USJ全体のサービスの特徴である。TPOを全くわきまえない。観客の個別性を全く省みないのである。大行列になっている時も、客が一人しかいないときも同じ対応。作業速度も同じ。良く言えば均質なサービス。しかし、USJに来ている人の多くは、一つでも多くアトラクションを回りたいと思っているだろう。そうした顧客感情は全く無視されているのである。
 また、先のICカードおばさんのように、客が説明して欲しいと思ってもいないのに、それを無視して延々と説明をはじめる。こうした場面も、しばしば見受けられた。
 もう一つびっくりしたのは、私がいたレジは10人くらいが並んで、自分の番まで10分くらいかかっていたのが、出口に出ようと思って歩いているときに出口付近のレジを見たら三人しか並んでいなかったことだ。「向こうのレジが空いております」とスタッフの誰かがちょっと一言かけてくれれば、印象は大きく変わっただろう。
 臨機応変。状況を少しでも察する視点がほしいものである。


9 日本の官僚組織を象徴するUSJ
 なぜ、こんなバカげたことがUSJで起こっているのだろうか。その原因も10個くらい列挙しても良いが、その核心を一言で言うと日本的な悪い考え方がここでも生きているということである。すなわち、建物さえ作れば、中身は後からついてくるというものである。 アメリカ風の町並みを作れば、客はアメリカの雰囲気を堪能するであろう。そう思って、ハリウッドと全く同じアトラクションを、ここ大阪に再現したのだろう。しかし、それは完全に失敗している。アメリカ流のサービスを提供しなければ、アメリカ的な雰囲気など味わえるはずがない。
 巨大な運動スタジアムや会議場を作れば人が集まる。美術館を作れば村おこしになる。そうした、箱モノ行政が、日本で行われていた。建物が作れば人は来るのか? 答えは「ノー」である。そこで何をやるか、どういうサービスが提供できるのかが、重要なのであるが、そこら辺が全くわかっていない。
 USJに存在するのは、アメリカの合理主義と全く反対のものである。いたるところ無駄だらけ。あるところで行列ができていても、他のスタッフは受けもち、役割が違うから、2、3メートルしか離れないところにいても、ボケーッと立って見ているだけなのである。こんなことって、ありえるのか。

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アメリカの町並みの再現
建物だけを再現しても、中身は全くともなわない。

 日本中、どこのデパートやスーパー、コンビニ、ファーストフードへ行っても、こんなことは、ごくごく稀にしか体験しない。コンビニなどで、不慣れなアルバイトの高校生がいても、すぐに店長らしき人が来てそれをフォローして、少しでも待ち時間を減らすようにしてくれる。そんな場面は日常的に我々は経験しているし、そういう対応はアルバイトのミスを補って、むしろ好感すら感じる。
 そんな日本中で当たり前に見られる場面が、USJにはない。もちろな、アメリカにもないわけだが。
 オープンしたばかりという言い訳はどこまで通用するか? オープンから既に一ヶ月以上が経過し、ゴルデン・ウイークという大きな修羅場を越えて、どこまで修正されたのだろう。まさに、USJはお役所である。自分のノルマだけ、マニアル通りやれば良い。3メートル先で行列ができていても、自分に関係ないので無視。客のニーズを無視した、通り一遍の説明(答弁)。問題が生じても、それを自ら気付いて正そうとしない。日本の官僚組織そのままである。
 私がハリウッドのユニバーサル・スタジオを訪れたとき、「こんなおもしろいテーマ・パークが存在したのか」と驚きと感動とパーフェクトな満足感を味わった。しかし、USJでは、「なぜ5500円も払って、こんな不快な思いをしなければいけないのか」、というのが私の感想である。

 USJだ我々が体験するのは、アメリカらしさではしない日本らしさ。日本の官僚主義、無責任主義など、日本に存在するの悪い部分を余すところなく体験できる。
 ちなみに、私がUSJを訪れたのは、2001年5月18日(金)である。平日であって、土日祝ではない。平日でこのような混乱があるのだから、土日祝の様子はどうなのであろうか?想像もしたくないが。
 USJに行きたいと思っている人は多いだろう。しかし、今すぐ行くのは絶対に止めておいたほうが良い。もう少し、スタッフが訓練されて要領がよくなってから、そして構造上、運営上の問題点が解消してからの方がいいだろう。
 もちろん、もし改善されればの話である。しかし、もしここに書いたような問題が改善されず、このままずっと続くようであれば、USJは5年後には閉園になっているだろう。他の失敗しているテーマパーク同様、リピーターがつかないであろう。

 アトラクションそのものに対する感想と問題提起もあるが、これは以上の問題と比べれば大きな問題ではないので、後日改めてまとめるとしよう。