ワトーの抜け落ちたキバ
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『クローンの攻撃』のタトゥイーンのシーン。『ファントム・メナス』に登場していたワトーが、再び登場する。 そのあごには無精ひげがボウボウ生えており、破産したワトーのその後の苦労とすさんだ生活が想像される。 そして注意すべきは、ワトーのキバである。 『ファントム・メナス』のワトーの左下のキバは折れていた。すなわち、ワトーには三本の牙が生えていた。しかし、『クローンの攻撃』のワトーには、左上のキバが見当たらない。 右上の画像のように、劇中のワトーの表情は右側からとらえた映像が多く、ワトーの顔の左側は短時間しかうつらないが、左上のキバが見えない(おそらく)。 その一方で、ワトーは興味深いペンダントをしている(右上画像、赤矢印)。すなわち、白いキバのペンダンである。 |
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この二つの事実をあわせて考えると、ワトーの左キバは抜け落ちてしまい、それを大切にペンダントにして持っていた、ということになるだろう。 キバが抜け落ちる。ワトーの心労の多さ、あるいはワトーの老化を表す描写である。 『ファントム・メナス』では、ポッドレースでの賭けに負けて全てを失ったはずのワトーであったが、とりあえず自分の店を建て直せたようで、「よかった」と言うべきか・・・。 (2002年6月10日更新) |
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ドゥークーがアナキンを飛ばした理由 ドゥークーがアナキンの右腕を切断した後、ドゥークーはフォースを使って、アナキンを遠くに突き飛ばす。しかし、これは良く見ると不自然である。 アナキンが優勢にドゥークーを攻撃し続けている最中であれば、こうしたフォースによる突き飛ばし攻撃もわかるが、アナキンの右腕を切断した直後である。すなわち、アナキンは攻撃手段を失っており、ドゥークーをこれ以上攻撃できない。アナキンの右腕を切断した直後、ドゥークーにとって、アナキンにとどめを刺すことは簡単だった。にもかかわらずドゥークーは、とどめを刺さないで、敢えて遠方に突き飛ばしたのである。 |
その理由は何か? その理由は、アナキンを殺したくなかったから。すなわち、ダース・シディアスから、アナキンを殺さないように命令を受けていたからでは、ないだろうか? 前半部でパルパティーンは、アナキンに「銀河で最も強いジェダイになれる」と言っている。『ファントム・メナス』でパルパティーンがアナキンに、「将来を期待しているよ」と言ったように、『クローンの攻撃』でもパルパティーンのアナキンへの期待はより大きなものになっていたようだ。 |
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当然のことながら、ジオノーシスでのオビ=ワンとアナキン、アミダラの捕獲は、シディアスの耳に入っていたと考えるべきであろう。オビ=ワンたちをおとりとしてジェダイたちを一網打尽にするのが、シディアスの作戦だったと考えられる。しかし、アナキンが他のジェダイたちと一緒に死んでしまっては、アナキンは銀河で最も強いジェダイになれない。多分、シディアスは、アナキンの将来性(ダーク・サイドへ落ちるかもしれない)を感じ、アナキンに食指をのばしていた。したがって、アナキンを殺すなという指令をドゥークーにしていた可能性がある。 同様に、オビ=ワンに関しても、殺せる余裕がありながら、敢えてとどめを刺さなかったようにも見える。 「ドゥークーは殺人者ではない」というキ=アディ=ムンディのセリフは、意味をなさない。闘技場では、百人近いジェダイが死んでいるし、それを仕組んだのがドゥークーなのだから。シディアスからの命令は、「できるだけたくさんのジェダイを殺せ」というものだったのだろうが、そこにはアナキン、そしてオビ=ワンは含まれていなかったように思える。 ドゥークー(ティラヌス)がシディアスに報告に行く。シディアスは、「全ては計画通り」と言う。その計画の中には、アナキンの右腕切断によって大きな精神的ダメージを与えるということも含まれていたのだろうか? (2002年6月12日更新) |
すれ違ったダグ人はセブルバか? |
オビ=ワンが暗殺ドロイドにぶら下がり、コルサントの街中を走るシーンで、オビ=ワンはダグ人の乗ったエアスピーダーとすれ違う。『ファントム・メナス』のポッドレースで、アナキンと接戦を演じたセブルバがダグ人である。このすれ違ったダグ人は、セブルバなのだろうか? 多くの人が、そんな疑問を抱いただろう。 |
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このダグ人は、すれ違いぎわに、「ジェダイ、プードゥー(ジェダイのクソ野郎)」と言う。セブルバが、アナキンと接触して大破した最後に言った言葉が、「プードゥー」である。すなわち、このダグ人もセブルバと同様に、「プードゥー」を口癖としている。 また、オビ=ワンとダグ人はかなりの高速ですれ違ったわけで、通常の視力であれば、突然現れたオビ=ワンをその服装からジェダイだと判断するのは難しかったと思われる。すなわち、一瞬にしてオビ=ワンをジェダイだと判断したことから、このダグ人は、非常に高い動体視力を持っていたと考えられる。 |
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タトゥイーンにいたセブルバが、なぜコルサントにいたのかという問題は、大きなものではない。『クローンの攻撃』のナイトクラブで、ポッドレースが放送されていたように、スター・ウォーズの世界では、ポッドレースは人気の高いスポーツと考えられる。すなわち、F1レーサーが世界中を転戦するように、人気パイロットであったセブルバは、銀河中のいろいろなレースを転戦していただろう。そうすると、彼の拠点は銀河の辺境であるタトゥイーンよりも、銀河の中心であるコルサントの方が、ずっと便利なはずである。 以上の考察より、このダグ人はセブルバであってもおかしくはないと思われるが、それを決定付ける確実な証拠は、この一カットには存在していない。 ルーカスの狙いも多分そこにあったのだろう。「えっ、セブルバ?」と一瞬思わせる、ファン・サービスの一つなのだろう。 |
さて、スター・ウォーズは自由に空想を膨らませて楽しむべきであると、拙著「スター・ウォーズ新三部作完全解読本」の中で述べた。そのスター・ウォーズの楽しみ方の原則に従って、もう少し空想を膨らませてみよう。 オビ=ワンとすれ違ったダグ人がセブルバだとすると、その隣に乗っていたエイリアンは誰か? このエイリアンは、『ファントム・メナス』のポッドレースに出場していたラッツ・タイレルと同じアリーナ人である。ラッツ・タイレルは、このレースで洞窟の鍾乳石に激突して死亡したので、このアリーナ人はラッツ・タイレルではない。そうすると、誰か? ひょっとすると、彼の息子ではないか、そんな気もする。 ラッツ・タイレルの家族は、ポッドレースを観戦していた。しかし、タイレルは死亡し、家族は路頭に迷った。セブルバはタイレルの息子を、自らの弟子として引き取り、ポッドレーサー・パイロットとしてのテクニックを教え、一人前に育てた。 セブルバの凶悪なキャラクターからそ、想像しづらいかもしれないが、セブルバのプライベートでの性格まではわからない。『クローンの攻撃』では、「ワトーが意外と良い奴だった」ことがわかるが、実はセブルバも意外に良い奴だったのかもしれない。 |
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ダグ人は他にもデクスター・ダイナーでも見られる。このダグ人が同様にセブルバなのかという問題もあるが、執念深いセブルバであれば、オビ=ワンが先日すれ違った暴走ジェダイであることに気づき、言いがかりをつけてきてもおかしくないが、そうした素振りが全くないことから、オビ=ワンとすれ違ったダグ人ではないだろう。 いずれにせよ、ダグ人といえば、誰でもセブルバをイメージするわけで、デクスター・ダイナーのダグ人も、「あれっ」と思わせるルーカスのファン・サービスの一環なのだろう。 以上のように、一瞬しかうつらないダグ人であるが、そこから想像を膨らませていろいろと楽しめるのがスター・ウォーズである。 (2002年6月15日更新) |
アナキンの影がヴェイダーに見える |
アナキンがシミの救出に向かう直前。バドメとキスをする。その時、家の白い壁に映ったアナキンの影が、一瞬ヴェイダーの影のように見える。 偶然にも思えるが、右の画像のように人が入らない影だけのカットになるので、その影がどのように映るのかは、注意が払われてないはずかない。つまり意図的ということだろう。 |
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アナキンのまとめられた髪の部分が、ヴェイダーのヘルメットの広がった多部分に見える。 このカットは、『ファントム・メナス』の初期のポスターを意識したものである。アナキンの影がタトゥイーンの住居の石の壁にうつり、ヴェイダーになっている。全く同じである。 この直後に、アナキンはシミ救出に向かう。その結果は、ご存知の通り。そして、タスケンの虐殺。アナキンのダーク・サイドへの傾倒を映像的に暗示している。 (2002年8月17日更新) |
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