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  アナキン爆弾はいつ解除されたか?
 アナキンやシミたち奴隷の体内には爆弾が埋め込まれている。もし、逃げようとした場合、その爆弾が爆発するのだという。
 ポッド・レースに優勝したアナキン。しかし、いつ体内の爆弾が解除されたのか。クワイ=ガンは言った。「部品は格納庫へ。少年は店にもらいに行く」と言う。
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 「部品は格納庫へ。少年は店にもらいに行く」

 原語では"I'll come by your shop later so you can release the boy."と言っている。
「release」すなわち、解放せよと言っている。すなわちそれは、爆弾を解除して解放せよという意味である。クワイ=ガンは、後で店に寄るから、それまで爆弾を解除しておけよ、という意味なのだろう。
 セリフだけから考えると、アナキンの爆弾は、ワトーの店でアナキンを引き取ったときに既に解除されているように理解できるが、それでは劇中のシーンと矛盾する。アナキンを引き取ったクワイ=ガンは、アナキンを連れてシミに別れを言うために、一度家に戻る。
 「彼は自由だ。もう奴隷ではない。」そうクワイ=ガンが言った瞬間に、アナキンは大喜びする。つまり、この瞬間まで、アナキンは自分が自由の身になったことを知らなかったということになる。
 頭の良いアナキンのことである。この時点で既に爆弾が解除されていたとすれば、その理由を察するだろう。したがって、アナキンがシミに別れを言った時点では、まだ爆弾が解除されていなかったことになる。
 アナキンの爆弾解除の時期に関してシナリオ初期稿が、大きなヒントを与えてくれる。シナリオの初期稿によれば、シミとの別れの後、アナキンとクワイ=ガンは、ワトーの店に行く。そして、ワトーは専用の探知機を使用して、アナキンの首に仕込まれていた爆弾を見つけると、機械を操作して指の爪サイズの爆弾を取り出す。そして、アナキンに語りかける。「自由を満喫しな、小僧。そしていつか戻ってきてお母ちゃんを訪ねてやるんだな」ワトーは本当は良い奴だったという、ワトーの性格に関して重要な描写があったのだが、カットされてしまった。
 この初期稿では、アナキンの爆弾解除は、シミとの別れの後になっている。このシーンはカットされたものの、アナキンの爆弾が解除されたのは、このカット・シーンのようにシミとの別れの後と考えざるを得ない。

 

 奴隷に埋め込まれた爆弾というアイデアは、『ウェドロック』あるいは『ニューヨーク1997』から、アイデアを得たものと考えられる。
 『ウェドロック』は、ごく近未来の刑務所の物語。そこの囚人たちは、ウェドロックという爆弾入りの首輪をされている。刑務所内では特殊な電波によって、ウェドロックが爆発することはないが、刑務所から一歩外にでて電波か届かなくなると、ウェドロックが爆発するという仕組みである。

 『ウェドロック』では、埋め込み型の爆弾ではないが、埋め込み型の爆弾といえば、『ニューヨーク1997』である。終身刑を宣告された主人公のスネークは、首に爆弾を埋め込まれる。二四時間以内に監獄と化したマンハッタン島から不時着した大統領を救出しないと、その爆弾が爆発し頸動脈を吹き飛ばすというのである。体内に埋め込まれた爆弾という設定は『ニューヨーク1997』、所定の場所から逃れられないという設定は『ウェドロック』から来ているのかもしれない。
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 ルトガー・ハウアー主演の『ウェドロック』は、おもしろぞ。見てない人は、ビデオを借りて見よう。