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  IG-88編

 映画に登場しないIG−88
クラウド・シティーに逃げ込んだハン・ソロを追跡し、見事に手柄をあげたボバ・フェット。しかし、ボバ・フェット以外に、ハンの居所をかぎ当てて、クラウド・シティーに来ていたバウンティ・ハンターが他にもいるといったら、信じられるだろうか。しかしいるのである。それはIG−88。戦闘ドロイドである彼(それ?)は、ダース・ベーダーに招集され、エグゼクターのブリッジ、ボバ・フエットの右隣に立っていた。エグゼクターのブリッジに種々の様相のバウンティ・ハンターたちが一列に勢揃いするシーンは、非常に有名である。写真Oは、スター・ウォーズ・ファンであれば、一度は見たことがある有名な写真である。しかし劇中に、このバウンティ・ハンターが一列に並んで、全てのハンターたちの様相を確認できるカットは存在しない。特にIG−88は、映画中には、ほとんど写っていない。丁度、IG−88の前を、ダース・ベーダーが通るため、IG−88の姿はほとんど見えないのである。我々は、IG−88の姿を知っているし、フィギュアも買うことができるが、劇中にははっきりとした姿は登場していないということは、明記しておきたい。我々は、映画のスチール写真を、いくつもの本によって容易に見ることができる。しかし、それは、必ずしも、劇中のフィルムからそのまま起こしてきたものとは限らない。スチール写真とは、撮影現場にいたスチール・カメラマンが撮った写真である可能性があり、映画のシーンそのものでなかったり、劇中のカメラ・アングルやフレームと若干異なる場合が、しばしばあるので注意して欲しい。このバウンティ・ハンターのシーンは、その格好の例である。

 スクラップとなったIG−88
 話はズレたが、この人格を持たない無機質な殺人ドロイドIG−88は、このエクゼクターでの勢揃いシーンの他に、ESBの中でもう一個所登場する。それは、クラウド・シティーである。クラウド・シティに到着したハン・ソロたち一行。しかし、C−3POは行方不明になる。不振に思ったウーキーは、クラウド・シティ内を探索し、ゴミ捨て場でようやく、バラバラになったC−3POを発見する。ゴミ処理に従事していたアグノートたちは、3POの頭部をボールのように投げてウーキーをからかう。やっとのことで、3POの部品を回収するウーキー。この時、ウーキーのちょうど後ろに、スクラップとなって放置されているIG−88の姿が見える。動作中のIG−88
の目が光っているのに対し、このシーンでのIG−88は、目が光っていないので、動作していない状態と考えられる。大きさ的にかなりはっきりと映し出されるが、このドロイドは外見上間違いなくこれはIG−88である。それとも、同型の他のドロイドだろうか?

         

 このスクラップ化したドロイドは、極めて高い確率で、エグゼクターに招集された、IG−88そのものであると考えられる。そもそもIG−88はどこで作られたか。ホロワン研究所で試作されたアサシン(暗殺)・ドロイドで、そのうちの五体が警戒厳重なホロワン研究所の警備員を殺害し脱走した。その時脱走したIGシリーズ試作品の一体がIG−88である。つまり、IG−88と同型のドロイドは、全宇宙に五体しかいない。IG−88は、スクラップ置き場の中でもかなり上の部分におかれていたことから、ごく最近置き場に持ち込まれたことがわかる。このスクラップ処理場には数人のアグノートが常駐して、スクラップ処理を行っていることから、その処理能力は非常に高いと考えられる。つまり、IG−88がスクラップとしてここに運ばれてきたのは、極めて最近、運ばれて何日もたっていないことがわかる。
 エグゼクターに招集されたIG−88は、ハン・ソロの居所を捜すようにベーダーの命令を受けた。そして、ハン・ソロがやってきたクラウド・シティーのカクラップ置き場にIG−88と同型のドロイドが捨てられていた。IG−88と同型あるいは外見が類似していると考えられるIGタイプのドロイドは、他にも四体存在するわけだが、そのうちの一体が、ハン・ソロがクラウド・シティーにやってくるのと全く同時に、偶然にやってきた、たまたま故障か破壊されるかして、スクラップ置き場に運ばれた可能性は、確率的には天文学的に低いと言わざるを得ない。
 ハン・ソロの居所を捜すようにベーダーの命令を受けたIG−88が、ハン・ソロの後を追って、あるいは先回りしてクラウド・シティにやってきたと考えるのが妥当である。ではなぜ、IG−88はスクラップになったか。おそらく、IG−88は、ハン・ソロの過去の交友関係をコンピューターで検索し、その中でも親交が厚かったランド・カルリシアンの存在を割り出し、クラウド・シティーに先回りしていた。一方、腕利きのバウンティ・ハンターは、自慢の宇宙船スレーブ1で、ハン・ソロに気付かれないよう、ミレニアム・ファルコンを追跡していた。それは、アステロイド・ベルトにまぎれて逃げようとするミレニアム・ファルコンを密かに追尾するワン・カットから明らかである。ボバ・フェットは。ダース・ベイダーに直ちに連絡をとり、手柄を一人占めしようとしていた。しかし予想外にも、そこには他のバウンティ・ハンターが先に来ていたのである。IG−88である。このままでは、手柄は当然先にクラウド・シティーに来ていたIG−88のものになってしまう。バウンティ・ハンターのどす黒い世界では、手柄を仲良く二人で分け合うなどということは考えられない。また、ボバ・フェットが、先客のIG−88にみすみす手柄を明け渡すことも考えにくい。クラウド・シティでボバ・フェットとIG−88が、壮絶な戦いを繰りひろげたであろうことは、容易に想像がつく。結局、腕前が一歩上であったボバ・フェットが戦いに勝利し、ハン・ソロ捕獲の手柄を一人占めにしたのである。スクラップとなったIG−88は、スクラップ処理場に運ばれてしまったのだ。
わすが、ワンカットしか登場しないスクラップとなったIG−88から、これだけのバック・ストーリーが推測される。スター・ウォーズ・ユニバースの懐の深さを感じさせる、ディティールの一つである。

 バックストーリーとの矛盾 ボバ・フェットとどこで戦ったか

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