|
※「テイク・オン・ミー」31章で邪魔が入ってなかったら、二人はこうなってました。 「今日も暑いんやろなぁ」 寝起きの原田がベッドで呟いたので、鐘は 「よっしゃ。アイス買うてくる」 と身軽く部屋を飛び出した。近所のコンビニエンスストアで、子供の好む安物棒アイスからカップに入ったプレミアムアイスまで各種買い込み、袋を下げてマンションに戻る。 「アイス買うてきたで〜。食べるか?」 ベッドにうつ伏せに寝て往生際悪く枕を抱きしめている原田に、鐘は跪いてアイスの群を袋ごと差し出した。 「食う食う」 原田は嬉しそうに顔を上げ枕を放り出し、腹這いになって鐘のそばに寄る。 「いっぱい買うたでー。何味がエエ?」 「ミルクみたいなん」 「みたいなん、って?」 ミルク味のアイスバーは買ってあったが、意味ありげな言い方が気になり問い返すと、原田は身振り手振り付きでにやりと笑う。 「こういう硬ーい棒状で、先の方咥えて、こうやってぺろぺろしゃぶってたら白ーいどろっとしたおツユがたらって垂れてくるやつが好き」 清純派のアイドル歌手が両手でマイクを持つような手つきに似ているが、舌を伸ばし下から上へ舐め上げる仕草は、清純派どころかAV女優のような猥褻さだ。 「……その垂れてくる白いのんは、あんま、美味いことないんちゃいますか?」 …それに、垂れてくるというより、けっこうな勢いで飛びよるけどな。 鐘が渋い顔で訊くと 「確かに美味ない。けど、つむちゃんのんやったら飲んでもええ。いや、出してくれ。飲む」 原田は迷うことなく、コンビニ袋を避けて鐘の股間に勢いよく手を伸ばした。 「わー!」 避ければ原田がベッドから落ちてしまうかもしれない。少しだけ身をよじったが、鐘はほとんどその場から動けない。原田は楽しそうに、わざと舌なめずりしてみせる。 「それか、アイスと交互に舐めよかなぁ。そしたらつむちゃんも、冷とぅて気持ちええやろ? ソーダのやつ食いながらつむちゃんのやつ舐めよかなぁ」 「そらチンコぴりぴりしそうな……って。ちょ、ちょっと! その前に。それはええけどアイス溶けるがな。食べへんやつ冷蔵庫に入れてくるからちょお待ちって」 「いやや。待たれへん」 原田は全く気にすることなく、鐘のショートパンツのジッパーに手をかけた。 「待ちぃな、アイスが」 「うるさい。ヒモが何ぬかす」 こんな時の原田は綺麗な顔をしたケダモノ以外の何者でもなかった。アイスが融けて無駄になることなど、目の前の美味しい食事にありつくことに比べたら、些細なことなのである。 「ちょ、ちょうって!」 「なんや、準備万端やん。びんびんやで?」 鐘は自分でも驚いてしまった。アンダーウェアの前を押し上げるようにして、鐘自身が確かにスタンバイOKの形状に変わっている。原田がジッパーを下ろした途端――むしろ、下ろそうとした瞬間――これからされるであろう行為への期待で、瞬時にそこに血液が集まってしまったのだ。それはもう、条件反射といっていい。 「つーむ・ちゃん。ミルク、ちょうだい?」 「わかったって。もう。ほら、たーんと、おあがり」 腹を空かせた赤ん坊のように自分の目を見上げた原田に、鐘はベッドに上がりトランクスをずり下げると硬くなったそれを握って、彼の口もとへ持って行ってやる。哺乳瓶の乳首を咥えさせる気分で。 「ん……んっ…」 柔らかい先端を唇に含み、原田は舌先でミルクの出口がある溝をなぞった。 「あ。うわ…、そこ、ええわ……。で、アイスは食べんのん?」 「は……、んっと。甘いのんにしよかな」 原田が局部から一旦口を離したので、鐘はベッドの中ほどに移動して体育座りをした。 「好きなんにして」と鐘が差し出した袋から原田が選んだのは、ソーダでなくミルク味のバーだった。がさがさと音を立ててパッケージを破り捨て、原田は角の部分を咥えて強く吸った。唇で挟み、舌の表面を冷やしては、 「次、こっち」 「う、うわ!」 氷のように低温になった口の中に鐘のモノを含む。 「…気持ええ?」 「う、うん。ええんやけど。ええねんけど……」 刺激が強すぎて、ナニがびっくりしてもうてるがな。 原田は時折、落ちてくる髪をかきあげ、ひと休みして「はよ、ミルク出て来ぇへんかな」と鐘の先端にキスをする。その唇もひんやりと、いつも以上に冷たい。 「…食うといて」 そろそろ本気で追い詰める、という宣言なのだろう。原田はアイスをひと齧りすると、鐘に手渡す。鐘は大急ぎでアイスを片付けなければと思った。自分の股間に屈みこんでいる彼の上に、ミルクの雫が滴ってしまう。そんなことを気にしている時間がもったいない。早く片付けてしまって、自分の下半身を可愛がる原田の姿を堪能したい。 「ああ…可愛い。可愛いわぁ、つむちゃんのここ。いっつも元気やし……」 原田は鐘のそこに、たくさんキスをした。自分のものだと主張するように。 「若いから元気が取り柄やねん」 「子供は元気が一番やで……んっ…」 再び先端を唇で挟んでから、原田が鐘自身を奥深く咥えこんだ。ひんやりして、それでも微妙に温かみの残る口の中は、今まで味わったことのない感覚で。 「やばっ。アカン。出そう」 ギブアップを予告すると、早く出せとばかりに原田は舌での愛撫を強くした。両手で鐘の横腹にさわさわと触れながら、舌の表面を絡みつかせるようにして、敏感なスポットを責めつくす。強く吸いながら唇で茎を扱きつつも、舌先で裏筋をくすぐり、時折鈴口をこじあけるように擦る。 「あ…あっ。あっ。出る…出てまう……」 よく冷えた彼の口の中、鐘のものは強い刺激に負け、いつもより早く達してしまった。 原田は勝ち誇ったような笑みで、一滴も零すまいと、鐘のそれをきれいに舐め取る。 「…んー……」 「ん? なに?」 鐘から離れた原田が口を閉じて、目と指で、鐘が手にしていたアイスの棒を示した。残りひと口分だけ食べ残されたアイスが、どうにか棒に貼りついている。顔の前に持って行ってやると、小さく開けた唇の隙間から、原田はアイスを吸うように口に運んだ。 人肌のミルクと、融けかけのミルクアイスを口の中でカクテルにしてから、こくんと飲み下し、原田は言った。 「ええ感じに濃いミルクやった。なんか、かき氷にかけたら美味いんちゃうかって感じ」 「…おススメでけへんよ。素直に練乳かけとき?」 「いやいやいや、練乳よりオトナの味するねんて。味わいが深いねん」 「ま、ヒモやし、出せ言うんやったらいつでも出すけどもや」 下半身を下着の中にしまって、改めてベッドに横たわった鐘の胸に、原田が甘えて頭を乗せた。鐘は彼の髪を撫でながら少しだけ反省した。 今の、自分ばっかり気持ようなってしもたやん。俺、ヒモやのに。おまけにアイス買いすぎて、みな無駄にしてもうてるし。 床に放り出されたままのアイスの群れは、完全に液体になってはいないものの食品としての用をなさなくなり、コンビニ袋ごと廃棄処分となった。 鐘は「食べ物を捨てる時はこう言いなさい」と誰彼となく教えられた台詞を口にしつつも「…めっさ、気持ち良かった……」と、顔がゆるむのを止められなかった。 『かみさま、ごめんなさい――』 < 了 >
|