放送を語る会


51回放送フォーラム 

日米のアジア経済支配の企て

「TPPは米と組んでアジアでの経済支配を企てる日本の大企業の志向でもある」、放送を語る会の放送フォーラムで、講師の萩原氏はこう明快に指摘した。
 今年3月、自民党安倍首相はTPP交渉への参加を正式表明したが、事前交渉ですら重要な内容はブラックボックスで国民には知らされず、また、交渉参加後発国として差別されるなどの問題点が露呈している。
 4月27日に東京で開かれた放送を語る会のフォーラムで、横浜国大名誉教授の萩原伸次郎氏は、「TPPとは、いったい何か」と題して講演し、この協定は国民の利益より日米のグローバル企業の利益を優先する戦略だと明確に定義づけた。
 その上で、安倍・オバマ会談の成果だと喧伝されているコメなど農産5品目の“聖域”について、TPPは全関税の撤廃が最終目的で、遅かれ早かれ“聖域”は消滅せざるを得ないと述べ、安易な期待を厳しく戒めた。さらに米の医療資本が狙っている日本の国民皆保険への介入で、自由診療の拡大が進んでカネ優先の医療がまかり通り、国民を守るための現在の健保制度が根底から崩壊する危険性があると警告。
 また、日本の経団連などがTPPに積極的なのは、米資本と組んで自らも積極的にアジアに進出し、様々な力を背景に相手国から不当に利益を引き出すためだと指摘した。
 フォーラムでは講演に先立ち、放送を語る会が4月にまとめた在京キー局6局のTPP報道についての詳細なモニター結果が報告された

 
報告では、各局が政府自民党とJAとの“聖域”を巡る駆け引きを中心に矮小化して伝え、独自取材を交えて問題の本質に迫る調査報道を怠ったなどと厳しく指摘している。
 参加者からは萩原氏の分かりやすい分析と併せて、TPPを巡る動きが理解できたなどの感想が多く寄せられた。