放送を語る会


NHKは政治的自立を宣言して改革を

      吉岡忍さんを招いて討論   放送を語る会「第20回放送フォーラム」

 昨年6月、NHK会長の委嘱を受けて発足した、識者による「デジタル時代のNHK懇談会」が、公共放送の在り方について多面的な論議を展開、毎回の議事録が公開されてきたこともあって注目を集めている。
 放送を語る会が3月17日に東京で開いた「第20回放送フォーラム」は、この懇談会のメンバーであるノンフィクション作家吉岡忍さんを招き、懇談会の報告を手がかりに、NHKの現状について活発な討議を行った。
 吉岡さんは、懇談会で主張してきたこととして、まず「ETV2001事件」を教訓にNHKが政治的な自立を宣言すること、それが視聴者のNHK不信を解消するため重要だとNHK執行部に迫ったと報告、理事が政治家に会ってもいいが、その内容を現場に降ろしたのはメディアの衰弱・病気だと述べた。

 懇談会の席上、NHK側は「政治的圧力」を一貫して認めなかったが、懇談会の大勢は、圧力が「あった」ことを前提に、それをNHKがどう乗り越えるかを提言する方向で一致していると報告した。また、法的手段による受信料徴収は、NHKの放送がおかしいと思ったとき、唯一の抗議の手段としての不払いの道を閉ざすものであり、強く反対していると述べた。
 吉岡さんは、現在のNHK内部の状況に触れ、NHKが自信を失っている面もあり、揺らいでいる、そういう時に聴く耳を持つ状況が生まれている、と指摘、市民の働きかけの重要性を示唆した。
 また、最近話題の放送と通信の融合の問題にふれ、これらの議論は水を通す土管を大きくする類のもので、肝心な、放送を文化として捉える視点が決定的に欠落していると批判した。

 懇談会の最終報告は今年5月にまとめられる。会場からは、2011年のアナログ停波の強行について、また、政治圧力を防ぐ局内のシステムについて議論、提言すべき、など注文する発言が相次いだ。吉岡さんは、以降の懇談会でこれらの問題も議論したいと答えている。
 放送を語る会は、ここ2年ほどNHK問題でフォーラムを連続、定期に開催してきた。このような視聴者団体が首都圏ではほかに例がないせいか、かつては参加30名程度の小規模な例会だったのが、このところ参加者は倍増する勢いである。