放送を語る会

20121128

NHK、民間放送局各社、新聞社各社
報道・編集責任者 各位

放送を語る会
日本ジャーナリスト会議

有権者の判断に役立つ公正、公平で充実した選挙報道を求めます。

 1116日の解散以来、衆議院選挙に関する報道が活発に展開されてきました。
 しかし、この選挙報道に対し、特定の政党、政治家の動きに偏った「政局」報道が大半で、選挙の政策的な争点が不明確という、市民の強い不満の声が高まっています。
 とくにテレビでは、市民の批判にあるように、民主党・自民党の「二大政党」と、日本維新の会などいわゆる「第三極」の政治家の動向に重点を置く報道が異様なまでに続いています。
 これは、民主・自民に対抗するのは「第三極」しかない、という印象を作り出し、選挙の真の争点をあいまいにするものです。その上、「二大政党」と「第三極」の政治家のメディアへの露出の多さは、これらの政治勢力への投票を誘導する効果があります。とうてい公正な報道とは言えません。
 迫る総選挙は、日本の将来にかかわる重大な選挙です。選挙報道の現状に強い懸念を表明するとともに、次の3点を放送、新聞各社に提案し、その実行を求めるものです。

1)政党、政治家の動きの報道に偏らず、各政党の政策・主張を丁寧に伝え、選挙の争点を明らかにして、有権者の判断に資する、政策中心の報道を充実させること。
 その際、単に政党の主張を伝えるだけでなく、重大な争点となっている、脱原発、暮らしと雇用、消費税増税、TPP、沖縄の米軍基地、安保・外交、改憲、といった諸問題について、有権者の理解を助ける解説番組、記事を充実させること。

2)政党の政策・主張を紹介するにあたっては、現在の議席数の多少にしたがって放送や記事の量を配分するのではなく、少なくとも選挙期間中は、各政治勢力に公平に主張の機会を与えること。とくに民主・自民の「二大政党」偏重の報道姿勢を改めること。

3)選挙報道を、従来の報道の延長線上ではなく、その量と質を抜本的に拡充すること。
 とくに放送メディアでは、上記のような報道は、過去の選挙報道の延長線上では実現が困難です。政党数が増大したこともあり、編成の姿勢を抜本的に見直し、政策論議中心の番組を、長時間、数多く放送することを要請します。
 NHKでも民放でも、オリンピック放送では日夜膨大な時間量の番組が組まれました。今回の選挙の、国民にとっての重要性はこれとは比較になりません。
 社会の公器としての放送に、民主主義の発展に資する原則的な姿勢を求めます。とりわけ、公共的な放送機関であるNHKに、この努力を期待します。

                                        以上